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20240202_東大リビングラボ研究交流会

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September 10, 2025

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  1. 1 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 2024/2/2 木村篤信

    リビングラボの動向と日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 2024年2月2日 2023年度第1回リビングラボ研究交流会「日本のリビングラボの新たな展開」
  2. 2 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 自己紹介 Profile

    地域創生Coデザイン研究所 ポリフォニックパートナー (企業) 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー (地域の中間支援組織) 日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 代表理事 (全国の地域団体の中間支援組織) 東京理科大学 客員准教授 (研究・教育機関) デザインイノベーションコンソーシアム フェロー (産学連携の研究・教育機関) 大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学を修了後、NTT研究所に入社。2016年よりリビングラボ・Coデザインの研究・実 践プロジェクトを立ち上げ、2021年にNTT西日本グループの地域創生Coデザイン研究所の設立に関与し、参画。博士(工 学)。主としてHCI、CSCW、UXデザイン、リビングラボの研究開発に従事。デザイン研究のチームを牽引し、企業内のUXデザ インプロジェクト、地域の社会課題に関するリビングラボプロジェクトを多数実践し、コンサルティングや教育活動も行っている。現 在は、大牟田市などの地域主体ともに、まちづくり、地域経営、サービスデザイン、社会システムデザインなどの文脈で新しいソー シャルデザインのあり方を探求中。著書に「2030年の情報通信技術生活者の未来像」(NTT出版|2015年)等。
  3. 3 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 研究テーマ 社会的インパクトを志向するリビングラボ方法論

    経産省「未来の教室」実証事業で リビングラボを活用したサービス開 発研修@大牟田リビングラボ DX・デザイン思考・地域創生関 係の講演・アドバイザー委嘱等 北欧・日本の実践家の経験から紡ぎだした 「リビングラボの手引き」 地域パートナーと連携したセクターを超えた 共創活動(リビングラボ)の社会実装 (福岡県大牟田市、奈良県奈良市、愛知県岡崎市、 奈良県生駒市、奈良県天川村等) ソーシャルデザインに取り組むガイドブック 国立国会図書館調査資料 2020-6 セクターを超えた共創活動(リビングラボ) の研究と実践者団体運営 リビングラボ国際会議での Top Selected Paper受賞 デザイン学会にてリビングラボに 関わるオーガナイズドセッション
  4. 4 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 福祉政策起点で新しい人間観にもとづく まちづくり(パーソンセンタードシティ)を

    目指す(福岡県大牟田市) 産業政策起点で日本的サスティナビリティに もとづく持続可能な地域や社会が うまれるまちを目指す(奈良県奈良市) 地域住民 自治体 企業 地域のソーシャル ワーカー等 大牟田 リビングラボ 真に解くべき課題を 探索・設定できる主体 ・奈良市在住の就業者の 約50% が市外で勤務 ・ベッドタウンとしての魅力+働く人の創造性を引き出す 文化財や自然が豊富にある特性を生かした多様な ワークプレイス(サテライトオフィス)がある地域をめざす ・子育て世代の支援 抜本的な公共私連携による解決策の創出 ・高齢化率(65歳以上人口) 36.8% ※全国高齢化率 28.6% ・10万人以上の都市では全国で2番目に高い 高齢化率※ ・日本の中でも20年先をいく超高齢社会モデル都市 (一般社団法人) (一般社団法人) 地域住民 自治体 企業 奈良 リビングラボ 真に解くべき課題を 探索・設定できる主体 これまで取り組んできたリビングラボ モデル地域(大牟田、奈良)において、ソリューションではなく地域の構造的問題を捉えた社会システム(サービス・政 策・コミュニティ活動)を①提案・実装する中で、持続可能な社会システムの②知見を体系化し、③展開する。
  5. 5 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 個別のNPO活動や企業サービス、行政 施策など「現場の責任を重視した解決策」で

    バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向し、共創することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる + 個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換を志向 社会的インパクトを生み出すために 2022/3/14 第4回全国リビングラボ ネットワーク会議 趣旨説明資料
  6. 6 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 大牟田未来共創センター(ポニポニ)の設立(2019) ⚫

    「認知症」や「高齢者」などの福祉に閉じた課題設定や取り組みでは、地域においてさまざまな領域で生み出される社会 課題や地域創生を視野に入れたアプローチが難しい状況であった ⚫ 認知症ケアで見出されたコンセプトを深め、セクターや領域における縦割りを横断し、既存の社会システムから“独立しな がら埋め込まれる主体”として官民協働で大牟田未来共創センターを設立した(2019年4月) 大牟田未来共創センター 大牟田市 地域資源 地域・住民 縦割りの打破(調整) 政策展開支援 ビジョンの共有 共創 共創 地域資源の価値を再構築 地域・住民との協働 福 祉 教 育 産 業 地域内のアクター (市民団体、 地場企業など) 地域外のアクター (国内外企業、 研究機関等) ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 国 予 算 制 度 事 業 基礎 自治 体 予 算 制 度 事 業 地域 実 践 取 組 対 象 多世代・横断 政策的統合 大牟田未来共創センター 統合的 アプローチ 計画 統合的実践 支 援 支 援 モデル提案 従業員数:20名 事業規模:1億円 <主な協働先> •医療法人・社会福祉法人 •地域包括支援センターの運営(2箇所)を通じ て形成しているネットワーク:専門職・地域コミュニ ティ、地域住民等 <主な協働先> •大牟田市(行政):福祉課、健康づくり課、建築住 宅課、産業振興課、総合政策課、生涯学習課、地域コ ミュニティ推進課等 •大牟田商工会議所 •有明工業高等専門学校(有明高専) •市内の事業者(経営者・経営陣) 等 他多数(別紙) <主な協働先> •NTTグループ各社:NTT研究所、NTT西日本、地 域創生Coデザイン研究所、NTTデータ、SMBC等 •研究機関 ・東京大学先端科学技術研究センター、医療経済研 究機構等 •各分野の有識者:多数(別紙)
  7. 7 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs パーソンセンタードシティのコンセプト: どのような状態でも本人の存在が肯定され力が発揮されるまち

    コミュニティケア的視点 その人らしく生きることに向き合う 産業・テクノロジー的視点 その人と支える人を影ながら支える 社会疫学的視点 その人らしく生きやすい環境を作る 支援者 (専門職等) 参加コミュニティ 未参加コミュニティ 友人 家族 近所住民 同僚 モバイル 戸建住宅 集合住宅 都市 支援者+モバイル ナラティブ DB 社会資源 DB 生活者課題 DB 疫学知見 DB テク ノロジー DB 設計 ガイドライン DB マクロ ミクロ 暮らし 技術 社会課題 DB 保険業 金融業 医療介護 保育教育 サービス業 宿泊業 交通 物流 建築 通信 対話を通じて市民の主体性があたたまる 「わくわく人生サロン」 その人らしく住みこなすプロセスとスマートシティ設計指針の研究開発 「大牟田市営住宅モデルルームPJ」 高齢者の主体性を引き出すデジタル体験 「VRを活用した未来の福祉プロジェクト」 ×東大等 誰もが持てる力を生かし、参加できる社会を理 念とした「暮らしの総合計画」(健康福祉総 合計画)
  8. 8 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs ビジョン :人々が主体的に共創できる社会へ

    ミッション:生活者とその暮らしの目線に立ち、生活者やパートナーが 主体性を発揮できる対話的関係・環境を重視し、 ともに持続可能な社会づくりに向けた価値を探索し生み出しつづける 人々が 主体的に共創できる社会 ②地域の人々とともに 社会課題を解決する事業創出 ①本質的なサービス・政策創出の基盤となる 新しい地域の仕組み(社会システム)の構築 地域の内部に入り込み、 中立的・統合的な立場でビジョン策定 地域経営(政策×ビジネス)のアプローチで 課題探索・解決を主体的に実施 真の暮らしの価値の理解 ビジネス価値追求 ねらい・ゴール 地域のビタミン 地域の体質改善 (=新しい社会システム探索) ③社会課題解決サービス・ 地域経営を変革するPF等の デジタルツールの構築 地域創生Coデザイン研究所のビジョン・ミッション Coデザのミッション
  9. 9 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 【宮崎県】 森林・林業DXによる自然資本

    循環型の地域活性化 【福岡県大牟田市】 超高齢社会の人の暮らしを中心とした 地域創生モデルの実現 9 【愛媛県西条市】 自助・共助を育む 協働と共創のまちづくり 【大分県】 地域共同雇用による 障がい者の就労モデルの確立 【福井県坂井市】 地域資源をいかした観光まちづくり 全30府県で展開する地域創生プロジェクト(2019年9月~) 【奈良県生駒市】 市民力を高めるスマートシティの実現 【愛知県岡崎市】 ごちゃまぜ地域拠点を軸にした市 民の主体的な地域づくり
  10. 10 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボの年表と分布 2005.03

    仙台フィンランド健康福祉センター 2006.09 Lions Living Labo 2010.01-2014.03 湘南リビングラボ 2010.11 経産省 情報政策課 リビングラボ紹介 「情報政策の要諦ー新成長戦略におけるIT・エレクトロニクス政策の方向性」 2011.10 みんなの使いやすさラボ(みんラボ) 2012.03 BABAラボ 2012.08 富士通総研 リビングラボ研究レポート 2012.10 おたがいさまコミュニティ 2013.02 Living Lab Tokyo 2013.07 Virtual Living Lab 2014.12 松本ヘルスラボ 2015.01 三浦リビングラボラトリー 2015.04 子育てママリビングラボ 2015.09 Cyber Living Lab 2016.01 八千代リビングラボ 2016.06 みなまきラボ 2016.07 産総研スマートリビングラボ 2016.07 東急WISE Living Lab 2016.11 鎌倉リビング・ラボ ほか5件 2017.01 井土ヶ谷アーバンデザインセンター(井土ヶ谷リビングラボ) 2017.05 ともに育むサービスラボ(はぐラボ) 2017.06 福岡ヘルス・ラボ 2017.09 経産省 ヴィンテージ・ソサエティ構築実証事業(リビングラボ4 件) 2017.09 神奈川ME-BYOリビングラボ 2017.10 高石・僥倖リビング・ラボ 2017.12 ドリームハイツ ヘルスケア リビングラボ(とつかリビングラボ) ほか9件 2018.02 大牟田リビングラボ 2018.03 横浜リビングラボ創生会議 2018.04 第一回リビングラボネットワーク会議 2018.04 こまつしまリビングラボ 2018.07 経産省 「未来の教室」実証事業(大牟田リビングラボ含む4件) 2018.10 サイクル・リビングラボ 2018.11 地域共創リビングラボ ほか10件 2019.02 Well Being リビングラボ 2019.03 第二回リビングラボネットワーク会議 2019.10 岡山リビングラボ ほか3件 2020.07 関内リビングラボ 2020.08 厚労省 「介護ロボットの開発実証普及のプラットフォーム事業」 (リビングラボ6件) 2020.03 経産省 リビングラボにおける革新的な社会課題解決サービスの 創出に係る調査 2020.10 おやまちリビングラボ 2020.11 奈良リビングラボ ほか8件 凡例) オレンジ色:日本全体の動き 黒色:他の日本での取り組み ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、 (調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ ( 2023/04 時点 ) 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづくり スタジオ ふじみ野LL
  11. 11 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 日本において共創やリビングラボの実践がさらに活性化し、普及することを目指して、設立(2023/11/1一般社団法人化)。

    多様なステークホルダーが立場を超えてフラットにつながり、実践知や課題を共有し合うことで、さらなる実践や成果 をもたらす場や機会をつくり出していきます。また、関連団体と連携したリビングラボのポータルサイトでの情報発信や、 支援サービスの提供も行っています。 リビングラボ運営者支援サービス 日本のリビングラボ実践者ネットワーク &実践知対話会 実践を支えるフレームワークの 研究開発 チーム組成& ビジョン形成 計画立案・ 共有 予算・ 契約 具体的な 共創 価値の 振返り・ 発信 国内実践者・研究者と共に、事例対話の分析を通じて 実践支援の核となるフレームワーク等を研究開発 25地域を超える実践者が集い、コアチームを組成し、 実践者による実践者のためのコミュニティを運営。 1000名を超えるリビングラボ関心層に発信可能なネットワーク (企業7割,自治体2割,研究者1割) 研究開発の知見を核に、 体系化されたリビングラボ運営者支援メニューを開発・提供
  12. 12 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs アジェンダ •世界のリビングラボの系譜と動向

    •日本のリビングラボの動向 •日本リビングラボネットワーク団体紹介
  13. 14 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs リビングラボとは『セクターを超えた共創活動』 Steen,

    K. & Bueren, E. (2017). The Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本 における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model
  14. 15 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs リビングラボの3つの系譜 系譜1:現場で学びを得る科学へ

    系譜2:みんなに開いてつくる文化へ 系譜3:使うものを自らつくる権利へ
  15. 16 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 系譜1:シチズンサイエンス(現場で学びを得る科学へ) 実験科学[Lewin,1946;Kawakita,1967;Neisser,1978]や市

    民科学[Short,1992;Wood,1993]の分野では、限定的な環境で の試行実験の限界に対して、アクションリサーチ、野外科学、PBLなど の実環境での実践や検証が重要視された。リビングラボの概念の提 唱者として知られるWilliam J. Mitchellは建築分野でこの取り組み を行った人物である[Mulvenna;2011]。 特徴 • 実環境下(real-life setting) • 生徒の巻き込み(student involvement) • エンパワーメント(empowerment) ※川喜田(1967)発想法―創造性開発のために, 中央公論社. 1990年代から実験科学・市民科学の分野でLiving Labと名前の付い た活動が行われている • “The Living Lab is a pilot program teaching estuarine issues to junior and senior high school students.” (Short, 1992) • “The program has a room in the residence quarters of the YMCA called the ‘’Living Lab.” This laboratory is an opportunity for a youth to gain practical experience living on his or her own while receiving support from staff, DYFS and other agencies.” (State of New Jersey, 1993) • “From using the environment as a living lab to enhance your science and math studies to using it to help inspire your students to create poetry, there are many innovative ways to promote outdoor experiences with your students.” (Wood et. al., 1993)
  16. 17 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 系譜2:オープンイノベーション(みんなに開いてつくる文化へ) 1980年代にパーソナルコンピューターが普及したとき、人としての使いやすさに焦点を当てた

    ユーザ中心設計Norman(1986)が提唱された。これは限定的な関係者による設計の 限界に対して、実際のユーザの巻き込むアプローチであり、その後サービスデザイン [Stickdorn;2012]などに拡張されていった。また、企業イノベーションにおけるオープンイノ ベーション[Chesbrough;2003]や行政運営における市民参加の梯子[Arnstein;1969] など、さまざまなセクターのモノづくり(コトづくり)においても、関係者に開いてつくる文化(デ ザインの民主化)へのシフトが志向されている。 特徴 • ユーザの巻き込み(user involvement) • 共創(co-creation) • 価値協創(joint-value) • ガバナンス(governance) ※D.A. Norman, (1990)誰のためのデザイン?,新曜社. Human Computer Intaraciton(HCI)の分野では、ジョージア工科大学の Aware Home Projectが1999年にLiving Laboratoryという概念を取り上げ て研究を行った(Cory et al.1999) 欧州委員会は2013年のダブリン宣言で、オープンイノベーション2.0をオープンイノ ベーションの新たなパラダイムとして考え、欧州全体で推進していくこと ・ 世界に発信し ていくことが決議され、「Open Innovation 2.0 Yearbook」では、Living Lab が多く取り上げられている
  17. 18 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 系譜3:参加型デザイン(使うものを自らつくる権利へ) 北欧リビングラボの源流と言われる参加型デザイン[Nygaard,1975]は、社会

    民主主義的な理念を持ち、生活者やユーザの権利として、自らが身の回りにあ る組織構造やプロセス(社会技術システム:Socio-technical system[Trist,1951])に対して主体的に関わっていくことが基本的な考え 方となっている。形を持つ製品から、形を持たないサービス、さらには組織や社会 についてまで、それを設計・運用することに主体的に関わる活動が展開されてきた。 特徴 • エンパワーメント(empowerment) • 自発性(Spontaneity) • ガバナンス(governance) • ラピッドプロトタイピングと評価(rapid prototyping & testing ) ※S. Bodker et al. (2021) Participatory Design, Springer. 職場の生産性を高めるために技術システムを導入したい経営者と、自分たちの 労働の現場に技術システムを入れることに不満を持つ労働者との対立に対して、 第3の道として、民主主義的な方法で問題解決を図ったのが参加型デザイン ノルウェー鉄・金属労組の技術プロジェクト(1970年~) スウェーデンのDEMOSプロジェクト(1975~1979年) デンマークのプロジェクトDUE(1977~1980年)など
  18. 19 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 世界のリビングラボの分布(ENoLL登録済みリビングラボ 440+,

    ENoLL, 2023) ※ENoLLとは 欧州で2006年に立ち上がったリビングラボの 国際的ネットワーク。欧州委員会の資金提 供プロジェクトを活用しながら、EUの政策提 言や、リビングラボの推進に取り組んでいる。 出典:https://enoll.org/
  19. 20 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs リビングラボで扱われる様々なテーマ building

    mobility dormitory & office gastronom y water children agriculture smart city handicap
  20. 22 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 欧州のリビングラボ動向(1) ECや欧州の巨大研究資金Horizon

    Europeなど、政策と密接に関わっている • Horizon Europe の要件にリビングラボアプローチが前提になっているものがある もはやリビングラボという名称を使わずとも、Public-Private-People Partnershipのアプローチを実践している活動が多い • 参加型デザインの巨匠Pelle Ehnが指摘した「ソーシャル・イノベーション」に適したインフラを継続的 に調整していくこと(Infrastructuring)」が体現されている 市民の暮らしと繋がっているローカルエコシステム、市民の価値を持続可能な形で 実現するビジネスエコシステムとして構築されている • クライアントの7割が企業、売上4億(うち補助金5000万) (imec living labs) • Living Lab is Risk-free research and innovation arena (HSB Living Lab) 22 Erling, Pelle & Per-Anders(2010)Participatory design and "democratizing innovation".
  21. 23 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 欧州のリビングラボ動向(2) ・2023年のリビングラボ国際会議のテーマはCity

    「The city as a Lab, but now for real」 街や自治体政策を主題にしたセッション 基調講演はニューヨーク市の政策関係者 ・ Urban Living Lab 2012 年から 2020 年の学術論文間の関係性を分 析した結果、Urban Living Labが一つの大きな研 究クラスターに ・トピックの変遷 1991年から2021年の学術論文のトピックの結果、 この10年間で情報技術から多様な分野に広がり、サ ステナビリティ、スマートシティ、高齢化が主流に Huang, J. Hong, & Thomas, E. (2021) A Review of Living Lab Research and Methods for User Involvement. Technology Innovation Management Review, 11(9/10): 88-107.
  22. 24 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 欧州のリビングラボ動向(3) 行政・企業の既存のサービス改善だけでなく、

    “Transitionに資するCo-Creation”への変化 (新しいテクノロジーの理解醸成、文化の創造の場) ENoLL 15 years – An outlook on the past and the future of Living Labs, OLLD2022, 2022/9/20-23 Tuija Hirvikoski氏 「(リビングラボは)社会的な問題や厄介な問題(wicked problems)に共同して取 り組むためのツールであり、(今の時代は)もはや漸進的なイノベーションをテスト するためのテストベッドではありません」 Jarmo Eskelinen氏 「第一の領域がUser Driven。これはサービスデザインなどの普及によりデファク ト化した。第二の領域がData Driven。リアルタイムにユーザの行動に反応して 微調整することで、産業界に効率的なUser Centricな方法をもたらした。当初は リビングラボに関係すると思っていたこれら2つの領域が、そうではなくなってきて いる。 一方で、User DrivenやData Drivenでは対応できないのが、気候変動、不平 等、世界の民主化、健康と福祉などの厄介な問題(wicked problems)であり、そ のために必要な第三の領域が、行動を変え、文化を変え、生き方を変えること。 この領域にこそ、一方的に作用するのではなく一緒に変えていくCo-Creationが 有効だと信じている。」 3rd domain Cultural/behavioral change 2nd domain Data driven & real time feedback 1st domain User driven as de-facto way
  23. 25 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 個別のNPO活動や企業サービス、行政 施策など「現場の責任を重視した解決策」で

    バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向し、共創することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる + 個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換を志向 欧州のリビングラボ動向 2022/3/14 第4回全国リビングラボ ネットワーク会議 趣旨説明資料
  24. 27 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボの年表と分布 2005.03

    仙台フィンランド健康福祉センター 2006.09 Lions Living Labo 2010.01-2014.03 湘南リビングラボ 2010.11 経産省 情報政策課 リビングラボ紹介 「情報政策の要諦ー新成長戦略におけるIT・エレクトロニクス政策の方向性」 2011.10 みんなの使いやすさラボ(みんラボ) 2012.03 BABAラボ 2012.08 富士通総研 リビングラボ研究レポート 2012.10 おたがいさまコミュニティ 2013.02 Living Lab Tokyo 2013.07 Virtual Living Lab 2014.12 松本ヘルスラボ 2015.01 三浦リビングラボラトリー 2015.04 子育てママリビングラボ 2015.09 Cyber Living Lab 2016.01 八千代リビングラボ 2016.06 みなまきラボ 2016.07 産総研スマートリビングラボ 2016.07 東急WISE Living Lab 2016.11 鎌倉リビング・ラボ ほか5件 2017.01 井土ヶ谷アーバンデザインセンター(井土ヶ谷リビングラボ) 2017.05 ともに育むサービスラボ(はぐラボ) 2017.06 福岡ヘルス・ラボ 2017.09 経産省 ヴィンテージ・ソサエティ構築実証事業(リビングラボ4 件) 2017.09 神奈川ME-BYOリビングラボ 2017.10 高石・僥倖リビング・ラボ 2017.12 ドリームハイツ ヘルスケア リビングラボ(とつかリビングラボ) ほか9件 2018.02 大牟田リビングラボ 2018.03 横浜リビングラボ創生会議 2018.04 第一回リビングラボネットワーク会議 2018.04 こまつしまリビングラボ 2018.07 経産省 「未来の教室」実証事業(大牟田リビングラボ含む4件) 2018.10 サイクル・リビングラボ 2018.11 地域共創リビングラボ ほか10件 2019.02 Well Being リビングラボ 2019.03 第二回リビングラボネットワーク会議 2019.10 岡山リビングラボ ほか3件 2020.07 関内リビングラボ 2020.08 厚労省 「介護ロボットの開発実証普及のプラットフォーム事業」 (リビングラボ6件) 2020.03 経産省 リビングラボにおける革新的な社会課題解決サービスの 創出に係る調査 2020.10 おやまちリビングラボ 2020.11 奈良リビングラボ ほか8件 凡例) オレンジ色:日本全体の動き 黒色:他の日本での取り組み ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、 (調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ ( 2023/04 時点 ) 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづくり スタジオ ふじみ野LL
  25. 28 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 大学主催から民間主催へ 2018年に高齢社会の研究プロジェクトにおいて産官学民協働の実践としてリビングラボが活用され、その研究

    活動の一環として、第一回リビングラボネットワーク会議が企画・開催。 第3回までは高齢社会の研究プロジェクトを牽引していた東京大学(未来社会共創センター)が主催で行っ てきたが、リビングラボの広がりともに、実践者による主体的な運営にシフトし、第4回は大牟田、第5回は横浜 が主催。 第1回(2018) 第2回(2019) 第3回(2021) 第4回(2022) 第5回(2023)
  26. 29 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 第1回リビングラボネットワーク会議 ▪テーマ:

    「持続可能なリビングラボの発展に向けて~共創の仕組みを考える」 ▪日時 :平成30 年4 月6 日(金) 13 時~17 時 ▪場所 :JST 別館ホール ▪プログラム 第1部 講演・報告 ・招待講演「世界に拡がるリビングラボの動向」Anna Kivilehto : EU Research Advisor, KTH Royal Institute of Technology in Stockholm, Linnaeus University in Växjö Sweden ・招待報告「スウェーデンにおけるリビングラボの活動実態と展望」 Mathilda Tham : Professor, Department of Design, Linnaeus University, Sweden ・報告 「ビンテージソサエティ構築に向けて」浅野大介氏(経済産業 省) ・課題提起「日本におけるリビングラボの動向と課題」秋山弘子氏(東 京大学) 第2部 パネルディスカッション ・「持続可能なリビングラボの発展」について、企業も交えて議論
  27. 30 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 第2回全国リビングラボ・ネットワーク会議 ▪テーマ:

    「日本版リビングラボの確立へ向けて~リビングラボの質を高めるには~」 ▪日時:2019年3月15日(金)14:00-17:00 ▪場所:KOTOWA鎌倉 鶴ケ丘会館 ▪プログラム 第1部 招待講演 面白法人カヤック CEO柳澤 大輔 氏 第2部 世界のリビングラボ事例紹介 NPO法人ミラツク 森 雅貴 氏 鎌倉リビングラボ報告 高齢社会共創センター 秋山弘子 特任教授 「鎌倉リビングラボから見えてきたリビングラボの構成要件と課題提起」 パネルディスカッション 「日本版リビングラボの確立へ向けて~リビングラボの質を高めるには~」 モデレーター:秋山 弘子 特任教授 パネリスト: WISEリビングラボ 東急電鉄 泉 亜紀子 氏 大牟田リビングラボ NTTエボリューション研究所 木村 篤信 主任研究員 こまつしまリビングラボ 徳島大学 吉田 敦也 教授
  28. 31 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 第3回全国リビングラボネットワーク会議 ▪日時:2021年3月24日(水)

    15:00~17:30 ▪開催方法:オンライン開催 ▪プログラム 1.基調講演 第一部 「リビングラボの可能性を広げるためにできること」 NTTサービスエボリューション研究所 主任研究員 木村篤信氏 第二部 「可能性を広げる奈良リビングラボでの実践」 奈良市 産業政策課 課長補佐 柏木徹也氏 一般社団法人TOMOSU 理事 原口悠氏 2.事例紹介 ・東大和ライフスタイルラボ ・小城市リビングラボプロジェクト ・日野リビングラボ ・つくば・みんなの使いやすさラボ(みんラボ) ・塩尻市の共創事業の展開-シビック・イノベーション拠点スナバ ・日立製作所の市民・地域協創活動 3.パネルディスカッション「日本の文化・社会システムでリビングラボが機能するために」 【モデレーター】 秋山弘子(東京大学名誉教授/未来社会共創センター長寿社会事業部門長) 【パネリスト】 木村篤信氏(NTTサービスエボリューション研究所 主任研究員) 沖田京子氏(株式会社日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ 日立京大ラボ兼日立北大ラボ 担当部長) 山田崇氏(長野県 塩尻市役所 地方創生推進課 地方創生推進係長(シティプロモーション担当))
  29. 32 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 第4回全国リビングラボネットワーク会議 ▪テーマ:社会変革を実現するリビングラボ

    ▪日時:2022年3月14日(月) 15:00~17:30 ▪開催方法:オンライン開催 ▪プログラム ▼第一部 基調講演 公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会、一般社団法人 Studio Policy Design 羽端大氏 「未来の社会デザインに向けた日本の共創アプローチ」 ▼第二部 対話セッション ・テーマ1「事業やサービスを通じて社会変革を実現するために」 Jessie Jeongju Seo氏(Eisai Korea Inc.)ショートトーク 水野恵理子氏(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)ショートトーク 対話セッション モデレータ 木村篤信氏(株式会社 地域創生Coデザイン研究所) ・テーマ2「社会変革を実現する地域と企業の協働のあり方」 原口悠氏(一般社団法人 大牟田未来共創センター)ショートトーク 今林知柔氏(Co Studio株式会社)ショートトーク 松浦克太氏(株式会社 地域創生Coデザイン研究所)ショートトーク 対話セッション モデレータ 原口悠氏(一般社団法人 大牟田未来共創センター)
  30. 33 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 第5回全国リビングラボネットワーク会議 ▪テーマ:マルチステークホルダーが主体的に関われるリビングラボを目指して

    ▪日時:2023年11月11日~14日 ▪場所:横浜市役所アトリウムなど ▪プログラム(4日間で14プログラム+2連携企画) プレイベント:リビングラボ基礎セミナー DAY1: 〇基調講演 ウェルビーイングな社会に向けたこれからの共創 〇横浜版地域循環型経済が目指す全ての市民のウェルビーイング 〇リビングラボで地方と大都市が結びつく~公民連携でつくる地域循環型共 生園 〇リビングラボを通じて考えるウェルビーイング経営 DAY2: 〇住生活・ライフスタイルを豊かにするリビングラボ 〇デジタルツールを活用したこれからの参加型まちづくり/ひとづくり 〇リビングラボWS:ガイドブックをみんなで知ろう、考えよう!vol.1 〇基調講演:テクノロジーや政策の効果的な社会実装に向けて ~日韓のリビングラボは研究開発にどのようなインパクトを生み出すのか~ 視察プログラム: SDGs横浜金澤リビングラボ・磯子リビングラボ すすき野団地リビングラボ ひとりでも住み続けられる横浜リビングラボ 神奈川大学サッカー部竹山団地プロジェクト
  31. 34 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボ動向 ①テーマの多様化

    リビングラボの増加に伴い、ヘルス系・テック系が多かった活動が、子育て、障がい、学びの機会(図書館、キャリア)、防災、 まちづくり・スマートシティ、サスティナビリティなど、多様な分野に拡大している (日本リビングラボネットワーク 実践事例部会2023/04調査より) ②ユーザ参加の難しさ 欧州のリビングラボ実践から抽出された学術的理論を輸入してきた背景があり、その基盤となっている社会システム(教 育・社会参加・民主主義等)の違いに注目した実践が広まっていない ③セクターを超えた共創の必要性の高まり SDGs等の影響により、地域でもビジネス環境においても、セクターを超えた共創が必要な状況が増え、リビングラボの利用 者だけでなく、実践者が増えてきた
  32. 35 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs ①テーマの多様化: リビングラボの活用分野の推移

    リビングラボの増加に伴い、ヘルス系・テック系が多かった活動が、子育て、障がい、学び の機会(図書館、キャリア)、防災、まちづくり・スマートシティ、サスティナビリティなど、多 様な分野に拡大している (日本リビングラボネットワーク 実践事例部会2023/04調査より)
  33. 36 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs ②ユーザ参加の難しさ リビングラボ構造モデル(デンマークと日本の構造的差異)

    「リビングラボを、ワークショップや共創プロジェクトなどの実践の場で起きる現象だけを見て 理解する視点では、欧州と日本のリビングラボの構造的な差異を捉えることができない」 ①実践の場 ②人々の特性 (マインドセット) ③社会システム 相互作用 特定の特性を 持った人が参加 ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査 資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 2021/3/24 第3回全国リビングラボ ネットワーク会議 基調講演資料
  34. 37 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs ②ユーザ参加の難しさ リビングラボ構造モデル(デンマークと日本の構造的差異)

    ①実践の場 ②人々の特性 (マインドセット) ③社会システム Forening Flexicurity Hojskole 主体性 冒険性 対等性 ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査 資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 2021/3/24 第3回全国リビングラボ ネットワーク会議 基調講演資料 「リビングラボを、ワークショップや共創プロジェクトなどの実践の場で起きる現象だけを見て 理解する視点では、欧州と日本のリビングラボの構造的な差異を捉えることができない」
  35. 38 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs ②ユーザ参加の難しさ ホフステッド指数からみる国民性の違い

    https://halkingblog.com/hofstedes-cultural-dimensions/ 対等性 対等でない 冒険性 冒険しづらい 主体性 主体性が低い 2021/3/24 第3回全国リビングラボ ネットワーク会議 基調講演資料
  36. 39 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs ②ユーザ参加の難しさ リビングラボの構造的差異を意識的に埋める仕組みの必要性

    ②人々の特性と③社会システムを直接的に操作できない地域の現場において、意識的にその差異を埋める仕組みが、日本のリビングラボに有効 ①実践の場 ②人々の特性 (マインドセット) ③社会システム 相互作用 特定の特性を 持った人が参加 ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査 資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 2021/3/24 第3回全国リビングラボ ネットワーク会議 基調講演資料
  37. 40 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 成果・報告・形式知の領域 ②ユーザ参加の難しさ

    活動が持続的に立ち上がっていく3つの仕組み 2021/3/24 第3回全国リビングラボ ネットワーク会議 基調講演資料 共創活動 総体的・連続的に 深める問い 主体的に 動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる
  38. 41 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs ③セクターを超えた共創の必要性の高まり 地域経営(地方自治体)の変化

    地方自治体の運営は限界を迎える。持続可能な形で住民サービスを提供し続けるために、ICT活用による「スマート自治 体への転換」と、公共私(自治体・コミュニティ・民間企業等)の連携による自治体の「プラットフォーム・ビルダー化」が必 須 ※自治体戦略2040構想(総務省、2018) スマート自治体への転換 • 新たな自治体や国の施策(アプリケーション)の機能が最大限発揮でき るような自治体行政(OS)の大胆な書き換えが必要 • 破壊的技術(AI・ロボティクス等)を使いこなす自治体へ 公共私によるくらしの維持 (自治体のプラットフォームビルダー化) • 自治体は新しい公共私相互間の協力関係を構築する「プラットフォーム・ビ ルダー化」が必要:公 • くらしを支えるための地域を基盤とした新たな法人が必要:共 • 全国一律の規制見直し、シェアリングエコノミー等の環境整備の必要性:私 減少する地方公務員 ひっ迫する財政 増加するインフラ更新費用
  39. 42 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs ③セクターを超えた共創の必要性の高まり ビジネス環境の変化

    企業がSDGs等の社会的価値のある事業創出に取り組むことが社会の要請になっており、持続可能な形で企業が存続 するためには、「社会的価値を重視した事業創出・運営」や、サービスの「提供者・利用者の構造転換」が必須 社会的価値を重視した事業創出・運営 機能や消費体験だけでなく、AI、ロボット、社会システムがどのような社会的 価値を生み出すのか注目され、人のあり方・暮らしのあり方を問い直すことが ビジネスの土台として求められている 提供者・利用者の構造転換 不確実性が高く、複雑な状況下では、一方通行ではない柔軟なサービス設計、 開発、運用のあり方が適しており、さらには学習する組織文化・共感者を増や すブランディングが効果的 持続可能な開発目標 倫理的なテクノロジーの原則 (日本の人間中心の AI 社会原則、GoogleのAI原則等) シェアリングエコノミー
  40. 44 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボの年表と分布 2005.03

    仙台フィンランド健康福祉センター 2006.09 Lions Living Labo 2010.01-2014.03 湘南リビングラボ 2010.11 経産省 情報政策課 リビングラボ紹介 「情報政策の要諦ー新成長戦略におけるIT・エレクトロニクス政策の方向性」 2011.10 みんなの使いやすさラボ(みんラボ) 2012.03 BABAラボ 2012.08 富士通総研 リビングラボ研究レポート 2012.10 おたがいさまコミュニティ 2013.02 Living Lab Tokyo 2013.07 Virtual Living Lab 2014.12 松本ヘルスラボ 2015.01 三浦リビングラボラトリー 2015.04 子育てママリビングラボ 2015.09 Cyber Living Lab 2016.01 八千代リビングラボ 2016.06 みなまきラボ 2016.07 産総研スマートリビングラボ 2016.07 東急WISE Living Lab 2016.11 鎌倉リビング・ラボ ほか5件 2017.01 井土ヶ谷アーバンデザインセンター(井土ヶ谷リビングラボ) 2017.05 ともに育むサービスラボ(はぐラボ) 2017.06 福岡ヘルス・ラボ 2017.09 経産省 ヴィンテージ・ソサエティ構築実証事業(リビングラボ4 件) 2017.09 神奈川ME-BYOリビングラボ 2017.10 高石・僥倖リビング・ラボ 2017.12 ドリームハイツ ヘルスケア リビングラボ(とつかリビングラボ) ほか9件 2018.02 大牟田リビングラボ 2018.03 横浜リビングラボ創生会議 2018.04 第一回リビングラボネットワーク会議 2018.04 こまつしまリビングラボ 2018.07 経産省 「未来の教室」実証事業(大牟田リビングラボ含む4件) 2018.10 サイクル・リビングラボ 2018.11 地域共創リビングラボ ほか10件 2019.02 Well Being リビングラボ 2019.03 第二回リビングラボネットワーク会議 2019.10 岡山リビングラボ ほか3件 2020.07 関内リビングラボ 2020.08 厚労省 「介護ロボットの開発実証普及のプラットフォーム事業」 (リビングラボ6件) 2020.03 経産省 リビングラボにおける革新的な社会課題解決サービスの 創出に係る調査 2020.10 おやまちリビングラボ 2020.11 奈良リビングラボ ほか8件 凡例) オレンジ色:日本全体の動き 黒色:他の日本での取り組み ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、 (調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ ( 2023/04 時点 ) 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづくり スタジオ ふじみ野LL
  41. 45 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 日本において共創やリビングラボの実践がさらに活性化し、普及することを目指して、設立(2023/11/1一般社団法人

    化)。多様なステークホルダーが立場を超えてフラットにつながり、実践知や課題を共有し合うことで、さらなる実践や 成果をもたらす場や機会をつくり出していきます。また、関連団体と連携したリビングラボのポータルサイトでの情報 発信や、支援サービスの提供も行っています。 リビングラボ運営者支援サービス 日本のリビングラボ実践者ネットワーク &実践知対話会 実践を支えるフレームワークの 研究開発 チーム組成& ビジョン形成 計画立案・ 共有 予算・ 契約 具体的な 共創 価値の 振返り・ 発信 国内実践者・研究者と共に、事例対話の分析を通じて 実践支援の核となるフレームワーク等を研究開発 25地域を超える実践者が集い、コアチームを組成し、 実践者による実践者のためのコミュニティを運営。 1000名を超えるリビングラボ関心層に発信可能なネットワーク (企業7割,自治体2割,研究者1割) 研究開発の知見を核に、 体系化されたリビングラボ運営者支援メニューを開発・提供
  42. 46 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 目的・事業(定款より) 当法人は、リビングラボ、産官学民連携などの、セクターを超えた共創活動の機運を醸成し、活動をリード

    する人材の育成や知見の共有を通じて、社会や地域の問題を乗り越える人や組織を支援することを目的と し、その目的に資するため、次の事業を行う。 1.リビングラボ・共創に関する調査研究事業・普及事業 2.オンライン・対面集会でのネットワーキングの場の提供 3.知見、事例の紹介等を提供する情報ポータルサイトの運営 4.人材育成プログラムの企画、実施及び情報提供 5.会議、研修会の企画及び運営 6.リビングラボの組成・戦略立案等のコンサルティングサービス 7.セミナー・シンポジウム等周知啓発イベントの企画、運営及び支援 8.書籍等出版物の企画、発行及び販売 9.その他当法人の目的を達成するため必要な事業及び前各号に附帯関連する一切の事業
  43. 47 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 体制 顧問

    • 秋山弘子(鎌倉LL) • ピーター・ユリウス(LL Vestimmerland) • 中村正敏 パートナー • 河原勇輝(磯子杉田LL) • 坂倉杏介(おやまちLL) • 中谷桃子(未来LL) • 赤嶺友梨佳 • 原口尚子 • 吉田涼子(鎌倉LL) • 山下佳澄(丹後LL) • 豊田光世(佐渡自然共生ラボ) 理事 • 木村篤信(大牟田LLなど)【代表理事】 • 白井洸祐(丹後LLなど) • 長島洋介(鎌倉LL) • 赤坂文弥(みんなのまちづくりスタジオなど) • 原口唯 監事 • 新井田統氏(ふじみ野LLなど) 日本のリビングラボ・共創に関わるマルチステークホルダー(実践者・研究者) により、以下の体制を構築 ※敬称略、順不同、カッコ内は主に関ってきたLL等
  44. 50 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs リビングラボ運営者支援サービス 学びのプログラムの全体像

    ▪概論を知る • リビングラボのモードを 体感する • 系譜とマインドセットを 知る • 事例とプロセスを知る ▪演習に取り組む • 簡易的ケースメソッド を題材に実践を想定 して検討する ▪7つの論点ごとに事例、理 論、ツールを知る ・セットアップ(相互理解・チームビルド) ・ステークホルダーエンゲージメン ト(相互理解・チームビルド) ・共創(リサーチ・課題設定) ・実験(アイデア・プロトタイピング) ・価値(検証・社会実装) ・ビジネスモデル(検証・社会実装) ・ガバナンス(プラットフォーム) ▪持続的なリビングラボ運 営に向けた実践知を深める ・地域/社会のビジョン ・主体的なコアチームと周辺 参加 ・実働・実現のためのリソース ・その他 リビングラボ 基礎セミナー リビングラボ 実践セミナー リビングラボ 応用セミナー スタータープログラム 実践ガイド プログラム 実践者 コミュニティ活動 ケースメソッドプログラム 共創トライアルプログラム 共創実践型プログラム 対話・視察企画部会 ナレッジ・シェアリング部会 評価指標検討部会 ▪ケースメソッドプログラム 仮想ケースではなく、それぞれが悩 み・課題を抱える実際の事例を持 ち寄り検討する(開催期間1 日) ▪共創トライアルプログラム 協力先のリビングラボをフィールドに、 実際の関係者とアイデアを共創し、 地域プレゼンを行う(開催期間 2泊3日) ▪共創実践型プログラム JNoLL関係者を交え、ご自身がリ ビングラボを展開したい/展開して いる地域での共創活動を推進し ながら、ハンズオン型の協働学習 を行う(開催期間3カ月/毎月 1回の研修会) ▪対話・施策企画部会の 例 リビングラボ対話会 実践者・研究者のトークを軸に対 話を行う会(隔月開催) 実践者対話会 実践者同士が、互いの事例を持 ち寄り対話をする会(隔月開 催) リビングラボ視察プログラム 先行するリビングラボ活動を視察 し、意見交換をする(開催期間 1日) https://jnoll.org/service/
  45. 51 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 実践を支えるフレームワークの研究開発 トヨタ財団助成PJ・国会図書館調査等

    トヨタ財団:2022 先端技術と共創する新たな人間社 会の助成プロジェクト「Infrastructuring Living Labs: リビングラボ実践を支えるインフラストラクチャ構築」 ※理事 赤坂によるPJ DX・デザイン思考・地域創生関 係の講演・アドバイザー委嘱等 ※代表理事・理事含め多数 国立国会図書館調査資料2020-6 ※代表理事木村による論文 リビングラボ国際会議での Top Selected Paper受賞 ※代表理事木村による論文 https://toyotafound.my.salesforce- sites.com/psearch/JoseiDetail?name=D22-ST-0013 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidep o_11656225_po_20200606.pdf?contentNo =1 https://codips.jp/news/20231004/ https://codips.jp/news/20220920/
  46. 52 Copyright 2024 Japanese Network of Living Labs 日本リビングラボネットワークの当面のイベント 日本リビングラボネットワークでは、実践者同士がつながる機会、まなぶ機会、実践する機会を提供しています。詳し

    くは、リビングラボ・ポータルサイトをご覧ください JNoLL リビングラボ・ポータルサイト (https://jnoll.org/) リビングラボ対話の場(オンライン) 日本のリビングラボの実践事例の話題提供とともに、リビングラボについて対 話する会 3/22(金)16:00-17:30 話題提供者)一般社団法人 公共とデザイン 川地真史さん リビングラボ基礎セミナー(オンライン) 知識やマインドセットを知るリビングラボ概論と、簡易的ケースメソッドを題材 にしたリビングラボ演習ワークにより構成 2/6(火) 13:00~17:30 リビングラボ現地視察プログラム 全国各地の実践者の現場を訪問し、関係者とのミートアップやフィールド ワークなどを行う会 2/16(金) 17:30-20:30 労働供給制約社会イベントDay1 2/17(土) 10:00-16:00 労働供給制約社会イベントDay2 2/18(日) 10:00-12:00 大牟田リビングラボ対話会