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IMC の細かすぎる話 2025

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July 24, 2025

IMC の細かすぎる話 2025

Image Matching Challenge 2025 振り返り会にて発表した資料です。https://turing.connpass.com/event/360266/

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July 24, 2025
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Transcript

  1. Image Matching Challenge 2025 の概要 画像集合からカメラの姿勢 (rotation matrix) と座標 (translation

    vector) を答える定番コンペ。 2025年度は画像集合に関係ない画像 (outlier) が含まれる。クラスタリングして推定する必要がある。
  2. 最近の進化:VGGT CVPR’25 の best paper。”2枚以上” の画像を与えて、カメラ姿勢推定も深度推定もあわせてすべて同時に解く。必要とな る VRAM が大きいため IMC

    環境ではうまく利用できたチームはいなかった。 MASt3R と同様、精緻な推定が必要となる場面では定番アプローチほど正確ではない。 (Camera Head で IMC’25 train の評価をしたが、可もなく不可もなくという結果。)
  3. 全画像ペアのマッチングと適応的なクラスタリング (7th place) 全画像ペアのマッチング後に inlier count で類似グラフを作成。 80 percentile point

    の inlier count をしきい値としてグラフをカットしてクラスタ作成 独自に「クラスタのIoU」によりクラスタリング手法をローカルで評価して判断 VGGT (refiner のみ使用)、MASt3R を試すも上手く行かず停滞。猛省
  4. 1st place solution: MASt3R-Hybrid 全画像ペアの MASt3R によるマッチングは計算コストが高くて無理。画像検索によってマッチングするペアのリスト (shortlist) を作成する。MASt3R に加えて定番の

    keypoint detector (ALIKED, SuperPoint) で keypoints を検出して、 MASt3R の semi-dense keypoints とあわせて MASt3R matcher でマッチングさせてる(精緻化を期待)。 Detection-based keypoints は必要? この hybrid なアプローチでは semi-dense も別アルゴリズムによ る detector から得られた keypoints も、MASt3R Matcher でマッ チングする。なので MASt3R の local features の良し悪しに依存 する。Matcher で合流せず concat して COLMAP で解くとアプ ローチごとの得意不得意を補って良い結果が得られた。 追試したが MASt3R-ASMK のみで十分。ただし計算コス トがほぼ無料なのでわずかに安定が増すならば積み得。
  5. pycolmap 3.10 から version が COLMAP と共通に これまで pycolmap リポジトリは

    colmap とは別のリポジトリでメンテナンスされていた。 2024年7月の pycolmap 3.10.0 より本家の colmap リポジトリに統合された。 pycolmap パッケージの versioning が colmap と一緒に。めちゃ良いニュース!
  6. pycolmap 3.10 から API が色々と変わった 3.10 から大きなリファクタリングが実施されており、API の変更点も多い。 Jianyuan Wang

    が書いた VGGSfM の refiner によって point tracks を refine するスクリプト https://www.kaggle.com/code/jianyuanv/vggsfm-to-refine-pycolmap-tracks は CVPR’24 前の pycolmap 0.6.0 までは動作するが、その後の 3.10 以降は API 変更の影響を受けて動作しない。
  7. Filtering logic が ObservationManager に移動 pycolmap 0.6.0 では filtering の各種ロジックを

    Reconstruction オブジェクトのメソッドとして実装 されていたが、pycolmap 3.10 では削除されている。 代わりに ObservationManager オブジェクトが追加され、Reconstruction オブジェクトを渡して呼 び出すように仕様変更されている。ほかにも Image クラスなど Primitive なクラスから SfM のみに 使う実装を分離している。 Add ObservationManager #2575 https://github.com/colmap/colmap/pull/2575
  8. RANSAC の停止判定の修正 (3.12.0; 2025/6/30) 停止基準に使用される「all-inlier set をサンプリングする確率 P」を近似確率から厳密な確率へ置き換えることで性 能向上した。 OpenCV,

    scikit-image, COLMAP をはじめ多くの OSS 実装がこの楽観的な近似を採用していた。 1981年に示された式では、インライア比率 p の k 反復である p^k で P を近似。非復元抽出を考慮していない楽観的 な近似となっており、P を高く見積もりすぎてしまう。 これは早期停止による under sampling が起こりやすくなり、結果として誤差を生む。特にノイズが多い場合や複雑 なモデルの場合に影響が大きい。(p が小さいとき、k が大きいとき) “Fixing the RANSAC Stopping Criterion” https://arxiv.org/abs/2503.07829 COLMAP 3.12.0 にて修正。
  9. IMC はソフトウェア開発の工夫が活きる 様々な実験をしていくとコードベースはどんどん膨大に なっていく。ソフトウェア開発の工夫が活きる。 • Pydantic による config の validation

    • Factory パターンによるモジュール分離 • テスト!テスト!テスト!(単体、統合、品質) コード例は IMC’25 1st place solution を拝借 →
  10. 経験的にモジュール間の結合を疎にしてポータビリティを上げ ると実験や開発がしやすくなる Factory モジュールをロードすると、ほかの具象クラスのモジュール も同時にロードする。複数の環境で動作して欲しいときに環境依存 の問題が起きやすくなる。 → 更に結合を疎にしてポータビリティを上げたい! 例:asmk パッケージ(環境にあわせて事前ビルド)が必要なときだ

    け asmk パッケージを import して欲しい 例:なぜか pycolmap のパッケージで RuntimeError になるので必要 になるまで import しないで欲しい(※ pyceres とのバージョン不整 合でよく起こる) 例:ARM アーキテクチャでの動作をサポートしないが、開発環境で テストを動かすなど部分的に実行できるようにしたい コード例は IMC’25 1st place solution を拝借 →
  11. デプロイ:vscode-fast-kaggle で Ctrl+Shift+U VSCode 上でショートカットキーひとつでコードベースを Kaggle Datasets にアップ。 ビルドなどワンクッション必要なときは、 git

    commit を hook して Kaggle API 経由でデプロイ。あ るいは Github Actions からビルドして Kaggle API 経由でデプロイ。