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善意の活動は、なぜ続かなくなるのか ーふりかえりが"構造を変える判断"になった半年間ー

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January 08, 2026

善意の活動は、なぜ続かなくなるのか ーふりかえりが"構造を変える判断"になった半年間ー

RSGT2026のセッション資料です。

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January 08, 2026
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Transcript

  1. RSGT 2026 REGIONAL SCRUM GATHERING TOKYO 2026 善意の活動は、 なぜ続かなくなるのか ―

    ふりかえりが“構造を変える判断”になった半年間 ― 社内コミュニティ、勉強会、有志の改善活動... 熱量はあるのに、業務が優先されて、個⼈の頑張 りに依存してしまう。 このセッションでは、「善意の活動をどうすれば“続くもの”として扱える のか」 私たちが構造をどう変え、何を問い直してきたかをお話しします。 1
  2. PRECONDITION このセッションで扱うこと‧扱わないこと 今⽇扱うのは 観測結果の共有 リード‧参加メンバーのふりかえり 当事者が実際に書いた「⽣の声」をもとにした話 活動の中で起きた「判断と変化」 ⼀つの組織で実際に起きた事実の記録 草の根活動のリアル 善意の活動をどう「続くもの」として扱ったか

    扱わないのは How-to / ⽅法論 TFの作り⽅‧⽴ち上げ⼿順 制度設計の詳細は割愛します 正解のフレームワーク 「こうすればうまくいく」という話ではありません うまくいった成功事例 綺麗なサクセスストーリーではありません これは成功事例ではなく、判断と変化の記録です。 4
  3. CURRENT SITUATION WG期の実態:コミュニティとしては、うまくいっていた ASSESSMENT “ 組織やプロダクトなど、 様々なスコープで物事をつなげて 考えられるようになってきた感じはある。 好きなこと やってるだけではあるけど…

    — WGふりかえり(2024.12)より 視野の広がり 様々なスコープで物事を捉える 対話の増加 部⾨や役割を越えたつながり 健全な運営 期間を1年と決めて活動 活動⾃体は間違いなく良い状態でした。だらだら続けていたわけでもありません。 5
  4. THE CHALLENGE WGの課題:「有志」という⾔葉が⽣んでいた壁 6 認識の壁 ラベルが軽いと、活動も軽く⾒られる 重要性や本気度が伝わらない 「有志」「コミュニティ」という⾔葉から、 楽しくやっているだけの活動に⾒られてしまう。 参加の壁

    ⼈が増えず、特定の⼈に負荷が寄る いつも同じ顔ぶれの参加になる 「業務優先」「忙しい」が正当な理由になり、 参加しないことが正解に⾒えてしまう構造。 活動の中⾝は真剣なのに、ラベルが軽いために構造的な限界にぶつかっていた 善意の燃え尽きによる持続可能性の危機
  5. AFTER RULE CHANGES TFとして何を変えたか:参加と運営のルールを決めた 参加の前提を変える BEFORE 余⼒がある⼈がやる 業務優先、忙しい⼈は参加しないことも多い AFTER ⼀定レベル以上の⼈は

    何かしらのTFに関わる 「余裕があるからやる」ではなく、 全員が同じ関⼼でなくていい 教育‧育成、AI活⽤など、関⼼の⼊⼝が違うTFも⽤意 運営の仕⽅を変える コミュニティ全体を“⾯”として⾒る 次のスライドで詳述 BEFORE 個別の活動に任せる 8 コミュニティと⼤きくは変わらない。少しだけ、ルールを決めた状態 組織の改善活動に関わること⾃体を前提にする
  6. TF OPERATION TFの運営:コミュニティを⾯で⾒る 1 すべてのリードが集まる場 隔週ですべてのTFのリードが集まり、 情報共有や課題相談を⾏う定例会を設置。 2 全体のスプリントレビュー 個別の進捗報告だけでなく、

    組織全体の改善状況を確認し合う場として機能。 点 ⾯ 個々の活動を点で終わらせず、 コミュニティ全体を⾯として⾒る AI活⽤ 技術基盤 育成 品質 ⽂化 Lead MTG 隔週開催 9
  7. ! THE CHANGE TF期の変化:迷い⽅が変わった BEFORE (WG) AFTER (TF) やるかどうか どう進めるか

    How to proceed どこまでやるか やめる選択肢が 常にチラつく状態 進める前提 正解のない問いに 向き合う状態 有志の活動でどこまでやるのか。業務が忙しい中時間を割いて良いのか。 活動の正当性や、⾃分⾃⾝を納得させるために、エネルギーが削られる。 「やるかどうかで迷うことが減り、 どう進めるかで迷うように なった」 楽になったわけではない むしろ決める回数や責任は増えた。 「決められずに⽌まる」が減った 善意の活動を「ちゃんと決める対象」として扱えるようになった。 10 やる前提で 何をどう進めるか どうアプローチするか
  8. REMAINING CHALLENGES 残った課題:構造を変えても、消えなかったもの 捉え⽅の変化 「個⼈の問題」ではなく、 構造の問題だと共有できた あの⼈が頑張ればなんとかなる 今のリソース配分ではこれが限界 解けなかったことも、⼤切な学び 構造を変えても残る課題があることを知れたことが、

    次の打ち⼿を考える⼟台になる 形を変えて残り続けた課題 これらはWGの頃から本質的には変わらず存在し続けています 業務とのバランス 本業が忙しくなると、どうしても TFの時間が削られてしまう 時間の不⾜ やりたいことに対して、リソース が⾜りない状況は変わらない 期待値の調整 周囲からの期待と実際の進捗の ギャップ 11
  9. ROLE OF SUPPORTER ⽀援する⼈‧リードする⼈の役割:⼿放せる状態をつくる 10 / 11 何かを前に進めること ⾃分がいなくても回る状態をつくること 進む

    依存を⽣む 耐える ⾃⾛する IMPACT ANALYSIS 短期的な⽀援 「⾜りないなら⾃分がやる」 ⻑期的な⽀援 「仕組みを作る‧⼿放す」 必要なマインドセット 何をやるか 何をやらないか ⾃分が動けば解決する場⾯で、 あえて動かないという選択をする勇気 成功のサイン 「TFでなくても⽌まらない」 仕組みをデザインして⼿放す
  10. CLOSING REFLECTION あなたの現場では、どうでしょうか 01 DEPENDENCY 善意で始めた活動が、 特定の⼈の頑張りに依存していな いか? 02 PLACEMENT

    その活動は、 どこに置くと続きそうか? 03 LABELING 「有志」「コミュニティ」という⾔葉が、 無意識に参加の 壁になっていないか? 04 STRUCTURE 構造は、決めたら終わりではなく、 ⾒直し続けるもので はないか? 善意の活動を止めないために どんな支援ができるでしょうか? 13