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ふりかえりの問題分析をやってみよう

 ふりかえりの問題分析をやってみよう

20210410開催 ふりかえりカンファレンスでの発表がきっかけとなり、その中で紹介した「鳥の目」全体俯瞰の事例:事象連鎖分析を20210430に公開型ワークとして実施した際のスライドです。

kitanosirokuma

April 30, 2021
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Transcript

  1. 安達 賢二(あだち けんじ) [email protected] 株式会社HBA 経営管理本部 Exective Expert http://www.softwarequasol.com/ 【経歴】

    2012年社内イントレプレナー第一号事業者として品質向上支援事業を立ち上げ。 自律運営チーム構築・変革メソッドSaPIDをベースに、 関係者と一緒に価値あるコトを創る共創ファシリテーター/自律組織・人財育成コーチ として活動中。 【社外活動】 NPO法人 ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)理事 JSTQB(テスト技術者資格認定)技術委員 JaSST(ソフトウェアテストシンポジウム)北海道 2006-2009実行委員長 2010-2018実行委員 2019~サポーター テスト設計コンテスト本部審査委員(2015-2017) JaSST-Review(ソフトウェアレビューシンポジウム)実行委員 SEA(ソフトウェア技術者協会)北海道支部メンバー SS(ソフトウェア・シンポジウム)プログラム委員 第33-37期SQiP研究会レビュー分科会アドバイザー SQuBOK_Ver3プロセス改善研究Grリーダ(with プロセス改善の黒歴史研究) TEF(Test Engineer’s Forum)北海道テスト勉強会(TEF道)お世話係(2016~2021) TOCfE北海道幽霊メンバー など 2 生 育 住 勤 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  2. 本日のワークのきっかけ ふりかえりカンファレンス発表時 3 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All

    Rights Reserved ふりかえりのふりかえり これって どうやって 作るの?
  3. 本日のワーク環境:Balus2.0 https://balus.app/workspaces/AUARarRa9l33PY3TcopEP/view-models/2IO_CvijBxHBS777-zkxC 【Team A】用 ワークエリア 【Team B】用 ワークエリア 【Team C】用

    ワークエリア ふりかえりカンファレンス ふりふり会場 →触らないでね! Teamメンバー 役割ボード Team 分析ワークボード Team ふりかえりボード Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  4. チーム分け=ブレイクアウトルーム割当 Team A Team B Team C ワーク参加枠申込1番 ワーク参加枠申込2番 ワーク参加枠申込3番

    ワーク参加枠申込4番 ワーク参加枠申込5番 ワーク参加枠申込6番 ワーク参加枠申込7番 ワーク参加枠申込8番 ワーク参加枠申込9番 ワーク参加枠申込10番 ワーク参加枠申込11番 ワーク参加枠申込12番 ワーク参加枠申込13番 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  5. Balus2.0環境での主な操作 https://balus.app/workspaces/AUARarRa9l33PY3TcopEP/view-models/2IO_CvijBxHBS777-zkxC もしこの画面が出ても慌てずに 「キャンセル」または「×」を押下 もし誤って削除してしまっても [Ctrl+z]で戻せます Copyright © Kenji Adachi@Software

    Quasol , All Rights Reserved 【関係線を引く】 押下+つなぐ先の 付箋へ 【付箋の色を変える】 ドラッグして選択 ゾーン=包含枠 の追加 ノード=付箋 の追加
  6. STEP1:ライフサイクルのSTART~ENDでやんわり配置 ねずみ が桶を かじる 桶が 壊れる 桶屋が 儲かる 強風が 吹く

    ザックリこの辺かな?でOK 付箋の内容がどのような意味なのか を読み解いて配置する Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  7. STEP2-1:要因と結果の関係があれば→で結ぶ ねずみが 桶をかじ る 桶が 壊れる ことが要因となって という結果となる (ことがある) ねずみ

    が桶を かじる 桶が壊 れる 要因は左側 → 結果は右側 事象A 事象B 要因と結果が逆向き 事象Aのあとに事象Bが発生 (因果関係なし) 【関係線を引く】 押下+つなぐ先の 付箋へ Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  8. 分析時のお作法 ねずみ が桶を かじる 桶が壊 れる 時間 要因は左側 → 結果は右側

    ねずみ が桶を かじる 桶が壊 れる 三味線 が売れ る 猫が 減る ねずみ が桶を かじる 桶が壊 れる 三味線 が売れ る 猫が 減る 要素配置などを工夫してクロスする関係線を無くす ねずみが桶 をかじると 壊れる 桶が壊 れる ねずみ が桶を かじる 要因と結果が混在している場合 は分けてから分析する ねずみ が桶を かじる 桶が壊 れる 事象A 事象B 要因と結果の関係がないものに は関係線を結ばない 例:〇〇のあとに◇◇が発生 (因果関係なし) 要因と結果の関係があれば→で結ぶ
  9. STEP2-2:より的確に状況を把握するために 隠れた要素を追加する ねずみ が桶を かじる 桶が 壊れる 桶が 売れる 桶屋が

    儲かる ねずみが 増える 疫病が 流行? 三味線 が売れ る 猫が 減る 三味線 屋も儲 かる 強風が 吹く 砂や埃 が舞う 目に砂 埃が入 る 目の病気 になりや すい 盲人が 増える 失明した人は三味 線で生計を立てる 人が多かった 当時は眼科も なく医療技術 も低かった 三味線 塾も儲 かる 当時は舗装も なく土や砂利 の道ばかり 三味線の胴 には猫の皮 が必要
  10. 見どころの例 困り事が思い つかない/書 けない人がい て心配 特定の人だけ が話している /ふりかえっ ている 特定の人だけ

    が話している /ふりかえっ ている 5WHYsが辛 い どちらが要因でどちらが結果? 特定の人だけ が話している /ふりかえっ ている 内職している 人がいる 参加人数が多 い(10人強) 問題に対して 対応できない 参加人数が多 い(10人強)、 問題に対して 対応できない ? ? ? ちゃんと分けてからやれたかな? Keepと Problemのど ちらに時間を かけるか 外部から効果 が見えない どういう意味で受け取ったかな?
  11. どちらがわかりやすい? 見やすい=わかりやすい=解きやすい 25 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All

    Rights Reserved ・関係線が多い ・クロスする線が多い ・要素発生時点の重なりが多い ・関係線が少ない ・クロスする線がない ・要素発生時点の重なりが少ない
  12. チームにとって有 益な改善アクショ ンに繋がらない 一言もしゃべら ない人もいる 時間が長い ジャイアン の独演会 効果が 実感で

    きない 定期的にふりかえ りをやれていない 今回のスコープ のみのふりかえ りになっている YWTのWが書け ない人が多い 前回以前の振り 返り内容を意識 できていない 振り返りをやっ たことに満足 類似問題 の再発 個人の失敗 追及ばかり 腫物に触れない ように運営する ふりかえりが めんどくさい マネージャ達が振り 返っていない ずっと同じメンバー 振り返ることがなくなる 経験や教訓を 活かせない 改善が進 まない ふりかえりによる改 善の優先度が下がる ふりかえりの 成果を管理層 に示せない 重大度高の割込 が頻繁に発生 みな自責思考 すぎて自分の 問題ばかり チームが主語と なるような問題 が出てこない ファシリテー ションに空回り ふりかえり へのモチ ベーション↓ 効果がいまい ちで終わる 参加がツラい A A 適切なWが 出てこない チーム が成長 しない 背景が異なる要員で実施 共有点が生まれない ふりかえり は余計なも のと認識 関係者が同時間に 集うのが難しい 管理層がふりかえ り実施に難色 B B D D C C そのあとは・・・ Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved 目的 手段 要因 結果 摘要
  13. 過去から学ぶ 個別改善×プロセス改善の併用 36 K T P K T P K

    T P K T P K T P 週次Team 集合ふりかえり 日次個別ふりかえり とチーム共有・活用 K T P K T P K T P K T P K T P K T P K T P K T P Teamとして毎日共有し、 主に日々の問題解決・ 個別改善に活用 Teamとしての共通性導出・活用(プロセス改善) ふりかえり結果情報のサマリ→構造化分析による全体俯瞰 ボトルネックの解消/最も効果的な改善ポイントの特定による プロセス改善の実践 K T P K T P K T P K T P K T P 月次・Phase 集合ふりかえり K T P K T P K T P 四半期・Final 集合ふりかえり 個人で毎日3分 ふりかえり 個人で毎日3分 ふりかえり 個人で毎日3分 ふりかえり 個人で毎日3分 ふりかえり Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  14. 過去から学ぶだけでなく未来を変える 未来予想図によるリスクマネジメント実践例 37 プロジェクト目的 が未達成に終わる 期間内にテ ストが終わ らない 納期 逸脱

    使う機材 がX台し かない テスト業 務初めて の方が2名 テスト不 足のまま 納品 テスト規模 に対して 営業日数が 少ない テスト実施 時にQ&Aが 増える or 機材待ちで 一部のテス トが止まる メンバーの認識 →現在の状態 (リスク要因) メンバーによる未来の予想(リスク) メンバー全員の認知と経験則(共通性(パターン)情報)を総動員して、 現状(青色要因)とリスク(黄色要因)を洗い出し、構造化→先読みして事前対策を明確化 経験則 経験則 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  15. C チームにとって有 益な改善アクショ ンに繋がらない 一言もしゃべら ない人もいる 時間が長い ジャイアン の独演会 効果が

    実感で きない 定期的にふりかえ りをやれていない 今回のスコープ のみのふりかえ りになっている YWTのWが書け ない人が多い 前回以前の振り 返り内容を意識 できていない 振り返りをやっ たことに満足 類似問題 の再発 個人の失敗 追及ばかり 腫物に触れない ように運営する マネージャ達が振り 返っていない ずーっと同じメンバー 振り返ることがなくなる 経験や教訓を 活かせない 改善が進 まない ふりかえりによる改 善の優先度が下がる ふりかえりの 成果を管理層 に示せない 重大度高の割込 が頻繁に発生 みな自責思考 すぎて自分の 問題ばかり チームが主語と なるような問題 が出てこない ファシリテー ションに空回り ふりかえり へのモチ ベーション↓ 効果がいまい ちで終わる 参加がツラい A 適切なWが 出てこない 背景が異なる要員で実施 共有点が生まれない ふりかえり は余計なも のと認識 管理層がふりかえ り実施に難色 B B 効果 実感 個別結果 の効果性 実践への 動機 ふりかえ りへの価 値認識 管理層への アピール性 マンネリ度 背景共有度 ファシリテーション の適切性・有効性 チーム 指向度 他案件割込度 実施目的適切性 SCOPE適切性 実施頻度 管理層の 率先垂範度 時間の長さ 俺の話を 聞け度 参加疲労度 本音共有性 無発言者数 気づきの 意味理解度 有効な ふりかえり 結果(W・T)数 D D 個人責任 追及度 ふりかえりが めんどくさい A 関係者が同時間に 集うのが難しい 多忙度 管理層推奨度 改善実践度 C 採集結果の因果関係分析 (意味づけ) Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved チーム が成長 しない チーム 成長度
  16. ReModelingによる ふりかえりの効果図式 チーム 成長度 効果 実感 個別改善 の効果性 実践への 動機

    ふりかえ りへの 価値認識 管理層への アピール性 マンネリ度 背景共有度 ファシリテーションの 適切性・有効性 チーム指向度 他案件 割込度 実施目的適切性 SCOPE適切性 実施頻度 管理層の 率先垂範度 時間の長さ 俺の話を 聞け度 参加疲労度 本音共有性 無発言者数 気づきの 意味理解度 有効な ふりかえり 結果(W・T)数 個人責任 追及度 多忙度 管理層の 実施推奨度 改善 実践度 A B B A C C No. 推奨プラクティス(例) ① 目的・観点事前共有 ② 4行日記フレームの採用 ③ グランドルールの採用 ④ ジャイアンの参加除外 ⑤ 1人1件バトンリレーの採用 ⑥ タイムボックス運営 ⑦ 個別ふりかえりとチームふりかえりの分離 ① ② ⑦ ④ ① ① ⑤ ① ⑥ ③ ⑦ ① ② ④ ⑤ ⑥ ③ 組織学習への活用例 推奨プラクティス付き ふりかえりの効果図式 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  17. 事象連鎖分析結果は“モデル”でしかない • モデルとは、対象の典型的な特徴を使って概要を表現したもの。 • 詳細を端折っているので、そのものすべてではない。唯一の表現結 果が存在するわけでもない。 • まずは、自分たちにとって納得できる内容になっているかどうか? 他者に説明して、いろいろ質問がきても説明でき、相手の理解や納 得を得ることができるか?が重要。

    • 一度そうなったとしても、それで終わりではない。あくまでも現時 点の能力レベルで認識共有できたのであって、次の能力レベルに成 長するとまた異なる内容(意味)に変化する。 • モノの見方、意味づけ、意義づけ、反応がより適切になる=能力向 上 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved
  18. 取り 込み 意味 づけ 意義 づけ 反応 うれしい! イヤだなぁ・・・ こんな状態だ/こ

    んなことがあった! 人間のモノゴトの取り込み~反応まで 42 ヴァージニア・サティア(Virginia Satir)の交流モデル(*1) *1:参考 ソフトウェア文化を創る2 「ワインバーグのシステム洞察法」 共立出版 G.M.Weinberg 個人の性質・価値観・経験則 周囲の状況 など 事象・出来事・ 状態 解釈 感情 対処スタイル Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol , All Rights Reserved ここを よりよく 変える =成長
  19. これまでのSaPID関連事例 SPI Japan 2007:現場の様々な事実情報分析に基づく現実的な改善アプローチのご紹介-システムズアプローチを活用した改善実 践事例- http://www.jaspic.org/event/2007/SpiJapan/2A3.pdf SPI Japan 2011:ふりかえり実践方法の変遷による業務運営プロセスと成果の改善 http://www.jaspic.org/event/2011/SPIJapan/session3B/3B4_ID008.pdf

    SPI Japan 2012:システムズアプローチによる問題発生構造分析とPFD(Process Flow Diagram)を用いたプロセス改善 http://www.jaspic.org/event/2012/SPIJapan/session3A/3A3_ID009.pdf SPI Japan 2012 【最優秀賞受賞】:システムズアプローチに基づくプロセス改善メソッド:SaPIDが意図するコト〜プロセスモデルをより 有効活用するために/そして現場の自律改善運営を促進するために〜 http://www.jaspic.org/event/2012/SPIJapan/session3A/3A4_ID023.pdf SPI Japan 2013 【実行委員長賞受賞】:SaPID実践事例より~改善推進役がやるべきこと/やってはいけないこと 現場が自らの一 歩を踏み出すために http://www.jaspic.org/event/2013/SPIJapan/session2B/2B3_ID011.pdf SS2013 【最優秀発表賞受賞】:「プロセスアセスメント結果の現実的・効果的活用方法の提案」 http://sea.jp/ss2013/accepted_papers.html#s3 派生開発カンファレンス2013:問題構造分析とPFDの併用による現実的・段階的な改善実践方法の提案~PFDを使いこなす能力を 確実に身に着けるために http://affordd.jp/conference2013/xddp2013_p8.pdf SQiP2014:「プロジェクト運営と改善実践の連携・一体化」~プロジェクトマネジメントにおけるSaPIDシステムズアプローチ活用事例 https://www.juse.jp/sqip/symposium/archive/2014/day1/files/happyou_B1-3.pdf 46 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol, All Rights Reserved
  20. SPI Japan2015 【わくわく賞受賞】:「自律型プロジェクトチームへの変革アプローチ事例」~チームの価値観変容を重視し、問題モデリン グを活用したSaPID流プロセス改善アプローチ~ http://www.jaspic.org/event/2015/SPIJapan/session3C/3C-3_ID012.pdf JaSST2016東京 【ベストスピーカー賞受賞】:「レビューの目的・観点設定の効果と課題」 Slideshare:http://www.slideshare.net/AdachiKenji/ss-59510938 SPI Japan2017

    【特別賞受賞】:「自分事化影響要因に着目した中期経営計画立案・展開への共創アプローチ[現状分析~計画立案編]」 http://www.jaspic.org/event/2017/SPIJapan/session3B/3B1_ID003.pdf JaSST2018東京 【ベストスピーカー賞受賞】:「TPI Nextを活用したチームメンバーの問題意識から始めるテストプロセス改善」 http://bit.ly/2FLtpHU SS2018札幌 「リスク構造化を用いたリスクマネジメント手法の提案と効果分析」 ~「未来予想図」を用いたリスクマネジメントPDCAサイクル~ https://www.slideshare.net/AdachiKenji/ss2018-sapidtocpresentation JaSST2019北陸 招待講演 「そのレビュー、大丈夫ですか? ~現状レビューの問題発見・解決」 http://www.jasst.jp/symposium/jasst19hokuriku/pdf/S2-1.pdf http://www.jasst.jp/symposium/jasst19hokuriku/pdf/S2-2.pdf SPI Japan2019 【特別賞受賞】:静的×動的プロセス改善の実践と課題 共通性×相違性~見つけ方とつなぎ方 http://www.jaspic.org/event/2019/SPIJapan/session2A/2A2_ID008.pdf SPI Japan2020 「FRI(Factor-Risk-Influence)モデルによるリスク構造の見える化」 http://www.jaspic.org/event/2020/SPIJapan/session6/6-3_ID008.pdf JaSST2021東京 チュートリアル 「価値につながる要件・仕様からテストを考える」 http://jasst.jp/symposium/jasst21tokyo/details.html 47 Copyright © Kenji Adachi@Software Quasol, All Rights Reserved