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滑空スポーツ講習会2024(実技講習)EMFT学科講習 参考資料/JSA EMFT 2024 ...

滑空スポーツ講習会2024(実技講習)EMFT学科講習 参考資料/JSA EMFT 2024 Appendix

滑空スポーツ講習会2024(EMFTオンライン学科講習/EMFT実技講習)
http://www.japan-soaring.or.jp/2024jsaemft/
公益社団法人日本滑空協会

講師 公益社団法人日本グライダークラブ 櫻井 玲子

JSA seminar

June 16, 2024
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Transcript

  1. Emergency Maneuver Flight Training 2024/6/16 本資料の作成に当たり、ご協力及びご助言をいただきました皆様に深く感謝申し上げます。 ・中部日本航空連盟岐阜支部 佐藤 文幸様 :

    滑空機性能計算ツールの作成と提供 ・九州大学大学院工学研究院航空宇宙工学部門 東野伸一郎様: 滑空機の航空力学に関する監修及び助言 EMFT学科講習会 内容 参考資料 1. 失速のメカニズム 2. スピンのメカニズム 3. 失速・スピンの兆候と回避 4. 空間識失調とサブG感覚 5. 空中衝突 6. 低酸素症(ハイポキシア) 7. 飛行の根拠「滑空機計算ツール」 8. 滑空機安全啓発動画 本編 1. 滑空機重大事故統計 2. 滑空機重大事故事例 3. ヒューマンファクター 4. Threat & Error Management (TEM) 5. 重大事故ケーススタディ 6. EMFT実技実施要領 7. 航空安全のために 2
  2. Emergency Maneuver Flight Training グライダーはなぜ飛ぶか? グライダーの下向き重力を支えるために、揚力が必要 2024/6/16 翼が揚力を発生するのは、空気の循環が翼に発生するため 揚 力

    重 力 揚力式 L=(1/2ρV2) SCL 抗力式 D=(1/2ρV2) SCD 動圧 主翼まわりに空気が流れなければ、 揚力は発生しない。 機体正面から気流が当たらなけれ ば、設計上想定された揚力を発生 することができない。 私たちは重力に逆らって飛んでいる! 4
  3. Emergency Maneuver Flight Training 何がグライダーを滑空させるか? 水平直線滑空飛行=加速・減速がない一定の速度で飛行している滑空飛行 Wsinθ(重力の飛行方向成分)=D(抗力) Wcosθ=L(揚力) 重力W=mg(質量x重力加速度) 重

    力 ・揚力は相対風に直角に発生する。 ・重力の飛行方向成分(Wsinθ)がグライダーを滑空させる。 ・抵抗の大きなグライダーは、滑空角θが深くなる。 2024/6/16 揚力Lと抗力Dの合力 滑空角θ Wcosθ L=1 2 𝜌𝑉2𝑆𝐶𝐿 = 𝑛𝑚𝑔cosθ W n=荷重倍数 5
  4. Emergency Maneuver Flight Training 機体姿勢と迎え角(ウィンチ曳航中) 通常の速度でのウィンチ上昇 迎え角:小さい 低速でのウィンチ上昇 迎え角:大きい 進行方向

    進行方向 迎え角 迎え角 機体の姿勢や速度計からは、どれくら い失速に近づいているかわからない。 FAA Glider Flying Handbook 迎え角=飛行方向(相対風)と 翼弦線の角度 翼弦線 2024/6/16 6
  5. Emergency Maneuver Flight Training 2次元翼の失速 失速飛行 迎え角の増加 ↓ 抗力の増加 揚力の減少

    定常飛行 迎え角の増加 ↓ 揚力の増加 抗力の増加 2次元翼では失速は迎え角のみによって決まる。どんな姿勢または速度 でも臨界迎え角を超えれば失速する。 2024/6/16 揚力係数CL と抗力係数CD は、迎え角、翼型の形状、レイノルズ数の影響を表すもの。 翼の単位面積あたりの揚力と抗力。その翼型の特徴を表している。機体固有の値。 7
  6. Emergency Maneuver Flight Training 翼型と失速特性 高速翼型 中速翼型 ・低いClとCd ・小さめの迎え角で失速する。 ・失速迎え角付近でClが急激に下がる

    ・前縁半径が大きい、大きなキャンバー、 翼厚が大きい ・大きいCLとCd ・失速迎え角付近は揚力係数勾配が なだらかに下がる。 2024/6/16 Cl Cl 迎え角 迎え角 8
  7. Emergency Maneuver Flight Training 3次元翼の失速 揚力式 L=(1/2ρV2) SCL 抗力式 D=(1/2ρV2)

    SCD 空気密度:ρ [kg/m3] 相対速度:V [m/s] 翼面積 :S [m2] 揚力係数:CL (無次元) 抗力係数:CD (無次元) 揚力: L [kg] 抗力:D [kg] 動圧 パイロットが変えられる要素は何か? 機体の発生する総揚力<機体重量 の時 機体重量を支えられなくなる ↓ 失速する L W 機体の発生する総揚力 重力≒機体重量 2024/6/16 9
  8. Emergency Maneuver Flight Training 単座グライダーのスピン特性 ・安定性よりも操縦性を重視している。 ・スティック操作がすぐに姿勢の変化に反映される。 ・ソアリング等で低速で飛ぶことが多い。 ・高速翼型で翼が薄い。最大揚力係数から急激に揚力が減少する。 ・翼のねじり下げを抑えてある。

    ・スキッドからだけでなく、ウィングドロップによるスピンも入り易い。 2024/6/16 Cl 高速飛行時、翼端にねじり下げがあると、 下向き揚力を発生し、翼が下向きに曲げら れ、抵抗が増えることがある。 10
  9. Emergency Maneuver Flight Training 失速速度が増加する要因 • 機体そのものの重量の増加 搭乗者・バラスト・荷物・水バラスト・燃料 • 高荷重がかかる操作

    旋回・高速引き起こし・アクロ・ウィンチ索の張力 • フラップ位置 フラップDOWNからUP→キャンバーが減る→揚力係数・抗力係数の低下 • 抗力の増加 翼面のバグ・エアブレーキ・フラップ・エンジン・着氷 • 外部要因 ガスト・ウィンドシアー・ウィンドグラディエント • 密度高度 高高度、高温、多湿→低高度では温度の影響が大きい 2024/6/16 https://www.quora.com/Why-does-an-airplane-stall-at-a-higher- airspeed-with-gear-and-flaps-up-than-with-gear-and-flaps-down フラップDOWN フラップUP 11
  10. Emergency Maneuver Flight Training 失速速度と重心位置(CG)の限界 CG位置 ・迎え角とCG位置は関係ない。エレベーターの効果に影響する。 ・失速速度の定義 気流の剥離(主翼の失速)または縦方向のコントロールを失う(尾翼の失速) のどちらか。

    ・エレベーターの安定効果は表面を通過する気流の速さとエレベーターの制御能力で決まる。 CG位置が前方に移動すると速度を保つためにエレベーター操作量が多く必要。 限界までいくと主翼は失速していなくても機首は下を向く。 CGが前方限界 ・尾翼の制御能力の限界。 ・水平安定板とエレベーターの大きさを、すなわち旋回時に十分な力をエレベータが発生するように決定される。 CGが後方限界 ・失速速度は気流の剥離やバフェットなどの主翼の空力上の限界で設定。 ・安定性の限界。グライダーが十分な縦安定性を有してスピンからの回復に問題がないように決定される。 2024/6/16 15
  11. Emergency Maneuver Flight Training 重心位置の影響 前方重心の特長 ・縦安定性が増す ・失速から回復しやすい ・高速飛行に適する 前方限界を超えると

    ・着陸時の引き起こし操作不能 後方重心の特長 ・縦安定性が減る ・操縦性が増す ・低速飛行に適する 後方限界を超えると ・失速からの回復不能 重心 前方限界 後方限界 機首下げ傾向 機首上げ傾向 2024/6/16 16
  12. Emergency Maneuver Flight Training 運動包囲線図と失速の関係 すべて失速に 近づく操作 ← ス テ

    ィ ッ ク を 引 く 操 作 → ス テ ィ ッ ク を 押 す 操 作 スティックを引く操作 ・減速 ・+Gをかける 2024/6/16 17
  13. Emergency Maneuver Flight Training 運動による荷重倍数(Load Factor) 日本航空技術協会 飛行機構造 n=3 n=2

    n=1 n=1 n=2 n=3 荷重倍数 揚力=飛行機の重量 x 荷重倍数n ・Gがかかった時に主翼にかかる力は水平飛行時のn倍 ・パイロットにも体重のn倍の力が作用するので、+Gでは座席に押しつけられる感じ、 -Gでは、放り出されるような感じがする。 2024/6/16 エレベーター引く Positive G (+) エレベーター押す Negative G (-) 18
  14. Emergency Maneuver Flight Training 荷重倍数の増加要因(旋回) 重力 1000kg 重力 1000kg 有効翼面積はバンク60度の場合、水平飛行の半分しかない。

    単位翼面積は通常の荷重の2倍を支えなければならない=2G バンク60度では水平時と同じ速度60km/hで飛行している場合、2Gの時の迎角は1Gの 時の2倍必要になるので、失速迎角を超えてしまう。 1Gの時の失速速度=60km/hの時、 2Gの時の失速速度=60km/h x √2=85km/h バンク60度 60km/h 60km/h 1G 2G 2024/6/16 19
  15. Emergency Maneuver Flight Training 旋回中の荷重倍数と失速速度 FAA Pilot's Handbook of Aeronautical

    Knowledge 水平飛行中の失速速度をVs とすると W = L = ½ ρCL SVs2 Vs = √(2W/ρSCL ) 旋回飛行中の失速速度をVSθ とすると W = L cosθより VSθ = √(2W/ρSCL cosθ) = √cosθ 1 ×Vs 荷重倍数n=L/W または n=1/cosθ 2024/6/16 バンクをつけただけでは失速速度は増えない! 20
  16. Emergency Maneuver Flight Training 荷重倍数の増加要因(突風) 上昇気流 風速U 迎え角の増加 -迎え角の増加 速度V

    風速U 相対速度V 静かな大気中を飛行してきた機体が風速Uの上昇気流に突入すると、主翼にあ たる気流の向きが変わる。 迎え角が増えて主翼の揚力を増し、機体全体は上方へ押し上げられる。 機体各部には正の荷重倍数がかかる。 2024/6/16 21
  17. Emergency Maneuver Flight Training 荷重倍数の増加要因(高速からの引き起こし時) 旋回を垂直に行っている状態。 引き起こしの運動をすると、機体の各部に は重力の他に円運動をするための遠心力 が働く。 揚力は重力の他、遠心力の分も支えないと

    いけないので、大きな荷重がかかる。 FAA Pilot Handbook 揚力 重力 遠心力(向きを変えることによって感じる慣性力) 下記の時、荷重倍数が大きい ・引き起こし半径が小さい ・高速度 揚力=重力+遠心力 L = W + 2024/6/16 22
  18. Emergency Maneuver Flight Training 荷重倍数の増加要因(ウィンチ索の張力) BGA Instructor’s Manual 揚力 索の張力

    重量 抗力 100km/hで上昇中 合力 曳航初期上昇径路角45° 索角 5°100km/hで上昇中には 重量(重力)の 1.63倍の上向き 合力Ra(揚力とほぼ同じ強さ) が発生することで力が釣合う。 定常滑空時の1.63倍の 揚力が発生している 。 その時の迎え角は定常滑空 時よりやや大きい 。 100km/h定常滑空時は 4°とすると、 約7.5°。 水平飛行での失速速度60km/h 曳航中の失速速度 = √1.63VS1 ≒1.3 VS1 1.3x60km/h=78km/h 2024/6/16 23
  19. Emergency Maneuver Flight Training ウィンド・グラディエントと低空旋回 デレック・ピゴット著 「滑空工学入門」より出典 風速 10m/s 風速

    5m/s 風速 13m/s 風下への旋回 風上への旋回 グライダーは翼幅が大きく、ロールの運動性がやや悪い。急旋回では上の翼は下の 翼の高さより10m以上高くなる。 ウィンド・グラディエントのために上の翼にあたる気流の速度は下の翼より大きい。 バンク角が深くなる傾向が強くなる。特に地面近くは、傾きの修正が難しくなる。 対気速度 90km/hでの旋回 より大きな揚力 より大きな揚力 より少ない揚力 より少ない揚力 水平にしやすい 水平にしにくい 翼端対気速度 108km/h 翼端対気速度 80km/h 翼端対気速度 72km/h 翼端対気速度 100km/h 2024/6/16 25
  20. Emergency Maneuver Flight Training ASK 21 glider spin entry during

    Flight Test 2024/6/16 https://www.youtube.com/watch?v=yXH6XDxQdPY スピン一旋転にかかる秒数、自転中に機首が上下することを確認。 28
  21. Emergency Maneuver Flight Training スピンの特徴 翼が失速し、左右の翼の揚力と抗力が不均等であった場 合、失速迎角を維持しながら自転を継続している状態 スピン軸(自転軸) 2024/6/16 FAA

    Glider Flying Handbook 自転 スピンが持つ運動を持続する作用 失速時、機体の横安定性が失われる。 傾きを戻す力が弱まり、アドバースヨーを上まわる抗力が 発生するので、自転が持続する。 スピン初動では、自分が操作して いるわけではないのに、 「意図しない自転」が発生する。 スピン軸(自転軸) 29
  22. Emergency Maneuver Flight Training スピンとスパイラル BGA Flight Instructor Manual スピンの特徴

    スピン軸を中心に自転 ノーズダウン 旋回率大きい 低速 通常のG 非常に大きな降下率 スパイラルダイブの特徴 旋回(円弧) バンクは増大(結果的に安定) 旋回率はスピンより小さい すべてのコントロールは効く 高いG 2024/6/16 スピンとスパイラルの回復操作の 違いは? 30
  23. Emergency Maneuver Flight Training 重心位置とスピン BGA Instructor’s Manual / FAA

    Glider Flying Handbook 2024/6/16 前方重心 スピン初動後、スパ イラルダイブになる。 後方重心 フルスピンになる。 重心が後方限界を 超えている フラットスピン (回復不能) 31
  24. Emergency Maneuver Flight Training 2024/6/16 アクシデンタルスピンのメカニズム ・沈下に遭遇したため、普段より低い高度 で場周に入った ・第4旋回に左旋回で入った。 低高度でバンクをつけるのが怖かったの

    で、20度程度の緩旋回を行ったが、オー バーシュートしてしまった。 ・滑走路にアラインさせようとしたが、バン クをつけたくなかったので、無意識のうち に左ラダーを踏んでいたため、意図せずし てスキッド旋回となった。 遠心力 向心力 パイロットは旋回外側へ の力を感じる。 <スキッド旋回> バンク角に比べてラダーが多すぎる状態。 ノーズが旋回内側に向く(旋回率に比べてバンクが少なすぎ)。 揚力の水平成分(向心力)が遠心力より小さいので、旋回の外側 へ滑る。 32
  25. Emergency Maneuver Flight Training 左ラダーを踏んで外滑りを起こした場合 ①左ヨーにより、右翼は左翼より速く進む ②左にバンクする ③左に旋回し、左翼が下がること により、左翼の迎え角が増加する。 揚力

    揚力大 揚力小 移動速度大 移動速度小 揚力大 揚力小 ④左旋回で横滑りしながらノーズが下がるので、 エレベーターでノーズを上げようとすると、 左翼が先に臨界迎え角に達して失速する。 2024/6/16 33
  26. Emergency Maneuver Flight Training 左旋回スキッド中(左ラダー過多)の問題 2024/6/16 相対風が翼の正面から当たらな いため、揚力を発生させる方向 の気流の効果が減少する(翼端 方向の分力は揚力を生み出さな

    い)。このため、翼は通常より早 く失速する。 スキッド中は胴体が翼面の気流をブロックし て、内側翼の気流が減少するため、揚力が 減少し、内側翼が先に失速しやすくなる。 翼型が変わるので、翼の揚力・抗 力特性も変わる(本来の性能が出 ないかも)。 揚力発生を妨げる要因 34
  27. Emergency Maneuver Flight Training 臨界迎角前後のヨーイングの影響 左翼の方が迎え角が増え、抗力も増 加する。 エレベーターを引くと、左翼が先に失速し、 左右の揚力と抗力差のために、自転を続 ける。

    Cd 左翼>右翼・ Cl左翼<右翼 CdとCl 左翼>右翼 旋回中左ラダーを踏んで 左にバンクした場合 左ラダーを踏んだままエレベーターを引 き、左翼が先に臨界迎え角を超えた場合 左翼 右翼 左翼 右翼 Cd抗力 係数 Cl揚力 係数 Cd抗力 係数 Cl揚力 係数 臨界迎角 臨界迎角 リッチ・ストーウェル著 「緊急機動訓練(EMT)」より出典 2024/6/16 35
  28. Emergency Maneuver Flight Training 失速付近のエルロン使用の影響 デレック・ピゴット著 「滑空工学入門」より出典 失速付近で翼が傾いて下がるの を止めようとしてエルロンを大きく 使うと実際には翼端が失速しても

    っと左へ傾く。 失速付近で左翼が傾いて下 がるのを止めようとして右エ ルロンを使用 失速付近で左翼が傾いて 下がる 傾きを止めるために 右エルロンを使用 キャンバーが増えることにより、 失速を起こし、さらに左に傾く 失速付近の傾きの直し方は? 近代的なグライダーは翼端失速を防ぐ設計 2024/6/16 36
  29. Emergency Maneuver Flight Training スリップとスキッド 2024/6/16 スリップ旋回 ・バンク角に比べてラダーが足りない。 ・ノーズが旋回外側に向く。 ・旋回率に比べてバンクが大きすぎる。

    ・揚力の水平成分(向心力)>遠心力 ・旋回の内側へ滑る。 スキッド旋回 ・バンク角に比べてラダーが多すぎる。 ・ノーズが旋回内側に向く。 ・旋回率に比べてバンクが少なすぎる。 ・揚力の水平成分(向心力)<遠心力 ・旋回の外側へ滑る。 FAA Glider Flying Handbook スリップもスキッドも左右翼のアンバランスがある限り失速すればスピンに入りうるが、 スキッドの場合は自転と旋回方向が同じなため、スピンに入りやすく、スリップの場合 は、自転と旋回方向が逆なので、スピンに入るのにスキッドより時間がかかる。 スリップもスキッドもラダーを踏んでいる方向に自転する。 37
  30. Emergency Maneuver Flight Training 回復にトップラダーを使用する理由 迎角の減少 SSA Soaring Magazineより出典 ラダーを使用してスピン回転速度ベクトル(図中鉛直下向きのベクトル)の,大きな成分であるヨー

    イング角速度(図中Z方向ピンクの成分)をラダーを使用して減らすと、慣性力によるピッチアップ 力が減少する。この動きにより機首は下向きとなり迎え角は減少するため、エレベーターに気流 があたりやすくなり、エレベーターの効きが良くなる。 そのため回復操作は、トップラダー使用後、スティックフォワードの順番で行う。 迎角 速い回転 遅い回転 トップラダーを踏む→回転角速度ベクトルヨー成分の減少 速い回転 ↓ 遠心力大 ↓ ピッチアップ 遅い回転 ↓ 遠心力小 ↓ ピッチダウン 遠心力 2024/6/16 39
  31. Emergency Maneuver Flight Training 水平失速の定義と兆候 1G失速の兆候といわれる状況 ・ノーズ位置が通常より高い ・速度が遅いまたは減少している ・気流の音の変化 ・速度計の針が振れる

    ・バフェット ・エレベーター、エルロン、ラダーのレスポンスが悪い ・高い降下率 2024/6/16 BGA Flight Instructor Manual Q1 : 失速に近づいていることがわかる計器は何か? Q2 : 1G失速の兆候はスピンにもあるか? Q3 : スピンの兆候は何か? 42
  32. 3舵のコントロールする軸 エレベーター ピッチ軸 エルロン ロール軸 ヨー軸 ピッチ軸 ラダー ヨー軸 ロール軸

    ピッチ軸 1つの操縦系統を動かすと複数の軸の動きがある。 図:FAA Glider Flying Handbook 2024/6/16 単舵操作の段階で理解している必要がある。 43
  33. エレベーターの役割 ・エレベーターのコントロールする要素 ・ ピッチ ・迎え角 ・揚力 ・速度 ・荷重倍数 リッチ・ストーウェル著 「緊急機動訓練(EMT)」より出典

    「エレベーター=高度」 「エレベーター=上昇」 エレベーターの使用を間違えると、失速、構造破壊に直結する取り扱い 要注意の舵。 根拠のある時しか使用してはいけない!! 2024/6/16 46
  34. Emergency Maneuver Flight Training グライダーの最適な重心位置 DG HP「グライダーの最適な重心位置について」より グライダーは後方限界に近い位置では良 い性能は得られない。単にピッチとロール 方向のコントロールが非常に敏感となるだ

    け。また、パイロットは長距離飛行中に2L 程度の水分を失う(汗をかく)ことはありえ るので、飛行中に重心位置が許容範囲を 超えてしまい、すべてのコントロールが過 敏といえる状況になってしまうかも。 後方限界から30~35%前方の重心位置 を選択。このあたりが安全性の面からも性 能の面からも最適な位置。 2024/6/16 48
  35. Emergency Maneuver Flight Training スピンからの回復操作(飛行規程) 1. フル・トップラダー 2. エルロン・ニュートラル 3.

    フラップ・アップ 4. スティック・フォワード 5. 旋転がとまったら、ラダー・ニュートラル 6. 高速ダイブからのリカバリー これは、意図的にスピンを入れたらできる操作。 アクシデンタル・スピンの場合、ラダーを踏んでスピンに入っているという認識が そもそもないので、何が起こっているのかわからないのが現実。 スピンと認識できず、機体の挙動がおかしいと思ったらやるべきこと。 引いている操縦桿の力を緩め、エルロン・ラダーを中立にする。 それでも自転が止まらなかったら、トップラダーとスティックフォワード量を増やす。 (スピンがフラットな場合。多くのスティックフォワード量が必要) TWIN Ⅱ Spin Recovery 2024/6/16 49
  36. Emergency Maneuver Flight Training 失速・スピンからの回復時の注意 1. 引いている操縦桿を戻す 量はどれくらい戻せばよいのか? 2. 旋回を伴う高速ダイブからの回復時の速度、制限荷重超過

    3. スパイラルダイブへの転移 スピンとの違いは? 見分け方は? 回復方法の違いは? 4. 2次スピンへの転移 回復操作時に使ったトップラダーを中立に戻さなかった場合、急激にエレ ベーターを引いた時に再度失速し、反対側にスピンに入ることがある。 2024/6/16 50
  37. Emergency Maneuver Flight Training 人間の空間識 1. 視覚 3. 体性感覚 (筋肉、皮膚、関

    節より) 2. 内耳の感覚 脳内で情報の統合処理 空間中の位置把握 身体各部へ指令 http://code7700.com HPより(リンク切れ) 3次元空間の中でどのように自分の姿勢や方向を知るのか? 地上 重力の方向は、体の各部分によって感じること ができ、地球がどの方向にあるかがわかる。 空中 遠心力と重力の合力がGとなり、体の感覚が姿 勢指示器として役立たなくなる。 2024/6/16 53
  38. Emergency Maneuver Flight Training 内耳の働き FAA Pilot Handbook of Aeronautical

    Knowledge ①三半規管 回転角加速度検出 ロール・ピッチ・ヨーの動き 長時間一様な動きのあとのゆっくりした動きを感知することができない。 ②耳石器 直線加速度検出 上下・前後・左右の動き 重力と運動による加速度を区別することができない。 空間識失調 正常な感覚機能を有したパイロットの空間識が混乱した状態。 加速度による錯覚:地球に対する航空機の動きを正しく認知していない場合。 視覚による錯覚、体性感覚による錯覚、平衡感覚による錯覚などがある。 バーティゴ、飛行錯覚とも呼ばれる。 2024/6/16 https://www.skybrary.aero ①三半規管 ②耳石器 54
  39. Emergency Maneuver Flight Training 空間識失調の事故例 1983年 妻沼滑空場 機体:萩原式H-23C 前席:ファースト・ソロの練習生 機体損傷:大破

    パイロット:死亡 事故の概要 事故当日は雲が低く、今にも雨が 降りそうであった。 複座によるソロチェック後、パイ ロットはファーストソロでウィン チ曳航により発航したが、地上約 250mで雲に入った。 その後、機体が見えたときには垂直 急降下姿勢になっており、そのまま 地面に激突した。 約250m 雲に入る 運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成 2024/6/16 55
  40. Emergency Maneuver Flight Training Reduced Gにより空間識失調に陥りやすい状況 Derek Piggott著 「Sub-Gracity Sensation

    and Gliding Accident」より出典 ①乱気流やウィンドシアに遭遇し、機体が沈下して いる状態 ②失速からの回復時に過剰な機首下げをした状態 ③滑空中に機首下げをした状態 ④ウィンチ索切れからの回復時 ⑤スティックを押しすぎた時 2024/6/16 57
  41. Emergency Maneuver Flight Training 空間識失調防止の方法 1. 視覚情報の確保 視程が悪い、視野が狭い時に機械的にエレベーターを押す操作をしない 地平線との位置関係や計器の読みを確認しつつ丁寧な操作をする。 体の感覚だけで操作を行わない(根拠のある操作を行う)

    2. サブG環境への適応 複座によるトレーニングを行う。 サブG状態と失速状態の違いを認識し、正しい回復操作を理解する。 失速、ウィンチ索切れからの回復方法を正しく理解する。 2024/6/16 58
  42. Emergency Maneuver Flight Training 空中衝突 http://jeremy.zawodny.com/blog/archives/007288.html Mid-Air Collision of Glider

    and Jet near Reno: ASG-29 vs. Hawker XP800 Mid-Air Collision of Glider and Jet near Reno: ASG-29 vs. Hawker XP800 2024/6/16 http://www.express.co.uk 競技会中、グライダー同志の衝突 60
  43. Emergency Maneuver Flight Training 空中衝突の特徴 TC.GC.CA HPより 最近の米国における研究結果、下記の状況で空中衝突が発生している。 ・事故の37%で操縦教員が同乗。 ・多くは、ジョイフライト。

    ・VFR気象条件の週末の日中 ・管制塔のない空港、もしくはその近辺、高度は 1,000ft以下。 ・パイロットの経験レベルは関係なく、初単独飛行のパイロットから飛行時間 2万時間のパイロットまで含まれる。 ・日中の視界が5km以上の状況で発生している。 JAPA インストラクター ハンドブック 2024/6/16 61
  44. Emergency Maneuver Flight Training 人間の視野 BGA Instructor Manual 高解像度3D視野は3度しかない。 低解像度

    1D視野 低解像度 1D視野 右眼の視野 左眼の視野 水平視野は約200度 2024/6/16 62
  45. Emergency Maneuver Flight Training 人間の視野と死角 BGA Instructor Manual 前方視界 3D視野限界

    周辺視野限界 垂直視野 後方と真下は見えない 2024/6/16 63
  46. Emergency Maneuver Flight Training 人間の視機能の問題点 FAA Pilot Handbook of Aeronautical

    Knowledge https://www.nidek.co.jp/eyestory/eye_9.html 盲点(Blind Spot) 誰にも眼には見えない点がある。 Skybrary HPより Empty Field Myopia(空間仮性近視) コントラストがない空間を見ていると、焦点が自動的に手前に合ってしまうため、 他機を見つけにくくなる状態。 2024/6/16 64
  47. Emergency Maneuver Flight Training 機体設計上の死角 Signal Charlie HPより 左右、上下のクリアを確認することが重要!! 高翼、低翼などの航空機の設計上の違いから、パイロットの死角も機体に

    よって異なる事を理解する。 高翼機と低翼機のパイロットの死角 2024/6/16 https://www.premierflightct.com/newsletters/TrainingArticles/AvoidMidair.html 65
  48. Emergency Maneuver Flight Training 他機の見え方 Free Flight Aviation HPより 上方の機体

    青空ならば比較的見やすい。雲が 多いとバックの雲と区別しにくい。 同高度の機体 地平線上に見える。水平 飛行している機体は細く て見にくい。 下方の機体 地平線より下に見える。 市街地や雪山上空では 区別しにくい。 西日 向かうと見えにくい。 2024/6/16 67
  49. Emergency Maneuver Flight Training 69 衝突コース (Collision Course) Langley Flying

    Scheel HPより 相手機の見え方 他機の位置がお互いに止まって見えた ら、「衝突コース」にあるといえる。 BGA Manual 衝突コース(Hudson Midair Collision) 2024/6/16 69
  50. Emergency Maneuver Flight Training 過去の事故例(三重県桑名市衝突事故 2001年) 状況 回転翼アエロスパシアル式AS332L1型は、訓練飛行のため、名古屋空港を離陸し、民間訓練/試 験空域の中部近畿訓練空域1-1を飛行中であった。セスナ式172P型も、訓練飛行のため、約10分 遅れて名古屋空港を離陸し、同じ訓練空域を飛行中であったが、三重県桑名市上空において両機

    は衝突し、両機とも墜落し、搭乗者計6名全員が死亡した。 http://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/2002-8-JA4201-JA6787.pdf 原因 両機が同一訓練空域での訓練飛行を実施中、両機の教官及 び訓練生の見張りが不十分であったため、両機が接近し、衝 突、墜落したものと推定される。見張りが不十分であったため 相互に視認できなかったことについては、次に掲げる要因が 関与したものと推定される。 1.衝突約1分前から両機は衝突コースに入っており、接近する 相手機を発見しにくくなっていたこと。 2.回転翼においては、操縦練習の監督者である教官が訓練生 の操縦の監視に集中し、外部の見張りが疎かになったこと。ま た、回転翼の訓練生も、訓練に集中していたこと。 3.セスナの教官及び訓練生にとって、外部の見張りには高翼 機特有の主翼や窓枠がつくる死角、教官の場合は、それに加 えて訓練生によって生じた死角が影響したと考えられること、 また、教官及び訓練生とも、特有の死角に対処した適切な見 張りの方法をとっていなかった可能性があること。 2024/6/16 70
  51. Emergency Maneuver Flight Training 過去の事故例(三重県桑名市衝突事故 1997年) 対策:法制度の整備 全国の民間訓練試験空域の管理運用体制を変更した。 (1) 全国各地にある民間訓練試験空域47を細分化し119カ所とした。

    (2) 全国の民間訓練試験空域使用予定、使用状況等の情報を航空交通流管理センターを中心とし て管理するとともに関係機関間でデータ交換し情報の共有化を図る。 (3) 民間訓練試験空域使用に係る計画書は、航空交通流管理センター又はいずれの空港事務所で も受け付けることが可能。なお、運航者に対してはすべての民間訓練試験空域について、使用予定 等の情報を提供することが可能となる。 http://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/2002-8-JA4201-JA6787.pdf 2024/6/16 71
  52. Emergency Maneuver Flight Training 酸素システム 1.パルス・ディマンド(EDS) 高度に応じて自動的にパルスにより酸素のフローが決定される。 ~25,000ft 2.コンスタント・フロー 酸素フローは一定で常に流れる。飛行高度に合わせ手動で調整する必

    要がある。~25,000ft 3.ダイリューター・ディマンド 高度により呼吸時は自動的に酸素と外気の比率が 調整される。 酸素の割合が増して行き32,000ftでは100%となる。~35,000ft 4.プレッシャー・ディマンド 高々度での低い外気圧のため十分に肺に酸素を送るため+の圧力を かける。~45,000ft 2024/6/16 79
  53. Emergency Maneuver Flight Training EDSとコンスタントフロー酸素システム https://www.mhoxygen.com/ Pulse-Demand™ Electronic Delivery System

    (EDS) Portable Constant-Flow Systems カンニュラー 18000ftまで マスクタイプ 18000ft~30000ft Diluter Demand Pressure Demand 2024/6/16 80
  54. Emergency Maneuver Flight Training 低酸素症の事故例 2016年 福島エリア山中 機体:グラスフリューゲル式304CZ-17 機長:自家用操縦士 機体損傷:大破パイロット:死亡

    <事故の概要> 機長が発航前に酸素ボトル開閉弁 を開けることを失念したまま、 ウェーブにより25000ftに上昇。 低酸素症状態で意識が混濁する中 で急旋回に入り失速状態となった 後、乱気流帯を急降下したため、 機体の終局荷重を超過し、空中分 解した。 運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成 https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/AA2017-5-2-JA21BB.pdf 2024/6/16 81
  55. Emergency Maneuver Flight Training 酸素に関する注意 • フライト前に酸素ボトルの栓が開であることを確認する。 • 酸素ボトルの圧力を確認する。 (特に長時間、高高度を飛行する場合、人によって、容量が足りなくなる場合があ

    る。) • EDSのバッテリーテストの実施と予備バッテリーの携帯 • EDSは定期的にオーバーホールする。 • 酸素系統の漏れがないかをチェック • バックアップ・システム(コンスタントフロー、エマージェンシーボトル等)の準備 • 喫煙者は血液中の残留一酸化炭素のため、地上で既に5,000ftの高さにいる。 • 貧血症の人、風邪をひいている人、飲酒や二日酔いの人、疲労、抗ヒスタミン剤精神 安定剤鎮痛剤などを服用した人、炭酸飲料を飲んだ人は血液の酸素の運搬能力 が低下しているため、人より低い高度から低酸素症の症状が現れ、5,000 ftでも 発病する人もいる。 • 低酸素症を防ぐには酸素吸入装置を早めに用いればよい。 2024/6/16 82
  56. Emergency Maneuver Flight Training 7.飛行の根拠 「滑空性能計算ツール」 Special Thanks to Mr.

    F.Sato 2024/6/16 ▪作成者紹介 中部日本航空連盟 岐阜支部 佐藤 文幸 氏 1977年 福岡県生まれ 2002年~ 航空機の研究開発、飛行試験、型式証明審査業務に従事 37歳でグライダーを始める 中部日本航空連盟岐阜支部所属、自家用操縦士(上滑、動滑) 83
  57. Emergency Maneuver Flight Training 滑空性能計算ツール 1. 旋回時の沈下率 グライダーの旋回中の沈下率から、ソアリング旋回時に選ぶべき参考速度とバン ク角を知る。また沈下率とバンク角から180度旋回の失高を知り、離陸直後の索切 れ等で滑走路に逆進入可能かの判断材料とする。

    2. 風の中での滑空性能 グライダーが直線コースを飛ぶ際に、風向と風速(正対風、背風、横風など)が滑 空性能にどのような影響を与えるかを計算する。 3. 風の中での航跡 第3旋回及び第4旋回においてどの程度風に流されるのかの確認し、旋回開始の タイミングを知る。 4. 地上目標旋回 地上目標を取って正円を描く場合のバンク角とWCAを確認する。 2024/6/16 84
  58. Emergency Maneuver Flight Training 旋回中の沈下率 出典:佐藤文幸「旋回中の沈下率について」 2024/6/16 n n w

    w  = =   cos 1 cos 1 直線 旋回 旋回中の沈下率比= バンク角 荷重倍数n 沈下率比 30° 1.15 1.23 45° 1.41 1.67 60° 2.00 2.83 (注)この計算は基準のポーラーカーブの 精度に強く依存しており、また、旋回の曲 率により風が胴体に真っすぐに当たらな いこと、及び舵面を動かすことによる抵抗 増を考慮していないため、この結果を参 考程度にとどめること。 87
  59. Emergency Maneuver Flight Training TWIN Ⅱ 旋回中のポーラーカーブ 出典:佐藤文幸「旋回中の沈下率について」 2024/6/16 速度[km/h]

    -3 -2 -1 0 0 50 100 150 200 旋回中の沈下率[m/s] 基準のポーラーカーブ バンク20° バンク40° バンク60° 理論曲線(バンク0°) 理論曲線(バンク60°) 最大滑空比 最小沈下率 失速 理論曲線(0°) バンク角を増すと、沈下率は悪化し、速度を増さなければ失速するという実際の現 象を正しく再現できている。 定常旋回中に最小沈下率及び最大滑空比となる迎え角はそれぞれ直線飛行時と 同じであることが分かる。 ×は各バンク角の定常旋回において直線飛行時の失速時と同じ迎え角である点 ▲は同様に最小沈下率と同じ迎え角である点 ◦は同様に最大滑空比と同じ迎え角である点 88
  60. Emergency Maneuver Flight Training TWIN Ⅱ 旋回半径と沈下率 出典:佐藤文幸「旋回中の沈下率について」 2024/6/16 旋回半径[m]

    -3 -2 -1 0 0 50 100 150 沈下率[m/s] バンク20° バンク30° バンク40° バンク45° バンク50° バンク55° バンク60° 60° 55° 50° 45° 40° 30° 20° バンク角40~45度付近で旋回すると、旋回半径と沈下率が程よく小さくなる。 コアのみが強いタイプの上昇気流に対してソアリングの上昇速度のみを追求すると、失速(× のマーク)と隣り合わせになる可能性が高くなる(TWINⅡに限らず、他の機体でも同様)。 小さな旋回半径には、より速い速度と大きなCL値(迎え角)が必要。 重量が重いほど早く最大CL値に達してしまう。 旋回中は内側の翼がより低速で進むこと、及びエルロンの当て舵により旋回内側のエルロン付 近の迎え角が増え、図中の×よりも速い速度で失速が始まる。 90km/h 80km/h 105km/h 77km/h バンク0°の失速速度=75km/h 89
  61. Emergency Maneuver Flight Training 2024/6/16 沈下率 対気速度・対地速度 0 無風時のポーラーカーブを 風速分だけそれぞれ平行移動

    無風時のポーラーカーブ =対気速度のポーラーカーブ 向かい風時の ポーラーカーブ 追い風時の ポーラーカーブ 向かい風 追い風 追い風時の最大滑空比速度(対地) 向かい風時の 最大滑空比速度(対地) 追い風時に パイロットが選ぶべき速度 向かい風時に パイロットが選ぶべき速度 向かい風または追い風時の最大滑空比速度の求め方 91
  62. Emergency Maneuver Flight Training 2024/6/16 横風を考慮したポーラーカーブ 偏流修正角∠ WCA 風速Vwind 真

    針 路TH 、対 気 速 度 Vtas 真 航 路 TC 対地速度 GS コースに対する風向 ∠wind -5 -4 -3 -2 -1 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 対地速度[km/h] 昇降率[m/s] ポーラーカーブ(無風) ポーラーカーブ(風あり) 失速(無風) 失速(風あり) 最大揚抗比(無風) 最大揚抗比(風あり) 最大滑空比 図7 コースに対する横風30kt時のポーラーカーブ(TWINⅡ、最大重量、海面高度) 風力三角形 対気速度 対地速度 風 偏流修正角の取り方 92
  63. Emergency Maneuver Flight Training 2024/6/16 -6 -5 -4 -3 -2

    -1 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 対地速度[km/h] 沈下率[m/s] ポーラーカーブ(無風) ポーラーカーブ(風あり) 滑空経路(無風時) 風 風を考慮した最適滑空経路 最大揚抗比(無風) 最大揚抗比(風あり) 最大滑空比 風速の約半分を加算 正対風が40ktの場合の最適速度 約風速の半分である20ktを無風時の最 適速度(最大揚抗比となる速度)に足すと、 向かい風時の最適速度になります。それよ りも風速が弱い場合は足すべき風速の割 合が少なくなる。 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 対地速度[km/h] 沈下率[m/s] ポーラーカーブ(無風) ポーラーカーブ(風あり) 滑空経路(無風時) 風 風を考慮した最適滑空経路 最大揚抗比(無風) 最大揚抗比(風あり) 最大滑空比 最小沈下率速度へ接近 背風が40ktの場合の最適速度 背風の場合は、風が強くなると最適速 度は最小沈下率となる速度に近付く。 ポーラーカーブからわかること 93
  64. Emergency Maneuver Flight Training 2024/6/16 無風 10ktの風 20ktの風 30ktの風 40ktの風

    30° 20°    10° 正対風   10° 20° 30° 40° 140° 150° 160° 170° 背風  170° 160° 150° 140° 130° 130° 120° 110° 100° 90° 80° 70° 60° 50° 50° 60° 70° 80° 90° 100° 110° 120° 最良滑空速度 [km/h] 最良滑空比 1km区間の失高[ft] 実線:片道 点線:往復 (旋回は含まない) 真航路 TC 真航路TCに対する風向 40° 40kt 30kt 20kt 10kt 無風 50 20 100 40 150 60 200 80 250 100 300 120 350 140 50 20 100 40 150 60 200 80 チャート(TWINⅡ、530kg、高度2,000ft) 全方向の風に対する最大滑空比及び最適速度チャート チャートの左側には、1㎞あたりの 最小失高を実線で、その往復分を 点線で表示。 無風時の往復による失高は、片道 分の失高の2倍となる。 風がある場合は、風が強いほど往 復の失高は大きくなり、風が40kt の場合は片道分の失高の2倍では なく、3倍から4倍となる。 注意: このチャートが作成された場合、シー ト名を変更して保存すること。 そのまま保存すると、システムが動 かなくなる。 94
  65. Emergency Maneuver Flight Training 2024/6/16 地上目標旋回の計算結果からわかること ▪条件 風上側のクロスウィンドエントリー 高度1000ft(標準大気) 風速

    25kt 指示対気速度VIAS 100km/h ロールイン時のロールレート 5 deg/s ロールアウト時のロールレート 2 deg/s 99