Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
スマホゲームサーバーのしくみをしってみよう
Search
Takuma Kajikawa
October 29, 2018
Programming
5
15k
スマホゲームサーバーのしくみをしってみよう
【サポーターズCoLab勉強会】「スマホゲームサーバーのしくみをしってみよう」の登壇資料です。
Takuma Kajikawa
October 29, 2018
Tweet
Share
More Decks by Takuma Kajikawa
See All by Takuma Kajikawa
副作用と戦う PHP リファクタリング ─ ドメインイベントでビジネスロジックを解きほぐす
kajitack
3
510
Result型で“失敗”を型にするPHPコードの書き方
kajitack
5
1.1k
エラーって何種類あるの?
kajitack
5
420
try-catchを使わないエラーハンドリング!? PHPでResult型の考え方を取り入れてみよう
kajitack
3
730
ドメインイベントを活用したPHPコードのリファクタリング
kajitack
2
1.5k
例外処理を理解して、設計段階からエラーを「見つけやすく」「起こりにくく」する
kajitack
17
5.6k
デザインシステムを始めるために取り組んだこと - TechTrain x ゆめみ ここを意識してほしい!リファクタリング勉強会
kajitack
3
690
責務を分離するための例外設計 - PHPカンファレンス 2024
kajitack
13
2.9k
Figmaで進化するデザイナーとエンジニアの連携 FoF Tokyo 2024
kajitack
0
110
Other Decks in Programming
See All in Programming
MCP連携で加速するAI駆動開発/mcp integration accelerates ai-driven-development
bpstudy
0
220
オンコール⼊⾨〜ページャーが鳴る前に、あなたが備えられること〜 / Before The Pager Rings
yktakaha4
2
1.2k
Go製CLIツールをnpmで配布するには
syumai
2
1k
新しいモバイルアプリ勉強会(仮)について
uetyo
1
240
What's new in Adaptive Android development
fornewid
0
130
QA x AIエコシステム段階構築作戦
osu
0
220
知って得する@cloudflare_vite-pluginのあれこれ
chimame
1
130
Streamlitで実現できるようになったこと、実現してくれたこと
ayumu_yamaguchi
2
250
Prompt Engineeringの再定義「Context Engineering」とは
htsuruo
0
110
コーディングエージェント概観(2025/07)
itsuki_t88
1
470
はじめてのWeb API体験 ー 飲食店検索アプリを作ろうー
akinko_0915
0
180
テスターからテストエンジニアへ ~新米テストエンジニアが歩んだ9ヶ月振り返り~
non0113
2
250
Featured
See All Featured
Site-Speed That Sticks
csswizardry
10
730
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
140
7k
Agile that works and the tools we love
rasmusluckow
329
21k
Designing for humans not robots
tammielis
253
25k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
126
53k
Making Projects Easy
brettharned
117
6.3k
A Modern Web Designer's Workflow
chriscoyier
695
190k
How to Ace a Technical Interview
jacobian
278
23k
Building an army of robots
kneath
306
45k
Automating Front-end Workflow
addyosmani
1370
200k
Optimising Largest Contentful Paint
csswizardry
37
3.4k
Understanding Cognitive Biases in Performance Measurement
bluesmoon
29
1.8k
Transcript
スマホゲームサーバの しくみをしってみよう Takuma Kajikawa 2018/10/29 サポーターズ CoLab
梶川琢⾺ Takuma Kajikawa - 2016卒 - モバイルゲーム開発会社 - サーバーエンジニア 3年⽬
過去の発表 - MySQLの基礎 - DBテーブル設計入門 - オンラインゲームのしくみをしってみよう
もくじ - スマホゲームの特徴 - システム構成例と通信の流れ - ゲームの開発・運用で気をつけるべきこと
スマホゲームの特徴
スマホゲームのゲームサイクル - キャラ育成 → バトル/クエスト → キャラ育成 →.. - シングル
+ マルチプレイモード - マルチプレイではよりリアルタイム性が求められる
課金モデル - 無料 + アプリ内課金 - ガチャ、スタミナ回復、時短など - 高可用性が求められる -
ガチャが引きたい時に引けない… - せっかく時短したのにサーバー障害…
スマホゲームサーバの特徴 - 大量のアクセス - データ更新頻度が高い - ピーク時と平常時に求められる性能の差が大きい - メンテナンスをなるべくしない -
頻繁にコンテンツや機能の追加
データの特徴 - ユーザデータ - ユーザのレベルや所持アイテム、所持金など - マスタデータ - ゲームのステージやキャラなどの運営が管理するデータ -
ログデータ - KPI分析や障害調査
システム構成・処理の流れ
ゲームモードで変わるシステム構成 - アウトゲーム - キャラ育成、ガチャ、バトル開始、終了など - HTTP(S)通信 - Webアプリの構成に近い
ゲームモードで変わるシステム構成 - インゲーム(マルチプレイ) - バトル中の味方や敵の位置、攻撃、チャットなど - WebSocketやP2Pなどの双方向通信
API サーバー DB サーバー KVS サーバー Log サーバー LB アウトゲームのサーバー構成
CDN Asset サーバー
APIサーバ - リクエスト先はロードバランサによって決まる - 一般的なWebアプリのAPIと同じ構成 - Apache/Nginx - PHP/Java/Go など
APIサーバ - スケールアウト・スケールインを柔軟に - ピーク時と平常時に求められる性能の差が大きい - 機能ごとに分割したサーバーを用意することもある - 課金、認証、マッチングなど -
特定の機能に特化することで、開発に専念
データストア - DB (MySQLやPostgreSQLなど) - 永続化データ - KVS (RedisやMemcachedなど) -
キャッシュ、アクセス頻度が高く消えても問題ない - ログ(BigQueryなど) - 分析用のデータ
アセットサーバー - 静的ファイルの配信用のサーバー - 画像や音楽、3Dモデルなど - CDNでキャッシュさせる - 新バージョンだったらクライアントがリクエストする
アウトゲームの処理の流れ - 画面遷移時やデータ更新時にサーバーにリクエスト - サーバーがDBやKVSのデータを取得、更新 - 一度のリクエストでデータの追加や更新、取得 - リクエストメソッドの使い分けはほぼGETかPOST -
× RESTful API
アセット取得の流れ - アセットの種別ごとにバージョンを管理するDBを用意 - 新しいアセットをデプロイしたらDBのバージョンを上げる - クライアントがアセットのバージョンを確認するリクエスト をする - サーバーはDBのバージョンを返す
- クライアントで保持しているバージョンと違うアセットがあっ たらそのアセットをダウンロード
インゲーム (C/S方式) Battle サーバー DB サーバー KVS サーバー Log サーバー
Battleサーバー - 接続先はバトル開始前にAPIサーバーで割り振られる - リアルタイム性が求められる - WebSocketやリアルタイムゲームエンジン - C++/Node.js/Go など
- サーバー集中型とクライアント分散型 - ゲームによって特色がある
サーバー集中型 - サーバー側でゲームロジックや進行を行う - バトル中サーバー側で必要なデータを保持しておく - 端末間でズレるとまずい処理 - 対戦ゲームでのキャラの位置や当たり判定 -
協力バトルのボスの位置やHP - サーバーの判定処理を待つ必要がある
クライアント分散型 - それぞれの端末でゲームの進行を行う - ゲーム進行上、端末間のズレが気にならない場合 - 協力バトルの雑魚敵の位置はズレても気にならない - 不正対策はしづらい -
擬似的なP2P、パケットのブロードキャストに専念する
インゲームの処理 パーティを組んで戦うアクションバトルの例 1. パーティ作成 or 参加 2. ルーム(バトル空間)を作成、バトル開始 3. ルーム内でバトル
4. バトル終了、ルーム削除、パーティ解散
ルーム入場からバトル開始まで 1. CL → API: パーティ参加リクエスト 2. API → DB:
パーティがあるか確認、なければ作成 3. API → CL: Battleサーバーの接続先を返す 4. CL → Battle: ルーム作成リクエスト 5. CL → API: Battle開始
バトル中 1. CL → Battle: コマンドを送信 2. Battle → CL:
バトル情報を返す 3. Battle → CL: イベント発生を通知
バトル終了 1. CL → Battle: バトル終了リクエスト 2. Battle → CL:
ルームを削除し、切断 3. CL → API: リザルトのリクエスト 4. CL → API: パーティを解散
その他、運営に必要なシステム - レポジトリサーバー、デプロイサーバー - ソースコードやアセットの管理、デプロイに使う - 運営やカスタマーサポート用の管理ツール - データの確認、お知らせやバナーの反映、補填など -
KPI基盤 - ログデータの分析や可視化、社内共通
運用・開発で 気をつけるべきこと
DBの負荷を考慮しよう - DBが負荷のボトルネックになりがち - オンラインでスキーマの変更がし辛い - インデックスやDBのパーティショニング - 集計データはバッチ処理して、キャッシュさせる -
なるべく少ないクエリ数でデータを取得
DBの負荷分散 - 水平分割 - ユーザのIDごとにDBサーバを振り分ける - 期間限定のDBを日付でパーティショニング - Master/Slave構成 -
マネージドサービスを使うのもあり
オンラインメンテ - DBのデータ設計を変えたときや定期メンテをオンライン でやりたい - Master DBがネック - Master/Slave切り替え -
Percona Tool Kit Online Schema Change(MySQL) - マネージドサービスを使うのもあり
リリース後のアラート監視 - サーバーが止まる前に対処する - 各種サーバーのエラー、CPU使用率、リクエスト数 - DBサーバーのクエリ数 - レスポンスタイム -
Disk write、使用量 - お客様の問い合わせ、Twitterでエゴサ
ゲーム運用で便利なツールを作る - データ管理のしくみを作ろう - ExcelやスプレッドシートからSQLへの変換 - デバッグ機能や管理ツールを作ろう - 開発スピードが格段に上がる -
管理ツールの権限管理は重要
まとめ
まとめ - ゲームのシステム構成は基本的にはWebアプリと一緒 - アクセス数や更新頻度が高くなる傾向 - リアルタイム性の求められるシステム構成はゲームによっ て異なる - 高い可用性を保つためにオンラインメンテ、アラート監
視などの工夫が必要
ご清聴ありがとうございました!