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電気工学II第2回 /eleceng2_02

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Kazuhisa Fujita

March 23, 2023
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  1. キルヒホッフの法則 • キルヒホッフ第1法則(電流保存則) • 分岐点に流れ込む電流の和は,流れ出す電流の総和に等しい. • 水の流れと同じように考える(ただし,蒸発は無視). • 消えることはない(流れ込む電流>流れ出す電流,とはならない). •

    湧き出すこともない(流れ込む電流<流れ出す電流,とはならない). • 分岐点における電流の総和は0である. I1 I2 I3 I5 I4 重要!! 𝐼1 + 𝐼2 + 𝐼4 = 𝐼3 + 𝐼5 𝐼1 + 𝐼2 + −𝐼3 + 𝐼4 + −𝐼5 = 0 電流の流れを表すため矢印をつけているが,矢印と逆向きに電流は 流れても良い.その時は電流は負となる.
  2. キルヒホッフの法則 • キルヒホッフ第2法則 • 回路網中の任意の閉回路を一定の向きにたどるとき,回路の各部の起電力 の総和と電圧降下の総和は等しい. 閉回路1 𝐸1 − 𝐸2

    = 𝑅1 𝐼1 − 𝑅2 𝐼2 閉回路2 𝐸2 − 𝐸3 = 𝑅2 𝐼2 + 𝑅3 𝐼3 起電力 電圧降下 閉回路1の式を変形すると𝐸1 − 𝑅1 𝐼1 = 𝐸2 − 𝑅2 𝐼2 となる. つまり,キルヒホッフ第2法則は並列回路において並列になっている回 路(𝐸1 と𝑅1 の回路と 𝐸2 と𝑅2 の回路)の両端電圧は等しこと言っている.
  3. 問題 • 図の回路でキルヒホッフの法則を用いた解法について誤っているのはどれ か.(臨床工学技士国家試験34) 1. 図の回路には3つの閉回路がある. 2. a点の電位は起電力𝑬𝟐 と𝑹𝟐 の両端の電圧降下の差となる.

    差ではなく和となる. 3. a点に流れ込む電流とa点から流れ出す電流の和は等しい. 電流保存則 4. 一つの閉回路に含まれる電圧降下の大きさと起電力の大きさは等しい. キルヒホッフ第2法則 5. 一つの閉回路内で設定する電流の向きによって起電力の正負は変わる.
  4. 問題 図の回路で成立するのはどれか.(臨床工学技士国家試験33) a) 𝐼1 − 𝐼2 − 𝐼3 = 0

    b) 𝐼1 + 𝐼2 + 𝐼3 = 𝐸1 /𝑅1 c) 𝐼1 𝑅1 + 𝐼3 𝑅3 = 𝐸1 − 𝐸3 d) 𝐼1 𝑅1 + 𝐼2 𝑅2 = 𝐸1 e) −𝐼2 𝑅2 + 𝐼3 𝑅3 = 𝐸3
  5. 問題 図の回路で成立するのはどれか.(臨床工学技士国家試験33) a) 𝐼1 − 𝐼2 − 𝐼3 = 0

    流れ込む電流と流れ出す電流の和は0なので成り立つ. b) 𝐼1 + 𝐼2 + 𝐼3 = 𝐸1 /𝑅1 成り立たない. c) 𝐼1 𝑅1 + 𝐼3 𝑅3 = 𝐸1 − 𝐸3 閉回路3を考えると,右辺の𝐸3 の 符号が間違っている. d) 𝐼1 𝑅1 + 𝐼2 𝑅2 = 𝐸1 閉回路1を考えると, 成り立つ. e) −𝐼2 𝑅2 + 𝐼3 𝑅3 = 𝐸3 閉回路2を考えると, 成り立つ. 1 2 3
  6. 問題 • 図に示す回路を流れる電流の向きを図のように決め,電流I1,I2,I3を 求めよ. 𝐼1 + 𝐼2 = 𝐼3 …1

    20𝐼1 + 40𝐼3 = 130…2 10𝐼2 + 40𝐼3 = 110…3 3より 𝐼2 = 11 − 4𝐼3 これを1に代入すると 𝐼1 + 11 − 4𝐼3 = 𝐼3 𝐼1 − 5𝐼3 = −11 20𝐼1 − 100𝐼3 = −220 これと2より 140𝐼3 = 350 𝐼3 = 2.5A よって 𝐼1 = −11 + 12.5 = 1.5A 𝐼2 = 2.5 − 1.5 = 1A
  7. 問題解説 • 図の回路の電流I[A]はどれか.キルヒホッフの法則を使って解け.(第 42回ME2種改) 1. 0.1 2. 0.2 3. 0.3

    4. 0.4 5. 0.5 I 1 I 2 キルヒホッフの法則より 𝐼 = 𝐼1 + 𝐼2 …1 20𝐼 + 20𝐼2 = 20 …2 20𝐼 + 20𝐼1 = 10 …3 式2,3より 𝐼1 + 𝐼2 = −2𝐼 + 1.5 これを1に代入すると 3I=1.5 I=0.5
  8. 問題解説 • 図の回路において抵抗Rの大きさは何Ωか.キルヒホッフの法則で解 け.(第40回ME2種改) 1. 0.5 2. 1.0 3. 1.5

    4. 2.0 5. 2.5 キルヒホッフの法則から 𝐼1 + 𝐼2 = 1 …1 4𝐼1 + 2 = −7 + 5 = −2 …2 𝑅𝐼2 + 2 = 5 …3 2より𝐼1 = −1A 1より𝐼2 = 1 + 1 = 2A よって3より 2𝑅 + 2 = 5 𝑅 = 1.5Ω I 1 I 2
  9. 問題解説 • 図の回路において抵抗Rの大きさは何Ωか.キルヒホッフの法則で解 け.(第40回ME2種改) 1. 0.5 2. 1.0 3. 1.5

    4. 2.0 5. 2.5 別解 2Ωの抵抗に1A流れているので,この抵抗には 2Vかかっている. 閉回路①を考えと,キルヒホッフの第2法則よ り4Ωの抵抗には4Vかかっている.よって4Ω の抵抗には1A流れている. 電流保存則から,抵抗Rには2A流れている. 閉回路②を考えると,キルヒホッフの第2法則 から抵抗Rには3Vかかっている. よって,𝑅 = 3 2 = 1.5Ωとなる. 1A 2A 2V 4V 3V ① ②
  10. 問題解説 • 図の回路の電圧𝐸は何Vか.重ね合わせの原理を用いて解け. 1. 10 2. 12 3. 14 4.

    18 5. 20 20Vを短絡 10V を短絡 下図のように各電源を短絡した回路を考える. 20Vを短絡させたとき,1kΩの抵抗にかかる電圧V1 は, 𝑉1 = 10 × 1 5 = 2 である.10Vの電源を短絡させたときに1kΩの抵抗にかかる電圧𝑉2 は 𝑉2 = 20 × 1 5 = 4 時計回りに回路を見ると,10Vの電源の場合,1kΩの抵抗では2V電圧が 下がり,20Vの電源の場合,電圧4Vが上がっているとみなせる. よって𝐸は 𝐸 = 10 − 2 + 4 = 12
  11. 問題解説 それぞれの電源が短絡した場合を考える. 右の5Vの電源が短絡したとすると,5kΩの抵抗で起こる電圧降下𝑉1 は, 𝑉1 = 5 2 = 2.5

    どちらの電源も5Vなので,左の電源が短絡したときの電圧降下𝑉2 も2.5Vである. 両方の電源同じ向きなので,回路を時計回りに見ると,どちらの回路で起こった電圧降下は電圧 を下げる効果となっている. よって 𝑉 = 5 − 2.5 − 2.5 = 0
  12. 問題解説 • 図の回路の電流I[A]はどれか.(第42回ME2種) 1. 0.1 2. 0.2 3. 0.3 4.

    0.4 5. 0.5 I1 I2 10Vの電源が短絡しているとすると, 回路の合成抵抗は 20 + (20 + 20)/2 = 30 なので,𝐼2 = 20/30 A よって𝐼 = 1/3A また,20Vの電源が短絡しているとすると 回路の合成抵抗は30なので, 𝐼1 = 10/30 A よって𝐼 = 0.5/3 A 重ね合わせの原理より,I=1/3+0.5/3=0.5A
  13. 問題 • 電流I3をテブナンの定理を用い求めよ. 図aのような回路を考える. 回路に流れる電流をIとすると 2𝐼 + 4𝐼 = 8

    − 10 6𝐼 = −2 𝐼 = − 1 3 よって電圧Vdcは 𝑉𝑑𝑐 = 8 + 2 3 = 26 3 また,図bのような回路を考えると ,その合成抵抗Rは 1 𝑅 = 1 2 + 1 4 = 2 + 1 4 = 3 4 𝑅 = 4 3 つまり等価回路は図cとなる.電流 I3は 4 3 𝐼3 + 3𝐼3 = 26 3 4𝐼3 + 9𝐼3 = 26 13𝐼3 = 26 𝐼3 = 2
  14. 問題解説 • 図の回路の電流I[A]はどれか.テブナンの定理を使って解け.(第42回 ME2種改) 1. 0.1 2. 0.2 3. 0.3

    4. 0.4 5. 0.5 Iが流れる抵抗のみで構成される回路と,そ れ以外の回路とできていると考える. それ以外の回路の合成抵抗は,電圧源を短絡 すると20Ωの並列回路となるので,10オーム である. また,両端電圧は15Vとなる. よって,等価回路は15Vの電圧源と10Ωの抵 抗からなる回路だと分かる. そうすると,合成抵抗は10+20=30Ω,電源 電圧は15Vなので,I=0.5A
  15. 問題解説 • 回路1と回路2に同じ負荷をつないだ時,負荷にかかる電圧Voutと流れる電流Iが一致した.回路2の電源 電圧Eと抵抗Rの値の組み合わせで正しいのはどれか.(第37回ME2種) 1. E=5V,R=1kΩ 2. E=5V,R=2kΩ 3. E=5V,R=4kΩ

    4. E=10V,R=2kΩ 5. E=10V,R=4kΩ 回路2はテブナンの定理を用い回路1を等価回路に変えたものと考えられる. よってテブナンの定理を用い,回路1に負荷がないとして,次のAB間の合成抵抗,AB間 の電圧を計算すればよい. 電源を短絡させたときのAB間の合成抵抗Rは, 𝑅 = 2𝑘/2 = 1𝑘Ω AB間の電圧Eは, 𝐸 = 10/2 = 5V
  16. 問題 • 1Ωの抵抗器の両端電圧が図のような波形であった.抵抗器の消費電力 の波形として正しいのはどれか.(第42回ME2種) 電力𝑃は 𝑃 = 𝐼𝑉 = 𝑉2/𝑅

    𝑅 = 1だから 𝑃 = 𝑉2 図から,𝑉 = 𝑡の関係が ある事がわかる. よって𝑃 = 𝑡2なので答 えは4である.
  17. 問題解説 • 起電力100V,内部抵抗10Ωの電源に可変抵抗Rを接続し,Rを調節し てRの消費電力を最大にした.このときのRの消費電力[W]はどれか.( 第41回ME2種) 1. 25 2. 50 3.

    125 4. 250 5. 500 抵抗𝑅に加わる電圧𝑉は 𝑉 = 100𝑅/(𝑅 + 10) 𝑅で消費される電力𝑃は 𝑃 = 𝐼𝑉 = 𝑉2/𝑅 = 10000𝑅/(𝑅 + 10)2 = 10000/(𝑅 + 20 + 100/𝑅) 分母が最小のときに𝑃は最大となる. 分母は𝑅 > 0の領域で凸関数なので微分が0のとき分母は最小となるので, 分母を微分すると 1 − 100/𝑅2 = 0 𝑅 = 10 このときの電力は 𝑃 = 10000/(10 + 20 + 10) = 10000/40 = 250W 𝑅 𝑃 分母 𝑅
  18. 問題 6Ωの抵抗を5本並列に接続し,その端子間に2Vの電圧を10分間加えた ときの消費エネルギーは何Jか.(第33回ME2種) 1. 120 2. 500 3. 1200 4.

    1800 5. 2000 合成抵抗Rは 1 𝑅 = 1 6 × 5 𝑅 = 6 5 消費エネルギーWは 𝑊 = 𝑃𝑡 = 𝐼𝑉𝑡 = 𝑉2 𝑅 𝑡 = 22 × 10 × 60 × 5 6 = 2 × 103 J
  19. 問題 • 図の回路で抵抗2.0Ωでの消費電力が2.0Wのとき,抵抗4.0Ωの消費電 力[W]はどれか.(臨床工学技士国家試験36) 1. 0.5 2. 1.0 3. 1.5

    4. 2.0 5. 3.0 2Ωの抵抗にかかる電圧𝑉は 𝑉2 2 = 2.0W 𝑉 = 2V よって, 2Ωの抵抗と4Ωの抵抗は並列なので, 4Ωの抵抗には2Vの電圧がかかる.よって,4Ω の抵抗の消費電力は, 22 4 = 1𝑊 である.
  20. 熱容量と消費電力 • ある量の物質の温度を1℃(K)上昇させるために必要なエネルギー(熱 量)を熱容量𝐶という. • 熱容量𝐶は,質量𝑚 [kg],比熱𝑐 [J ⋅ kg−1

    ⋅ K−1]とすると • 𝐶 = 𝑚𝑐 • 比熱cは1kgの物質を1℃上させるために必要な熱量. • 図の回路の抵抗でt秒物質を熱したとする.熱がすべて温度上昇に使わ れたとすると物質の温度上昇ΔTは • Δ𝑇 = 𝑊 𝐶 = 𝐼𝑉𝑡 𝐶 = 𝐼𝑉𝑡 𝑚𝑐
  21. 問題 • 図のような回路で,水300gを10分間温めた.水は何度上昇するか.た だし,電力はすべて熱に変換され,その熱はすべて温度上昇に使われ るとする.水の比熱は 4.2J ⋅ g−1 ⋅ K−1

    とする. 電力量𝑊は 𝑊 = 102 5 × 10 × 60 = 12 × 103J 熱容量𝐶は 𝐶 = 300 × 4.2 = 1260 よって温度上昇ΔTは 𝑇 = 12000 1260 ≅ 9.5℃
  22. 問題 • 20℃の水100gが入った保温ポットに電気抵抗42Ωのニクロム線を入れ 直流1Aを10秒間通電した.水の温度上昇[℃]はどれか.ただし,比熱 を4.2J ⋅ g−1 ⋅ K−1とする.(臨床工学技士国家試験34) 1.

    1.0 2. 4.2 3. 10 4. 18 5. 42 水にした仕事(熱量)は 𝑊 = 𝐼2𝑅𝑡 = 12 × 42 × 10 = 420 である.この水の熱容量は 𝐶 = 100 × 4.2 = 420 である.よって温度上昇は Δ𝑇 = 𝑊 𝐶 = 420 420 = 1℃ である.
  23. 直流回路のポイント • 抵抗の計算 • 𝑅 = 𝜌 𝑙 𝑆 (𝜌抵抗率,𝑙抵抗の長さ,𝑆抵抗の断面積)

    • オームの法則 • 𝑉 = 𝑅𝐼 (𝑉抵抗にかかる電圧,𝑅抵抗の抵抗値,𝐼抵抗を流れる電流) • 直列回路 • 合成抵抗𝑅 = 𝑅1 + 𝑅2 + ⋯ • 各抵抗(2抵抗)の電圧降下は𝑉1 = 𝑉 ⋅ 𝑅1 𝑅1+𝑅2 , 𝑉2 = 𝑉 ⋅ 𝑅2 𝑅1+𝑅2 • 各抵抗に流れる電流は同じ • 並列回路 • 合成抵抗1 𝑅 = 1 𝑅1 + 1 𝑅2 + ⋯ • 各抵抗にかかる電圧は同じ • 各抵抗(2抵抗)に流れる電流は並列回路に流れ込む電流を𝐼とすると 𝐼1 = 𝐼 ⋅ 𝑅2 𝑅1+𝑅2 , 𝐼2 = 𝐼 ⋅ 𝑅1 𝑅1+𝑅2
  24. 直流回路のポイント • 内部抵抗 • 電源の内部抵抗は,電源と直列 • 電圧計の内部抵抗は,電圧計と並列 • 電流計の内部抵抗は,電流計と並列 •

    キルヒホッフの法則 • 分岐点に流れ込む電流の和と流れ出す電流の和は等しい • 回路網中の任意の閉回路を一定の向きにたどるとき,回路の各部の起電力の総和と電圧降 下の総和は等しい • 電力 • 𝑊 = 𝐼𝑉 = 𝐼2𝑅 = 𝑉2/𝑅 • 電力量 • 電力×時間=電力量=仕事 • 直流のとき,コンデンサは開放 ,コイルは短絡 内部抵抗 抵抗 電流計 内部抵抗 抵抗 電圧計 内部抵抗 電源 I1 I2 I3 I5 I4