学習指導要領と解説に基づく学習内容の構造化の試み / Course of study Commentary LOD JAET 2025

学習指導要領と解説に基づく学習内容の構造化の試み
高久 雅生（筑波大学）, 江草 由佳（国立教育政策研究所）, 榎本 聡（日本女子大学）, 大井 将生（同志社大学）, 有山 裕美子（滋賀文教短期大学）, 阿児 雄之（東京国立博物館）
第51回全日本教育工学研究協議会全国大会 茨城つくば大会
2025年11月15日（土）
研究発表セッション3-D-3

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1. 学習指導要領と解説に基づく 学習内容の構造化の試み 高久 雅生（筑波大学） 江草 由佳（国立教育政策研究所） 榎本 聡 （日本女子大学） 大井 将生（同志社大学） 有山 裕美子（滋賀文教短期大学） 阿児 雄之（東京国立博物館） 第51回全日本教育工学研究協議会全国大会 茨城つくば大会 2025年11月15日（日） Supported by JSPS KAKENHI Grant Numbers JP23H03695 & JP23K11761
2. 研究の背景 • 多様な教材群の利活用の可能性 オンライン＋デジタル資料 一次資料へのアクセス可能性の高まり 教育利活用への可能性 • 学習指導要領とその体系性との連携可能性・関連付け 教育実践との接続不良 仕組みとメタデータの不足 • 発表者らのこれまでの取り組み 教育向けLODデータ基盤 2
3. 研究の目的 • 学習指導要領とその「解説」の構造化（LOD化; Linked Open Data化） 既存の学習指導要領LOD等の基盤に「解説」データ セットを加えて構造化することにより利活用のさらな る高度化を図る • 教育向けLODデータ基盤に基づく利活用の促進 ウェブ上のコンテンツ・一次資料・教材と教育実践と を結び付けるためのデジタル基盤の構築と提供 3
4. 提案手法 • 教育向けLODデータ基盤の提供を通じて、外部の教材 やデジタルアーカイブコンテンツと連携可能とする 学習指導要領LOD 教科書LOD 単元LOD ＋学習指導要領解説LOD • 外部コンテンツの活用のため、学習指導要領細目＋解 説細目（＋単元細目）を通じて接続することにより、 教育実践での利用を支援、促進 4
5. 学習指導要領コード •文部科学省がExcelとCSV形式で配布（コード表） 5 元の文書 （学習指導要領） https://www.mext.go.jp/content/000101686.xlsx 各行に、別々の 「学習指導要領コード」が 付与 学習指導要領コード表： 各行を1つの 「学習指導要領の細目」と 定義
6. 学習指導要領LOD (Linked Open Data) •学習指導要領の本文内容と 関連情報のLOD •学習指導要領の細目を一意 のURIで示せる URIは「学習指導要領コー ド」を使って表現 例：https://w3id.org/jp- cos/83212A3200000000 6
7. 学習指導要領の細目リソース ←学習指導要領テキスト ←学習指導要領コード ←節番号の階層情報 ←節番号を抜いたテキスト 学校種別、教科、科目、学年など関連情報 学習指導要領 についての情報 下位階層の細目 ←NHK for School を学習指導要領コードで検索 https://w3id.org/jp-cos/83212A3200000000
8. LODレゾルブ機能： リソースURIに対してRDF/Turtle形式をリクエストする と機械処理可能なデータを取得できる 8 https://w3id.org/jp-cos/83212A3200000000.ttl
9. 教育向けLODデータ基盤による 教育利活用シナリオ • 学習指導要領細目、教科書単元、教材等が相互に接続された 世界では… 児童生徒が自身の教科書にある写真や図などから、デジタルアーカ イブに存在する高精細版を探して学びを深められる 児童生徒が自身の手元の教材以外にデジタルで入手可能な教材など を自由に探して学びを深められる 他の教師や教材会社が作成し共有されたリンクを通じて、教材研究 や学習案、授業計画等のアイデアを共有したり、実践例を探したり できる 9
10. 学習指導要領解説 • 大綱的な基準である学 習指導要領の記述の意 味や解釈などの詳細に ついて説明するために 文部科学省が作成した もの 学習指導要領に記述さ れていない、詳しい例 示や言い換え表現によ る説明など 10 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm
11. 学習指導要領解説LODデータセットの 構築手順 1. 解説細目の切り出し 段落（パラグラフ）単位での切り出し 2. 細目へのID付与 3. 細目同士の関連付け 解説 → 指導要領 指導要領 → 指導要領 • 対象 小学校社会編と理科編: 5, 6年生分のみ 外部教材と対応させやすいことを考えて選定 11
12. • 小学校理科・6学年 「A (1) 燃焼の仕組み」 学習指導要領の学習内容細目 ← 対応する解説 （存在する場合は） 学習指導要領の学習内容細目 → 基礎的な学習内容細目（4学年 の学習内容） → 応用的な学習内容細目（中学 校の学習内容） 12 学習指導要領における学習内容の説明（細目） 解説の細目
13. 学習指導要領解説LODデータセット •解説細目の件数 655件 13 対象教科 学年 解説細 目数 対応す る学習 指導要 領細目 数 解説細 目から 他の細 目への リンク 数 基礎的 内容へ のリン ク数 発展的 内容へ のリン ク数 小学校社会 5年生 168 248 68 1 0 小学校社会 6年生 270 445 166 0 0 小学校理科 5年生 81 134 24 8 8 小学校理科 6年生 136 176 40 12 13 合計 655 1,033 298 21 21
14. 学習指導要領＋解説LODデータセットに基 づく利活用の例（アイデア） • 検索 手元の教材と関連する学習指導要領コード（細目）を発 見する手がかりとする • 関連付け 教材やコンテンツの教育実践への紐付けを行う手がかり 情報として用いる • 学習指導要領の体系性の明示と理解促進 学習指導要領テキストとその解説とを関連付けながら示 すことにより、理解を深めることが可能 体系性が担保された情報を機械処理に活用する可能性 14
15. 利活用例：学習指導要領の検索 15 学習指導要領LOD検索として実装 http://w3id.org/jp-cos/search
16. 今後の課題 •データの対象範囲を広げる 現状、小学校社会・理科5, 6学年のみは狭い 他の教科等に広げたときに新たな関係性を可能性も •応用例（利活用例） 検索だけでなく、教材などとの関連付け（紐付け） や教材検索などへの応用例を試行 •評価 教育用LODデータ基盤全体としての活用例を通じた 教育実践または教材関連付けなどの効果測定へ 16
17. まとめ • 目的 従来構築してきた教育向けLOD基盤に、学習指導要領解説LODデータセット を加えることにより、学習指導要領細目に基づく教育利活用を促進、深化 • 手法 学習指導要領解説の構造化（LOD化） 解説細目の切り出しとID付与＋関連情報の追加 • 結果 小学校解説：社会・理科 5, 6学年 = 655細目 + 関連構造データ 応用アプリケーション例：検索機能の実装 • 今後の課題 さらなる範囲の拡大 応用アプリケーションの構築、共有、評価、効果測定 17