Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

アジャイルの名を捨ててアジャイルをやる ─アジャイルに忌避感のある現場での“困りごと駆動”の実践─

アジャイルの名を捨ててアジャイルをやる ─アジャイルに忌避感のある現場での“困りごと駆動”の実践─

Avatar for kumaGoro95

kumaGoro95

October 04, 2025
Tweet

More Decks by kumaGoro95

Other Decks in Programming

Transcript

  1. 自己紹介
 4 • クリエーションライン株式会社
 • 公安系の公務員→アプリエンジニア
 • 札幌在住(去年神奈川からUターン)
 • 好きなもの・関心があるもの


    ◦ 犬・パラドゲー(Vic3)・十二国記・蒼天 航路・幼女戦記・人類学・フィギュアス ケート 等
 くまごろー(@kumaGoro_95)

  2. 苦戦とモヤモヤ 
 私視点では、こんな見え方だった 
 • 今まで「当たり前」のようにやっていたことができなく なった
 • いい方法だと思って提案しても反発されることが多く、 苛立ちや無力感があった

    
 • コミュニケーションがうまくいってない、議論が噛み合 わない感覚もあった
 9 このやり方は効果ある のに、なぜ受け入れても らえないんだろう? 

  3. 苦戦とモヤモヤ 
 私視点では、こんな見え方だった 
 • 今まで「当たり前」のようにやっていたことができなく なった
 • いい方法だと思って提案しても反発されることが多く、 苛立ちや無力感があった

    
 • コミュニケーションがうまくいってない、議論が噛み合 わない感覚もあった
 10 このやり方は効果ある のに、なぜ受け入れても らえないんだろう? 
 「従来のやり方に固執しているのでは」とさえ感じていた 

  4. ある日の一幕 
 • 「アジャイルだったら普通はこうやります」という一言 
 • その瞬間に胸の中で違和感
 ◦ 「普通って何?」
 ◦

    「なぜやるかが抜けてないか?」 
 ◦ 「少なくとも、説明はたりてないのでは」 
 
 → 何気ない一言だったけど、押し付けのように響いてしまうと感じた 
 (自分がアジャイルを学び始めた時のことも思い出した) 
 11
  5. どう切り替えたか 
 • アジャイル用語を封印。用語よりも理由を伝える 
 • チームの状況を出発点に考える 
 • 相手の関心事や背景は徹底的に聞く

    
 • 目の前の困りごとを起点に提案する 
 13 「アジャイルならこう」という考 えは一旦忘れる! 

  6. 実践① モブでの資料作成 
 • 困りごと:
 ◦ 課題や進め方に対する上長との認識合わせが進まない 
 ◦ チーム内でも理解の差・認識のズレがあった

    
 • 提案:「関係者の認識合わせのために、皆で一気に資料を作り上げちゃいましょう」 
 • 工夫:
 ◦ 皆が同時に触れるツールで資料を作成(Web版のパワポ) 
 ◦ 資料を作りながら認識合わせ
 • 変化:
 ◦ 上長に現状を理解してもらえて、以降の議論がスムーズに 
 ◦ モブ作業にポジティブな印象を持ってもらえた 
 15
  7. 実践② プロトタイプでの早期検証 
 • 困りごと
 ◦ 不確定な仕様が多く議論が進まない 
 ◦ 「プロトタイプを製品化してしまわないか」という不安があった

    
 • 提案
 ◦ 「捨てる前提で小さく作って、動かして調査しましょう」 
 • 工夫:
 ◦ 「プロトタイプは検証用。製品としては使わない」とチームで合意 
 ◦ 最小範囲で実装し、作り込まない 
 • 変化:
 ◦ 具体的なサンプルによって、設計の確度が上がった 
 ◦ プロトタイプをベースに、チームの対話が活性化した 
 16
  8. 姿勢① 相手の関心事を徹底的に聞く 
 • 困りごと
 ◦ 提案しても受け入れてもらえない 
 ◦ 議論が噛み合っていないと感じるときがある

    
 • 工夫
 ◦ 「自分の意見を通す」よりも「まずは聞くこと」に徹する 
 ◦ モブや雑談で、人となりや関心事を知る 
 • 変化
 ◦ 「前提や背景を踏まえて話している」と受け止められるよう になり、提案が通りやすくなった 
 ◦ 過去の自分の提案は、相手から見れば難しいことだったと 気づいた
 17 相手の事情を理解し きれていなかった... 

  9. 姿勢② ポジティブな言い換え 
 • 困りごと
 ◦ 認識のズレや新たな事実の発見が、ネガティブに捉えられることが多かった 
 • 工夫


    ◦ 「今気づけてよかった」「わかることが増えた」と言い換える 
 ◦ ふりかえりで前向きな付箋を貼りまくる 
 • 変化
 ◦ ふりかえりで「認識が合ってきてよかった」という声が出てきた 
 18
  10. でも、うまくいかなかったことも 
 • 提案したが受け入れられなかった 
 ◦ ペアプロ → 強い拒否感で断念
 ◦

    「設計を全部固めてから実装を始める」進め方 → 「固めたところから実装を始めません か?」という提案が拒否された
 • 構造的な要因もあった?
 ◦ 互いの会社ルールに差があった 
 ◦ ほぼチームビルディングをせず開発に突入 
 
 → でも、こちら視点の「困りごと」を正しく伝えきれてなかったかも 21
  11. 気づき/学び① 目の前の困りごとに集中 
 • 気づき
 ◦ 最初は「このアジャイルプラクティスで効果が出るはず」と固執 
 ◦ チームの現状を度外視して、自分にとって理想のアジャイルをやろうとしていた

    
 • 学び
 ◦ 出発点は「困りごとをどう解決するか」 
 ◦ 判断基準は「価値を届けられるかどうか」 
 ◦ 用語を出さなくても、アジャイルのプラクティスは自然に実践できる 
 23
  12. 気づき/学び② 土台は信頼関係 
 • 気づき
 ◦ 最初は「必要なプラクティスなら納得してもらえるはず」と考えていた 
 ◦ でも、信頼関係なしには、どんな意見も受け入れてもらえなかった

    
 • 学び
 ◦ アジャイルに関係なく、相手が拒否するのには、理由や背景がある 
 ◦ 自分の話を理解してもらうより、先に相手の話を理解することが大事 
 ◦ 「信頼があるからこそ、提案を聞いてもらえる」 
 
 24