日本教育学会 第82回大会 一般研究発表A
2023/08/24
本研究は、生成AI、特に大規模言語モデルであるChatGPTを使用した教育の文脈における、子どもたちとAIの対話関係を分析するものである。教育学の分野では、AIに関する議論が一般的に技術利用の観点から行われているが、生成AIの教育への影響に焦点を当てることにより、新たな知見を得ることを目指している。
千葉県印西市立原山小学校の5年生43人を対象に、生成AIを用いた授業を実施し、子どもたちの対話記録、ワークシート、授業の映像記録を分析した。この過程で、教育用生成AIサンドボックスツールを開発し、子どもたちが生成AIを直接利用する機会を提供した。このツールは、教師が対話履歴を確認できる機能を備え、GPT-3.5 APIを利用している。
分析結果から、子どもたちは生成AIとの対話を通じて、人間とAIのコミュニケーションの相違点を認識し、技術的特性や利用方法について深い洞察を示した。また、将来のAIとの関わり方について、ツールとしての活用を想定しながらも、人間らしいコミュニケーションへの期待を持っていることが明らかになった。