DAOSのおさらいと進化について

このスライドは、2025年6月12日開催の「のの会 第75回」で使用したものです。
DAOS (Domino Attached and Object Service)の概要と見積ツールである DAOSTune Estimation Tool の紹介、設定方法と進化する機能について記載しています。

Transcript

1. Domino Attachment and Object Service 2025年6月12日 のの会 第75回 DAOSの おさらい 中野晴幸 Haruyuki Nakano harunakano.blogspot.com (blog) @harunakano (X twitter)
2. DAOSとは 概要とメリットなど
3. DAOSとは • 「Domino Attachment and Object Service」の略で、ダオス、 デイオスなどと呼称 • 文書に添付したファイルを剥がし、Dominoサーバー上の「レ ポジトリ」と呼ばれる保管エリアへ移動 • レポジトリへ移動したファイルは、拡張子「.nlo」で保持 • NSFファイルには、添付ファイルの実体を格納しているNLO ファイル（=DAOSオブジェクト）への参照のみ保持 • 内容の同じ添付ファイルを１つのNLOファイルで保持 NLO: Notes Large Object
4. 1MBのファイルを添付したメールを 100名のNotesユーザーに送る例で比較 【DAOS無効】 • 送信者のNotesは、サーバー上のmail.boxに添付付きのメール文書を転送 • メールルーターは100名のメールボックスに添付付きのメール文書を格納 • ディスクの容量を（1MB x 100名 =）100MB消費 【DAOS有効】 • 送信者のNotesは、サーバー上のmail.boxに添付付きのメール文書を転送 • DAOSがNSFからファイルオブジェクト（添付ファイル）を剥がし、DAOSレポ ジトリにDAOSオブジェクト（NLOファイル）として格納、ファイルオブジェク トの代わりにDAOSオブジェクトへの参照情報を格納 • メールルーターは100名のメールボックスにファイルオブジェクトのないメール 文書を格納 • ディスクの容量を1MB消費 ファイル99個分の容量を節約!!
5. DAOSのメリット • 文書から剥がされた添付ファイルの見た目が変わらない • 転送処理のパフォーマンス改善 • アプリケーション（NSFファイル）の物理サイズの縮小 • ディスクへの書き込みI/O削減 • ディスクスペースの節約 • バックアップ容量と時間の削減 • Compactタスクの実行時間短縮 • 複製・メール転送・サーバー上のDBへの文書保存の時間短縮
6. DAOSの注意点 • NSFファイルの論理サイズがアプリケーション・サイズの制限 値をこえた場合、NotesクライアントやDAOSが有効でない Dominoサーバーではそのレプリカを完全な形で保持できない • NSFファイルとDAOSオブジェクトが分離することで、バック アップからのリストアに手間がかかる場合がある
7. 転送処理のパフォーマンス改善 内容が同じ添付ファイルが既に転送先のDominoサーバーのレポ ジトリに存在する場合、添付ファイルを転送しない。 次のような処理のパフォーマンス改善が見込める • 文書の保存 • 複製処理 • メールの転送 サーバーから他のサーバーへの転送 Notesクライアントからサーバーへの転送
8. 添付ファイルあり文書の保存 App1.nsf DAOS レポジトリ Domino Notes 添付ファイルあ りの文書を保存
9. ファイルをDAOSレポジトリへ App1.nsf DAOS レポジトリ 文書から添付ファイルを剥 がしレポジトリへ移動 Domino DAOS レポジトリ の DAOS オブジェクトへの参照情報 DAOSオブジェクト （NLO ファイル）
10. (同じ)添付ファイルあり文書の保存 App2.nsf DAOS レポジトリ Domino Notes 文書を保存 同じファイルがDAOSレポ ジトリにあるためファイル を転送しない App1.nsf
11. 複製 App1.nsf DAOS レポジトリ Domino A App1.nsf DAOS レポジトリ Domino B 複製 複製相手のレポジトリに同じファイルが なければファイルも複製、あればファイルを複製しない
12. メールの転送 Mail.box Notes Mail.box DAOS レポジトリ Domino メールサーバーのレポジトリに同じファイルが なければファイルも転送、あればファイルを転送しない 文書から添付ファイルを剥 がしレポジトリへ移動 メール転送
13. サーバーの DAOS有効化 サーバー文書と個々のアプリケーションで設定します
14. 有効化（サーバー文書） DAOSの有効化
15. 有効化（サーバー文書） DAOSの設定
16. 有効化（サーバー文書） トランザクションログの有効化
17. 有効化（サーバー文書） トランザクションログの有効化
18. DAOS Manager Domino サーバー起動時 コマンド「show tasks」投入時
19. 初回起動時に自動作成されるファイル daos.cf2 : DAOSベースパス配下のサブディレクトリの管理台帳。（内容はcsv形式） daoscat.nsf : NLOを参照するすべてのNSFのリストと存在するすべてのNLOと、それらが存在す るサブディレクトリのリスト
20. 見積ツール 添付したすべてのファイルをDAOSオブジェクトにせず、DAOSオブジェク トにする最小サイズを求める 「DAOS Estimator」のリプレース版
21. 「DAOSTune Estimation Tool」を My HCLSoftware からダウンロード
22. DAOSTune Estimation Toolの実行 (Windowsの場合) • ダウンロードしたdaostune.exe をDominoプログラムディレク トリへ保存 • Dominoコンソールから「load daostune」を投入
23. NDDocs.nsf だけを対象に DAOSTune Estimation Tool を実行した場合の出力結果 現在の最小サイズは「# <」で示される 推奨値が「*」で示される
24. 80/20 ルールを推奨 80/20ルール： すべての添付ファイル数の20%をDAOSオブジェクトにすることでアプリケーション の物理サイズを80%削減すること
25. アプリケーションの DAOS有効化 サーバーで有効化するだけではなく、必要な個々のアプリケーションでも 有効化します
26. データベースのプロパティ（有効化前） ODSバージョンが48以上 コピー圧縮コマンドで有効化
28. コピー圧縮コマンドでDAOSを有効化
29. Compact –c –daos on 実行後、 「DAOSを使う」にチェックが付く 実行後 コピー圧縮実行前 コピー圧縮実行後
30. サイズの変化：プロパティのDisk space は変化なし、OS上のサイズに変化あり DAOS有効化前 DAOS有効化後 実行後、ほぼ変化なし（論理サイズ) DAOS有効化後（OS上のファイル一覧）
31. 管理クライアントの「ファイル」タブに ３つのサイズ
32. DAOSレポジトリ
33. DAOSの進化 暗号化、Tier2ストレージ
34. ファイルオブジェクトの暗号化 （旧バージョンの場合） • ファイルオブジェクトの暗号化キーとしてサーバーIDを使用 • 複数のDominoサーバーからバックアップしたNLOファイルを リストアする際、他のサーバーでバックアップしたNLOを使用 したいとき暗号化をオフにしていると都合がよい • 暗号化をオフにするにはnotes.iniパラメータでの設定が必要
35. ファイルオブジェクトの暗号化（現在） • 暗号化キーとして共有暗号化キーも指定可能 • 共有暗号化キーで暗号化したNLOは、同じ共有キーを使用する 他のサーバーでバックアップしたものをリストア可能 • 暗号化のオン/オフをサーバー文書で設定可能
36. Tier 1 と Tier 2 • Tier1 : NSFから剥がしたファイルオブジェクトの最初の格納先 • Tier2 : 指定した日数参照されないファイルの移動先（S3互換 のストレージ：Domino 11以降）
37. 進化の詳細はブログをチェックしてね • DAOS tier 2 ストレージ https://harunakano.blogspot.com/2019/12/daos-tier-2.html • DAOS がさらに使いやすくなるかも https://harunakano.blogspot.com/2021/01/daos.html • V12 DAOS拡張 https://speakerdeck.com/harunakano/hcl-domino-v12-daos-kuo- zhang
38. V14以降の改善点 DAOSはまだまだ進化してます!!
39. 修復オプション • 単一の .nlo ファイルの修復 .nlo ファイルが存在しないかどうかをチェックし、必要に応じて修復で きるようになりました。このコマンドは、バックアップからデータベー スを復元する場合などに便利です。 • データベースのすべての .nlo ファイルの修復 この新しいバリエーションは、特定のデータベースにアタッチされてい る各 .nlo ファイルをチェックし、必要に応じて修復します。このコマン ドは、データベースをバックアップからリストアする場合に便利です。 • .nlo ファイルの動的修復 ファイルが存在しないために .nlo の読み込みに失敗した場合、動的に修 復が試みられます。 ※修復は、クラスタメイトのDomino（「ドナー」と呼称）からコピーすることで実現可能
40. 管理クライアントの[ファイル]タブに 「DAOS Tier2 全文索引」列？ 詳細は不明、以下から機能概要を確認できます https://help.hcl-software.com/domino/14.5.0/admin/admn_creatingandupdatingfulltextindexesforsingledataba_t.html
41. スライドの最後