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20261007東京工科大学講義share.pdf

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October 06, 2026
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Kimura Atsunobu

October 06, 2026

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  1. 2026/10/07 東京⼯科⼤学 コンピュータサイエンス特別講義II これからの時代の 社会のデザインを考える ⽊村 篤信 (⼀社)⽇本リビングラボネットワーク 代表理事 (⼀社)オープン

    理事 東京都市⼤学 都市⽣活学部 准教授 (株)地域創⽣Coデザイン研究所 地域創⽣アドバイザー Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 1
  2. ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究 ヴァーチャル・リアリティや仮想空間(メタバース)、それ にまつわるメディア研究に従事 サービスデザイン研究 テクノロジーを開発するだけでなく、⼈や社会の真のニーズ を⾒極め、使いやすく、こころを動かされる体験を設計する ための研究 ⽊村 篤信 Kimura

    Atsunobu ⽇本リビングラボネットワーク 代表理事 東京都市⼤学 准教授 地域創⽣Coデザイン研究所 地域創⽣アドバイザ JST RISTEXケアが根づく社会システム 領域アドバイザ ⽣駒市 緑の基本計画改定懇話会 有識者 デジタル庁 認定Well-beingファシリテータ 総務省 経営財務マネジメント強化事業 アドバイザ ⽇本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 ⼤牟⽥未来共創センター パーソンセンタードリサーチャ 京都⼤学デザインイノベーションコンソーシアム フェロー ソーシャルビジネスネットワーク フェロー ソーシャルデザイン研究(⼤牟⽥リビングラボ、奈良リビングラボ等) 企業だけでなく、地域や当事者といっしょにモノやコトを共 創する⽅法論(リビングラボ)の研究 地域創⽣Coデザイン研究所設⽴(社会システムデザイン⽅法論を提唱) NTTグループの地域創⽣専⾨組織新を⽴上げ、地域の市⺠団 体、⾃治体、企業が、それぞれの役割を超えて共創し、主体 的に地域づくり・地域経営に取り組むための研究、伴⾛ ⼀般社団法⼈ ⽇本リビングラボネットワーク設⽴ ⽇本全国で100以上のリビングラボが⽴ち上がる中で、欧⽶の借り物ではない、⽇本の 社会⽂化的な背景を踏まえた実践と⽅法論を探求するコミュニティを運営
  3. 地域におけるデザイン 技術の 社会実装課題 (1)技術・社会実装課題 ・睡眠センサー・電⼒センサーを活 ⽤した軽度認知障害の検出アルゴ リズムの開発をしている ・他地域で実証実験を⾏う際、参 加者が集まらない。何が⾜りないか 検討がつかない。

    リアリティを踏まえた ⽣活・政策課題 有識者知⾒に基づく 課題再設定 (2)⽣活課題 ・⾼齢者扱いをされる「デイサービス」、⾼ 齢者だけが集まる「サロン」以外の居場所 がない (4)課題の捉え返し (3)政策課題 ・参加へのためらいの背景には、「体 ・介護予防、地域の担い⼿不⾜への対応 調の変化、特に疾病の予兆をあらか において、⾼齢者の想いや意欲を中⼼に じめ知る」ということへの不安や恐れが 据え、引き出すような施策が検討・実施で あり、さらに「センサーを介して知る」と きていない。 いうことがその不安や恐れを⼤きくして いるのではないか。 (村瀬、上岡、⽯川、北嶋) Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 地域の現場での プロトタイピング 地域の価値 政策の価値 企業の価値 (5)わくわく⼈⽣サロン それぞれの課題が重なる領域を捉え 返し新たな課題「知ることのデザイ ン」 を設定 ・具体的な⽰唆を得ることができる 場として、⼀⼈ひとりにフォーカスした 場で多様な⼈に出会い、ユニークな 「⾃分を知り直す」わくわく⼈⽣サロ ンを企画・開催 4
  4. 協働と共創︓いずれもセクターを超えた共創の⽅法論 「Co-Procuction︓協働」 (⾏政学・社会学⽤語) 1977年〜 「Co-Creation︓共創」 (経営学・マーケティング学⽤語) 2004年〜 ⽶インディアナ⼤の政治学者ヴィンセント・オストロムが、「地域 住⺠と⾃治体職員とが協働して⾃治体政府の役割を果たし てゆくこと」の意味を⼀語で表現するために造語したもの。

    ⽶ミシガン⼤ビジネススクール教授コインバトール・K・プラハ ラードとベンカト・ラマスワミが提起した「企業が、様々なステー クホルダーと協働して共に新たな価値を創造する」という概念。 ⽇本では、荒⽊昭次郎がCo-Procuctionを「協働」と訳し、 「地域住⺠と⾃治体職員とが、⼼を合わせ、⼒を合わせ、助 け合って、地域住⺠の福祉の向上に有⽤であると⾃治体政 府が住⺠の意思に基づいて判断した公共的性質をもつ財 やサービスを⽣産し、供給してゆく活動体系である」と定義 これからの時代、顧客と⼀緒になって価値を⽣みださなけれ ば企業は競争に⽣き残れないと説き、「企業主体の価値創 造」から「顧客中⼼の価値共創」の時代へという新しいパラダ イムを提⽰した。 (Comparing Urban Service Delivery Systems, 1977) (参加と協働︓新しい市⺠=⾏政関係の創造, ぎょうせい, 1990) (The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers,2004) Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 5
  5. リビングラボとは モノ・コトをつくるときに ⽣活者と⾏政・企業・⼤学が共に 暮らしの場(リビング)において 試⾏錯誤(ラボ)をする活動・場 デンマークのスマートシティ研 究者とともに、⽇本初のリビン グラボ書籍(教科書)を刊 ⾏。全国30カ所で対話イベ ント実施予定。

    (⼈⼝減少時代の社会課題解決に必要な⽅法論 ≒コレクティブ・インパクト) 徳島県神⼭町(地域創⽣関係者) 官⺠共創HUB×東京⼤学(産官学⺠関係者) 4重螺旋モデル︓Quadruple Helix Model Carayannis, E.G., Campbell, D.F.J., 2009. “Mode 3″ and “Quadruple Helix”: toward a 21st century fractal innovation ecosystem. Int. J. Technol. Manag 46, 201. Copyright千葉⼯業⼤学(情報学部・デザイン学部) 2025 Japanese Network of Living Labs 関⻄学院⼤学(イノベーション研究会)6
  6. デザインのプロセス @ はじめてのリビングラボ p.88-96 プロトタイピング (コンテクスチュアルプロトタイピング) ユーザ理解 (哲学対話) 課題設定 (半構造化インタビュー

    ⾏動観察) アイデア創出 (⼆段階ブレスト) Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 実験的テスト (ユーザビリティテスト) 10
  7. サービスデザインとソーシャルデザイン サービスデザインは、「誰かのために 価値を⽣み出す(問題を解く)こと」。⼀⽅で、この⽅法は、対象(誰 か)に対する客観的理解に基づくデザインであるため、⾃ら(当事者・社会)の変容に繋がらない難しさ がある(技術的問題)。そのため、近年は、「⾃分(たち)ごととして社会の価値を⽣み出す」ソーシャルデ ザイン(適応課題)のアプローチが注⽬されている。 ※R. Heifetz et al.(2009)

    The Practice of Adaptive Leadership: Tools and Tactics for Changing Your Organization and the World. Harvard Business Review Press. ※宇⽥川元⼀(2019)他者と働く-「わかりあえなさ」から始める組織論. Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 左)ヴィクター・パパネック(1971)『Design for the Real World: Human Ecology and Social Change (⽣きのびるためのデザイン). 中)エツィオ・マンズィーニ(2015)Design, When Everybody Designs(誰もがデザインする時代のデザイン ⽇々の営みからソーシャルイノベーションを⽣み出すための思 想と実践) 右)アルトゥーロ・エスコバル(2018)Designs for the Pluriverse(多元世界に向けたデザイン ラディカルな相互 依存性) 23
  8. デザインに関わる関係者の全体像 産官学⺠連携(リビング ラボ)によるボトムアップ サービスのデザイン 市⺠によるコミュニティビ ジネス・ワーカーズコープ ⾏政によるウェルビーイン グ政策デザイン 産官学⺠連携(リビング ラボ)による⾏政・企業

    サービスのハッキング 生 活 者 暮らしの現場にいる アクター 行 政 公共的な政策の 再形成 リビングラボ 実⽣活環境に おける実験 企 業 テクノロジーや ビジネスによる実現 企業によるソーシャルビジ ネス 大 学 人文学、社会科学、 自然科学の知の活用 これからの社会のデザイン 前提となる社会背景(⼈⼝減少等) Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 26
  9. ⼈⼝構造の変化︓労働供給制約 構造的な⼈⼿不⾜により働き⼿を補えない「労働供給制約」状況となり、物流、建設・⼟⽊、介護、交通、 ⼩売、飲⾷などの⽣活維持サービスが維持できない状況が迫っている。 ◯問題意識 「単なる⼈⼿不⾜論ではない。後継者不⾜や技能承継難、デジタル⼈材の不⾜などと いった産業・ 企業視点からの問題ではなく、「⽣活を維持するために必要な労働⼒を⽇ 本社会は供給できなくなるのではないか」という問題意識である。」 「労働供給制約社会において最も懸念されるのは、「⽣活維持サービス」である。物流や 建設・⼟⽊、介護・福祉、接客などの職種は既に需給ギャップが

    顕在化しており、著し い⼈⼿不⾜に陥っている。これは「⼤変だなあ」ではすまない問題でもある。こうした職種 の供給不⾜を放置すると、私たちの⽣活に⼤きなダメージを与える可能性が⾼い」 ◯予測される状況(⽇本全体) ①2030年に341万⼈余、2040年に 1100万⼈余の労働供給が不⾜する。 ②労働供給は今後加速度的に減少していく。 ③労働需要はほぼ横ばい。 ◯⽰される解決策 (1)徹底的な 機械化・⾃動化 (2)ワーキッシュ アクトという選択肢 (3)シニアの ⼩さな活動 リクルートワークス研究所発⾏ 『未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる』 (2023年3⽉) 古屋星⽃、リクルートワークス研究所 『「働き⼿不⾜1100万⼈」の衝撃』 (2024年1⽉30⽇) (4)待ったなしの ムダ改⾰ ◯起こりうる変化(パラダイムシフト) 「現在の⼈⼿不⾜が深刻化している状態ですら、まだまだはじまりにすぎないことも教えて いる。2040年にかけての⽇本における1つの格⾔は「今が⼀番⼈材を獲得しやすい」に なるだろう。去年よりも今年、今年よりも来年のほうが⼈材確保が困難な状況となる。 こうした実感は企業の採⽤意欲を加速させ、⼈材獲得に⼀層の激しい競争を⽣み出 す。⼈材を獲得するために経営戦略を変えたり、資⾦調達をしたり、新商品を開発し たりといった過去になかった動きを引き起こすだろう」 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 30
  10. ⼈⼝構造の変化︓労働供給制約 永⽥町、霞ヶ関、主要な経済団体の政策・戦略検討において前提としての位置づけを得るとともに、産業界等のオピニ オンリーダーが公式の場で使い、メディアも特集を組んで報道すること、それを共通⾔語に議論を深めることが起き始め ている。 参議院⾃⺠党・政策審議会 冨⼭和彦⽒ 経営共創基盤(IGPI)グループ会⻑ ◯⽇本記者クラブ「働く⼈材クライシス」(8) (2024年03⽉27⽇) 「⼈⼿不⾜問題の論客としても知られる経営共創基盤(IGPI)

    グループ会⻑の冨⼭和彦さんが「労働供給制約の時代の労働 (市場)政策」と題して登壇した。」 ◯「参議院⾃⺠党政策審議会では、⼭⽥太郎 政審副 会⻑の司会の下、「令和の転換点」がやってくる-働き⼿ 不⾜1100万⼈の衝撃 と題し、労働市場分析について 有識者ヒアリングを実施しました」(2024年5⽉15⽇) ( https://sangiin-jimin.jp/?p=2176) ( https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/36705/report ) ホワイトカラー消滅: 私たちは働き⽅をどう変えるべきか (NHK出版) 少⼦⾼齢化による深刻な⼈⼿不⾜と、デジタル化の進展による急激な⼈余 りが同時に起きつつある⽇本社会。⼈⼿不⾜はローカル産業で⽣じ、⼈余り はグローバル産業で顕著に起こる。 これまでの常識に捉われたホワイトカラーは、⽣き残る選択肢がほとんどなく なってゆく。 企業再⽣⽀援の第⼀⼈者による、国、組織、個⼈それぞれの抜本的再⽣ を促すための緊急提⾔! Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 朝⽇新聞 ◯「8がけ社会 ⾼齢化がさらに進む2040年。社 会を⽀える働き⼿はますます必要になるのに、現 役世代は今の8割になる「8がけ社会」がやってき ます。今まで通りが通⽤しなくなる未来を私たちは どう⽣きるべきでしょうか。」 ※担当デスクによると「労働供給制約社会」の重要性に強く共 感し、特集を組んでいる ( https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=2040 ) 31
  11. 財政構造の変化︓⾃然災害リスクの増⼤ 気候変動などの影響で、猛暑⽇、集中豪⾬などの⾃然災害は増加傾向にあり、また、南海トラフ地震の発⽣が想定され る中、⼈命が失われ、インフラが崩壊するなど、暮らしの継続が難しくする状況が⾼まっている。 ⽇本全国(13地点平均)での猛暑⽇(最⾼ 気温35度以上)の年間⽇数は増加している。 最近30年間(1993〜2022年)の平均年 間⽇数(約2.7⽇)は、統計期間の最初の 30年間(1910〜1939年)の平均年間⽇ 数(約0.8⽇)と⽐べて約3.5倍に増加して いる。

    気象庁, https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs ⼤⾬の年間発⽣回数は有意に増加しており、よ り強度の強い⾬ほど増加率が⼤きくなっています。 1時間降⽔量80mm以上、3時間降⽔量 150mm以上、⽇降⽔量300mm以上など強 度の強い⾬は、1980年頃と⽐較して、おおむ ね2倍程度に頻度が増加しています。 33
  12. 社会的価値感の変化︓SDGs 社会の潮流として、サスティナビリティやウェルビーイングなどの新しい価値観が提案され、価値観を実現する 社会にシフトすることが志向されている。 Sustainable Development Goals 2030 (SDGs) wedding cake

    from Azote Images for Stockholm Resilience Centre, 2016. https://www.stockholmresilience.org/research/researchnews/2016-06-14-the-sdgs-wedding-cake.html Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 34
  13. VUCAと呼ばれる前例が通じない(答えの⾒えない)時代 39 ※S*ehm, Judith Hicks and Nicholas W. Townsend (2002).

    The U.S. Army War College: Military Educa*on in a Democracy. Temple University Press. p. 6. ISBN 1-56639-960-2. Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 39
  14. デザインのパラダイムの変化 社会背景 ・⼈⼝ボーナス期 = 拡⼤・成⻑期 ・潤沢な供給リソースと需要 ・物質的な豊かさが⽣活者を充⾜ ・⾏政組織による計画的マネジメント (機関委任事務制度) ・⼈⼝オーナス

    = 定常期※ ・ひっ迫した供給リソースと減らない需要 ・⽣活者が精神的な豊かさも志向 ・共創によるアジャイル・ガバナンス (地⽅分権の推進と⾃治体の⾃⽴性強化を踏まえ たプラットフォームビルダー化とデジタル活⽤) パラダイムの変化 前 例 踏 襲 % 政 策 ! " # $ % 政 策 実施内容は決まっていてデザインは不要 ⼀⽅的に実施内容を 企画・提供 提供者 (⾏政) 利⽤者 (市⺠) 実施内容を探索するためにデザインが必要 利⽤者 (市⺠) 住⺠・現場で学びながら 実施内容を企画・提供 提供者 (⾏政) ※広井(2019)⼈⼝減少社会のデザイン, 東洋経済新報社. Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 40
  15. 社会背景︓地⽅⾃治体の変化 地⽅⾃治体の運営は限界を迎える。持続可能な形で住⺠サービスを提供し続けるために、ICT活⽤による「スマート⾃治 体への転換」と、公共私(⾃治体・コミュニティ・⺠間企業等)の連携による⾃治体の「プラットフォーム・ビルダー化」が必 須 ※⾃治体戦略2040構想(総務省、2018) 減少する地⽅公務員 増加するインフラ更新費⽤ ひっ迫する財政 スマート⾃治体への転換 公共私によるくらしの維持

    • 新たな⾃治体や国の施策(アプリケーション)の機能が最⼤限発揮できるような⾃治体⾏ 政(OS)の⼤胆な書き換えが必要 • 破壊的技術(AI・ロボティクス等)を使いこなす⾃治体へ (⾃治体のプラットフォームビルダー化) • ⾃治体は新しい公共私相互間の協⼒関係を構築する「プラットフォーム・ビルダー化」が必要︓ 公 • くらしを⽀えるための地域を基盤とした新たな法⼈が必要︓共 • 全国⼀律の規制⾒直し、シェアリングエコノミー等の環境整備の必要性︓私 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 42
  16. VUCAの時代における政策形成プロセス 答えのない時代 答えのある時代 社 会 ⼈⼝構造 構 リソース 造 (財政・⼈的)

    % 変 価値観 化 政 策 形 成 , . / (課題探索・説明困難→対話可能) (機能提供・説明可能) ボーナス期 → 拡⼤・成⻑ オーナス期 → 定常・縮減 増加する需要、潤沢な供給リソース 減らない需要、逼迫した供給リソース 「物質的な豊かさ」が幸福度向上に影響 「精神的な豊かさ」が幸福度向上に影響 <過渡期に顕在化している課題> 社会構造の変化と 政策形成プロセスにギャップ (⾃治体職員は拠り所がない) <あらたな⼿法・対話ツール活⽤の効果> 市⺠/地域の幸福度/持続可能性を⽬指した 政策統合・優先順位付けが可能に (⾃治体職員が政策形成を⾃分の⼿に取り戻せる) 根拠 過去の経緯、(⼀部の)市⺠の声 対話的・探索的な意思決定 ※デザイン思考・システム思考活⽤ 意思決定 経験則に基づく意思決定 客観データ・主観データ ※EBPM、地域幸福度指標、地域⼒指標活⽤ 実施 ⾏政主導 官⺠協創 ※リビングラボ⼿法活⽤ このギャップを埋めるため、デジタル庁はウェルビーイング指標の活⽤を推進している 例)地域幸福度(Well-Being)指標 <奈良県⽣駒市の例> ※ウェルビーイング指標、 EBPM、デザイン思考、システム思考などが注⽬ 都市環境 医療・福祉 買物・飲⾷ 住宅環境 移動・交通 遊び・娯楽 ⼦育て 初等・中等教育 地域⾏政 デジタル⽣活 公共空間 都市景観 事故・犯罪 ⾃然環境 ⾃然景観 ⾃然の恵み 環境共⽣ ⾃然災害 地域の⼈間関係 ⽣活満⾜度 幸福度 地域とのつながり 多様性と寛容性 ⾃⼰効⼒感 健康状態 ⽂化・芸術 教育機会の豊かさ 雇⽤・所得 事業創出 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs https://well-being.digital.go.jp/dashboard/ ⾃分らしい⽣き⽅ 43
  17. Well-Being指標の政策活⽤ 近年、地⽅創⽣や住⺠の⽣活の質の向上が国の政策に位置づき、Well-Being(地域幸福度)についての注⽬が⾼ まっており、デジタル庁が推奨するWell-Being指標の総合計画等の政策形成プロセスへの活⽤が進んでいる。(浜松市、会 津若松市 等) デジタル⽥園都市国家構想におけるWell-Beingの位置づけ Well-Being(地域幸福度)指標 デジタル⽥園都市国家構想の実現に向け、デジタル庁は、共助の取組による地域の 豊かさと⼼豊かな暮らしの共通指標となるWell-Being指標の活⽤を推奨しており、 各⾃治体で活⽤が進んでいる。

    Well-Being指標は、住⺠アンケートで測定する主観指標と、オープンデータから計測する客 観指標からなる。主観指標と客観指標は4つの因⼦群にカテゴライズされた24のWell-Being 因⼦(分野)で構成される。更に主観指標においては、24のWell-Being因⼦(分野)と は別に地域における幸福度・⽣活満⾜度を計る5つの総合指標を計測する。 主 観 指 標 客 観 指 標 + & , $ & . ( 計 測 住 ⺠ # $ % & ' ( 計 測 5つのWell-Being総合指標 5年後の 幸福度 ⽣活 満⾜度 幸福度 町内の 幸福度 周りも 楽しい 4つの因⼦群と24のWell-Being因⼦(分野) 都市環境の因⼦群 医療・福祉 買物・飲⾷ 遊び・娯楽 ⼦育て デジタル⽣活 公共空間 ⾃然環境の因⼦群 住宅環境 移動・交通 初等・中等教育 地域⾏政 都市景観 教育機会の豊かさ 健康状態 雇⽤・所得 ⾃然の恵み 環境共⽣ ⾃然災害 事故・犯罪 ⾃分らしい⽣き⽅の因⼦群 ⾃⼰効⼒感 ⾃然景観 ⽂化・芸術 地域の⼈間関係の因⼦群 地域とのつながり 多様性と寛容性 事業創出 出典︓https://www.digital.go.jp/policies/digital_garden_city_nation Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 44
  18. 社会背景︓ビジネス環境の変化 企業がSDGs等の社会的価値のある事業創出に取り組むことが社会の要請になっており、持続可能な形で企業が存続 するためには、「社会的価値を重視した事業創出・運営」や、サービスの「提供者・利⽤者の構造転換」が必須 持続可能な開発⽬標 倫理的なテクノロジーの原則 (⽇本の⼈間中⼼の AI 社会原則、GoogleのAI原則等) シェアリングエコノミー 社会的価値を重視した事業創出・運営

    提供者・利⽤者の構造転換 機能や消費体験だけでなく、AI、ロボット、社会システムがどのような社会的 価値を⽣み出すのか注⽬され、⼈のあり⽅・暮らしのあり⽅を問い直すことが ビジネスの⼟台として求められている 不確実性が⾼く、複雑な状況下では、⼀⽅通⾏ではない柔軟なサービス設 計、開発、運⽤のあり⽅が適しており、さらには学習する組織⽂化・共感者を 増やすブランディングが効果的 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 46
  19. 社会背景︓コミュニティの変化 市⺠(コミュニティ)は、従来の⾏政・企業サービスの受け⼿であるだけでは、地域の持続は難しくなっている。⾏政や企 業が前例踏襲主義や経済的価値重視の⾏動様式により、役割を超えたチャレンジがしづらい領域において、⾃ら主体と なり、活動を⽣み出していく取り組みが必要。あるいは、共創パートナーとして、新たな⾏政・企業サービスを⽣み出す取り 組みが必要。 令和 5年住宅・⼟地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果(総務省) 東京の⾃治のあり⽅研究会 最終報告(2015)

    担い⼿不⾜ 関係性の希薄化 新たな地域でのつながり創出 ⾃治会・町内会・PTA・ボランティア団体など限定的・同質的なつながりがア ンコンシャスバイアスを強化している現状を乗り越えるため、⾃治会・町内会 の活動だけでなく、テーマ型コミュニティ(⼦育て、防災、環境活動など)と 重なりにより、多様なつながりを⽣み出す必要がある 遊休資源の増加 ⽣活維持サービスを中⼼とした担い⼿づくり ⾏政・企業に依存した⽣活維持サービスの運営がままならなくなる中で、スモー ルビジネス、ワーカーズコープ、地域づくり特定事業組合など、住⺠が主体となり ながら、地域の⽣活維持サービスを運営していく必要がある。 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 49
  20. コミュニティビジネス 地域の課題を、地域の⼈が解決する。利益だけでなく“暮らしの豊かさ”を⽬指すビジネスがコミュニティビジネスです。 移動スーパー「とくし丸」 •地⽅や都市周辺で増える「買い物難 ⺠」に対して、軽トラックで商品を届ける 仕組み。 •⾼齢者や⾞を持たない⼈でも、⽇⽤品 や⾷料を⾃宅近くで購⼊できる。 •「買い物+⾒守り」効果もあり、地域の 暮らしを⽀えるコミュニティビジネス。

    ⼦育てシェアサービス (AsMama) •⼦育て中の保護者同⼠が送迎や預かりを 助け合う仕組み •スマホアプリで「送迎をお願い」「今⽇は預 かれるよ」といった依頼が可能 •⾏政や企業とも連携して、地域の⼦育て 負担を軽減 介護付き住宅「はっぴーの 家ろっけん」 •⾼齢者、障がい者、⼦育て世代 など多世代が⼀緒に暮らす「⼤家 族型シェアハウス」。 •介護サービスを受けながら、住⺠ 同⼠が⽇常的に助け合える仕組 みを持つ。 •孤⽴を防ぎ、地域に開かれた「新 しい暮らしのコミュニティ」を実現。 よろずポイント・藤野電⼒ 地域通貨「よろずポイント」 •地域の助け合いを促し、関係性を ⾒える化する仕組みとして、よろず ポイントをやり取りする⼿書き通帳 で運営 •その関係性の中で、東⽇本⼤震 災をきっかけに、電気を⾃分たちで 作るワークショップを、地域住⺠同 ⼠で運営 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 50
  21. リビングラボとは『セクターを超えた共創活動』 生 活 者 暮らしの現場にいる アクター 行 政 公共的な政策の 再形成

    リビングラボ 企 業 テクノロジーや 実⽣活環境に ビジネスによる実現 おける実験 大 学 人文学、社会科学、 自然科学の知の活用 4重螺旋モデル︓Quadruple Helix Model Carayannis, E.G., Campbell, D.F.J., 2009. “Mode 3″ and “Quadruple Helix”: toward a 21st century fractal innovation ecosystem. Int. J. Technol. 46, 201. Copyright 2025 Japanese Network of Living Manag Labs 52
  22. リビングラボプロジェクトの事例 ⽣活者・⾃治体・企業が地域/現場で課題探索や社会実装の試⾏錯誤を重ねることで, 社会課題解決をするサービスを開発し,展開する事例が増えている ⼦どもの成⻑(妊娠週数や⽣まれてからの⽉⽇)が⼀⽬でわかり、 予防接種スケジューリング機能がキラーコンテンツとなった【⺟⼦モ】 B to G to Cなので、ユーザと⾃治体の、双⽅がより便利で使いやすいサービスに

    していく必要があった.たとえば、紙の⺟⼦健康⼿帳の内容の中から、電⼦化する べき項⽬を取捨選択することにも悩んだが,実際に⼦育てしている⼈へのヒアリン グや、⺟⼦健康⼿帳を何度も読み込みながら開発を⾏った.2025年6⽉現在、全国 730以上の⾃治体で導⼊されている. ⾼齢者サービスに⺠間の⼒を使うことで、介護保険給付や税⾦の ⽀出を減らせる乗り合い送迎サービス【チョイソコ】 未要介護認定⾼齢者への調査で「徒歩移動がつらい・きつい」「バスの本数が少な い、時間が合わない」など不安や不便を感じる声を掴んだ⾃治体の福祉担当・公共 交通担当,アイシンは,⼤量輸送ではない「少数輸送」のサービスが地域に必要と いう⽬的意識を共有し、バスとタクシーの特徴をいいとこ取りしたサービスを開発 した.現在,全国30地域に展開されている. Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 53
  23. 事例︓循環型都市の実験室 De Ceuvel 概要︓ 1世紀にわたる造船業によって荒廃し⼟壌汚染していた造船所跡地を改 善するため、アムステルダム市が⺠間公募して⽣まれた循環型都市開発 のためのリビングラボ。アムステルダム北部に位置する敷地⾯積1250m² の⼩さなエリアで、地域のエネルギー、栄養素、廃棄物サイクルの「ループを 閉じる」完全なリサイクルを実現する再⽣技術の開発や実証に、建築家、 芸術家、起業家、研究者、ボランティアなど多様な組織が協⼒して取り組

    んでいる。アムステルダム市からの補助⾦(€250,000)と市の保証によ る銀⾏融資(€200,000)を受けて資⾦を調達している。14隻の貸し 出しハウスボード、ラボ&コミュニティ施設、レセプションスペース、カフェ・レス トランから構成され、⽂化的およびコミュニティのハブとなっている。 主体︓Metabolic社 (2014~2024) 活動︓ ハウスボートは廃船をアップサイクル利⽤し、根を通して汚染物質を吸収し て分解する特殊な植物で覆う「分散型葉緑素ろ過のシステム」を開発 再⽣可能エネルギーの地域⽣産と交換を促進するため、ブロックチェーン 技術を⽤いた仮想通貨のJouliette(ジュリエット)を導⼊ 温室で育てた植物、海藻バーガー、キノコで作ったミートボールなどを敷地 内レストランで提供 地域との関わり⽅︓ 毎年35,000⼈を超える訪問者(Covid-19前)。 作り⼿として関わるイベント(⼟壌を回復させる植物を植える、カフェやハウ スボートオフィスなどのテーブルなどに釘を打つ、オフィスのデザイン等) Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 54
  24. 事例︓障害者と健常者が新しい価値を⾒つける学校 概要︓ デンマークのエグモント・ホイスコーレとは、障害者と健常者が共に助け合い ながら学び、⽣活する全寮制の学校。学校でありながら、同時に、障がい 者の⽇々の問題を解決するリビングラボとしての役割も持ち、地域や産業 界と連携の中で新しい価値を⽣み出している点が注⽬されている。 主体︓Egmont Højskolen (How, Denmark)

    活動︓ ⾞いすでも楽しめるスイミングプールVandhalla (ヴァンダラ)の企画・開 発。障がい者と健常者の⽣徒がチームを作り、初期 から設計に携わった 特設プールで、プール専⽤の⾞いすに乗り換えがしやすい更⾐室や⾞いす のままプールに⼊れるスロープだけでなく、⾞いすの⼈やストレッチャーに乗っ た⼈でも滑ることができる全⻑ 90m のウォータースライダーも備えている。 全⾝⿇痺の障害者が校内を⾃由に⾏き来するために、視線⼊⼒インタ フェースを備えたタブレット端末で操作ができる電動⾞いすが開発された。 地域との関わり⽅︓ エグモント・ホイスコーレやヴァンダラは地域に開かれた形で運営されており、 地域の住⺠が利⽤することができる。また、全寮制の学校であるため、障 害者と健常者の⽇々の暮らしそのものが、リビングラボの対象となる開かれ た⽣活空間となっている。 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 55
  25. 系譜1︓シチズンサイエンス(現場で学びを得る科学へ) 1990年代から実験科学・市⺠科学の分野でLiving Labと名前の付い た活動が⾏われている • “The Living Lab is a

    pilot program teaching estuarine issues to junior and senior high school students.” (Short, 1992) • “The program has a room in the residence quarters of the YMCA called the ‘’Living Lab.” This laboratory is an opportunity for a youth to gain practical experience living on his or her own while receiving support from staff, DYFS and other agencies.” (State of New Jersey, 1993) • “From using the environment as a living lab to enhance your science and math studies to using it to help inspire your students to create poetry, there are many innovative ways to promote outdoor experiences with your students.” (Wood et. al., 1993) 実験科学[Lewin,1946;Kawakita,1967;Neisser,1978]や市⺠科学 [Short,1992;Wood,1993]の分野では、限定的な環境での試⾏実験の限 界に対して、アクションリサーチ、野外科学、PBLなどの実環境での実践や検証 が重要視された。リビングラボの概念の提唱者として知られるWilliam J. Mitchellは建築分野でこの取り組みを⾏った⼈物である[Mulvenna;2011]。 特徴 • 実環境下(real-life se+ng) • ⽣徒の巻き込み(student involvement) ※川喜⽥(1967)発想法―創造性開発のため に, 中央公論社. • エンパワーメント(empowerment) Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 57
  26. 系譜2︓オープンイノベーション(みんなに開いてつくる⽂化へ) Human Computer Intaraciton(HCI)の分野では、ジョージア⼯科⼤学の Aware Home Projectが1999年にLiving Laboratoryという概念を取り上げ て研究を⾏った(Cory et

    al.1999) 欧州委員会は2013年のダブリン宣⾔で、オープンイノベーション2.0をオープンイノ ベーションの新たなパラダイムとして考え、欧州全体で推進していくこと ・ 世界に発信し ていくことが決議され、「Open Innovation 2.0 Yearbook」では、Living Lab が多く取り上げられている 1980年代にパーソナルコンピューターが普及したとき、⼈としての使いやすさに焦点を当てたユーザ中⼼設 計Norman(1986)が提唱された。これは限定的な関係者による設計の限界に対して、実際のユー ザの巻き込むアプローチであり、その後サービスデザイン[Stickdorn;2012]などに拡張されていった。ま た、企業イノベーションにおけるオープンイノベーション[Chesbrough;2003]や⾏政運営における市⺠参 加の梯⼦[Arnstein;1969]など、さまざまなセクターのモノづくり(コトづくり)においても、関係者に開いて つくる⽂化(デザインの⺠主化)へのシフトが志向されている。 特徴 • ユーザの巻き込み(user involvement) • 共創(co-crea7on) • 価値協創(joint-value) • ガバナンス(governance) ※D.A. Norman, (1990)誰のためのデザイン︖,新曜社. Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 58
  27. 系譜3︓参加型デザイン(使うものを⾃らつくる権利へ) 職場の⽣産性を⾼めるために技術システムを導⼊したい経営者と、⾃分たちの 労働の現場に技術システムを⼊れることに不満を持つ労働者との対⽴に対し て、第3の道として、⺠主主義的な⽅法で問題解決を図ったのが参加型デザ イン ノルウェー鉄・⾦属労組の技術プロジェクト(1970年〜) スウェーデンのDEMOSプロジェクト(1975〜1979年) デンマークのプロジェクトDUE(1977〜1980年)など 北欧リビングラボの源流と⾔われる参加型デザイン[Nygaard,1975]は、社会⺠主主義 的な理念を持ち、⽣活者やユーザの権利として、⾃らが⾝の回りにある組織構造やプロセス

    (社会技術システム︓Socio-technical system[Trist,1951])に対して主体的に関 わっていくことが基本的な考え⽅となっている。形を持つ製品から、形を持たないサービス、さ らには組織や社会についてまで、それを設計・運⽤することに主体的に関わる活動が展開さ れてきた。 特徴 • エンパワーメント(empowerment) • ⾃発性(Spontaneity) • ガバナンス(governance) • ラピッドプロトタイピングと評価(rapid prototyping & testing ) ※S. Bodker et al. (2021) Participatory Design, Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs Springer. 59
  28. トランジションの必要性 健康と福祉、不平等、世界の⺠主化、気候変動などの問題に対して、(問題再⽣産の構造延命にも 寄与する)部分的解決ではなく統合的に向き合うために、システム・トランジションなどの⽅法論が提 唱されている。 個別の⽳を防ぐ システムの転換 個別の地域活動や企業サービス、 領域ごとの政策による対応で ⽔漏れ(問題)を事後的に塞ぐ 問題を⽣み出す構造(システム)を

    転換することで⽔漏れ(問題)が ⽣まれづらい状態をつくる + e.g.本籍校に復帰できることを⽬標にする適応指導教室 e.g.学習計画を⼦どもたち⾃⾝が作るイエナプラン教育 e.g.⼈⼿が⾜りないので好待遇で採⽤活動 e.g.働く⼈が働きたい地域・⼒を発揮しやすい職場づくり Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs e.g.クマが出てきたので駆除活動 e.g.クマと⼈が共⽣できる⾃然環境回復に向けた取り組み 63
  29. トランジションのローカルアジェンダ︓労働供給制約社会 構造的な⼈⼿不⾜により働き⼿を補えない「労働供給制約」状況となり、物流、建設・⼟⽊、介護、交通、⼩売、飲⾷ ⽇本での社会構造転換のメインアジェンダは“構造的な⼈⼿不⾜” などの⽣活維持サービスが維持できない状況が迫っている。 (地域では喫緊の課題であり、2024年には国やメディアの共通⾔語化している) 「単なる⼈⼿不⾜論ではない。後継者不⾜や技能承継難、デジタル⼈材の不 ⾜などといった産業・ 企業視点からの問題ではなく、「⽣活を維持するために必 要な労働⼒を⽇本社会は供給できなくなるのではないか」という問題意識であ る。」

    永⽥町、霞ヶ関、主要な経済団 体の政策・戦略検討において前 提としての位置づけを得るととも に、産業界等のオピニオンリー ダーが公式の場で使い、メディア も特集を組んで報道すること、そ れを共通⾔語に議論を深めること が起き始めている。 冨⼭和彦⽒ IGPIグループ会⻑ 参議院⾃⺠党・政策審議会 朝⽇新聞特集「8がけ社会」 ホワイトカラー消 滅: 私たちは働き ⽅をどう変えるべき か (NHK出版、 2024) 「労働供給制約社会において最も懸念されるのは、「⽣活維持サービス」である。 物流や建設・⼟⽊、介護・福祉、接客などの職種は既に需給ギャップが 顕在 化しており、著しい⼈⼿不⾜に陥っている。これは「⼤変だなあ」ではすまない問 題でもある。こうした職種の供給不⾜を放置すると、私たちの⽣活に⼤きなダ メージを与える可能性が⾼い」 未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる(2023),リクルートワークス研究所. 「働き⼿不⾜1100万⼈」の衝撃(2024)古屋星⽃、リクルートワークス研究所 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 65
  30. デザイン学におけるシステムトランジションの動向 ▼2008年 ドネラ・メドウズが 「Thinking in systems : a primer(邦題︓世界はシステムで 動く)」を発表(ヨーロッパ流のシステ

    ミックデザイン) ▼2012年 システミックデザイン協会 が発⾜(デルフト⼯科⼤学やオンタリ オ州⽴芸術⼤学のデザインプログラム にシステミックデザインが導⼊) Irwin, T., Transition Design: A Proposal for a New Area of Design Practice, Study, and Research, Design and Culture, 7(2), 2015, pp. 229–246. ▼2015年 テリー・アーウィンらが 「Transition design」を提唱(アメ リカ流のシステミックデザイン) ▼2021年 イギリス デザインカウンシ ルが「Systemic Design Approach」を発表 ▼2022年 ピーター・ジョーンズらが 「Practice Tools for Systemic Design(邦題︓システミックデザイン の実践)」を発表 デザインカウンシル(2021) システミックデザインフレームワーク. Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 66 https://www.designcouncil.org.uk/our-resources/systemic-design-framework/
  31. 社会システムの性質 社会システム(サービス・制度・組 織等)は、個⼈の外側にある社 会システム単独では成り⽴たず、 個⼈が社会システムのルールを内 ⾯化することではじめて成り⽴つ (相互関係の構造)。 そのため、外形的にサービス・制 度・組織等を変えるだけでなく、そ れに関わる個⼈の内⾯も同時に

    変容していく必要がある。 図︓交通システムにおける相互関係の例 【例】 ▼交通システム ・社会に信号機が置いてあるだけはシステムは機能しない ・個⼈が「⾚信号では⽌まる」という交通ルールを守ることで機能する(内⾯化) Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 67
  32. アプローチ1︓ 個⼈の⽀配的な価値観から新たな価値観への変容 個⼈・コミュニティの価値観が変容していくメカニズムの分析モデル︓Two Loop Model Wheatley, Margaret and Frieze, D.

    (2011). Walk Out Walk On: A Learning Journey Copyright 2025 the Japanese NetworkBerrett-Koehler of Living Labs into Communities Daring to Live Future. Publishers. 68
  33. 課題意識︓暮らしの質感をとりこぼさないシステムへの転換 2022/6/25-26 デザイン学会 オーガナイズドセッション企画資料 今の社会のシステムは、 予防的に「⼈々の可能性を奪ってしまう社会システム」。その中 で、暮らしの現場での⾃律的な活動が注⽬されている 暮らしの時間 ・主体的、⽣成的、多様 ・歴史的な絆、⼈間、世間

    e.g. ⾃⽴共⽣的、⽣活世界 システムの時間 ・客体的、計画的、均質 ・政策的経緯、公論 e.g.操作的、システム 「⼈間の能⼒を拡張し⽣産性 を拡⼤させる(個⼈が責任を 取れる)道具」を経て、「⼈間 を操作し依存させ主体性を 奪ってしまう道具」へ Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs イヴァン イリイチ(2015)コンヴィヴィアリティのための道具,筑摩書房. 70
  34. 「⼈々が主体的に共創できる社会」のモデルをつくる 対話を通じて住⺠の主体性 があたたまる定期イベント 「ぐるぐるダイアログ」 ⼈の意欲が発揮され⼈⼿不 ⾜を解消するムーブメントを ⽣み出す「労働供給制約社 会・⼤牟⽥」 主体的なデジタル活⽤をサ ポートする⼈材

    「インフォナビゲーター」養成 講座 「わたし」として扱われる場があたたまりを⽣む ❶⼈がのんびりと 動き出せる⼟壌 ⼤牟⽥から未来をのぞき⾒る、 対話・体験・テクノロジー 「NINGEN Societal Festival」 多様な市⺠や内外の関係者がが集うイベント ⾼齢者の主体性を引き出す デジタル体験 「VRを活⽤した未来の福祉 プロジェクト」 ×東⼤等 社会の本質に迫る 問いと対話のメディア 「湯リイカ」 ×SMBC等 ❷未来にむけた 問いを深める対話 ❸システム転換を 志向する実践 公営住宅モデルルームと住みこなしに必要な家具DIY Well-being な住まいPJ ×有明⾼専等 みんなが⾃然と元 気になるまちPJ w/ モデル事業 ×NTTデータ等 ⼈の⼒を引き出 す職場づくり「超 短時間雇⽤」PJ ×東⼤等 対話を通じて未来について考える仲間が集う ⽣産性と多様性 の両⽴する地域 企業への伴⾛⽀ 援PJ ・・・ 地域共創拠点︓ うずうずマイン(コワーキング,イベントスペース,チャレンジショップ等) 官⺠連携を推進する主体︓ ⼤牟⽥未来共創センター(⼤牟⽥市との連携協定) 住⺠があたたまり地域内のキーパーソン同⼠がつながる場 ⾏政政策︓ Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 健康福祉総合計画策定・運⽤等 健康福祉総合計画策定・運⽤ 76
  35. 転換の理念︓ 「⼈々の可能性を引きだす⾃律⽀援型社会」の実現 社会は 変えられる 社会・組織に⼈々が合わせる管理型社会 (⼈=代替可能性、客体) 「失敗」への不寛 容 ⼈々が⾃ら社会・組織をつくる⾃律型社会 (⼈=唯⼀性、主体)

    働きかけ 参加 ⑤縦割り・自己責任 「失敗」の許容⑤新たなつながり、協 ④他者・社会への ひらかれ・試み ④他者・社会への ムラ的関係・都会的孤独 無関心 グループ・チーム ・コミュニティ 働 ②対話的関わり ②交換的関わり ③非自律的 個人 (お上意識、 空気優先) (伴走的関わり) 出入り自由 出入り自由 ③自律 責任 責任 ①存在論的不安 ①存在の肯定 (信頼) ⾃分の存在には 価値がある ・客体的・均質的な制度・環境(cf.第⼆の分⽔嶺(イリイチ)) ・⾃ら関わることが難しい他者・社会 ・⼈の感性や⾃然の価値の疎外する⽂化 ・主体的・物語的な暮らしを許容する制度・環境 ・連帯してよりよく変えていける社会 ・真善美の感覚を涵養する⽂化 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 77
  36. 医療・介護・健康︓Being-wellな社会参加機会の創出 l 介護予防は本⼈視点では意識することができない概念であることを整理し、本⼈視点に⽴ったBeing※ well (本⼈の⼒が発揮されている状態)に転換。そのうえで、関わる事業者・団体についても、従来 の医療・介護サービス事業者ではない新たな事業者・団体が担う⽅向で、企業や地域と協働 介護予防 Being-well (本⼈の⼒が発揮されている状態) ※

    介護が必要な状態になったことがない⼈にとって、 それを予防するという意識を持つことができない どのような状態でも、本⼈の存在が肯定され、 ⼒が発揮されている状態を⽬指す 要介護状態 ⾼齢者等 要介護状態にならないように 予防する • 医療・介護サービス事業者が担う • 制度の構造として、医療や介護が必要な状態 になったほうが収益が上がるため、予防に対す るインセンティブが働かない ⾼齢者等 要介護状態 ⼀緒に⼒を引き出す(⾒出す) ような関わり⽅ • 医療・介護サービス事業者ではない事業者・団体が担う (新たなビジネス領域の可能性) • 誰もが、どのような状態になっても、社会参加ができるよう機会のユニバー サル化を図る ※Well-beingが「Well(良い状態)」を先に規定していることに対して、「Being(存在)」を肯定した上で、多 様な「Well(良い状態)」に開かれていることを⽬指す理念。造語。 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 78
  37. 住まい・コミュニティ︓「いる」の位相に基づく暮らしづくりへの転換 今後のスマートシティ・スマートホームに関する設計指針を得るために、公営住宅引っ越しに伴うリロケーションダメージなどの 具体的な課題と向き合う実践に取り組んだ。スマートな先取りによる「ある」の位相では⾒落とされる、暮らしている⼈や 地域に根差した「いる」の位相に基づく暮らしのデザインや政策形成への転換の必要性と、Well-beingにつながるアイデ ンティティ形成の具体的なアプローチ(DIY等の住みこなしの実践知)について明らかにした。 コモンズ・住みこなし 篠原聡⼦『アジアン・コモン ズ: いま考える集住のつなが りとデザイン』(平凡社、

    2021) ⽯井美保『環世界の⼈類 学 南インドにおける野⽣・ 近代・神霊祭祀』(京都 ⼤学学術出版会、2017) ⽯井美保 篠原聡⼦ 予防と予備 「いる」の世界 伊藤亜紗 伊藤亜紗「予 防から予備へ︓ 「パーソンセン タード」な冒険の ために」 新しい住宅のモデルルームを再現し、それを住みこなす体験・対話のプロセスを協働した ⼤牟⽥市営住宅での調査を通じたWell-being な 住まい・地域づくりのあり⽅に関する研究報告書より 住みこなしに必要な家具を、住⺠と地域の学⽣が⼀緒にDIYするプロセスを持った Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 79
  38. 移動・交通︓⼈の意欲をまんなかにしたアクセシビリティの保障 ⼈を真ん中にした移動・交通政策(広義) 交通政策(狭義) 産業政策 •人口カバー率(大牟田市地域公共交通網形成計画より抜粋) まちづくり政策 地域経済活性化・地域活性化 ※移動制約者は高齢者以外にもいる 社会的孤⽴ 社会的包摂(地域共生社会)

    地域包括ケアシステム 経済的制約 事業者 (医療介護・商業) つながり 移動 (モビリティ) 個⼈ ⽬的 (⽬的地・機会) フレイル 私的 つながり 医療・介護政策 徒歩(移動する⼒) 移動主体 モビリティミックス 公共交通の人口カバー率(鉄道駅 800m、バス 停 300m)が低く、高低差等により移動の困難が 生じやすい地域も存在している ※⼤牟⽥市保健福祉部福祉課(2019)地 域包括ケアシステムにおける移動⽀援のあり⽅ ,第2回地域包括ケアシステム推進会議資料 ! " # $ % & 移動手段 公的 ⾃家⽤⾞ 免許返納 コミュニティ政策 地域交通(コミュニティバス等) 公共交通(鉄道・バス・タクシー等) 福祉輸送(移送) 減便・空⽩地 財政負担増 財政負担増 交通政策(狭義) 医療・介護政策 少⼦⾼齢化 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 80
  39. 忖度と縦割りによる 地域/組織における「議論・意思決定」のボトルネック 空気社会、縦割り構造の⽇本においては、特に、現場の価値に根差した議論が深まりず らい構造(ボトルネック)がある 地域/組織における「議論」 アイデア出し 意⾒交換 (ポジショントーク) ディスカッション 意思決定・優先順位付け

    ⽬標・⽬的/論理・根拠 ビジョン・判断基準・制約 磨かれた意見 議 論 # 広 % & アイデアの広がり 当事者参加:多 選ばれた意見 決定された施策 それぞれ、担う役 割としての意見は ある(公式見解) 議論の深まり 地域の 審議会 地域の 審議会 企業の 経営会議 (市民、現場担当者、ユーザ) 当事者参加:少 地域のイベント (WS等) 多くの審議会・協議会 ・業界団体内 企業の 経営会議 当事者参加:ほとんど存在しない (「意⾒交換」化している) Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 当事者参加:なし 意思決定者が決定 85
  40. ⼤牟⽥リビングラボでのあるプロジェクトの始まり ⼤牟⽥リビングラボ 地域住⺠/事業者 ・従来の年功序列や忖度などで、限界に近付い ている地域の現状が変わって⾏かない ・地域の未来についてフラットに話す機会がない ⾃治体職員 地域の意図 企業がリビングラボへ⽀払う対 価(資⾦)を活⽤し、

    地域の統合的な政策課題を 従来の慣習(空気社会にお ける議論の場)から離れて議 論できる仕組みづくり検討 ・審議会などを開くが、ポジショントークで終わり、 議論が深まらない ・統合的に政策課題を議論する場がない 課題の再設定・ 統合的実践 企業の意図 企業担当者 複数の⽣成AIが対話する新たな技術開発を ⾏っているが、具体的に社会や地域のどの場⾯で 有⽤に使えるのかユースケースが⾒えていない 複数の⽣成AIが多様なアイ デアを出す機能検証から、 空気社会において議論が深 まらないという地域の構造的 課題の解決へと課題設定を 変更 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 87
  41. 地域の議論における構造的問題を解決する「会議シンギュラリティ」 地域には多くの「会議」がある ⼀⽅で、「議論」になりづらい (構造的な問題) テクノロジーが発展している 現状、効率化への活⽤ 労働供給制約と呼ばれる構造的な⼈⼿不⾜ 積極的な議論・意思決定 (やらないことを決める) 「⼈の可能性を引き出す」

    テクノロジーの活⽤ 知識はあるが⽂脈を読まない AIの発⾔機能 議論・意思決定が 必要な地域のテーマ ①⼤牟⽥における中⼩ 企業の⽣産性向上に 向けた施策の検討 ②⼤牟⽥における 介護予防施策の検討 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 89
  42. 会議シンギュラリティの流れ テーマ:中⼩企業⽀援&介護予防 |開会 15分 ・本イベントの趣旨説明 ・⽣成AI技術についての説明 |会議前半 40分 ・AIたちによるアイデア出し (パート1)

    ・個⼈ワーク→グループ内共有→全体共有 |休憩 |会議後半 45分 ・AIたちによる議論 (パート2) ・個⼈ワーク→グループ内共有 ・グループワーク→全体共有 |閉会 5分 ・アンケート記⼊等 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 90
  43. 事例︓地域事業者・⾏政職員等と考える⽣成AI技術 技術の 社会実装課題 (1)技術・社会実装課題 ・複数の⽣成AIが多様なアイデアを出す という技術コンセプトが資する、具体的な 社会課題が⾒えていない リアリティを踏まえた ⽣活・政策課題 有識者知⾒に基づく

    課題再設定 (4)課題の捉え返し ・地域の持続に向けた「問題の根源 (2)⽣活課題 ・従来の年功序列や忖度などで、限界に近付い ※1,2」の議論がないと、多様なアイデアは 無意味 ている地域の現状が変わって⾏かない ・地域の未来についてフラットに話す機会がない ※1︓⽣活を維持するための労働⼒を⽇ 本社会は供給できなくなる(古屋) (3)政策課題 ・審議会などを開くが、ポジショントークで終わり、 ※2︓地域間・男⼥間の賃⾦格差や、 議論が深まらず、統合的に政策課題を議論する 様々な場⾯にある. アンコンシャス・バイアス (無意識の思い込み)(冨⼭) 場がない Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 地域の現場での プロトタイピング (5)会議シンギュラリティ それぞれの課題が重なる領域を捉え返し 新たな課題「⾃分の⾔葉が出る会議」を 設定 ・具体的な⽰唆を得ることができる場とし て、知識はあるが⽂脈を読まないAIの発 ⾔機能を活⽤した議論・意思決定ができ る会議「会議シンギュラリティ」を企画・開 催 95