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医療デジタルデータのAI 研究開発等への利活用に係るガイドライン

医療デジタルデータのAI 研究開発等への利活用に係るガイドライン

kento sugimoto

October 31, 2024
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  1. 製品開発目的で医療情報を医療機関等から民間企業等に 提供する際の法的根拠 根拠 検討内容 学術研究例外 学術研究例外における目的要件の観点からは、共同研究の範囲であれば製品開発目的が併存していて も問題ない。ただし、製品開発のみを目的とした活動に対して、学術研究例外を根拠として、医療機関等か ら民間企業等に医療情報を提供することは難しい。 公衆衛生例外 医療

    AI ソフトウェア等の医療機器が、「公衆衛生の向上のために特に必要がある場合」に該当する可能 性も直ちには否定されないものと思われる。ただし、この場合、併せて、本人からの同意取得が困難である ことが必要となる。 委託 医療機関等が主体となった利用目的の達成に必要な範囲内で、医療情報の取り扱いの全部又は一部を 委託することに伴い外部の機関へと提供する場合には、提供先は第三者には該当しない。しかし、あくまで も提供元である医療機関等の事業目的のみに使われ、提供先で自己の事業目的に使うことは許されな い。従って、委託を根拠として、製品開発の目的で医療情報を民間企業等に提供することは難しい。 共同利用 医療機関等が、特定の者との間で医療情報を共同利用する場合には、提供先は第三者に該当しない(こ こで、「共同利用」は「共同研究」とは異なる概念)。医療機関等における共同利用の具体的な事例として は、病院と訪問看護ステーションが共同で医療サービスを提供している場合等が挙げられる。しかしなが ら、共同利用は「取得の際に通知・公表している利用目的の範囲内であり、利用目的が本人が通常予期し 得ると客観的に認められるような場合」でなければ認められない。従って、共同利用を根拠として個人デー タである医療情報の提供を実施することが難しい。
  2. 仮名加工情報の作成手順 • 個人情報取扱事業者は、仮名加工情報を作成するときは、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別 することができないようにするために、個人情報保護法に定める以下の基準に従って、個人情報を加工し なければならない。 1. 記述等による単体識別性の消去:個人情報に含まれる特定の個人を識別することができる記述等の全部又は 一部を削除すること(当該全部又は一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述 等に置き換えることを含む) 2.

    個人識別符号による単体識別性の消去:個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識 別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む) 3. 財産的被害が生じるおそれがある記述等の削除:個人情報に含まれる不正に利用されることにより財産的被害 が生じるおそれがある記述等を削除すること(当該記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により 他の記述等に置き換えることを含む)
  3. 準識別子の加工 • 準識別子の組み合わせによって特定の個人の識別を防ぐための技術的措置として、 削除を除く類型を以 下に挙げる。 • 一般化:上位概念への置換・四捨五入 • トップ(ボトム)コーディング:数値に対して、特に大きい又は小さい数値をまとめる •

    ミクロアグリゲーション:グループ化した後、グループの代表的な記述等に置き換える • データ交換(スワップ):個人情報相互に含まれる記述等を(確率的に)入れ替える • ノイズ(誤差)付加:一定の分布に従った乱数的な数値を付加することにより、他の任意の数値へと 置き換える • 疑似データ生成:人工的な合成データを作成し、これを加工対象となる個人情報データベース等 に含ませる