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systemdエッセンシャル / systemd-intro

systemdエッセンシャル / systemd-intro

RHEL8 で systemd の出力やログを読んで理解できないときに、どこを調べたらいいか見当がつくようになることを目標として、systemdの基本的な考え方や、調べるときに中心になりそうなトピックを紹介する資料。RHEL 8を想定しています。

Kazuo Moriwaka

March 02, 2020
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  1. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 1 systemd エッセンシャル

    レッドハット株式会社 ソリューションアーキテクト 森若和雄 <[email protected]> 2020-03-22
  2. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 2 この資料の位置づけ •

    対象 : systemd をとりあえず使えているけど中で何をやってい るかブラックボックスで気持ち悪い or 納得感がない人 • 目的 : RHEL8 で systemd の出力やログを読んで理解できない ときに、どこを調べたらいいか見当がつくようになること • 前提 : fork, exec システムコール、シグナル、ソケットくらい の言葉がなんとなくわかる程度の UNIX 系 OS についての知識
  3. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 3 この資料で扱わないこと •

    RHEL8 より前の systemd から何が変わったかの差分 • unit 作成方法や コマンドの how to use • ディレクティブの網羅的な一覧や解説 (systemd.directives から systemd の man page を探す のがおすすめです ) • dracut を含む起動処理の詳細 • Optional な機能の一部 – systemd-networkd, systemd-resolved, systemd-timesyncd – systemd-nspawn, machinectl – systemd-boot, Portable Service – デスクトップ環境とのインテグレーション全般 • 個別のトラブルシュート (Red Hat の Knowledge base を検索するのがおすすめです )
  4. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 4 agenda •

    systemd は何をやるもの ? • systemd の unit – target unit: 同期ポイントを提供 – service unit: サービス管理 – socket, path, timer unit: イベントに よる Activation – device, mount unit: ファイルシステ ムの mount – slice, service, scope unit: cgroup 管理 • ユーザセッション用 systemd • アドホックなコマンド実行の管理 systemd-run • journald によるロギング • sysvinit からの移行 • systemd の動作を眺める • 周辺ツールなど • 参考資料
  5. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 5 cgroup などの環境

    cgroup などの環境 概要図 udev systemd cgroup などの環境 プロセス child proces プロセス journald デバイス管理 unit 管理 サービスやユーザセッション 環境セットアップ unit unitunit ログ出力 journal device socket unit 作成 path timer device device 待受け socket socket path timer timer path unit file
  6. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 7 systemd って何?

    • システムとサービスの管理をおこなうたくさんのサービス、ユー ティリティ、ライブラリ群。 PID 1 の init 実装を含む。 • 「 sysvinit の置き換え」とよく言われますが単純な置き換えでは なく linux の機能を活用する基盤として作り込まれています • 目標は? – 起動の高速化 – ディストリビューション独自実装の統廃合 – ベストプラクティスの統合
  7. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 8 systemd の普及

    • 2010 年 systemd の最初のリリース • 2011 年 Fedora に systemd を統合 • 2013 年 Debian に統合 ( 複数ある init 実装の一つとして ) • 2014 年 RHEL, SLES が systemd を統合 • 2015 年 Debian のデフォルト init 実装に選出 世にでてから約 10 年、一般的なディストリビューションで 標準的に利用されるようになってから約 5 〜 6 年
  8. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 9 systemd はどのあたりをカバーする

    ? • 起動・終了・再起動に必要な処理全般 – デバイスの検出・命名・初期化 – fs の mount, autmount, 暗号化 block device 対応 – サービス起動・管理 – ロギング – 起動失敗時のレスキュー処理 – パスワード確認 – システムの locale, TimeZone, キーボード , 仮想コンソール – 電源管理 ( サスペンド・ハイバネート・レジューム ) • サービス管理で典型的に必要な属性全般の管理 – control groups, namespace, ulimit, 通知 , /tmp の掃除 – ユーザセッション管理
  9. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 10 それぞれをカバーする systemd

    関連プログラム • 起動・終了・再起動に必要な処理全般 – デバイスの検出・命名・初期化 ← udev – fsの mount, autmount, 暗号化 block device対応 ← systemd-fstab-generator – サービス起動・管理 ← systemd本体 – ロギング ← journald – 起動失敗時のレスキュー処理 ← rescue.service – パスワード確認 ← systemd-ask-password-* – システムの locale, TimeZone, キーボード , 仮想コンソール ← localectl, timedatectl – 電源管理 (サスペンド・ハイバネート・レジューム ) ← systemd-sleep, udev, systemd-inhibit • サービス管理で典型的に必要な属性全般の管理 – control groups, namespace, ulimit, 環境変数 , /tmp の掃除 ← systemd本体 , systemd-tmpfiles* – ユーザセッション管理 ← systemd-logind
  10. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 11 宣言的なサービスの定義 •

    sysvinit ではシェルスクリプトを順次実行することで起動処理を行う – 編集すると rpm パッケージ等の更新時にトラブルが発生しがち – ulimit 等のリソース割り当てや設定方法が標準化されていない。 • そのため自動でのカスタマイズや、それを更新時に維持することなどが難しい。 • systemd では宣言的にサービスを定義し、実行は shell ではなく systemd が行う [Unit] Description=Vsftpd ftp daemon After=network.target [Service] Type=forking ExecStart=/usr/sbin/vsftpd /etc/vsftpd/vsftpd.conf [Install] WantedBy=multi-user.target
  11. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 12 従来からの互換性の維持 中身は大きく変わっていますが、操作の互換性を維持する工夫を実施

    • sysvinit, LSB の init scripts から unit ファイルを自動生成 • インタフェースの互換性維持 – 「ランレベル」への対応 : runlevelX.target, カーネルオプション等の維持 – ソケット : /dev/initctl, /dev/log 互換ソケット – dbus: ConsoleKit等の dbus インタフェースを維持 • 互換コマンドの提供 – halt, init, poweroff, reboot, runlevel, shutdown, telinit など – service コマンドを実行すると systemctl を呼びだす # service cups start Redirecting to /bin/systemctl start cups.service
  12. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 13 systemd はプロセス実行環境を用意する

    • systemd の主要な機能のひとつは実行環境の用意 – UID, GID, 環境変数 , cwd, chroot, ulimit, capability, nice, cgroup, namespace, seccomp, taskset などを設定した上でプロ セスを実行 • systemd は linux kernel が提供する多様な機能を統一的なイン タフェースで提供
  13. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 14 systemd がプロセス実行環境を用意する方法

    systemd cgroup, 環境変数 , uid etc. systemd → プロセス child proces プロセス 1. systemd は fork() して、子プロセスを cgroup に入れる 2. 子プロセスの systemd が 環境を設定してから exec() でプロセス実行 3. プロセスがデーモン化や子プロセスの 生成などを行っても cgroup で追跡する
  14. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 15 使い捨て unit

    の作成 systemd-run • systemd が用意する環境を試すには、使い捨ての unit を作る systemd-run コマンドが便利 • systemd-run [ オプション ] < コマンド > – 例 1: # systemd-run -t env • サービス用に用意された環境変数を表示 • -t をつけないと端末ではなくログへ出力される – 例 2: # systemd-run -t --uid=apache id • uid が変わっている – 例 3: # systemd-run -S -p ProtectHome=yes • service 用環境で shell を起動する。この例では /home 以下にアクセスできない ( 何もなくなっ ているように見える ) • systemd で制限をかけた環境でプログラムをテストするときに便利。
  15. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 17 unit とは

    ? • システム管理に登場するいろいろなモノを抽象化し た、 systemd で使われる概念 • 例 : 以下の「」内にあるものは全て unit 「ブロックデバイス sda2 」を「 /var に mount 」して 「パス /var/cache/cups/org.cups.cupsd が存在」すれば 「サービス cupsd 」を起動して「ソケット /run/cups/ cups.sock 」で待ちうける unit
  16. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 18 systemd は

    unit 群を管理する systemd はおおむね以下のような動作を無限に繰り返します : • システムの起動、ハードウェアの挿抜、ユーザコマンド、 タイムアウト、 unit 状態変化などのイベントを取得する • イベントに対応する unit があれば、あらかじめ定義された制限に従って有 効化 (Activation) や無効化などの job を行う。 unit の内容や依存関係から 複数の job になることもある。 • systemd は job queue を持っていて複数の job を適切な順序で実施する unit systemd event activation
  17. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 19 unit がとる状態

    • 基本的な 2 状態 : Active, Inactive • 中間的な状態 : Activating, Deactivating, Reloading • 例外 : Failed, Maintenance Inactive Active Activating Deactivating Reloading Failed Maintenance
  18. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 20 unit 間の依存関係

    unit は他の unit と依存関係をもてる • Wants: B を active にするなら A も active にした いが A が無い場合や失敗しても OK • Requires: B を active にするなら A も active にし する。 A が成功しないと B は失敗 • After: B を activating にするのは A を activating にしたあと • Conflicts: A と B は同時に Active になれない A B Wants A B After A B Conflicts A B Requires
  19. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 21 systemd の

    unit 初期化イメージ multi-user .target crond .service NetworkManager .service Wants Wants After time-sync .target network .target network-pre .target chronyd .service After After chrony-wait .service After Require Before Wants Before Wants systemd は 多数の unit 間の 依存関係を見て 何を active に するか、順序を どうするか決める 起動設定 : これを active に するぞ Wants
  20. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 22 systemd の

    unit 初期化イメージ ( 続 ) crond 起動 NetworkManager chronyd 起動 network chrony-wait time- sync network- pre multi- user 依存関係を満たしつつ 起動処理を並行して行う
  21. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 23 実際の起動処理の様子 $

    systemd-analyze plot SVG 形式で起動時の各 unit の初期化開始・終了のタイ ミングを図示する。
  22. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 24 systemd --test

    • /lib/systemd/systemd --test --system とすると実際に起動用 の unit や設定を読んで実行するべき job を計算した様子を出 力する。 ( 実際の起動処理はおこないません )
  23. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 25 主要な Activation

    のきっかけ • Activation on boot: 起動処理。通常は default.target unit を有効化する。 • Socket-based Activation: systemd が xinetd のようにソケット待ちうけを行 い着信を契機に対応する service の unit を有効化してソケットを引きつぐ。 socket unit と service unit の組み合わせで定義する。 • Timer-based Activation: systemd が時刻やタイムアウトなどを契機に service unit などを有効化する。 timer unit と service unit の組み合わせで定義する。 • Device-based Activation: linux kernel が検出したハードウェアの挿抜や変更 を契機として device unit を作成し、そこからの依存関係で mount unit や service unit などを有効化する。 fstab での mount 処理などは device-based activation で実施される。
  24. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 26 ユーザからの操作 :

    systemctl • systemctl は systemd への主要な操作インタフェース – よく使うコマンド : 見る (show) 、状態 (status) 、有効化 (enable) 、 無効化 (disable) 、開始 (start) 、終了 (stop) 、リロード (reload) 例 : cron デーモンに対応する unit crond.service の状態表示 $ systemctl status crond.service • crond.service - Command Scheduler Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/crond.service; enabled; vendor preset: enabled) Active: active (running) since Mon 2020-02-03 14:42:02 JST; 2 days ago Main PID: 1245 (crond) Tasks: 1 (limit: 28413) Memory: 10.0M CPU: 30.309s CGroup: /system.slice/crond.service └─1245 /usr/sbin/crond -n Feb 06 11:10:01 snake.usersys.redhat.com CROND[147722]: (root) CMD (/usr/bin/redhat-interna>
  25. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 27 unit の

    start/stop 操作 • systemd が unit を active にする (start) / inactive にする (stop) – systemctl start crond.service – systemctl stop crond.service • 状態を変える必要がある場合だけ動作を行う – unit が既に active である場合、 start しようとしても何も実施しな い。 unit が inactive な場合の stop も同様。 • 依存関係があれば指定以外の unit も操作を行う場合がある
  26. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 28 実際のシステムで依存関係を見る •

    systemctl list-dependencies – デフォルトでは起動処理に対応する default.target の依存関係を表示 • default.target に使われる unit – multi-user.target (runlevel 3 相当 ) – graphical.target (runlevel 5 相当 )
  27. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 29 unit の種類

    • unit にはいくつかの種類がある。よく使うものを例示する。 – target: 何もしない。依存関係や前後関係を定義するために使う – service: 何かのプロセスを実行してサービスを提供する – socket: TCP, UDP, IPv4, IPv6, socket, dbus, fifo などで待ちうける – path: ファイルやディレクトリが存在することや操作されたこと を待ちうける – timer: サービス開始時から x 秒経過、前回の timer 起動時から x 秒経過、カレンダー上の日時などの時刻を待ちうける
  28. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 30 関連する man

    page • systemd(1) Concepts 節 : systemd の主なコンセプト、 unit の種類、 kernel コマンドラインオプション • daemon(7) Activation 節 : Activation の説明 • systemd.special(7): systemd であらかじめ定義されている特殊 な unit の紹介。 default.target など予約語のように扱われるも のも多い。
  29. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 31 やってみよう •

    systemctl list-units で unit の一覧を見る • systemctl status <unit 名 > で unit の状態を見る • systemctl show <unit 名 > でもっと細かい unit の状態を見る
  30. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 33 unit の定義ファイル

    unit file • systemd の unit 群のほとんどはファイルで定義される • unit と unit file は明確に区別されるが慣れるまでは混乱しがち – systemctl list-units (unit の一覧 ) – systemctl list-unit-files (unit file の一覧 ) – systemctl cat crond.service ( ある service に関連する unit file を出力 ) • systemd は unit file をロードしてメモリ上の unit を作成する – systemctl daemon-reload ( 全 unit 定義ファイルを読み直す ) – 不要な unit は自動的にアンロードされる ( 一覧を見るだけでもロードしなおさ れるので利用時にはあまり意識しない ) ※unit file を書き変えただけでは動作に影響を及ぼさない場合があるので注意 unit file unit ロード
  31. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 34 unit file

    の例 [Unit] Description=The Apache HTTP Server Wants=httpd-init.service After=network.target remote-fs.target nss-lookup.target httpd-init.service Documentation=man:httpd.service(8) [Service] Type=notify Environment=LANG=C ExecStart=/usr/sbin/httpd $OPTIONS -DFOREGROUND ExecReload=/usr/sbin/httpd $OPTIONS -k graceful KillSignal=SIGWINCH KillMode=mixed PrivateTmp=true [Install] WantedBy=multi-user.target /lib/systemd/system/httpd.service
  32. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 35 unit の例

    Type=notify Restart=no NotifyAccess=main RestartUSec=100ms TimeoutStartUSec=1min 30s TimeoutStopUSec=1min 30s TimeoutAbortUSec=1min 30s RuntimeMaxUSec=infinity WatchdogUSec=0 WatchdogTimestampMonotonic=0 RootDirectoryStartOnly=no RemainAfterExit=no GuessMainPID=yes MainPID=0 ControlPID=0 FileDescriptorStoreMax=0 NFileDescriptorStore=0 $ systemctl show httpd StatusErrno=0 Result=success ReloadResult=success CleanResult=success UID=[not set] GID=[not set] NRestarts=0 OOMPolicy=stop ExecMainStartTimestampMonotonic=0 ExecMainExitTimestampMonotonic=0 ExecMainPID=0 ExecMainCode=0 ExecMainStatus=0 ExecStart={ path=/usr/sbin/httpd ; arg ExecStartEx={ path=/usr/sbin/httpd ; a ( 以下略 )
  33. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 36 unit file

    の文法 [Section A] KeyOne=value 1 KeyTwo=value 2 # a comment ; another comment [Section B] Setting="something" "some thing" "..." KeyTwo=value 2 \ value 2 continued TimeoutSec=”1hour 5min” いわゆる INI ファイル形式 • [Section] でセクションを指定 • Key=Value 形式の行が並ぶ。 Key や 条件により同じ Key を複数回書ける 場合もある。 • Key はディレクティブと呼ばれる • # または ; のあと改行まではコメント • 改行は \ でエスケープできる • 時間は” 3min 10sec” のように単位を つけて書ける
  34. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 37 unit と

    unit file • unit には unit file にある情報の他に以下が含まれる – デフォルト値 – 他 unit からの依存関係の逆向きの依存関係 • 他から After= で参照されていると Before= が作られるなど – 実行時に決まる情報 ( 時刻、実行結果、 PID など )
  35. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 38 unit file

    の enable/disable 操作 • unit file に対して enable か、 disable かを指定する – enable すると Install 処理が行われる ( 典型的には multi- user.target などからの依存関係を定義する ) – disable すると Uninstall 処理を 行い Install での処理を元に戻す • disable していても unit file はロード され unit が作成される。他から依存 されていれば active になる場合もある multi-user .target crond .service cups .path NetworkManager .service Wants Wants After time-sync .target network .target network-pre .target chronyd .service After After chrony-wait .service Require Wants Before Wants Before Wants
  36. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 39 unit file

    の mask/unmask 操作 • どういう依存関係を経由しても unit file から unit を作りたくないと きは mask を行う – mask すると systemd はその unit file を無視してロードしない – unmask すると元にもどす • mask した unit file で定義されていた unit へ、他の unit が依存していると 依存関係を満たせず失敗する場合もある multi-user .target crond .service cups .path NetworkManager .service Wants Wants After time-sync .target network .target network-pre .target chronyd .service After After chrony-wait .service Require Wants Before Wants Before Wants
  37. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 40 unit file

    の参照パス • systemd が unit file を探すディレクトリは複数ある • RHEL の場合 systemd 関連の設定ディレクトリは以下。 同名のファイルがあれば上が優先 • /etc/systemd ( 管理者による設定 ) → /run/systemd ( 実行時の自動設定など ) → /lib/systemd (rpm パッケージで提供 ) • 設定変更がパッケージ更新で壊される事故が防げる
  38. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 41 unit file

    のカスタマイズ • unit file の典型的なカスタマイズはファイル内容の編集ではなく、別 ファイルの配置やシンボリックリンクの作成でおこなう。 • foo.service という unit file に対して以下のディレクトリが使える – foo.service.d (drop-in ディレクトリ。 *.conf のファイル名で設定を 書くと foo.service の同じディレクティブを上書きしたものとして解 釈される ) – foo.service.wants, foo.service.requires ( このディレクトリ内に他 の unit file へのシンボリックリンクを置くことで Wants= および Requires= に追記したものとして解釈される )
  39. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 42 drop-in の利用例

    [Unit] Description=The Apache HTTP Server Wants=httpd-init.service After=network.target remote-fs.target nss- lookup.target httpd-init.service Documentation=man:httpd.service(8) [Service] Type=notify Environment=LANG=C ExecStart=/usr/sbin/httpd $OPTIONS -DFOREGROUND ExecReload=/usr/sbin/httpd $OPTIONS -k graceful # Send SIGWINCH for graceful stop KillSignal=SIGWINCH KillMode=mixed PrivateTmp=true [Install] WantedBy=multi-user.target /lib/systemd/system/httpd.service /etc/systemd/system/httpd.service.d/limit.conf [Service] LimitNOFILE=10240 • drop-in には追加または変更したい部 分だけ書く • systemctl cat httpd.service のようにすると指定した unit に関係 する設定ファイルを出力する (*.wants, *.requires は systemctl cat の出力に含まれない ) • systemd-delta コマンドは unit カ スタマイズの概要を表示する
  40. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 43 関連する man

    page • systemd.unit(5): unit file 、 unit file のロードやアンロードの 条件、依存関係や全 unit 共通の設定、設定ファイルを配置す る path など • systemd.syntax(7): unit file の文法 • systemd.time(7): systemd 内で使う日時で使える構文 • systemd.directives(7): ディレクティブから man ページへの索 引 ( 既存の unit file を読むときに便利 )
  41. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 44 やってみよう •

    systemctl list-units と systemctl list-unit-files を比較 • systemctl cat sys-subsystem-net-devices-eno1.device のようにして対応す る unit file が存在しないことを確認する • systemctl cat default.target と systemctl show default.target を比較 • パッケージに含まれる /lib/systemd/system/ 以下の unit file と、自動または 手動で作られる /etc/systemd/systemd/ 以下のリンクやファイルを見比べて systemctl show の出力と比較する • systemctl enable/disable crond.service で unit を install/uninstall する。こ の操作による設定が /etc/systemd/system/ 以下に反映されていることを確認 する
  42. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 46 target unit

    • target unit 自体は何もしないで状態が変わるだけの unit – 前後関係や依存関係をまとめるために利用される • システム起動、シャットダウン、異常時のレスキューなどで典 型的に必要な target はあらかじめ定義されている。自由に追加 することもできる。 – systemd.special(7) を参照
  43. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 47 multi-user.target の例

    • multi-user.target は主なサービス群を動作させたい従来のラン レベル 3 に相当する。 • 定義ファイルを見ると説明と依存関係のみ ( 略 ) [Unit] Description=Multi-User System Documentation=man:systemd.special(7) Requires=basic.target Conflicts=rescue.service rescue.target After=basic.target rescue.service rescue.target AllowIsolate=yes /lib/systemd/system/multi-user.target
  44. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 48 multi-user.target の依存関係

    systemctl show multi-user.target で unit を見ると多数のサービスに Wants と After で依存。 active にすることで多数のサービスが起動する。 $ systemctl show multi-user.target ( 略 ) Requires=basic.target Wants=dbus.service plymouth-quit.service chronyd.service sshd.service tuned.service rsyslog.service sssd.service pmlogger.service plymouth-quit-wait.service rhsmcertd.service systemd-ask-password-wall.path pmcd.service systemd-user-sessions.service atd.service systemd- logind.service firewalld.service NetworkManager.service remote-fs.target getty.target dnf- makecache.timer crond.service auditd.service systemd-update-utmp-runlevel.service RequiredBy=graphical.target Conflicts=shutdown.target rescue.service rescue.target Before=shutdown.target systemd-update-utmp-runlevel.service graphical.target After=atd.service sshd.service sssd.service rescue.target chronyd.service tuned.service NetworkManager.service pmlogger.service systemd-logind.service plymouth-quit-wait.service plymouth-quit.service rsyslog.service firewalld.service crond.service pmcd.service systemd-user- sessions.service dnf-makecache.timer dbus.service basic.target rhsmcertd.service getty.target rescue.service ( 略 )
  45. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 49 Install 処理での依存関係の追加

    • multi-user.target の unit file に存在しない Wants は以下のディレクトリにあるリンク群に由 来する /lib/systemd/system/multi-user.target.wants/ – パッケージ内で依存関係を定義している場合に使う /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/ – unit file の enable 時に [Install] 節の定義によりリンクを作成する • /etc/systemd/system/*.wants および *.requires ディレクトリは unit file を拡張する – 例 : シンボリックリンク multi-user.target.wants/tuned.service は Wants=tuned.service の追記に相当。 さらに依存関係解決により、 tuned.service 内の Requires= で参照している dbus.service, polkit.service も multi-user.target の Wants= へ追加される multi-user .target tuned .service Wants
  46. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 50 余談 :

    デフォルトでの enable/disable あるサービス ( 例 : sshd) の rpm や deb などのパッケージを導入したと きに、デフォルトでそのサービスを enable にするか、 disable にする か ? • systemd では、 preset という概念を導入してポリシーを各パッケー ジから分離した。仕組みは man systemd.preset(5) を参照。 – “workstation 用途”と“ server 用途”でデフォルト設定を替えたい場 合などに便利。 • 各パッケージの導入時に systemctl preset <unit 名 > を実行すること で preset にあわせて enable または disable される。
  47. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 51 NM-wait-online ネットワーク初期化での

    .target 例 RHEL 8 ではネットワーク初期化に NetworkManager(NM) を使うが、各種 サービスは直接 NetworkManager に依存せず network.target や network- online.target へ依存している。 • network-pre.target – ネットワーク初期化をはじめる準備ができた (NM.service の After= に指定 ) • network.target – ネットワーク初期化をはじめた (NM.service の Before= に指定 ) • network-online.target – ネットワークで外部と通信できるようになった (NM-wait-online.service の Before= に指定 ) ネットワーク初期化に NM 以外を利用する場合も、 target は同じなので サービスは target との依存関係だけを持てばよい。 NM network network- pre network- online
  48. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 52 関連する記事 •

    Running Services After the Network is up https://www.freedesktop.org/wiki/Software/systemd/NetworkTar get/ 関連する man page • systemd.target(5): target unit の説明 • systemd.special(7): systemd がデフォルトで提供する *.target の説明 • bootup(7) : systemd がデフォルトで提供する *.target の依存関係を表現した図 • systemd.preset(5): systemd の preset 設定の説明
  49. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 53 やってみよう •

    systemctl list-units -t target -a でどんな target があるか一覧を見る – ※LOAD 欄が not-found となっている unit は他から参照されているが unit file は存在しない • 例 :syslog.target は systemd 202 よりあとには存在しない • systemctl show shutdown.target の ConflictedBy= 行を見る。 shutdown.target を active にしようとするとここに記載された unit 群は 競合するため inactive にされる。 • /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/ 以下にあるリンクから中 身を見て、 [Install] 節を確認する。
  50. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 55 systemd の

    service って何するの ? • サービスが動作する環境を用意 • サービスを起動 ( 通常何らかのプロセスを開始 ) • 起動したサービスを監視 – stop やシャットダウン時などの操作 – 異常終了の検出、再起動などの対応
  51. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 56 サービスのイメージ図 systemd

    cgroup, 環境変数 , uid etc. systemd → プロセス child proces プロセス 1. systemd は fork() して、子プロセスを cgroup に入れる 2. 環境を設定してから exec() でプロセス実行 3. プロセスがデーモン化や子プロセスの 生成などを行っても cgroup で追跡する
  52. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 57 サービスが動作する「環境」って ?

    • 環境変数 • ulimit • UID, GID • nice 値 • numa ポリシー • CPU アフィニティ • Capability • SELinux context • cgroups でのリソース制御 – CPU, メモリ , ストレージ I/O, 直 接アクセスできるデバイス • seccomp でのシステムコール制限 • namespace を使ってファイルシス テムの一部を bind mount して変更 • サービス毎の firewall 設定 など
  53. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 58 サービスを起動 •

    基本的には fork(), exec() でプロセスを実行する • プログラムによりいろいろな動作があるのでいくつかの type を提供している – デーモン化するもの、デーモン化しないもの – プロセスが生き続けてサービスを提供しつづけるもの、最初と最後に設定変更を するだけで動作しつづけるプロセスがないもの – (systemd がうまく扱える ) socket や dbus で待ちうけするもの – systemd に対応して通知してくれるもの、 systemd への対応はないもの • service は type により「どうなったら active とみなすか」「 systemd は何 をサービスの停止とみなすか」などの詳細がことなる
  54. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 59 daemon 利用時のイメージ

    systemd cgroup, ulimit, namespace, 環境変数 etc. service process child process main process 1. exec() して環境の中でサービス 実行開始 . daemon 化して exit() 2. PID ファイルなどで main process を systemd が推定 pidfile
  55. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 60 おさらい :

    daemon 化による端末との切り離し rc service process child process main process pidfile term term cd / stdin, stdout, stderr を /dev/null へ接続 fork() setsid() 端末から影響されない daemon 化をする目的は端末から 切り離して • (SIGPIPE, SIGSTOP, SIGTERM などの ) シグナルを受けない • 画面にゴミを出さない
  56. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 61 systemd の環境と

    daemon 化 • systemd は service に割りあてる stdin, stdout, stderr をどう構成するか明示 的に設定できる – /dev/null, 端末 , socket, ファイル , journal など – systemd.exec(5) の Logging and Standard Input/Output • 可能 ( プログラムに“ foreground mode” などのオプションがある ) であれば Type=simple を使う。この場合 stdout や stderr へメッセージを出すなら journal に接続して記録できる。 • daemon 化を避けられない場合は Type=forking にして PIDFile で監視するべ きプロセスを伝える。 stdout や stderr はセットアップされるが、 daemon 化で /dev/null へ接続されなおすのでその後は使われない。
  57. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 62 Type=notify 利用時のイメージ

    systemd child process main process socket READY=1 1. fork, exec しただけでは unit は active ではなく activating 2. libsystemd の sd_notify() 関数で準備完了のメッセージを 受けとると active にする
  58. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 63 よく使われる type

    と使い分け よく使う service の type は以下 3 種類 • simple – 実行されたプロセスが直接サービスを提供す るタイプのプログラム。 • forking – 実行されたプロセスがさらに子プロセスを作 りデーモン化するタイプ。古典的な daemon はこの type 。 stdout,stderr 経由の log が使え ないため選べるなら simple のほうがよい。 • oneshot – 何かの初期化など一時的に実行するだけです ぐに終了するもの。 systemd service child simple service main child forking service child oneshot fork
  59. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 64 service が

    active になる条件 • simple, idle: fork() が成功すると active • exec: fork(), exec() が成功すると active • forking: プロセスを起動して main process の PID を確認すると active • oneshot: fork() が成功して activating 、 exit() すると inactive 。 active にならない。 • oneshot(RemainAfterExit つき ): fork() したプロセスの exit() が成功だと active • dbus: dbus 上で指定した名前の待ちうけが行われると active • notify: sd_notify で通知が行われると active Inactive Active Activating
  60. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 65 unit が「

    active にならない」とどうなる ? • systemctl start hoge.service を実行すると…… – hoge が active の場合 → 何もしない – hoge が inactive の場合→ active にしようと ExecStart する → unit の active/inactive 状態により二重起動を防止している • hoge.service が oneshot で active にならない場合、複数回 systemctl start hoge を実行すると実行した回数だけ ExecStart のコマンドが実行される。
  61. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 66 service の起動・終了フロー

    前処理 : ExecStartPre ↓ 本体 : ExecStart ↓(active) 後処理 : ExecStartPost 本体終了 : ExecStop ↓ 後処理 : ExecStopPost fail fail fail • 上から順に実行して、成功の場合は次へ進む – service の Type によりいつ active とみなされるかと ExecStartPost の実行開始タイミングが異なる – Type=simple と Type=idle では ExecStartPost は ExecStart より先に実行される場合もある • 開始処理中に失敗した場合、 ExecStopPost を実行す る – 終了処理で失敗すると unit は failed 状態になる • 起動・終了それぞれにデフォルトで 1 分 30 秒のタイム アウトが設定されているため、 Exec* はどれも失敗す る可能性がある start stop
  62. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 67 active な

    service の終了検出 • systemd は service の終了を検出できる – プロセスが exit() した場合、 systemd は PID 1 なので SIGCHLD を受信し、 signal や exit code がわかる。 – systemd の notify に対応している場合 • 定期的な watchdog 送信 • sd_notify でのサービス状態の通知 • ExecStopPost= での終了処理を行う。その後 Restart= により 再度 service を active にするよう指定もできる。
  63. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 68 service への

    start 以外の操作 ( 一部 ) • stop – service が active であれば ExecStop, ExecStopPost を実行する – service が signal などで殺された場合 ExecStopPost を実行する – service が inactive であれば何もしない (sysvinit と異なる振舞いなので注意 ) • kill – cgroup を利用して指定した service に関係するプロセス全てへシグナルを送る 例 ) libvirtd が dnsmasq を起動して stop しても dnsmasq はそのまま残る。関連プロセス を全て落とすには kill を使う。 • reload – 管理されているサービスに設定ファイルを読み直させる (unit file の読み直しではない ) – ExecReload= を指定している場合のみ実行可
  64. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 69 起動終了処理のカスタマイズ •

    条件確認 – Condition*= ( 各種条件を確認し、条件を満たす場合に実行する。 ConditionPathExists=, ConditionVirtualization= など ) – ExecCondition= ( 何かを実行して実行結果で条件確認 ) – StartLimit*= (start の頻度に制限をかける ) • 実行の成功失敗判断 – Exec*= に指定する実行ファイル名の直前に” -” をつけると exit code を無視し て成功とみなす。 – SuccessExitStatus= exit code のうち成功とみなすものと、受信シグナルのうち 成功とみなすものを追加する
  65. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 70 サービスの起動順序が意図と違う ?

    “ 意図通りの実行順にならない” ケースの多くは以下 2 つ • 依存関係 (Wants, Requires) で指定したものが先に実行されると思った – 指定されたものの activation は job queue に入る ( だけ ) 。 – これらで指定したものが起動しているか、サービス開始しているかは関係なくサービ スを起動しはじめる – After, Before での前後関係を定義することで解決できる • 前後関係 (After, Before) がサービス開始の前後関係であると思った – プロセス起動の前後関係は守られる – サービス開始したかはわからない (Type=dbus か notify でなければプロセスが起動し たことしか見ていないから )
  66. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 71 余談 :

    前後関係でループができたら? 設定ミスによりループができるケースがある このような場合 systemd は (Wants= だけで 参照されているような ) 必須ではない unit を 無視・停止してループを消そうとする。 A.service B.service After After
  67. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 72 プロセスの起動順序ではなく サービスの起動順序を守らせるには

    ? 短時間 ( 〜 1 分 ) で初期化が終わる場合は ExecStartPost で対応 • きっちりやる派 ( 確認プロセスの終了ステータスで伝える ): Type=forking または simple にして ExecStartPost= で「サービス検出を確認したら exit(0) する」プログラムを実行 – service unit のタイムアウトによる失敗処理があるので確認プロセスは無限に待つ素 朴なプログラムでよい • だいたい動けば OK 派 ( ちょっと待つ ): ExecStartPost=/usr/bin/sleep 30s
  68. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 73 プロセスの起動順序ではなく サービスの起動順序を守らせるには

    ?( 続 ) プロセスの起動からサービス開始まで長時間 (1 分〜 ) かかる場合はプロセス 起動のタイムアウト処理とサービス開始の検出を分離する。 • プログラムを systemd に対応させる派 (notify) – Type=notify として、サーバプロセスから準備 OK の通知をもらう ( 起動され るプログラム内での対応が必要 ) • サービスの動作確認をするだけの別サービスを用意する NetworkManager.service→NetworkManager-wait-online.service – Type=oneshot で TimeoutStartSec=infinity, RemainAfterExit=true として ExecStart= でサービスの動作を確認するプロセスを起動する
  69. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 74 プロセスの実行環境 (

    再掲 ) systemd cgroup, 環境変数 , uid etc. systemd → プロセス child proces プロセス 1. systemd は fork() して、子プロセスを cgroup に入れる 2. 環境を設定してから exec() でプロセス実行 3. プロセスがデーモン化や子プロセスの 生成などを行っても cgroup で追跡する
  70. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 75 systemd-run でサービスの実行環境を調べる

    • 例「 PrivateTmp=yes とされている環境ではどうなるか調べたい場合」 • systemd-run -S -p PrivateTmp=yes – echo $$ で自分の PID を確認する – lsns -t mnt で shell が独自の mnt namespace に入っていることを確認する – /tmp, /var/tmp に何もないことを確認する • /var/tmp は /var/tmp/systemd-<boot ID>-<unit 名 >/tmp を bind mount される。 /tmp は外から見えない
  71. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 77 関連する man

    page • systemd.service(5): service についての unit file でデフォルトで含ま れる依存関係、各 type の動作、 Exec* で使える特殊な記法、 service 特有のディレクティブ、コマンドライン風のパイプおよびリダイレク ト処理 • systemd.exec(5): (cgroup 以外の ) プログラムの実行環境を準備する ためのディレクティブ • sd_notify(3): systemd へ通信をする C 言語での関数 • systemd-notify(1): sd_notify() を呼ぶコマンド。シェル等で利用す る。
  72. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 78 やってみよう •

    /lib/systemd/system/ で simple, oneshot, forking, notify の例を探す。 ※ Type= がない service はデフォルトの simple • Type=oneshot の例をコピー・改変して /bin/echo foobar するだけの unit file foobar.service を作成する – /etc/systemd/system に配置、 systemctl daemon-reload で読み込み – systemctl start foobar.service してログに foobar が記録されていることを確認する – systemctl status foobar.service して状態を確認 – RemainAfterExit= の設定を反対にして同じことを繰り返して動作の違いをみる • 複雑な service unit の例として nfs-server.service か libvirtd.service を見てみる
  73. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 79 socket, path,

    timer unit イベントによる service 起床
  74. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 80 何かのイベントを契機に service

    を起動する foo .socket foo .service systemd では「イベントを契機にして service を起動する」仕組 みを提供し、 unit の組み合わせとして管理する • socket, path, timer • イベントを検出するとデフォルトでは 同じ名前の .service を active にする – Service= で任意の service unit を指定できる After
  75. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 81 socket unit

    • systemd が socket を listen する。 – 起動のごく初期に listen を開始するので一 般のプロセスによるランダムなポート open との競合を回避する – socket の listen と service の立ち上げを分 離すると、 socket だけ先に作っておけば 互いに socket で通信する service 群の起動 を並列化できる。 – socket の利用を開始すれば自動的に相手 を待つ。 • 対応する service unit の起動時に socket をひきつぐ。 – foobar.socket には foobar.service が対応 – 別名の service への対応づけも指定可 systemd プロセス socket socket bar 起動 baz 起動 foo 起動 *.socket socket .target
  76. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 82 「 socket

    の引き継ぎ」ってどうやるの ? systemd が socket unit で待ちうけていた socket を service unit へ渡す方法は…… ? • inetd 方式 : service unit で StandardInput=socket として標準 入出力を socket とのやりとりに使う • libsystemd 方式 : systemd が service 実行時に fd 群を設定す る。サービスを実行するプロセスは sd_listen_fds() 関数で fd の 数や属性を取得する。
  77. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 83 socket activation

    • 起動直後の sockets.target への依存が暗黙に定義されるので有効な socket unit は 起動直後に active になり、 socket や port を確保する • systemd が socket への着信を検出すると対応する service を起動する – 1 回目の通信には遅延が発生する • service の [Install] 節に通常の service と同様 WantedBy= 等を挿入するよう定義 することで、ユーザーが unit の動作を選べるようにもできる – enable してシステム起動時の起動対象にする – disable して socket activation の対象にする • service で Also= として socket をインストールすることで service の enable/ disable とセットでポートやソケットの確保を指定できる
  78. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 84 path unit

    • systemd が path の存在・変更等を inotify() で監視する • socket activation と同様に指定されたイベントがあれば対応する service を起動する • service は特にイベントを受信したり共有したりはしない systemd プロセス file,dir inotify file,dir file,dir
  79. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 85 timer unit

    systemd プロセス timer • timer はいくつかのイベントから xx マイクロ秒経過のような表現で定義 • socket activation と同様に指定されたイベントがあれば対応する service を起動する • service は特にイベントを受信したり共有したりはしない • timer unit は複数のタイマーイベントを定義できる
  80. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 86 余談 :

    timer の扱うイベント timer はさまざまなイベントからの相対時間を指定できる • OnBootSec= システムが起動してからの相対時間 • OnStartupSec= systemd が起動してからの時間。システム全体を管理する systemd では OnBootSec とほぼ同じ。ユーザセッションではログイン直後のタ イミングからの相対時間になる。 • OnActiveSec= timer unit 自身が active にされてからの相対時間 • OnUnitActiveSec= timer に対応する service unit が active になってからの時間 • OnUnitInactiveSec= timer に対応する service unit が inactive になってからの時間 • OnCalendar= カレンダー上の時刻。 cron のような指定ができる
  81. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 87 timer の繰り返し

    (1) 繰り返し実行させたい場合には、 OnBootSec= と OnUnitInactiveSec= を組みあわせて実現 OnBootSec service 実行 OnUnitInactiveSec service 実行 システム 起動 OnUnitInactiveSec servic service は Type=simple 実行終了して inactive になった
  82. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 88 timer の繰り返し

    (2) 繰り返し実行させたい場合には、 OnBootSec= と OnUnitActiveSec= を組みあ わせて実現。実行時間が OnUnitActiveSec より長い場合は終了後すぐ実行す る。 OnBootSec service 実行 OnUnitActiveSec service 実行 システム 起動 OnUnitActiveSec service 実行 service が active になった OnUnitActiveSec servic
  83. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 89 timer をわざとずらす

    • AcculacySec= timer で指定された時刻をどれだけの精度で実 現するか。デフォルトでは 1 分。すこしずつ異なるタイマーイ ベント群にもとづくアクションの実施タイミングを揃えること で消費電力削減に役立つ。 • RandomizedDelaySec= timer で指定された時刻をランダムに 最大どれだけ遅延させるか。デフォルトは 0 。クラスタ環境で 同じプログラムが同時に実行されることにより、負荷が過度に 集中することを避けるために利用する。
  84. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 90 path, socket,

    service 連携例 cupsd (1) cups.service [Unit] Description=CUPS Scheduler After=sssd.service network.target ypbind.service [Service] ExecStart=/usr/sbin/cupsd -l Type=notify Restart=on-failure [Install] Also=cups.socket cups.path WantedBy=printer.target • ExecStart= 起動時に実行するコマンド。 ExecStop 等の指定がないので終了時はここで作成さ れたプロセスへ「 SIGTERM 送信→タイムアウト待ち→ SIGKILL 送信」による終了処理を行う • Also= この unit を有効にする時に指定した unit も有効化する • WantedBy= enable すると依存関係を挿入する。 printer.terget を有効化すると cups.service も有効化の対象になる
  85. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 91 path, socket,

    service 連携例 cupsd (2) Socket Activation [Unit] Description=CUPS Scheduler PartOf=cups.service [Socket] ListenStream=/var/run/cups/cups.sock [Install] WantedBy=sockets.target • ListenStream= 指定したソケットを systemd が待ちうける • systemd がソケットの listen を行い、はじめて接続がおこなわれた時点で対応する サービスを起動する (Socket Activation) – この例では cups.socket を待ちうけて着信があれば cups.service を起動 cups.socket
  86. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 92 path, socket,

    service 連携例 cupsd (3) Path based Activation • ファイルやディレクトリの存在や変更を検知して対応するサービスを起動す る (Path based activation) • この例では /var/cache/cups/org.cups.cupsd が存在すれば cups.service を 起動する [Unit] Description=CUPS Scheduler PartOf=cups.service [Path] PathExists=/var/cache/cups/org.cups.cupsd [Install] WantedBy=multi-user.target cups.path
  87. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 93 timer と

    service の連携例 systemd-tmpfiles-clean.timer • 時間の経過を契機として service を起動する • この例ではシステム起動後 15 分、その後 1 日おきに systemd-tmpfiles- clean.service を起動する [Unit] Description=Daily Cleanup of Temporary Directories Documentation=man:tmpfiles.d(5) man:systemd-tmpfiles(8) [Timer] OnBootSec=15min OnUnitActiveSec=1d systemd-tmpfiles-clean.timer
  88. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 94 関連する man

    page • systemd.socket(5), systemd.path(5), systemd.timer(5): 各種 類の unit の説明、利用できるディレクティブなど • systemd.time(7): 時刻、時間の表記法 • systemd for Developers I – http://0pointer.de/blog/projects/socket-activation.html
  89. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 95 やってみよう •

    lsof -p 1 で systemd が多くの socket を待ちうけていることを確認 – systemctl -t socket で socket unit を確認して照らしあわせる • systemctl list-timers で今予定されている timer の起床一覧を見る • fstrim.timer は 1 週間に 1 回 service を起動する設定になってい る。 drop-in を使って 1 日に 1 回に書き換えてみる。 • /lib/systemd/system/*.timer を見ていろいろなタイマーの使い方のパ ターンを見る
  90. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 96 device unit

    と mount unit ファイルシステムの mount
  91. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 97 デバイス検出から mount

    まで • 主な登場人物 : linux kernel, udev daemon, systemd, fstab • 関係する unit – .device – .mount – local-fs.target, remote-fs.target
  92. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 98 デバイス検出から .device

    unit 作成まで ハードウェア カーネル udev uevent /sys *.rules /run/udev systemd /dev 1)ハードウェアの追加や変 更を kernel が検出 2)uevent を udev が受信 3)udev の *.rules により /dev 以下にファイルを作成し たり、 systemd 用の情報 を付加したりする 4)systemd は udev によ り” systemd” と TAG が付 与されたデバイス の .device unit を作成する
  93. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 99 fstab から

    mount unit を生成 • systemd-fstab-generator – /etc/fstab を解析して、対応する mount unit 定義を生成する # Automatically generated by systemd-fstab-generator [Unit] SourcePath=/etc/fstab Documentation=man:fstab(5) man:systemd-fstab-generator(8) Before=local-fs.target [Mount] Where=/home What=/dev/mapper/snake-home Type=xfs 例 : fstab の ” /dev/mapper/snake-home /home xfs defaults 0 0” という行から 生成された /run/systemd/generator/home.mount
  94. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 100 余談 :

    systemd-fstab-generator 実行タイミング • systemd の起動直後と、 systemd daemon-reload 実行時に systemd-fstab-generator は実行される。つまり…… – initramfs 内での起動直後、 initramfs 内の fstab から unit 生成 – root directory を変更して systemd を読み直した直後、 /etc/fstab から unit 生成 • fstab を編集して手動で mount を行う操作はひきつづき有効なの で利用していても特に今までと違いはない
  95. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 101 余談 :

    systemd-mount, systemd-umount • systemd の mount unit はちょっと賢い – 親ディレクトリの mount や、ネットワーク接続を待つ – automount – その他任意の unit の依存関係が書けるので mount が成功するのを待ってサービ スを起動する等 • 賢いのはいいが使うのに都度 fstab に書いて generator を実行して systemctl start foobar.mount するのは面倒なので…… → 専用コマンド systemd-mount が用意されている
  96. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 102 local-fs.target, remote-fs.target

    • local-fs.target: ネットワーク不要で mount できるファイルシス テム – fstab に書かれている local fs はこの target から依存される • remote-fs.target: ネットワーク初期化後に mount できるファイ ルシステム – fstab で _netdev オプションが書かれているとこの target から依存 される
  97. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 103 関連する man

    page • systemd.mount(5): fstab に書くオプションについてここに記 載されている • systemd.device(5): udev rules で定義する変数について記載が ある • udev(7), udevadm(8): udev database を見たりイベントをモニ タしたいときは udevadm コマンドで見る
  98. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 104 やってみよう •

    root fs のデバイスを ROOT として。 – udevadm info ROOT の出力をみる • 対応しそうな device unit を systemctl show して照らしあわせる (DEVPATH と Description 等 ) • TAGS= に systemd があることを確認する • /lib/udev/rules.d/99-systemd.rules を眺める – printer サブシステムのデバイスがあると SYSTEMD_WANTS 経由で printer.target を要求 • USB メモリを挿入したり loopback device を作成して対応する device unit がで きていることを確認する
  99. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 106 cgroup って何

    ? • linux が持つプロセスをグループ化する仕組み control group の略 – 主にリソース管理を行うために利用する – 全てのプロセスはいずれかのグループに所属し、子プロセスは明示的な 移動がなければ親プロセスと同じグループに所属しつづける
  100. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 107 cgroup の利用シーン例

    • 特定サービス , VM, コンテナだけで特定 CPU を占有、他のサービスや ユーザセッションでは利用できる CPU を制限 • 主にサービスを実施するマシンで – ユーザの対話セッションで利用できるリソースを制限 – Ansible や Puppet が使うリソースを制限 • サービスに最低限必要なメモリ量を設定 (cgroup v2 が必要 ) • コンテナ毎に利用できる IOPS を設定 (cgroup v2 が必要 )
  101. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 108 cgroup によるリソース管理の特徴

    • cgroup はツリー状にグループを分類して、グループに対してリソースを割り当てる • 各グループ毎にリソース制御の設定が可能 – CPU 使用率の比 – IO スループット – メモリ +Swap の割り当て量の上限、下限 – アクセスできるデバイス – ネットワークのクラス付け など • cgroup v1 と、 cgroup v2 が存在する。 2020 年時点では cgroup v2 への過渡期。 – systemd は cgroup v1 および v2 の両方に対応しているが、 cgroup のバージョンにより使 えるディレクティブが異なる。
  102. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 109 systemd と

    cgroup の関係 • 各 unit には対応する cgroup がありリソース管理以外でも活用される – systemd は各 unit を初期化する時にグループの作成・設定をおこなう – リソース管理を行わない場合にも、各 unit から実行されるプログラムは対 応する cgroup 内で実行される。そのためあるプロセスがどの unit に所属 しているかが linux kernel により自動的に追跡される。 • systemd は cgroup を管理してリソース管理をおこなう – cgroup のパスは slice, scope, service, socket, mount, swap のいずれかの unit に対応づけられ、各 unit の設定としてリソース制御の指定をおこなう – systemd が直接管理する他に、部分的に管理を移譲する API がある
  103. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 110 cgroup と関連してよく使う

    3 種類の unit • slice: cgroup のグループ分け用の unit – slice を単体で宣言する他 service の Slice= で指定して作成 • service: systemd が管理するプロセスおよびその子プロセス群 – 各 service は自動的に対応する名前の cgroup の中に入れられる • scope: systemd 以外のプロセスが fork&exec& 管理をおこなう ものを API で登録する – systemd-run, gdm, gnome-launchd などは作成したプロセスを scope で作成した cgroup の中に入れる
  104. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 111 デフォルトの 3

    種類の slice • User slice – ユーザセッションに対応するプロセスや service を格納する – 各ユーザ用の systemd ( 後述 ) を起動 – 各ユーザの service を起動 • System slice – システムサービスを格納する • Machine slice – 仮想マシン、コンテナ等を格納する
  105. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 112 user slice,

    system slice, machine slice 前述の 3 つの slice の下にユーザ毎、サービス毎、 VM 毎などツリー状に分類される
  106. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 113 systemd-cgls cgroup

    の階層構造と所属プロセスを一覧表示する -.slice ├─user.slice │ └─user-11956.slice │ ├─session-3.scope │ │ ├─1909 gdm-session-worker [pam/gdm-password] │ │ ├─4727 /usr/bin/gnome-keyring-daemon --daemonize --login │ │ ├─7654 /usr/libexec/gdm-x-session --run-script /usr/bin/gnome-session │ │ ├─7663 /usr/libexec/Xorg vt2 -displayfd 3 -auth /run/user/11956/gdm/Xauth> │ │ ├─8020 /usr/libexec/gnome-session-binary │ │ └─8225 /usr/bin/ssh-agent /bin/sh -c exec -l /bin/bash -c "/usr/bin/gnome> │ └─[email protected] │ ├─gsd-xsettings.service │ │ └─8764 /usr/libexec/gsd-xsettings │ ├─gvfs-goa-volume-monitor.service │ │ └─8657 /usr/libexec/gvfs-goa-volume-monitor │ ├─gsd-power.service │ │ └─8723 /usr/libexec/gsd-power
  107. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 114 systemd-cgtop cgroup

    毎に CPU, メモリ ,I/O 使用量を表示する。ここで表示 するには accounting(cgroup での資源利用追跡 ) が有効になっ ている必要がある。 Control Group Tasks %CPU Memory Input/s Output/s / 213 - 2.9G - - /system.slice 57 - 2.7G - - /system.slice/NetworkManager.service 3 - 7.5M - - /system.slice/atd.service 1 - 644.0K - - /system.slice/auditd.service 4 - 9.2M - - /system.slice/boot.mount - - 92.0K - - /system.slice/chronyd.service 1 - 3.1M - - /system.slice/cockpit.socket - - 2.2M - - /system.slice/crond.service 1 - 2.2G - - /system.slice/dbus.service 2 - 28.8M - - /system.slice/dev-hugepages.mount - - 632.0K - - /system.slic…-mapper-rhel\x2dswap.swap - - 456.0K - -
  108. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 115 ユーザのリソース制限 •

    各ユーザは user-<PID>.slice により定義されるので、この unit に対して定義を おこなうことでユーザのリソースを制限できる – /etc/systemd/system/user-<UID>.slice.d/resources.conf – 全ユーザに対して同じ設定を指定したい場合は、 user-.slice がテンプレートなので そこへ定義を記述することで全ユーザへ影響する • ログイン時に pam_systemd により cgroup の作成・切り替えが行われる – su や sudo では cgroup は切り変わらないのでリソース管理上は同じユーザのまま – cgroup を変えたい場合は systemd-run を使うか ssh などでログインしなおす [Slice] CPUQuota=120% 設定例 : /etc/systemd/system/user-1000.slice.d/resources.conf
  109. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 116 関連する man

    page • systemd.resource-control (5): unit に対する cgroup でのリ ソース制御。 cgroup v1 、 v2 の違いは Unified and legacy control group hierarchies 節にまとまっている。 • RHEL7 ドキュメント「リソース管理ガイド」 https://access.redhat.com/documentation/ja-jp/red_hat_enterpri se_linux/7/html-single/resource_management_guide/index • linux kernel ドキュメント「 Control Group v2 」 https://www.kernel.org/doc/Documentation/cgroup-v2.txt
  110. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 117 やってみよう •

    systemd-run -p CPUQuota=10% -t yes > /dev/null として (--user では制限されないので注 意 ) – top で CPU 消費量を見てリソース制限されていることを確認する – /proc/<PID>/cgroup を見て cgroup 名を確認 – /system.slice/run-u492.service のような名前なので、 /sys/fs/cgroup/cpu,cpuacct/ 以下から 対応するディレクトリをみつけ、 cpu.cfs_period_us, cpu.cfs_quota_us を比較する • /etc/systemd/system/user-<UID>.slice.d/resources.conf に以下を記述する • ログインしなおしてから systemd-cgtop で消費の様子をみる • su, sudo 前後で /proc/self/cgroup を見て追跡されている様子を確認する [Slice] CPUQuota=123%
  111. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 119 ユーザセッションそのものの管理 •

    systemd-logind がユーザセッションを追跡する。 ConsoleKit の後継 – どのユーザが、いつから、どの seat( 通常ひと組のディスプレイ、キー ボード、 USB ポート等 ) からアクセスしているか、関係するプロセスは どれかの追跡 – 周辺装置の権限管理 – idle 検出、サスペンド・レジューム、電源断 • loginctl コマンドで操作する – セッションのロック、強制終了、有効化、関連プロセス kill など
  112. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 120 systemd の仕組みをユーザ用に使う

    各ユーザで systemd を利用できると便利 • ユーザごとの service 管理 – tmux 、 emacs server 、デスクトップ環境での各種サービス等 – ハードウェア利用 ( スマートカード、 Bluetooth アダプタ等 ) の ためのサービス起動 – システムのサービスと同じ仕組みで管理 – 今まで混在していたり失われていたログを journald へ蓄積
  113. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 121 ユーザ用 systemd

    • 各ユーザの systemd インスタンス (service manager) は systemd --user として起動される。 – /lib/systemd/user , ~/.local/share/systemd/user, /etc/systemd/user, ~/.config/systemd/user から unit file をロードする – 起動時は default.target を active にするよう動作する • systemd のインスタンスと配下の service 群は「セッション毎」で はなく「ユーザ毎」に対応する。そのためログアウトのタイミング で終了するとは限らない。
  114. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 122 ユーザ用 systemd

    からのリソース管理 • デフォルトではユーザ用 systemd からの cgroup によるリソース 管理は memory, pid しか利用できない。他のリソースを管理す るにはシステムの systemd から管理を移譲する設定が必要。 – 例 : /etc/systemd/system/[email protected]/override.conf – cat /sys/fs/cgroup/user.slice/user-11956.slice/cgroup.controllers のようにして cgroup に設定が反映されているかを確認 [Service] Delegate=yes
  115. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 123 ログイン時の動作 •

    ログイン認証時にから pam_systemd を動作させる。 • pam_systemd はログインにあたりい くつかの作業をおこなう – ユーザ用の /run/user/<UID>/ を作成 – セッション毎の scope を作成 – 存在していなければユーザ毎の systemd インスタンスを起動する
  116. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 124 ユーザプロセスの自動 kill

    ユーザ用 systemd で管理される service および scope 内のプロセスは以下の条件で kill される • セッション終了した場合の動作は logind.conf 内の KillUserProcess= 設定による : – No( デフォルト ): 特に何もしない – Yes: ユーザがログアウトした時にそのセッションに対応する scope 以下のプロセスを kill する。さらに特定ユーザのみ kill 対象、特定ユーザのみ kill 対象外の設定も可。 • kiosk 端末などで便利だが tmux, nohup 等のログアウト後に実行を継続されてほし いソフトウェアにとっては想定と異なる動作になる • ユーザ用 systemd が SIGTERM, SIGINT をうけると shutdown.target が有効化され (Conflict しているサービスが終了す ) る。
  117. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 125 loginctl enable-linger

    とは ? • 英語の linger は「居残る、長引く、なかなか消えない」というような意味 • ユーザは自分の全セッションが終了しても scope, service を自動で kill しないよう指 定することができ、 loginctl enable-linger がその指示を行うコマンド。 • 運用管理者は PolicyKit の設定で linger の指定を禁止することもできる。そのため実 用上は以下の 3 種類から動作を選べる – enable-linger を禁止してセッション終了時に全プロセスを kill する (kiosk 端末など ) – enable-linger したユーザのプロセスは kill しない、していないユーザのプロセスは kill する – セッション終了をきっかけとして kill はしない ( デフォルト )
  118. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 126 関連する man

    page • systemd-logind(8), logind.conf(5), loginctl(1): セッション管 理を行うサービス、設定ファイル、管理コマンド • pam_systemd(8): ユーザログイン時の動作を行うための PAM モジュール • systemd-user.conf(5): ユーザ用 systemd の設定は /etc/ systemd/user.conf に分けて定義される。記述内容はシステム 用のものと同じ。
  119. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 127 やってみよう •

    loginctl で現在のセッションを見たあと – loginctl show-session < セッション ID> で systemd-logind が追 跡しているものを見る – loginctl seat-status <SEAT ID> でシートに対応づけられているデ バイスを見る。これらのデバイスは対応するセッションのユーザ からアクセスできるよう設定される。 • systemctl --user list-unit-files などを行いユーザセッション用 の unit file を眺める
  120. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 129 systemd-run •

    アドホックにプログラムを実行する際にも systemd の仕組みを使いたい – ulimit, cgroup, ロギングなどの環境準備を自作しなくても systemd に任せられ る – シャットダウン時に”正しいお作法で”終了してくれる • systemd-run で実行すると使い捨ての service または scope を作成する – service を activate する path,timer,socket も特定オプション作成 – systemd-run --uid=apache /usr/bin/foobar
  121. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 130 systemd-run 利用例

    • systemd-run ls – 一時的な service を作成して systemd が実行。環境変数や標準出力が journal に記録されること、 CWD が / になることなども service と同様。 • systemd-run --uid=apache -t ls – uid を apache にし、標準入出力を端末へ接続して ls する。 • systemd-run --scope ls – 一時的な scope を作成して systemd-run がその中に入って ls を実行。 cgroup でリソース管理される以外は直接実行するのとほとんど変わらない。 – scope の場合は systemd から実行されない点が大きく異なる
  122. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 131 systemd-run の

    service と scope の違い service scope 親プロセス systemd systemd-run を実行したプ ロセス ( 多くの場合 sh) 標準入出力 journal 。 -t オプションな どで変更できる。 親プロセスをひきつぐ 環境変数 systemd の service 用設定 に従う 親プロセスをひきつぐ systemd が制御する環境 cgroup, 環境変数、 uid,gid などなど cgroup だけ 実験用 shell 起動 systemd-run -S systemd-run --scope bash
  123. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 132 systemd-run を

    nohup のかわりに使う systemd-run nohup コマンド例 loginctl enable-linger systemd-run foobar nohup foobar 2>&1 & ログ出力先 journal オプションで任意ファイル nohup.log 終了確認 systemd に unit 終了のログ nohup.log を open しているプロ セスを fuser で探す シャットダウン時 SIGSTOP, SIGTERM -p ExecStop= 指定で任意コマン ド実行 SIGSTOP, SIGTERM
  124. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 133 taskset, ulimit

    等のかわりに systemd-run を使う systemd-run の -p オプションでリソース制御ができる。 -t オプションで端末との接続 を維持する。 • systemd-run -t -p BlockIOWeight=10 dd if=infile of=outfile count=10000 oflag=direct – cgroup v1 で IO のスロットリングをしつつ実行する。 cgroup v2 では BlockIOWeight ではなく IOWeight を使う • systemd-run -t -p LimitCORE=0 ./mytest – core 出力サイズを抑制して実行する • systemd-run -t -p CPUAffinity=0-1 ./mytest – 実行可能 CPU を 0 と 1 だけに制約して実行する
  125. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 134 関連する man

    page • systemd-run(1): systemd-run の利用例など • systemd.resource-control(5): cgroup に指定できる項目 • systemd.exec(5): プロセス実行で指定できる項目。 scope で は指定できない。
  126. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 135 やってみよう •

    systemd-run env と systemd-run --user env で環境変数が異なる ( 後者はデスクトップ環境や X の設定なども含む ) ことを確認する • systemd-run -S で service のコンテキストで shell を実行す る。 echo $PPID が 1 であること、 systemd-cgls で shell から実 行されているプロセスも含めて service 内にあることを確認する • systemd-run -S -p PrivateTmp=yes -p ProtectHome=yes のよう なセキュリティ設定をおこなって /tmp や /home がどのように見 えるか確認する
  127. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 137 従来の syslog

    にあった課題 • syslogd が起動する前の boot 直後のログを統合できない • 時刻が秒単位で粗いため複数ホストのログを集約すると前後関係がよくわか らない。 • 時刻が localtime で夏時間がある地域では 1 時間隙間が進んだり戻ったりする • 接続元、指定された優先度などのメタデータが失われる • 構造化されていないため DB などに投入しにくい。 NUL などを含むデータを ログに入れられないなど制限が厳しい。 • 保存されたログへのアクセス制御が粗い
  128. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 138 systemd とログを統合したい

    • systemd はシステム起動のごく初期から起動される →同じ基盤でログの仕組みを作れば起動直後から記録できる • unit 用に用意する環境の標準出力 (stdout, stderr) を /dev/null へ捨てる のではなくログへ保存して簡単にサービスを作りたい • systemd が管理している環境についての ID 各種 (machine ID, boot ID, cgroup 名、 unit 名など ) の情報をログに付与して、イメージを複製し た複数 VM や再起動の前後、どの unit からのログかを識別したい
  129. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 139 systemd-journald によるロギング

    • 詳細なメタデータ付加 – マイクロ秒 64bit でのタイムスタンプ , 起動からの時間 , ログの優先度 , systemd の unit, cgroup, SELinux コンテキスト , boot ID, machine ID 等 • 独自バイナリフォーマット – 圧縮・インデクシング・改竄検出対応 – テキスト log が必要な場合 rsyslog と併用する (RHEL 7, 8 でのデフォルト ) • 自動的かつ透過的な rotate • journalctl コマンドによるクエリ • デフォルトでは journald のログは揮発性だが /var/log/journal を作ると永続化
  130. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 140 journalctl rsyslog

    systemd- journald user-1000.journal /var/log/* systemd-journald イメージ図 バイナリログ uid 毎に分離 ACL で本人には 読み込み許可 テキストログ保存 従来との一貫性、互換性 クエリにより journal file 群から ログを検索・整形・表示 unit 内 stdout, stderr journald 対応 ソフト /dev/log /dev/kmsg system.journal アーカイブ system@ 〜 .journal syslog 対応 ソフト
  131. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 141 journald で付加されるメタデータ例

    __CURSOR=s=70bed981e31a46e2a70c56776402e0eb;i=342;b=982826bc22454f079fd46ec94e2b __REALTIME_TIMESTAMP=1407830743019247 __MONOTONIC_TIMESTAMP=1792842 _BOOT_ID=982826bc22454f079fd46ec94e2b67fc PRIORITY=6 _UID=0 _GID=0 _MACHINE_ID=025b7ff2c8af43f78513996f06584c4c _HOSTNAME=localhost.localdomain SYSLOG_IDENTIFIER=systemd SYSLOG_FACILITY=3 CODE_FILE=src/core/unit.c CODE_LINE=1115 CODE_FUNCTION=unit_status_log_starting_stopping_reloading MESSAGE_ID=7d4958e842da4a758f6c1cdc7b36dcc5 _TRANSPORT=journal _PID=1 _COMM=systemd _EXE=/usr/lib/systemd/systemd _CAP_EFFECTIVE=1fffffffff _SYSTEMD_CGROUP=/ _CMDLINE=/usr/lib/systemd/systemd --switched-root --system --deserialize 20 _SELINUX_CONTEXT=system_u:system_r:init_t:s0 UNIT=rsyslog.service MESSAGE=Starting System Logging Service... _SOURCE_REALTIME_TIMESTAMP=1407830743019153 カーソル位置 時刻 (usec) 起動からの経過時間 BOOT ID ログ優先度 UID GID マシン ID ホスト名 syslog の ID と ファシリティ ソースコード 内の行番号 内の関数名 メッセージの ID 接続方法 PID コマンド名 実行ファイル CAPABILITY CGROUP コマンドライン SELinux コンテキスト systemd の unit 名 メッセージ本文 出力時の時刻 (usec)
  132. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 142 journalctl によるクエリ例

    journalctl コマンドのオプションで条件を指定。絞り込んで必要なログだけを抽出 • ログレベルの制限 journalctl -p 4 ← warning(4) 以上の priority であること • ユニットの制限 journalctl -u NetworkManager.service ← 指定した unit からの出力であること • 起動ごとの制限 journalctl -b -1← 直近の boot より 1 つ前の起動以降のログ • 時間の制限 journalctl --since “2020-02-01” --until “2020-02-05” ← 時間ウィンドウの指定 • 任意のフィールド journalctl _COMM=dhclient ← < フィールド名 >=< 値 > で任意の値で絞り込み
  133. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 143 journald のディレクトリ構造

    • /run/log/journal ( 揮発 ) または /var/log/journal ( 永続 ) 以下に収集する – システムのログ ./<machine-id>/system.journal – 各ユーザのログ ./<machine-id>/user-<uid>.journal • ACL で各ユーザ本人へのアクセス許可を付与している • ログを uid で分離せずにまとめる設定も可能だが journalctl は透過的にまとめて検索する ため ( ユーザが自分のログを見られなくなる以外に ) 特に使い勝手などの変化はない。 – ローテートされたログ ./<machine-id>/[email protected] – ローテートされたログ ./<machine-id>/user-<uid>@suffix.journal – ログの破損を発見すると、 ログは *.journal~ という拡張子に変更され、新しいログへ書き出 しを行う
  134. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 144 journald の設定

    /etc/systemd/journald.conf で設定する • 圧縮有無、 Seal 処理 ( ハッシュを利用したログ改竄検出 ) 、ストレージへの同期間 隔、ログ出力レート制限 • コンソールや syslog などへの forward の有無、ストレージへの保存や出力先毎の loglevel 指定 • ログローテート – サイズ毎、時間毎の rorate 処理 • アーカイブ削除 – journal 全体のサイズ上限、ストレージの残容量下限による削除、指定時間以上経過で削除 – 削除はローテートされたアーカイブファイル単位で行われる
  135. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 145 ログ保存とローテートの設定 •

    journald のデフォルトではサイズベースでのローテートが指定 される – ファイルシステムの 10% か 4GB の内小さい容量をログに使用 • ログファイルはその 1/8 のサイズ (4GB の場合 512MB) – ファイルシステムの 15% か 4GB の内小さい空き容量を残す • MaxFileSec= を指定してで毎日 / 毎月などのタイミングでも ローテートを指定できる
  136. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 146 rsyslog への

    forward • rsyslogd の imjournal plugin が journald の ログを監視して保存します – 逆に rsyslogd の出力先を journald にする omjournal plugin も提供されている • RHEL のデフォルトでは journald は揮発性、 rsyslogd で永続化 • 記録される情報としては journald が多いが、 既存の syslog 対応ツールや外部との連携は rsyslog が便利なケースが多い rsyslog user-1000.journal system.journal imjournal
  137. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 147 logger コマンドからのログ書き出し例

    $ logger --journald <<end FOO=bar NONO=yes yes end $ journalctl -f -o json-pretty ( 中略 ) { "SYSLOG_IDENTIFIER" : "logger", "_TRANSPORT" : "journal", "NONO" : "yes yes", "_HOSTNAME" : "dragon", "_MACHINE_ID" : "03be3b9fa6a6fbc9e16a9cb9502f7e53", "_GID" : "1000", "__CURSOR" : "s=1b5712bd115e4a668a32e23ad77d617f;i=4adca;b=( 略 )", "_PID" : "304806", "_BOOT_ID" : "632ce2bdb26a46c9ae6df967003de064", "FOO" : "bar", "_UID" : "1000", "__REALTIME_TIMESTAMP" : "1582007587813923", "__MONOTONIC_TIMESTAMP" : "167902611176", "_SOURCE_REALTIME_TIMESTAMP" : "1582007587813856" }
  138. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 148 systemd unit

    と journal • unit から何か実行するもの (service, socket, mount, swap) について stdout, stderr は journal に繋がるのがデフォルト ( 明示的に指定すれば syslog, kmsg, 端末その他に接続も可 ) • unit の設定でログ出力について調整できる – LogLevelMax= ログ出力のレベルに上限を指定 (0: emerg から 7:debug まで。数 字が大きいほどログが多くなる。 ) – LogRateLimit*= ログ出力頻度の制限 – LogExtraFields= ログに追加のフィールドを付与 ( 複数インスタンスを識別するた めの情報など ) – Syslog*= syslog のフィールドを指定
  139. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 149 関連する man

    page • journalctl (1): journal の検索と journald の管理操作 • journald.conf (5): journald の設定 • systemd.journal-fields(7): journald が利用するフィールドの 説明
  140. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 150 やってみよう •

    journalctl -b -u NetworkManager -p 4 などの検索をいくつか試してみる • journalctl -o verbose で表示されるフィールドの意味を man で調べる • logger で journald へログを吐いて確認する (key=value 形式の複数行で記述する必要がある ) $ logger --journald <<end FOO=bar NONO=yes yes end
  141. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 152 sysvinit のスクリプトをどうする?

    • 何もしなくてもかなり動きます – /etc/init.d/ 以下のスクリプトを systemd-sysv-generator で自動 変換して unit file を自動生成する – 互換用の service スクリプトから start/stop/restart などの LSB に準拠したサブコマンドは実行できる • サブコマンドを独自に拡張している場合は 対応作業が必要
  142. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 153 自動生成される unit

    file の例 # Automatically generated by systemd-sysv-generator [Unit] SourcePath=/etc/init.d/sysv-init-script Description=LSB: A sysV init script After=remote-fs.target systemd-journald-dev-log.socket [Service] Type=forking Restart=no TimeoutSec=5min IgnoreSIGPIPE=no KillMode=process GuessMainPID=no RemainAfterExit=yes ExecStart=/etc/init.d/sysv-init-script start ExecStop=/etc/init.d/sysv-init-script stop
  143. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 154 init スクリプト移行例

    - iptables (1) service コマンドの独自拡張 • iptables は /etc/init.d スクリプト内で独自拡張を行っている – service iptables save • 以下のファイルで save コマンドを実装 – /usr/libexec/iptables/iptables.init ( もとの init スクリプト ) – /usr/libexec/initscripts/legacy-actions/( ユニット名 )/( サブコマンド名 ) に対応するスクリプ トを配置 • /usr/libexec/initscripts/legacy-actions/iptables/save • iptables.init スクリプトの save サブコマンドを呼ぶ • これらを用意することで、独自拡張命令を以前と同様に実行できる ※service スクリプトからは呼びだせるが systemctl から呼びだす方法はない
  144. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 155 init スクリプト移行例

    - iptables (2) [Unit] Description=IPv4 firewall with iptables After=syslog.target ConditionPathExists=/etc/sysconfig/iptables [Service] Type=oneshot RemainAfterExit=yes ExecStart=/usr/libexec/iptables/iptables.init start ExecStop=/usr/libexec/iptables/iptables.init stop Environment=BOOTUP=serial Environment=CONSOLETYPE=serial StandardOutput=syslog StandardError=syslog • ConditionalPathExists= でファイルが存在する場合のみ実行。 • iptables ではプロセスが常駐するわけではないので、 Type=oneshot と RemainAfterExit=yes を指定する。これで iptables.init が実行終了しても active 状態が維持され、必要に応じて終了処理が行われる。
  145. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 156 sysvinit から

    systemd へ移行する際の注意 • サービスを起動するものは基本的に type=forking にする – oneshot だと二重起動の対応等をされない – エラーチェックしていないスクリプトなどではプロセスが異常終了しても 発見されない • 代表プロセスを発見する方法を指定する – PID ファイル • 設定して一瞬 ( 〜数十秒くらい ) で終了するなら oneshot
  146. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 157 関連する man

    page • systemd-sysv-generator(8): init スクリプトを systemd の unit へ変換するプログラム • daemon(7) Integration with systemd 節 : 既存のデーモンを systemd で管理するための概要 • sysvinit と systemd の既知の非互換性 https://www.freedesktop.org/wiki/Software/systemd/Incom patibilities/
  147. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 159 systemd の様子を眺めたい

    systemd は中に様々な状態を持ち処理をしているので中の様子を眺めたい • 人が眺めたい : – 思ったように unit が動かないなどのトラブルシュート – unit の定義を見ても動作がよくわからない時に理解するため • プログラムから眺めたい : – systemd の流儀で作り直すのは大変すぎるので systemd の状態をとって きたい – systemd 環境と systemd 以外の環境のどちらでも動く必要がある
  148. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 160 systemd-analyze •

    systemd の分析、デバッグ用のツール • unit file を書いたりトラブルシュート時に便利なサブコマンド – systemd-analyze dump → systemd の全 unit の現在の詳細情報を可読なテキスト形式で ダンプする。作業前後での違いなどを保存する。 – systemd-analyze dot <unit 群 > → graphviz で指定 unit 群の依存関係を図示する。 – systemd-analyze verify <unit file> → lint 的に unit file をチェックする。ディレ クトリや Exec* の対象存在有無など。 – systemd-analyze condition <condition の定義 > → 各 condition のチェックと全 体としての成否を表示する。 – その他時刻や時間の表現がどう認識されるかテストする機能もあります。
  149. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 161 systemd の

    log level を変える systemd がどこと通信して何をしているか見たいときは debug レベルのログを見ます • 起動時の問題であれば grub で kernel のオプションに systemd.log_level=debug のように指定する ( 起動時はログがとても多いので注意 ) • /etc/systemd/system.conf に LogLevel=debug と記述して systemctl daemon- reload します。他の設定ファイルも全て読み直します。 • 実行中に loglevel だけを変更するには以下のように systemd-analyze コマンドで指 定する – 現在の log level 確認 ( デフォルトは info): systemd-analyze log-level – log level を debug にする : systemd-analyze log-level debug
  150. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 162 unit の状態でシェルスクリプトの動作を変える

    • unit の状態でシェルスクリプトなどの動作を変えたい場合は、 systemctl のサブコマンド is-active, is-enabled, is-failed, is- system-running を使う – systemctl status や systemctl show だと sysvinit のスクリプト の状態が最新でない場合がある • 出力はテキストと exit code 。 --quiet オプションをつけると テキスト出力は抑制される。
  151. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 163 余談 :

    systemd-sysv-install • sysvinit 形式のスクリプトがある場合の is-enabled の確認は /lib/systemd/systemd-sysv-install で行われる。 • /lib/systemd/systemd-sysv-install は RHEL/Fedora では chkconfig の別名で enable/disable を sysvinit のディレクトリ の状態から返す • systemctl status や systemctl show では unit の状態を返すが systemd-sysv-install によるチェックを行わないので最新でな い場合がある
  152. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 164 関連する man

    page • systemd-analyze(1): systemd-analyze の各サブコマンドの実 行例、出力例あり • systemctl(1): is-enabled などの節には出力と対応する exit code の表あり
  153. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 165 やってみよう •

    graphviz を入れて unit 間の依存関係画像を見てみる $ systemd-analyze dot 'cockpit.*' | dot -Tsvg >cockpit.svg $ eog cockpit.svg • systemd-analyze calendar daily として、 timer unit などで ’ daily’ と指定があると実際に何時何分を指しているのかを確認する • systemd の log level を debug に変更し、 systemctl などのコマン ドを実行した時にどのようなログが出るのか見る
  154. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 167 systemd-tmpfiles •

    一般に永続的でないディレクトリが多数ある /dev, /run, /tmp など – live CD のような環境では /var 以下も永続的であるとは限らない • systemd-tmpfiles は起動時、または定期的なセットアップと掃除をこれらの ディレクトリに対して行う – ファイルやディレクトリ、リンク、パイプ、デバイスファイルなどを作成 – 特定ファイルを特定のコンテンツで初期化 – 特定のディレクトリ以下のファイルを削除したり、ファイルそのものは残して truncate したり、 uid,gid, 権限 , ACL などを変更する – 最終アクセスから指定時間以上経過していたら削除 など
  155. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 168 systemd-tmpfiles •

    systemd-tmpfiles --cat-config で全設定を出力 – 設定は宣言的に行う。設定内容の読み方については tmpfiles.d(5) を参照 – パッケージに含まれる設定を変更したい場合は /etc/tmpfiles.d 以下に /usr/lib/tmpfiles.d と同じ名前のファイルを作るとファイル単位で上書きされる – 作成 ( または削除 ) されるディレクトリやファイルに親子関係があれば適切な順序 で実行する • 実行は systemd-tmpfiles-*.service, systemd-tmpfiles-*.timer から行われる。 – デフォルトでは起動時に /dev/ とそれ以外に分けて setup を呼びだし、 起動から 15 分後に 1 回目の clean 、その後 1 日 1 回 clean を繰り返す
  156. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 169 hostnamectl •

    ホスト名の設定 – hostnamectl set-hostname host.domain.example.org • ホスト名の確認 $ hostnamectl$ hostnamectl Static hostname: rhel8.example.com Icon name: computer-vm Chassis: vm Machine ID: 21975e50f73142d5b4a92eb05209e9fa Boot ID: 83c339091094442b8645fec5699c7e11 Virtualization: kvm Operating System: Red Hat Enterprise Linux 8.1 (Ootpa) CPE OS Name: cpe:/o:redhat:enterprise_linux:8.1:GA Kernel: Linux 4.18.0-147.0.3.el8_1.x86_64 Architecture: x86-64
  157. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 170 machine id

    と boot id • 各ホストや起動・再起動での一意性を確保したいので UUID のよう な ID があると便利 – Machine ID: /etc/machine-id にある id 。ホスト毎に生成されランダ ム。 /etc/machine-id を削除して再起動すると自動で新しい乱数が生成 される。 – Boot ID: /proc/sys/kernel/random/boot_id にある id 。起動毎に生成 されランダム。 • 利用例 : journald によるログには machine id, boot id が含まれてい る。
  158. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 171 関連する man

    page • systemd-tmpfiles(8), tmpfiles.d(5): systemd-tmpfiles と設定 ディレクトリ、設定ファイルについて • hostnamectl(1): ホスト名の設定、確認について • random(4): linux kernel の random モジュールについて。 boot_id もこのモジュールが生成している。
  159. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 173 man page

    今まで参照した man page 群でわかるとおり systemd は多数の充 実した man page が提供される • systemd.index(7) - systemd の man page 一覧 • systemd.directives(7) - unit file の directive がどの man page に書かれているかの一覧。既存 unit file 読解時に便利
  160. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 174 ホームページ、 blog

    • https://systemd.io/ systemd project ホームページ • https://www.freedesktop.org/wiki/Software/systemd/ 旧 systemd ホームページ – 特に運用管理者には The systemd for Administrators Blog Series を推奨します
  161. Copyright Red Hat K.K. All rights reserved. 175 スライド資料 •

    Demystifying systemd – 2018 年版 : RHEL7 ベース。これから使いはじめる人むけ https://www.redhat.com/files/summit/session-assets/201 7/S103870-Demystifying-systemd.pdf – 2019 年版 : RHEL8 ベース。新機能に興味がある人むけ https://www.redhat.com/files/summit/session-assets/201 9/T4D2A2.pdf