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20240125_関西大学科学技術とリビングラボ

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September 10, 2025

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Kimura Atsunobu

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  1. Copyright 2024 自己紹介 Profile 地域創生Coデザイン研究所 ポリフォニックパートナー (企業) 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー (地域の中間支援組織)

    日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 代表理事 (全国の地域団体の中間支援組織) 東京理科大学 客員准教授 (研究・教育機関) デザインイノベーションコンソーシアム フェロー (産学連携の研究・教育機関) 大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学を修了後、NTT研究所に入社。2016年よりリビングラボ・Coデザインの研究・実 践プロジェクトを立ち上げ、2021年にNTT西日本グループの地域創生Coデザイン研究所の設立に関与し、参画。博士(工 学)。主としてHCI、CSCW、UXデザイン、リビングラボの研究開発に従事。デザイン研究のチームを牽引し、企業内のUXデザ インプロジェクト、地域の社会課題に関するリビングラボプロジェクトを多数実践し、コンサルティングや教育活動も行っている。現 在は、大牟田市などの地域主体ともに、まちづくり、地域経営、サービスデザイン、社会システムデザインなどの文脈で新しいソー シャルデザインのあり方を探求中。著書に「2030年の情報通信技術生活者の未来像」(NTT出版|2015年)等。
  2. Copyright 2024 研究テーマ 社会的インパクトを志向するリビングラボ方法論 経産省「未来の教室」実証事業で リビングラボを活用したサービス開 発研修@大牟田リビングラボ DX・デザイン思考・地域創生関 係の講演・アドバイザー委嘱等 北欧・日本の実践家の経験から紡ぎだした

    「リビングラボの手引き」 地域パートナーと連携したセクターを超えた 共創活動(リビングラボ)の社会実装 (福岡県大牟田市、奈良県奈良市、愛知県岡崎市、 奈良県生駒市、奈良県天川村等) ソーシャルデザインに取り組むガイドブック 国立国会図書館調査資料 2020-6 セクターを超えた共創活動(リビングラボ) の研究と実践者団体運営 リビングラボ国際会議での Top Selected Paper受賞 デザイン学会にてリビングラボに 関わるオーガナイズドセッション
  3. Copyright 2024 福祉政策起点で新しい人間観にもとづく まちづくり(パーソンセンタードシティ)を 目指す(福岡県大牟田市) 産業政策起点で日本的サスティナビリティに もとづく持続可能な地域や社会が うまれるまちを目指す(奈良県奈良市) 地域住民 自治体

    企業 地域のソーシャル ワーカー等 大牟田 リビングラボ 真に解くべき課題を 探索・設定できる主体 ・奈良市在住の就業者の 約50% が市外で勤務 ・ベッドタウンとしての魅力+働く人の創造性を引き出す 文化財や自然が豊富にある特性を生かした多様な ワークプレイス(サテライトオフィス)がある地域をめざす ・子育て世代の支援 抜本的な公共私連携による解決策の創出 ・高齢化率(65歳以上人口) 36.8% ※全国高齢化率 28.6% ・10万人以上の都市では全国で2番目に高い 高齢化率※ ・日本の中でも20年先をいく超高齢社会モデル都市 (一般社団法人) (一般社団法人) 地域住民 自治体 企業 奈良 リビングラボ 真に解くべき課題を 探索・設定できる主体 地域創生Coデザイン研究所にて取り組んできたリビングラボ モデル地域(大牟田、奈良)において、ソリューションではなく地域の構造的問題を捉えた社会システム(サービス・政 策・コミュニティ活動)を①提案・実装する中で、持続可能な社会システムの②知見を体系化し、③展開する。
  4. Copyright 2024 ビジョン :人々が主体的に共創できる社会へ ミッション:生活者とその暮らしの目線に立ち、生活者やパートナーが 主体性を発揮できる対話的関係・環境を重視し、 ともに持続可能な社会づくりに向けた価値を探索し生み出しつづける 人々が 主体的に共創できる社会 ②地域の人々とともに

    社会課題を解決する事業創出 ①本質的なサービス・政策創出の基盤となる 新しい地域の仕組み(社会システム)の構築 地域の内部に入り込み、 中立的・統合的な立場でビジョン策定 地域経営(政策×ビジネス)のアプローチで 課題探索・解決を主体的に実施 真の暮らしの価値の理解 ビジネス価値追求 ねらい・ゴール 地域のビタミン 地域の体質改善 (=新しい社会システム探索) ③社会課題解決サービス・ 地域経営を変革するPF等の デジタルツールの構築 地域創生Coデザイン研究所のビジョン・ミッション Coデザのミッション
  5. Copyright 2024 【宮崎県】 森林・林業DXによる自然資 本循環型の地域活性化 【福岡県大牟田市】 超高齢社会の人の暮らしを中心と した地域創生モデルの実現 6 【愛媛県西条市】

    自助・共助を育む 協働と共創のまちづくり 【大分県】 地域共同雇用による 障がい者の就労モデルの確立 【福井県坂井市】 地域資源をいかした観光まちづくり 全30府県で展開する地域創生プロジェクト(2019年9月~) 【奈良県生駒市】 市民力を高めるスマートシティの実現 【愛知県岡崎市】 ごちゃまぜ地域拠点を軸にした 市民の主体的な地域づくり
  6. Copyright 2024 さまざまなセクターで注目されるリビングラボ 地域や自治体におけるシーン 地域の担い手不足、行政職員の減少、 ひっ迫する行政の財政、 増加するインフラ更新費用 デジタルディバイド、地域DX 自治体DX、政策課題 市民協働、公民連携

    ウェルビーイングなまちづくり 産業振興、地域活性化 企業や大学におけるシーン ソーシャルイノベーション、社会課題解決 ユーザイノベーション、地域貢献 デザインリサーチ、ライフスタイルリサーチ インクルーシブデザイン、ウェルビーイング サスティナビリティスマートシティ、 モビリティ、エネルギー医療、ヘルスケア 文化、社会的包摂(福祉)、教育
  7. Copyright 2024 日本のリビングラボの年表と分布 2005.03 仙台フィンランド健康福祉センター 2006.09 Lions Living Labo 2010.01-2014.03

    湘南リビングラボ 2010.11 経産省 情報政策課 リビングラボ紹介 「情報政策の要諦ー新成長戦略におけるIT・エレクトロニクス政策の方向性」 2011.10 みんなの使いやすさラボ(みんラボ) 2011.12 BABAラボ 2012.08 富士通総研 リビングラボ研究レポート 2012.10 おたがいさまコミュニティ 2013.02 Living Lab Tokyo 2013.07 Virtual Living Lab 2014.12 松本ヘルスラボ 2015.01 三浦リビングラボラトリー 2015.04 子育てママリビングラボ 2015.09 Cyber Living Lab 2016.01 第5期科学技術基本計画(Society5.0) 2016.01 八千代リビングラボ 2016.06 みなまきラボ 2016.07 産総研スマートリビングラボ 2016.07 東急WISE Living Lab 2016.11 鎌倉リビング・ラボ ほか5件 2017.01 井土ヶ谷アーバンデザインセンター(井土ヶ谷リビングラボ) 2017.05 ともに育むサービスラボ(はぐラボ) 2017.06 福岡ヘルス・ラボ 2017.09 経産省 ヴィンテージ・ソサエティ構築実証事業(リビングラボ4 件) 2017.09 神奈川ME-BYOリビングラボ 2017.10 高石・僥倖リビング・ラボ 2017.12 ドリームハイツ ヘルスケア リビングラボ(とつかリビングラボ) ほか9件 2018.02 大牟田リビングラボ 2018.03 横浜リビングラボ創生会議 2018.04 第一回リビングラボネットワーク会議 2018.04 こまつしまリビングラボ 2018.07 経産省 「未来の教室」実証事業(大牟田リビングラボ含む4件) 2018.10 サイクル・リビングラボ 2018.11 地域共創リビングラボ ほか10件 2019.02 Well Being リビングラボ 2019.03 第二回リビングラボネットワーク会議 2019.10 岡山リビングラボ ほか3件 2020.07 関内リビングラボ 2020.08 厚労省 「介護ロボットの開発実証普及のプラットフォーム事業」 (リビングラボ6件) 2020.03 経産省 リビングラボにおける革新的な社会課題解決サービスの 創出に係る調査「リビングラボ導入ガイドブック」 2020.10 おやまちリビングラボ 2020.11 奈良リビングラボ ほか8件 凡例) オレンジ色:日本全体の動き 黒色:他の日本での取り組み ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課 題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局を元に作成 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ ( 2023/04 時点 ) 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづ くりスタジオ ふじみ野LL
  8. Copyright 2024 日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 日本において共創やリビングラボの実践がさらに活性化し、普及することを目指して、設立 (2023/11/1一般社団法人化)。多様なステークホルダーが立場を超えてフラットにつながり、実践知や課 題を共有し合うことで、さらなる実践や成果をもたらす場や機会をつくり出していきます。また、 関連団体と連携したリビングラボのポータルサイトでの情報発信や、支援サービスの提供も行って います。 リビングラボ運営者支援サービス 日本のリビングラボ実践者ネットワーク

    &実践知対話会 実践を支えるフレームワークの 研究開発 チーム組成& ビジョン形成 計画立案・ 共有 予算・ 契約 具体的な 共創 価値の 振返り・ 発信 国内実践者・研究者と共に、事例対話の分析を通じて 実践支援の核となるフレームワーク等を研究開発 25地域を超える実践者が集い、コアチームを組成し、 実践者による実践者のためのコミュニティを運営。 1000名を超えるリビングラボ関心層に発信可能なネットワーク (企業7割,自治体2割,研究者1割) 研究開発の知見を核に、 体系化されたリビングラボ運営者支援メニューを開発・提供 JNoLL リビングラボ・ ポータルサイト (https://jnoll.org/)
  9. Copyright 2024 リビングラボが活用される場面 欧州をはじめとしてさまざまなプロジェクトが取り組まれており(500+)※1日本では経産省・ 厚労省が活用し始めている(100+)※2また、大きくは以下の4種の場面で活用されている※3 ②行政サービス改善 (enabler-driven) -住民・NPOと自治体の関係性構築 -陳情や自治体の政策エビデンス獲得 -地域としての政策イノベーション

    by自治体・住民/NPO etc. ①サービス・技術開発 (utilizer-driven) -サービス検証 -サービスイノベーション創出 by民間企業・大学etc. ③地域活性化 (user-driven) -地域関係者のつながり形成 -地域のにぎわいづくり(イベント) -持続的な住民生活の問題解決・価値向上 by住民/NPO・デベロッパー・ 自治体 etc. ※1:European Network of Living Labs (ENoLL) 5大陸35カ国から151組織のアクティブメンバー(過去の登録メンバーは全 世界で500組織以上)(2023.04) ※2:※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ( 2023/04 時点 ) ※3:Leminen, S., Westerlund, M., & Nystrom, A. G.(2012).Living Labs as open open-innovation networks, Technology Innovation Management Review Review. ④方法論研究 (provider-driven) -方法論の実践 -方法論の体系化と展開 By大学・研究機関 etc. 松本ヘルスラボ ME-BYOリビングラボ 丹後リビングラボ 佐渡島自然共生ラボ イノベーション神戸 Turinリビングラボ ・・・ 鎌倉リビングラボ みんラボ フューチャー・リビン グ・ラボ(日立) ノボ ノルディスク エーザイ韓国 ・・・ おやまちリビングラボ 寿リビングラボ WISEリビングラボ デルフト工科大 ・・・ 東大 KDDI研 NTT研 i-mec Public- intelligence ・・・ 神山つなぐ公社 エーゼログループ 大牟田リビングラボ ・・・
  10. Copyright 2024 リビングラボに期待される効果 Steen, K. & Bueren, E. (2017). The

    Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model 自治体にとっての効果 市民の参加、意見の収集、問題の把 握 人手不足の解消(地域共生社会) コスト削減 企業にとっての効果 ユーザの参加、コミュニティとの連携 ニーズ把握 フラットな価値の対話が可能 市民にとっての効果 行政政策や企業サービスへの関 わり(自分が必要なものを作り 出せる) 社会参加、学びの機会 大学にとっての効果 人材育成 社会課題解決、地域貢献 地域コミュニティの連携強化
  11. Copyright 2024 リビングラボとは『セクターを超えた共創活動』 Steen, K. & Bueren, E. (2017). The

    Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本にお ける構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model
  12. Copyright 2024 系譜1:シチズンサイエンス(現場で学びを得る科学へ) 実験科学[Lewin,1946;Kawakita,1967;Neisser,1978]や市民科学 [Short,1992;Wood,1993]の分野では、限定的な環境での試行実験 の限界に対して、アクションリサーチ、野外科学、PBLなどの実環境 での実践や検証が重要視された。リビングラボの概念の提唱者として 知られるWilliam J. Mitchellは建築分野でこの取り組みを行った人物

    である[Mulvenna;2011]。 特徴 • 実環境下(real-life setting) • 生徒の巻き込み(student involvement) • エンパワーメント(empowerment) ※川喜田(1967)発想法―創造性開発のために, 中央公論社. 1990年代から実験科学・市民科学の分野でLiving Labと名前の付い た活動が行われている • “The Living Lab is a pilot program teaching estuarine issues to junior and senior high school students.” (Short, 1992) • “The program has a room in the residence quarters of the YMCA called the ‘’Living Lab.” This laboratory is an opportunity for a youth to gain practical experience living on his or her own while receiving support from staff, DYFS and other agencies.” (State of New Jersey, 1993) • “From using the environment as a living lab to enhance your science and math studies to using it to help inspire your students to create poetry, there are many innovative ways to promote outdoor experiences with your students.” (Wood et. al., 1993)
  13. Copyright 2024 系譜2:オープンイノベーション(みんなに開いてつくる文化へ) 1980年代にパーソナルコンピューターが普及したとき、人としての使いやすさに焦点を当 てたユーザ中心設計Norman(1986)が提唱された。これは限定的な関係者による設計の 限界に対して、実際のユーザの巻き込むアプローチであり、その後サービスデザイン [Stickdorn;2012]などに拡張されていった。また、企業イノベーションにおけるオープン イノベーション[Chesbrough;2003]や行政運営における市民参加の梯子[Arnstein;1969] など、さまざまなセクターのモノづくり(コトづくり)においても、関係者に開いてつくる 文化(デザインの民主化)へのシフトが志向されている。

    特徴 • ユーザの巻き込み(user involvement) • 共創(co-creation) • 価値協創(joint-value) • ガバナンス(governance) ※D.A. Norman, (1990)誰のためのデザイン?,新曜社. Human Computer Intaraciton(HCI)の分野では、ジョージア工科大 学のAware Home Projectが1999年にLiving Laboratoryという概念を 取り上げて研究を行った(Cory et al.1999) 欧州委員会は2013年のダブリン宣言で、オープンイノベーション2.0をオー プンイノベーションの新たなパラダイムとして考え、欧州全体で推進してい くこと ・ 世界に発信していくことが決議され、「Open Innovation 2.0 Yearbook」では、Living Lab が多く取り上げられている
  14. Copyright 2024 系譜3:参加型デザイン(使うものを自らつくる権利へ) 北欧リビングラボの源流と言われる参加型デザイン[Nygaard,1975]は、社会民 主主義的な理念を持ち、生活者やユーザの権利として、自らが身の回りにある 組織構造やプロセス(社会技術システム:Socio-technical system[Trist,1951])に対して主体的に関わっていくことが基本的な考え方と なっている。形を持つ製品から、形を持たないサービス、さらには組織や社会 についてまで、それを設計・運用することに主体的に関わる活動が展開されて きた。

    特徴 • エンパワーメント(empowerment) • 自発性(Spontaneity) • ガバナンス(governance) • ラピッドプロトタイピングと評価(rapid prototyping & testing ) ※S. Bodker et al. (2021) Participatory Design, Springer. 職場の生産性を高めるために技術システムを導入したい経営者と、自 分たちの労働の現場に技術システムを入れることに不満を持つ労働者 との対立に対して、第3の道として、民主主義的な方法で問題解決を 図ったのが参加型デザイン ノルウェー鉄・金属労組の技術プロジェクト(1970年~) スウェーデンのDEMOSプロジェクト(1975~1979年) デンマークのプロジェクトDUE(1977~1980年)など
  15. Copyright 2024 社会背景とリビングラボが示すパラダイムの変化 企業/行政 (提供者) 一方的なサービス提供 (客体化) ブラックボックス 非対称・リスク回避 企業/行政

    (市民) フェア & 学び合うパートナー関係 主体的 な共創 市民 利用者 C o デ ザ イ ン リ ビ ン グ ラ ボ 一 般 的 な サ ー ビ ス デ ザ イ ン ・人口ボーナス期 = 拡大・成長期 ・潤沢な供給リソースと需要 ・官僚組織による計画的マネジメント ※広井(2019)人口減少社会のデザイン, 東洋経済新報社. ・人口オーナス = 定常期※ ・ひっ迫した供給リソースと減らない 需要 ・共創によるアジャイル・ガバナンス (デジタル活用、プラットフォームビルダー化) 社会背景 パラダイムの変化 一方的な提供者-利用者関係
  16. Copyright 2024 フェアではないアプローチとリビングラボの違い 自治体の市民ワークショップとの違い 計画への声の反映にとどまり、実行と接続しない ため市民の参加度合いが低かったが、 リビングラボでは、市民参加型でプロジェクトを 進めていくことを志向する テストマーケティング/実証実験との違い 開発者・研究者の課題の検証に市民が付き合わされる

    形であったが、 リビングラボでは、市民の暮らしの課題を探索的に解 くことを志向する (機能的ニーズの飽和により探索的活動が求められ、かつ、人口減少 (人的資本の希少化)により働き手(市民)重視の価値創出がもとめら れる) 市民団体/NPOによる活動との違い 陳情型で行政に発信するだけでもなく、 共助型で自分たちのできる活動をするだけでもな く、 リビングラボでは、市民の暮らしを軸に政策やサー ビスも変えていく活動を志向する Steen, K. & Bueren, E. (2017). The Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model
  17. Copyright 2024 社会背景:新しい価値観の台頭 サスティナビリティ(地球規模の価値)や ウェルビーイング(人間⼀人ひとりの価値)などの 新しい価値観の台頭 Sustainable Development Goals 2030

    (SDGs) wedding cake from Azote Images for Stockholm Resilience Centre, 2016. https://www.stockholmresilience.org/research/research-news/2016-06- 14-the-sdgs-wedding-cake.html
  18. Copyright 2024 社会背景:地方自治体の変化 地方自治体の運営は限界を迎える。持続可能な形で住民サービスを提供し続けるために、ICT活用による「スマート自治 体への転換」と、公共私(自治体・コミュニティ・民間企業等)の連携による自治体の「プラットフォーム・ビルダー化」が必 須 ※自治体戦略2040構想(総務省、2018) スマート自治体への転換 • 新たな自治体や国の施策(アプリケーション)の機能が最大限発揮でき

    るような自治体行政(OS)の大胆な書き換えが必要 • 破壊的技術(AI・ロボティクス等)を使いこなす自治体へ 公共私によるくらしの維持 (自治体のプラットフォームビルダー化) • 自治体は新しい公共私相互間の協力関係を構築する「プラットフォーム・ビ ルダー化」が必要:公 • くらしを支えるための地域を基盤とした新たな法人が必要:共 • 全国一律の規制見直し、シェアリングエコノミー等の環境整備の必要性:私 減少する地方公務員 ひっ迫する財政 増加するインフラ更新費用
  19. Copyright 2024 科学技術・イノベーション基本法からの示唆: 「変革を見据えた社会的価値の創造」 ①「社会的価値」を問う(⼀人ひとりの価値、地球規模の価値) (出典)内閣府:科学技術・イノベーション基本計画, (2021). ②社会そのものの変革を見据えた価値創造(トランスフォーマティ ブ・イノベーション※) ※地球環境問題などの複雑で広範な社会的課題へ対応するため、社会の変⾰を志向するもの。

    科学技術・イノベーション政策が、研究開発だけでなく、社会的価値を生み出す政策へと変化してきた中で、これか らの政策には、⼀人ひとりの価値、地球規模の価値を問うことが求められているという点が挙げられる。 今後は、 人文・社会科学の厚みのある「知」の蓄積を図るとともに、自然科学の「知」との融合による、人間や社会の総合的 理解と課題解決に資する「総合知」の創出・活用がますます重要となる。科学技術・イノベーション政策自体も、 人文・社会科学の真価である価値発見的な視座を取り込むことによって、社会へのソリューションを提供するものへ と進化することが必要である。 この25年間のイノベーションという概念の含意の大きな変化が挙げられる。かつて、企業活動における商品開発や 生産活動に直結した行為と捉えられがちだったイノベーションという概念は、今や、経済や社会の大きな変化を創出 する幅広い主体による活動と捉えられ、新たな価値の創造と社会そのものの変革を見据えた「トランスフォーマ ティ ブ・イノベーション」という概念へと進化しつつある。
  20. Copyright 2024 変革を見据えた社会的価値の創造のために 暮らしの中の事象に潜む質感をとりこぼさずに、新たなシステムを実現するためには、 暮らし・システムの両方に対する実感や経験が必要 暮らしの時間 ・主観的、生成的、多様 ・歴史的な絆、人間、世間 e.g. 自立共生的、生活世界

    両方の構造に対して デザイン実践をする立ち位置 システムの時間 ・客観的、計画的、均質 ・政策的経緯、公論 e.g.操作的、システム イヴァン イリイチ(2015)コンヴィヴィアリティのための道具,筑 2022/6/25-26 デザイン学会 オーガナイズドセッション企画資料
  21. Copyright 2024 変革を見据えた社会的価値の創造のために ①対話・共感 ②課題設定 ③アイデア創出 ④プロトタイピング ⑤テスト ⑥社会実装 地域の実証実験疲れ:

    企業と一部の地域の人たちが、地域 の現状を考えずに技術・ビジネス実 証を行うため、他の地域の人たちが 動員される。地域の価値になるのか 実感が沸かず、搾取感だけが残る。 科学技術チームの実証実験疲れ: 地域の人たちとの関係性づくりに時間が かかる。地域の未来に向けて実証しても 地域の人たちがついてこれず止まってし まう 地域と科学技術チームの双方の未来の価値に共感し、 地域主体として実証実験をリードするチームが必要 地域の課題設定の罠: 目の前で起きる表層的な問題にひっ ぱられ、持続的に問題を解消するた めの構造的な問題に行きつきづらい (企業などが取り組むデザイン思考 もこの罠に陥りやすい) 科学技術チームの課題設定の罠: システム思考や未来の可能性を探索する 手法(アート思考・スペキュラティブデ ザイン等)により、幅広い問いを生み出 しうるが、暮らしの変革につながる課題 設定を生み出しづらい 目の前の問題と構造的問題のつながりを捉えた上で、 変革につながる課題設定が必要 変革を⾒据えた社会的価値の創造のためにサービスデザインプロセスを進めようとすると、多くのプロジェク トは「課題設定」と「社会実装」のフェーズがボトルネックとなり、停滞あるいは価値よりプロジェクト進行 を優先することになる
  22. Copyright 2024 変革を見据えた社会的価値の創造のために ①対話・共感 ②課題設定 ③アイデア創出 ④プロトタイピング ⑤テスト ⑥社会実装 地域と科学技術チームの双方の未来の価値に共感し、

    地域主体として実証実験をリードするチームが必要 目の前の問題と構造的問題のつながりを捉えた上で、 変革につながる課題設定が必要 地域の現在と未来にコミットして、セクターを超えた共 創をコーディネートする「リビングラボ」の主体 地域の構造や当事者の実感を掴みながら、地域としての 問いを⾒出して、課題設定を行う「リビングラボ」 ×
  23. Copyright 2024 生産年齢人口と就業者人口:労働供給制約 仕事場の不足 働き手の不足 生産年齢人口の減少が地域経済を衰退・破壊するため、 短期・中期・長期において徹底した取り組みが不可欠 生産年齢人口と 就業者人口との差が 年々縮まってきている

    局面の転換 生産年齢人口と就業者人口 生産年齢人口の減少(短期的状況) 徹底的なDX・業界ごとの人材確保、社会政策による暮ら しやすい地域の実現、移住・定住政策の推進(近隣地域 との地域選択に勝つこと)が不可欠 【現役最後の世代】 【現役を迎える世代】 労働市場から 退出 労働市場へ 参入 今後、5年間で 最大2,000人※ (年間400人程度) の働き手不足 が発生するおそれ ※約3,000人×就業率6割強 (国勢調査の実績値に基づき作成) 3,050
  24. Copyright 2024 核となる新しい人間観:パーソンセンタード※ 生活者(パーソン)の暮らしを、独立した個人の暮らしとして捉えるのではなく、周りの家族 や地域の人との繋がりと、その繋がりの中で捉え直されるケイパビリティに基づき、豊かで継 続性を持ったナラティブによって成り立っていると捉えるもの 学ぶ 楽しむ 働く 出会う

    知る つながる 好奇心 意欲 問題意識 潜在能力 capability つながり connection 人生 narrative 【ビジネス】 マーケティング5.0 【教育】 未来の教室(経済産業省) 【福祉】 地域共生社会(厚生労働省) ※木村ら(2019)パーソンセンタードデザイン:その人らしい暮らしを目指 す人間観に基づくデザイン方法論,日本デザイン学会発表大会概要集. 大牟田パーソンセンタード コンセプトブック 「みらいのおへそ」
  25. Copyright 2024 基幹産業の消滅 (石炭産業) 急激な生産年齢 人口の流出 (急激な人口減少) 高い高齢化率 (10万人以上の 自治体でトップクラス)

    地縁コミュニティの 担い手不足 NPOが ほとんどない (市民活動(コミュニティ) 経営力の弱さ 行政への 過剰な期待 ・批判 空き家・ 空き店舗の増加 小売・飲食業 の減少 郊外店舗の進出 【国レベルの政策】 中心市街地の 衰退 市役所の採用が 定員に満たない (欠員補充が まなならない) 新たな交通(移動) システムが 生み出せない 景観が悪くなる (賑わいがなくなる) 学校登校・学級 登校へのこだわり 【国レベルの政策】 不登校児童の増加 (全国の2倍程度) 大牟田への転勤 に家族を伴わない (単身赴任) 自治体経営力 の低下(弱さ) (根本解決に 取り組めない) モータリゼーション 自治体財政 の悪化 (税収減) 単身高齢者の 増加 若い世代の 地域外流出 スキルが活かせる 仕事、魅力的な 仕事が少ない 企業経営力の 低下(弱さ) 生産性が低い (労働生産性が 全国平均の6割程度) 賃金が低い 深刻な 働き手不足 事業承継が できない (させない) 事業縮小 廃業する 高齢者が 働き続ける 公共交通の 利便性低下、 空白地帯発生 補助金で維持 (つなぎ止め) 補助金モデルの 中小企業政策 【国レベルの政策】 自治体職員は 経営支援が できない 介護人材が不足、 ケアプラン作成が 滞る 介護予防施策を 十分実施できない 高齢者の 社会参加が 促進されない 高齢者の 心身状態の悪化 (回復しない) 小規模事業者 が多い DXが進まない 生活問題が 複雑化・複合化 相談業務の 負荷が高い 自然資本が 豊かでない (工業都市) 新しい教育の あり方へ転換 できない 免許返納者が 増加 予防(回復)ではなく 制度利用が促進される 【国レベルの政策(設計)】 選挙における 組織票が強い (と思われている) 変化しづらい ドライバー不足で タクシーが エリアを限定 交通 教育 介護予防 産業 雇⽤ コミュニティ 公 大牟田市における課題構造の分析(2023年時点での整理) 10万人都市であるため都市機能が一式揃っており、かつ、高齢化に伴い日本全体の20年先をゆく「課題 先進地域」と言われる地域である。領域を横断する課題が顕在化かつ連関が起きており、新たな研究課 題・ビジネスモデルを探索することに適している。 47
  26. Copyright 2024 パーソンセンタードシティのコンセプト: どのような状態でも本人の存在が肯定され力が発揮されるまち コミュニティケア的視点 その人らしく生きることに向き合う 産業・テクノロジー的視点 その人と支える人を影ながら支える 社会疫学的視点 その人らしく生きやすい環境を作る

    支援者 (専門職等) 参加コミュニティ 未参加コミュニティ 友人 家族 近所住民 同僚 モバイル 戸建住宅 集合住宅 都市 支援者+モバイル ナラティブ DB 社会資源 DB 生活者課題 DB 疫学知見 DB テク ノロジー DB 設計 ガイドライン DB マクロ ミクロ 暮らし 技術 社会課題 DB 保険業 金融業 医療介護 保育教育 サービス業 宿泊業 交通 物流 建築 通信 対話を通じて市民の主体性があたたまる 「わくわく人生サロン」 その人らしく住みこなすプロセスとスマートシティ設計指針 の研究開発「大牟田市営住宅モデルルームPJ」 高齢者の主体性を引き出すデジタル体験 「VRを活用した未来の福祉プロジェクト」 ×東大等 誰もが持てる力を生かし、参加できる社 会を理念とした「暮らしの総合計画」 (健康福祉総合計画)
  27. Copyright 2024 大牟田未来共創センター(ポニポニ)の設立(2019) ⚫ 認知症ケアで見出されたコンセプトを深め、セクターや領域における縦割りを横断し、既存の社会システムから“独立しな がら埋め込まれる主体”として官民協働で大牟田未来共創センターを設立(2019年4月) ⚫ 行政の政策形成支援、具体的な地域課題の解決(プロジェクト)に加え、地域内外のネットワークを生かし、企業の 課題・仮説探索の伴走、コーディネートを行っている 大牟田未来共創センター

    大牟田市 地域資源 地域・住民 縦割りの打破(調整)、政策展開支援 ビジョンの共有 共創 共創 地域資源の価値を再構築 地域・住民との協働 福 祉 教 育 産 業 地域内のアクター (市民団体、 地場企業など) 地域外のアクター (国内外企業、 研究機関等) ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 国 予 算 制 度 事 業 基礎 自治 体 予 算 制 度 事 業 地域 実 践 取 組 対 象 多世代・横断 政策的統合 大牟田未来共創センター 統合的 アプローチ 計画 統合的実践 支 援 支 援 モデル提案 従業員数:20名 事業規模:1億円
  28. Copyright 2024 大牟田未来共創センターの設立関係者 原口 悠氏 セクターを横断し公 的な事業に取り組む 実践者 一般社団法人大牟田未来 共創センター

    代表理事 NPO法人ド ットファイブ トーキョー 代表理事 山内 泰氏 人文的な思想を支える研究 者 一般社団法人大牟田未来共創セ ンター 理事 NPO法人ドネルモ 代表理事 株式会社ふくしごと 取締役 菅原 知之氏 大牟田市に根を張り公 的な事業に取り組む経 営者 一般社団法人大牟田未来共 創センター 元代表理事 医療法人CLSすがはら 専 務理事 なないろリボン 代表 原口 唯氏 マルチステークホルダー による共創の実践者 一般社団法人大牟田未来共創 センター 元理事 株式会社YOUI 代表取締役 九州大学ロバート・ファン/ アントレプレナーシップ・セ ンター特任助教 梅本 政隆氏 政策と現場の構造転換に 取り組む社会福祉士 株式会社地域創生Coデザイ ン研究所 ポリフォニック パートナー 元 大牟田市職員 元厚生労働省社会・援護局 厚生労働省九州厚生局地域 包括ケアシステムアドバイ ザー 修士(社会福祉学) 松浦 克太氏 地域と企業の連携により新 しい事業創出に取り組む実 践者 株式会社地域創生Coデザイン 研究所 ポリフォニックパート ナー NTT西日本「Startup Factory」 事務局 その他の連携パートナー 大牟田市役所(総合政策課、健康福祉課、建築住宅課、産業振興課、生涯学習課等) 有明高専、大牟田商工会議所、大牟田市介護サービス事業者協議会、大牟田市営住宅管理センター等 東京大学先端研、NTT研究所、NTTデータ、三井住友銀行、Co-Studio、デジタルステッキ等
  29. Copyright 2024 行政政策: 健康福祉総合計画策定・運用 Coデザのビジョン&ミッション 大牟田から未来をのぞき見る、 対話・体験・テクノロジー 「NINGEN Societal Festival」

    働き方を転換 する「超短時 間雇用」PJ× 東大等 みんなが自然と元 気になるまちPJ w/ モデル事業 ×NTTデータ等 Well-being な住まいPJ ×有明高専等 社会の本質に迫る 問いと対話のメディア 「湯リイカ」 ×SMBC等 「わたし」として扱われる場があたたまりを生む 公営住宅モデルルームと住みこなしに必要な家具DIY VRで思い出の場所を散策することができる 多様な労働者のインクルージョンを実現する @超短時間雇用モデル 対話を通じて 市民の主体性があたたまる 「わくわく人生サロン」 主体的なデジタル活用を サポートする人材 「インフォナビゲーター」養成 講座 高齢者の主体性を引き出す デジタル体験 「VRを活用した未来の福祉 プロジェクト」 ×東大等 ・・・ 多様な市民が集った「にんげんフェスティバル」 対話を通じて未来について考える仲間が集う 大牟田から「人々が主体的に共創できる社会」のモデルをつくる ・市民の主体性があたたまる場から、社会の価値が共創されていく場や機会づくり ・地域としての課題を乗り越え、新しい住まい・介護予防・働き方を実践するプロジェクト ・現場での実践から生まれる問いを起点に地域や社会のあり方を問い直す対話
  30. Copyright 2024 外部メディア掲載・外部発信 オウンドメディア(湯リイカ) 外部メディア掲載 53 https://digital-is-green.jp/branding/human- centered/001.html https://note.com/pub_lab/n/n4b6f780cbc14 学術活動

    https://dialogue-eureka.jp/ ※上記以外にも、「リビングラボ」「社会システムデザイン」 というテーマで論文を多数発表 様々な分野における気鋭の有識者・実践者との対話メディア。
  31. Copyright 2024 大牟田市 従来の介護予防施策では リーチすることが難しい人がいる (財政的制約も強まる) 企業 企業の意図 「早期検知」という機能検証 から、「自らのことを知る新た

    な方法のデザイン」という意味 探索へと課題設定を変更 地域住民 他地域で実施した 疾病の早期検知サービス の実証実験に人が集まらない (高齢者として)これまでの経験や興味を活か して地域に関わる機会がない、多様な形でどんな 人でもいれる居場所がない 地域の意図 企業がリビングラボへ支払う対 価(資金)を活用し、高齢 者が仲間を得て、自らのことを 振り返る(知る)過程で意 欲を育み、多様な参加に向 かう仕組みづくり検討 課題の再設定・ 統合的実践 プロジェクトのはじまり(2018~) 大牟田リビングラボ
  32. Copyright 2024 社会システムの観点からのリサーチ(2018~) 大牟田健康福祉部や包括支援センター・地域事業所のソーシャルワーカーともに、自宅・施設、認知症サロン、介護予 防サロンなどの訪問を実施し多数の高齢者と会う。合わせて、各組織の運営の調査※を実施し、現場運用の課題を把 握すすとともに、政策的経緯を明らかにし、地域内外の実践者との対話を重ねることで、「生存権の保障(憲法25 条)から幸福追求権(憲法13条)の保障へ」(菊池:2019) という新たな理念を見出した。 幸福追求権(13条)とパーソンセンタード 大牟田まちづくり国際センター準備室

    現実・問題 生存権(25条) 理想 幸福追求権(13条) 【問題解決型】 例)足が痛い→リハビリ 【幸福追求(自己実現)型】 例)お友達と買い物に行きたい 例)お友達を作る、 移動手段を確保する (動機を得た上で)リハビリをする 集積 地域生活課題 (他セクターと の協働) ナラティブ 関係性 相談支援 (ソーシャルワーク) 課題 菊地馨実(2019)社会保障再考 〈地域〉で支える https://toyokeizai.net/articles/-/318162?display=b
  33. Copyright 2024 (チラシを貼る) 第4回において、 睡眠センサーと家電センサーで得た データを「自分の無意識を知るため の情報」として利用 ※参加者にとっても情報提供、セン サー利用に価値がある形にしている わくわく人生サロン

    実施概要 •対象者:大牟田市在住の要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方 •募集期間:2019/11/28~2020/1/31・開催期間:2020/1/10~2020/3/13 •サロン申込者(面談参加者):35名/サロン参加者:32名(面談後の辞退:3名)/ センサー設置者:18名(センサー設置辞退:14名) リアルプロトタイピングによるコンセプト検証(2019~)
  34. Copyright 2024 「大牟田市高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」 総括時の職員の意見 「既存活動に関心が 薄い人もいることから、「わくわく人生サロン」 ように自分こ とを語る場を設けるなど 、新たな活動きっかけを作る必要が あると考えます。

    」 •地域包括支援センターがリーチすることが難しかった、20年間自宅に引きこもっていた方が参加 •介護保険サービスでは居場所が得られなかった(合わなかった)方の居心地のいい場となる •制度利用がなく生きづらさを抱えている高次脳機能障害のご本人、ご家族への支援を実施 (個別にご本人、ご家族の不安や悩みに寄り添った対応を実施) •配偶者に先立たれた方たちによるピアが生まれる(グリーフケア) •持っている資格やスキルを生かし、地域の課題を解決したいという方が生まれる(例:「防災 士の資格を活かして地域のために活動したい」「子どものための活動をしたい」「大牟田市をアピー ルする商品開発をしたい」などの自発的な言葉がある) •年齢が異なるが同じ大学やサークルに参加していた等「縁」のある人との出会いが生まれる (友人ができる) •前向きな動機をきっかけとして参加し、通所、ピア(グループ)、訪問、家族支援を、個別一 人ひとりの状況に合わせて柔軟に組み合わせて行う「多機能型サロン」とも言える相談支援拠点 の可能性を示唆 •自治体からの資金的な援助を得ることなく開催するモデルを構築(企業との協働) わくわく人生サロン 地域住民にとっての価値 高齢者にとって、自分の経験や興味を起点として地域に関わる機会や、支援されたり、高齢者的なテーマに区切られる ことのない居場所を持つことができ、同じ経験や悩みをもつ人と語らい、意欲が育っていく中で新たなことに取り組もうと する人が現れた
  35. Copyright 2024 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 知る意味のデザイン (サービスコンセプトの転換) UI 生活者 知る意味の体験デザイン UX

    「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 地域の調剤薬局 睡眠センサー・睡眠レポート 生活者 新規事業における体験デザイン UX 企業による新しい事業モデルの開発(2020~) ⚫ 企業としては、これまで開発してきたアルゴリズムをサービスに活かすための土台となる、「(自らのことを) 知る意味のデザイン」の知見を獲得することができた ⚫ この知見をもとに、地域のかかりつけ薬局が地域住民と対話的な関係性を構築し、自らのことを知る体験 (UX)を提供するサービスモデルを提供
  36. Copyright 2024 健康福祉総合計画(2020~2021) ⚫ 個別プロジェクトでの示唆を体感的に共有し、住民・企業・行政が社会システム全体をデザインし直すため、暮らしの総 合計画ともいうべき大牟田市健康福祉総合計画の策定を大牟田市と協働 ⚫ 縦割りの行政計画でなく、統合的に地域や生活を捉え直す構造とした計画として策定。あわせて、行政リソースや過去 の実績をベースとした「今できること」ではなく、協働が期待される余白を生み出すために「今方法は見出せてないが、取 り組むべきこと」を記載

    ✓ これまで別々に策定されていた、高齢、障害、健康増進、食育など9本の行政計画を、「地域共生社会 の実現」という共通のビジョンに向けて1つにまとめた。 ✓ 概要版については、通常、「計画のサマリー」にとどまりがちであったものを、「計画の理念を体感 してもらうもの」へと位置付けを変え、親しみやすいイラストを活用し、実際に大牟田で暮らしてい る人たちのエピソードを紹介する形とした。タイトルにつけた「うずうず」は、わくわく人生サロン の際に見出した「温まる」を言葉にしたものである。この考え方(感覚)を行政、市民と共有するこ とを試みている。あわせて、計画策定の大牟田市側の担当者と強く理念を共感できるようになり、そ れ以降計画推進全体のキーマンとなっている(現在、健康づくり課長)。
  37. Copyright 2024 地域包括支援センター受託(2021~) ⚫ より実践的に社会システムをデザインするため、地域に根ざす公益的な実践主体でもある地域包括支援センターを 2箇所受託。これにより、地域において発生するいわゆる「狭間の問題(システムエラー)」を受け止め、ネットワーク を通じて協働を引き出し、領域を超えて取り組むことができるようになった ◯手鎌地区地域包括支援センター(公民館内) ◯三川地区地域包括支援センター(公民館内) •地域包括支援センターとは

    地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の 向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とし、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関として市町村が設置 しています。 厚生労働省ウェブサイトより引用 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki- houkatsu/
  38. Copyright 2024 これまでの実践を踏まえた介護予防における理念・構造の転換 ⚫ 介護予防は本人視点では意識することができない概念であることを整理し、本人視点に立っ たBeing-well※(本人の力が発揮されている状態)に転換。そのうえで、関わる事業者・団 体についても、従来の医療・介護サービス事業者ではない新たな事業者・団体が担う方向 で、企業や地域と協働 要介護状態にならないように 予防する

    要介護状態 介護予防 介護が必要な状態になったことがない人にとっ て、それを予防するという意識を持つことがで きない Being-well※(本人の力が発揮されている状態) どのような状態でも、本人の存在が肯定され、 力が発揮されている状態を目指す ※Well-beingが「Well(良い状態)」を先に規定していることに対して、「Being(存在)」を肯 定した上で、多様な「Well(良い状態)」に開かれていることを目指す理念。造語。 高齢者等 • 医療・介護サービス事業者が担う • 制度の構造として、医療や介護が必要な 状態になったほうが収益が上がるため、 予防に対するインセンティブが働かない 要介護状態 高齢者等 一緒に力を引き出す(見出 す) ような関わり方 • 医療・介護サービス事業者ではない事業者・団体が担う (新たなビジネス領域の可能性) • 誰もが、どのような状態になっても、社会参加ができるよう参 加機会のユニバーサル化を図る
  39. Copyright 2024 変革を見据えた社会的価値の創造のために ①対話・共感 ②課題設定 ③アイデア創出 ④プロトタイピング ⑤テスト ⑥社会実装 地域と科学技術チームの双方の未来の価値に共感し、

    地域主体として実証実験をリードするチームが必要 目の前の問題と構造的問題のつながりを捉えた上で、 変革につながる課題設定が必要 地域の現在と未来にコミットして、セクターを超えた共 創をコーディネートする「リビングラボ」の主体 地域の構造や当事者の実感を掴みながら、地域としての 問いを⾒出して、課題設定を行う「リビングラボ」 ×
  40. Copyright 2024 変革を見据えた社会的価値の創造のために A.科学技術開発・サービス開発活動(社会的インパクトを志向するすべての組織) B.地域経営プラットフォームとしての中間支援的活動(大学などを含む公益的な組織など) 共創活動 総体的・連続的に 深める問い 主体的に 動き出せる土壌

    やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる A.科学技術開発・サービス開発活動 B.地域経営プラットフォームとしての中間支援的活動 ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回日本デザイン学会春季研究発表大会
  41. Copyright 2024 日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 日本において共創やリビングラボの実践がさらに活性化し、普及することを目指して、設立 (2023/11/1一般社団法人化)。多様なステークホルダーが立場を超えてフラットにつながり、実践知や課 題を共有し合うことで、さらなる実践や成果をもたらす場や機会をつくり出していきます。また、 関連団体と連携したリビングラボのポータルサイトでの情報発信や、支援サービスの提供も行って います。 リビングラボ運営者支援サービス 日本のリビングラボ実践者ネットワーク

    &実践知対話会 実践を支えるフレームワークの 研究開発 チーム組成& ビジョン形成 計画立案・ 共有 予算・ 契約 具体的な 共創 価値の 振返り・ 発信 国内実践者・研究者と共に、事例対話の分析を通じて 実践支援の核となるフレームワーク等を研究開発 25地域を超える実践者が集い、コアチームを組成し、 実践者による実践者のためのコミュニティを運営。 1000名を超えるリビングラボ関心層に発信可能なネットワーク (企業7割,自治体2割,研究者1割) 研究開発の知見を核に、 体系化されたリビングラボ運営者支援メニューを開発・提供
  42. Copyright 2024 日本リビングラボネットワークの当面のイベント 日本リビングラボネットワークでは、実践者同士がつながる機会、まなぶ機会、実践する機会を提供し ています。詳しくは、リビングラボ・ポータルサイトをご覧ください JNoLL リビングラボ・ポータルサイト (https://jnoll.org/) リビングラボ対話の場(オンライン) 日本のリビングラボの実践事例の話題提供とともに、リビング

    ラボについて対話する会 1/31(水)18:00-19:30 リビングラボ基礎セミナー(オンライン) 知識やマインドセットを知るリビングラボ概論と、簡易的ケー スメソッドを題材にしたリビングラボ演習ワークにより構成 2/6(火) 13:00~17:30 リビングラボ現地視察プログラム 全国各地の実践者の現場を訪問し、関係者とのミートアップや フィールドワークなどを行う会 2/16(金) 17:30-20:30 労働供給制約社会イベントDay1 2/17(土) 10:00-16:00 労働供給制約社会イベントDay2 2/18(日) 10:00-12:00 大牟田リビングラボ対話会