Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
なぜ リアーキテクティング専任チームを作ったのか
Search
Kei Shiratsuchi
PRO
November 22, 2023
Technology
2
1.4k
なぜ リアーキテクティング専任チームを作ったのか
コード品質向上のいろは - 先達に学ぶ実践例 Lunch LT
https://findy.connpass.com/event/300912/
Kei Shiratsuchi
PRO
November 22, 2023
Tweet
Share
More Decks by Kei Shiratsuchi
See All by Kei Shiratsuchi
モノリスとマイクロサービスの橋渡し - ベターからモアベターへ
kei_s
PRO
0
84
実践 Rails アソシエーションリファクタリング / Rails association refactoring in practice
kei_s
PRO
8
8.3k
「Go言語でつくるインタプリタ」を Rust で移植してみた / "Write An Interpreter In Go" In Rust
kei_s
PRO
1
1.9k
Rust言語で作るインタプリタ / Write An Interpreter In Rust
kei_s
PRO
2
590
育児休業のご報告と、育児グッズとしてのスマートスピーカー / Parental Leave and SmartSpeaker
kei_s
PRO
0
840
「深層学習による自然言語処理」読書会 第6章2.7
kei_s
PRO
0
440
「深層学習による自然言語処理」読書会 第5章5.1
kei_s
PRO
0
420
最近個人的に気になるプログラミング言語おさらい Ruby, Python, Go, Rust, Julia
kei_s
PRO
0
980
「深層学習による自然言語処理」読書会 第2章2.1~2.5
kei_s
PRO
0
420
Other Decks in Technology
See All in Technology
Turing × atmaCup #18 - 1st Place Solution
hakubishin3
0
490
10分で学ぶKubernetesコンテナセキュリティ/10min-k8s-container-sec
mochizuki875
3
350
PHP ユーザのための OpenTelemetry 入門 / phpcon2024-opentelemetry
shin1x1
1
250
コンテナセキュリティのためのLandlock入門
nullpo_head
2
320
新機能VPCリソースエンドポイント機能検証から得られた考察
duelist2020jp
0
220
バクラクのドキュメント解析技術と実データにおける課題 / layerx-ccc-winter-2024
shimacos
2
1.1k
日本版とグローバル版のモバイルアプリ統合の開発の裏側と今後の展望
miichan
1
130
re:Invent をおうちで楽しんでみた ~CloudWatch のオブザーバビリティ機能がスゴい!/ Enjoyed AWS re:Invent from Home and CloudWatch Observability Feature is Amazing!
yuj1osm
0
130
ガバメントクラウドのセキュリティ対策事例について
fujisawaryohei
0
550
Snykで始めるセキュリティ担当者とSREと開発者が楽になる脆弱性対応 / Getting started with Snyk Vulnerability Response
yamaguchitk333
2
190
LINEヤフーのフロントエンド組織・体制の紹介【24年12月】
lycorp_recruit_jp
0
530
NilAway による静的解析で「10 億ドル」を節約する #kyotogo / Kyoto Go 56th
ytaka23
3
380
Featured
See All Featured
A Tale of Four Properties
chriscoyier
157
23k
How to Ace a Technical Interview
jacobian
276
23k
How to train your dragon (web standard)
notwaldorf
88
5.7k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
8
1.2k
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
33
1.5k
Performance Is Good for Brains [We Love Speed 2024]
tammyeverts
6
520
Fireside Chat
paigeccino
34
3.1k
Design and Strategy: How to Deal with People Who Don’t "Get" Design
morganepeng
127
18k
Six Lessons from altMBA
skipperchong
27
3.5k
Bootstrapping a Software Product
garrettdimon
PRO
305
110k
Fontdeck: Realign not Redesign
paulrobertlloyd
82
5.3k
Statistics for Hackers
jakevdp
796
220k
Transcript
なぜ リアーキテクティング専任チームを 作ったのか 白土 慧, Kei Shiratsuchi, @kei_s ίʔυ্࣭ͷ͍Ζ
- ઌୡʹֶͿ࣮ફྫ Lunch LT, 2023.11.22(Wed)
自己紹介 • 白土 慧 (シラツチ ケイ) • kei-s • @kei_s
• 2021〜: 株式会社アンドパッド • リアーキテクティングチーム(リアーキチーム)を立ち上げ • 主に大規模な Rails アプリケーションを対象
このトークでは • コード品質の向上・維持のために「専任チーム」を作るとい うアプローチがある、という事例をお伝えしたい • 特にライブラリ等のバージョンアップを事例にして • トークの流れ 1. リアーキチームができる前の状況
2. リアーキチームを立ち上げるときに考えたこと 3. リアーキチームでやっていること
前提 • ANDPAD: 建築・建設業向けのSaaS • 様々な業務ドメイン向けのプロダクトを提供 • 施工管理、検査、チャット、etc… • 顧客がサービスを様々な組み合わせで利用できる
• 提供するプロダクトが多く、開発チームも多い
アーキテクチャ • 中心となるRailsアプリ(本体Railsアプリ)と、それに接 続する各ドメイン向けプロダクトで複数のプロダクトを提 供 • 本体Railsアプリだけでも複数のプロダクトを提供 • 開発開始から8年の歴史 •
プロダクトごとの約10チームが同時に開発 • 比較的新しいプロダクトはGoなどで構築
1. リアーキチーム開始以前の状況
「何か開発がうまく行かない」 • 障害が発生する • 機能開発に時間がかかる • ライブラリアップデートが滞る • 「価値を遅滞なく提供し続ける」ことが難しい状況
ライブラリアップデートが滞る • 具体的には、本体Railsアプリの一部ライブラリのバージョン アップが滞っている • いくつかのライブラリは開発停止していたり、マイグレー ションパスが長いものがある • 複数のプロダクトチームにまたがって使われているライブ ラリは、一つのチームで責務を持ちにくい
• Ruby、Rails自体も同様 • 上記二つの理由から、各プロダクトチームのロードマップに載 せにくい
ライブラリアップデートの重要性 • 「価値を遅滞なく提供し続ける」ことが難しくなる • 古いライブラリに依存したコードによるメンテナンス性 の低下 • ドキュメント・知見が見つからなくなっていく • セキュリティリスクの増加
• OSSを用いるメリットを受けられない • パフォーマンスの向上 • 新機能による生産性向上
2. リアーキチームを 立ち上げるまで
リアーキチームの発足 • 全体を俯瞰して課題を発見、解決していきたい • 既存の各チームはプロダクトロードマップを進めること を優先し、広い動きがしづらい状況 • チームの特徴 • 特定のサービス・ドメインに責務を持たない
• 全体の中で改善が追いついていないところをやる • 専任。リアーキにフルコミットする
リアーキチームの位置付け • 目的 • 既存の仕組みのつらみを解消 • 新規サービスの開発を楽にできるように • 改善を継続してやるぞ、という文化を醸成 •
その背景 • 放っておくと既存のつらみを踏襲した部分が増えていくので阻止 • リアーキチームだけでは限界がある。エンジニア全体でよりよい コードが書けるように
リアーキチームの位置付け • スコープ • プロダクトを跨いで共通に利用される箇所 • プロダクトに閉じた部分は各チームに任せ、スコープ 外とする • その背景
• 共通に利用される箇所の改善が追いついていない。 影響が広く、各チームだけで改善を進めにくい
3. リアーキチームで やっていること
ライブラリアップデートの対応 • 重要度・危険度を加味して優先順位をつけ、上から倒していく • 重要機能を担っているか • 開発予定の新機能が依存しそうか • セキュリティリスクが高まっているか •
リアーキチームで対応する • リソース(対応人数)を固定し、与えられたリソースで可能 なところまでやる • 「兼任」「有志」では対応が難しい長期課題に取り組む
ライブラリアップデートの例 • Ruby,Railsのアップデート • Ruby 3.0→3.2 をリアーキチームで対応 • 各チームの動作確認をスムーズに抜け漏れなく行うための環境 整備
• なぜ、アンドパッドは最新のRuby/Railsにこだわるのか?アップデートを 止めないための体制と仕組み • 古いライブラリのアップデート • 例: Webpack から Vite への移行(作業中) • プロダクトチームでは作業見積りが難しく着手されていなかった ライブラリのアップデート作業を実施
その他チームでやってきたこと • エラー通知の整理 • 本体Railsアプリの開発者向け • 共通で利用されるデータのリファクタリング • 中長期の課題向け •
🔎 @kei-s 実践 Rails アソシエーションリファクタリング - Kaigi on Rails 2023 • 本体Railsアプリ内部で広く使われていた独自の仕組みを廃止 • 新たに参加する開発者向け • 🔎 @makicamel 歴史あるプロジェクトのとある技術的負債を隙間プロジェクト の 210 PullRequests で倒しきった話 - Kaigi on Rails 2023
責務のさじ加減 • 「ライブラリアップデートは特定チームの仕事」にはしたくない • ライブラリも我々のプロダクト・コードの一部 • エンジニアチーム全体で責任を持つべき • とはいえ、放っておくと進まない領域は存在する •
広く共有されるライブラリや、極端に古くなったライブラ リ • 「ライブラリアップデートを進めていく姿勢」をエンジニアチー ム全体に広めていきたい
まとめ
まとめ • ANDPADでは、コード品質向上・開発者体験の向上の ために、リアーキテクティング専任のチームを立ち上げ た • 今回はライブラリアップデートを事例に紹介