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予測できない時代に学ぶ「クラウドネイティブ」にまつわる誤解と本質

Kazuto Kusama
February 09, 2023

 予測できない時代に学ぶ「クラウドネイティブ」にまつわる誤解と本質

2022年12月8日に開催された、ITmedia Cloud Native Week 2022 冬の基調講演でお話した資料です。

Kazuto Kusama

February 09, 2023
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Transcript

  1. 今日のは何を目的に参加されましたか? • クラウドネイティブに興味があるから • 既にクラウドネイティブ技術を活用していて効果が出ている ⇒ 是非、続けてください • 流行っているから •

    そろそろうちもクラウドネイティブとやらを検討しないといけないから • これからはクラウドネイティブが主流になるんでしょ? ⇒ ちょっと気をつけたほうがいいかも
  2. 何故、今日ここで話しているのか 2012 2014 2017 2019 2021 2015 2013 2016 2018

    2020 国内の通信事業者で PaaSの開発を担当 6月 Kubernetes発表 9月 日本で最初の Kubernetes勉強会開催 11月 Kubernetes解説記事掲載 Docker登場。 PivotalのMatt Stine氏に よりクラウドネイティブの 概念が提唱される CNCF設立 国内最大のクラウドネイ ティブ技術カンファレン ス、CloudNative Daysの Co-Chairに就任 Pivotal入社。PaaSと クラウドネイティブ 技術の推進に携わる HashiCorp入社。IaCやゼ ロトラストセキュリティ の推進に携わる 今日はお呼ばれしてここで話しているんで すけど、自分はこれまで 10年以上クラウド やクラウドネイティブ技術に携わってきまし た。その知見を元にお話したいなと思いま す。
  3. こういう質問をよく受けます うちはAWSオンリー なんだけど、 Kubernetes使った方が 良いの? コンテナのほうが 良いのかな・・・ VMじゃダメ? オンプレやめて全部 クラウドにしました。

    これでクラウドネイティ ブだよね? ベンダーがクラウド ネイティブ製品売り込んで きてるんだけど、やっぱりそう いうの買った方がいい? そういう背景もあるので、よくこういう質問を うけます。
  4. こういう質問をよく受けます うちはAWSオンリー なんだけど、 Kubernetes使った方が 良いの? コンテナのほうが 良いのかな・・・ VMじゃダメ? オンプレやめて全部 クラウドにしました。

    これでクラウドネイティ ブだよね? ベンダーがクラウド ネイティブ製品売り込んで きてるんだけど、やっぱりそう いうの買った方がいい?
  5. クラウド (パブリック・プライベート・ハイブリッド ) App App App これはクラウドネイティブ? オンプレ App App

    App Lift & Shift これはクラウドネイティブじゃないですよね。 Lift & Shiftって言ったりしますけど、その Lift をしたにすぎません。
  6. クラウドネイティブ アーキテクチャ クラウドネイティブ アプリケーション クラウド (パブリック・プライベート・ハイブリッド ) App App App

    クラウドネイティブ◦◦ クラウドネイティブは形容詞なので、その後に「アプ リケーション」だったり「アーキテクチャ」という言葉 が続きます。 クラウドネイティブアプリケーションがあって、それを 構成する仕組みがクラウドネイティブアーキテクチャ という関係性です。
  7. NISTによるクラウドコンピューティングの定義 クラウドの基本的な特徴 • オンデマンド・セルフサービス • 幅広いネットワークアクセス • リソースの共用 • スピーディな拡張性

    • サービスが計測可能であること https://www.ipa.go.jp/files/000025366.pdf ちょっと古いんですけど、 NISTというところ がクラウドコンピューティングの定義を公開 しています。
  8. NISTによるクラウドコンピューティングの定義 クラウドの基本的な特徴 • オンデマンド・セルフサービス • 幅広いネットワークアクセス • リソースの共用 • スピーディな拡張性

    • サービスが計測可能であること https://www.ipa.go.jp/files/000025366.pdf 使った分だけ課金 低い初期費用 スケールしやすい 運用を肩代わり リソースの 調達が早い 表現を変えると、こういったものがクラウド のメリットといえるでしょう。
  9. NISTによるクラウドコンピューティングの定義 クラウドの基本的な特徴 • オンデマンド・セルフサービス • 幅広いネットワークアクセス • リソースの共用 • スピーディな拡張性

    • サービスが計測可能であること https://www.ipa.go.jp/files/000025366.pdf 使った分だけ課金 低い初期費用 スケールしやすい 運用を肩代わり リソースの 調達が早い APIでコントロール出 来る ただそれよりも何よりも、 APIでコントロール できるというのがクラウドの最大の特徴だと 思っています。
  10. こういう質問をよく受けます うちはAWSオンリー なんだけど、 Kubernetes使った方が 良いの? コンテナのほうが 良いのかな・・・ VMじゃダメ? オンプレやめて全部 クラウドにしました。

    これでクラウドネイティ ブだよね? ベンダーがクラウド ネイティブ製品売り込んで きてるんだけど、やっぱりそう いうの買った方がいい?
  11. クラウドネイティブ技術 クラウドネイティブ アーキテクチャ クラウドネイティブ アプリケーション クラウド (パブリック・プライベート・ハイブリッド ) App App

    App クラウドネイティブ◦◦ コンテナ、サービスメッシュ、マイクロサービス、 イミュータブルインフラストラクチャ、etc… さっきの例で言うと、クラウドネイティブアプリケー ションやアーキテクチャを実現するために、クラウ ドネイティブ技術が存在するわけですね。
  12. ChatGPT 対話に特化した言語モデル。 テキストで質問するとAIが回答 を表示する。 一見人間と見分けが付かないほ どの自然な文章を生成できる。 左の動画はクラウドネイティブ 技術による影響や、取り組み方 について質問してみた例。 本公演の僅か1週間前にリリー

    スされた この講演は2022年の12月上旬でしたが、直前に ChatGPTが登場して度肝を抜かれました。技術的な質問 を投げかけてみて、正確なレスポンスが返ってくることをデ モしました。 クラウドネイティブについて、自分なんかの話を聞くよりも ChatGPTに聞いて見たほうが早いんじゃないですかね () 画像生成AIに対しては『すごい時代がきたもんだ』と対岸 の火事のような感覚でしたが、 ChatGPTは『ひょっとすると 数年後に自分の仕事は不要になっているかもしれない』と 考えてしまうほど、インパクトのあるものでした。
  13. Latency Numbers Every Programmer Should Know https://gist.github.com/jboner/2841832 上司の許可取ってサーバー 1台構築 259,200,000,000,000 ns

    もしあなたが上司の許可を取ってクラウドにサー バーを構築する場合、このくらい時間がかかるわ けです。文字通り、桁が違う。
  14. 人間を挟まない 仕組み作り API API API API API API API API

    API API じゃあどうすればいいかというと、人間の関与を無 くせばいいわけです。そうすると、コンピューターの タイムスケールで物事が進むようになります。
  15. こういう質問をよく受けます うちはAWSオンリー なんだけど、 Kubernetes使った方が 良いの? コンテナのほうが 良いのかな・・・ VMじゃダメ? オンプレやめて全部 クラウドにしました。

    これでクラウドネイティ ブだよね? ベンダーがクラウド ネイティブ製品売り込んで きてるんだけど、やっぱりそう いうの買った方がいい? そう考えると、よく言われるこれらの質問は
  16. こういう質問をよく受けます うちはAWSオンリー なんだけど、 Kubernetes使った方が 良いの? コンテナのほうが 良いのかな・・・ VMじゃダメ? オンプレやめて全部 クラウドにしました。

    これでクラウドネイティ ブだよね? ベンダーがクラウド ネイティブ製品売り込んで きてるんだけど、やっぱりそう いうの買った方がいい? 些末な問題
  17. Value Stream Mapping アイディア 分析 リリース 設計 リリース 判定会議 品質判定

    会議 テスト UAT コード レビュー Production デプロイ 開発 Staging デプロイ パフォーマ ンステスト LT: 2d / PT: 1d LT: 3d / PT: 2d LT: 4d / PT: 3d LT: 1d / PT: 4h LT: 1d / PT: 2h LT: 1d / PT: 6h LT: 7d / PT: 1h LT: 1d / PT: 2h LT: 1d / PT: 6h LT: 10d / PT: 1h LT(リードタイム): 31日 PT(プロセスタイム): 8.75日 Value Stream Mappingを描いてみるといいでしょう。成果 を出すための一連のプロセスで、それぞれどれだけ時間 がかかっているかを書き出します。 PT=実際に手を動かし ている時間、LT=待ち時間含めて要した時間
  18. Value Stream Mapping アイディア 分析 リリース 設計 リリース 判定会議 品質判定

    会議 テスト UAT コード レビュー Production デプロイ 開発 Staging デプロイ パフォーマ ンステスト LT: 2d / PT: 1d LT: 3d / PT: 2d LT: 4d / PT: 3d LT: 1d / PT: 4h LT: 1h / PT: 0.1h LT: 1d / PT: 6h LT: 7d / PT: 1h LT: 1h / PT: 0.1h LT: 1d / PT: 6h LT: 10d / PT: 1h LT(リードタイム): 31日⇒29日 PT(プロセスタイム): 8.75日⇒8.25日 コンテナ技術を導入することによって、これらのフェーズの LTとPTを削減できました。 累計のLTは2日、PTは0.5日短縮できました。 ・・・なんかしょぼくない? どうして? よく見ると、もっとなんとかすべき項目がありそうです。
  19. Value Stream Mapping アイディア 分析 リリース 設計 リリース 判定会議 品質判定

    会議 テスト UAT コード レビュー Production デプロイ 開発 Staging デプロイ パフォーマ ンステスト LT: 2d / PT: 1d LT: 3d / PT: 2d LT: 4d / PT: 3d LT: 1d / PT: 4h LT: 1h / PT: 0.1h LT: 1d / PT: 6h LT: 7d / PT: 1h LT: 1h / PT: 0.1h LT: 1d / PT: 6h LT: 10d / PT: 1h LT(リードタイム): 31日⇒29日 PT(プロセスタイム): 8.75日⇒8.25日 クラウドネイティブ技術より、 会議をなんとかすべきでは?
  20. Value Stream Mapping アイディア 分析 リリース 設計 テスト UAT コード

    レビュー Production デプロイ 開発 Staging デプロイ パフォーマ ンステスト LT: 2d / PT: 1d LT: 3d / PT: 2d LT: 4d / PT: 3d LT: 1d / PT: 4h LT: 1h / PT: 0.1h LT: 1d / PT: 6h LT: 1h / PT: 0.1h LT: 1d / PT: 6h LT(リードタイム): 31日⇒14日 PT(プロセスタイム): 8.75日⇒8.5日 要らない会議を無くすことで、 LTを17日も短縮することが できました。半分以下! まさに劇的な効果
  21. DX デジタイゼーション 会議 リモート 会議 デジタルトランスフォーメーション 会議 リモート 会議 クラウドネイティブ思考

    クラウドネイティブ思考に則り、人間の関与を無くすためにそもそもの会 議を無くすこと。これこそが、 真のデジタルトランスフォーメーション といえ るのではないかと。