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テストカバレッジ100%を10年続けて得られた学びと品質
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もっち
September 04, 2025
Programming
2
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テストカバレッジ100%を10年続けて得られた学びと品質
キチピー リジェクトコン【非公式】
https://connpass.com/event/363351/
での発表資料です。
もっち
September 04, 2025
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Transcript
テストカバレッジ100%を 10年続けて得られた学びと品質 2025/09/04 松本明紘(@mottyzzz) キチピー リジェクトコン【⾮公式】
テストカバレッジ/コードカバレッジ 知っている⼈ 2
テストカバレッジ/コードカバレッジ 測定している⼈ 3
テストカバレッジ/コードカバレッジ ⽬標値を決定したことある⼈ 4
⾃⼰紹介 もっち(@mottyzzz) 松本明紘 株式会社 ⽇⽴製作所(2009年4⽉〜2023年2⽉) 株式会社 カケハシ(2023年2⽉〜) 好き:ビール🍻 コーヒー☕ 5
テストカバレッジ/コードカバレッジ テストがプログラムのソースコードをどの程度カバーしているかを測る指標 いろいろある。それぞれ守れるものも違う • 命令網羅 (Statement Coverage) (C0) • 分岐網羅
(Branch Coverage) (C1) • 条件網羅 (Condition Coverage) (C2) • 判定条件/条件網羅 (Decision/Condition Coverage) • 複合条件網羅 (Multiple Condition Coverage) • Modified Condition/Decision Coverage • 経路網羅 (Path Coverage) 6
前提 7
前提① カバレッジが⾼い ≠ ソースコードの品質が⾼い カバレッジが⾼くてもテストケースの質が低ければソースコードの品質は上がらない 8
前提② カバレッジが100% ≠ バグが無い 9
結論 10
100%は⽬指さなくて良い 11
だけど 部分的に100%にするのは良い 95%〜99%は選択肢にいれても良い 12
どんな環境で何を作っていたの? • プロダクトの種類: NoSQLサーバー • ユースケース:さまざま • 業種:⾦融、公共、電⼒、通信 • 提供⽅法:サーバーにインストールして動作
• ライフサイクル:半年や1年に1回のバージョンアップ • カバレッジ100%はPJ規約や組織の基準として決められていた(出会い) 代表的なものを1つ紹介(他に経験したプロジェクトも似たようなもの) 13
C1カバレッジを95%〜99%にすることで得られたもの • バグを検知できる(なんだかんだで出る) • テスタブルなコードに⾃然となる(ならないと無理) ◦ モジュール化 ◦ インタフェース活⽤ ◦
純粋関数への切り出し ◦ 早期リターン • プロダクトコードの理解が向上 • 不要なコードに気づける • リファクタリングの安全性 • ライブラリバージョンアップの安全性 14
99%から100%への壁 • 数値を上げるためだけのテストケースが増えてくる • テストケースを書けるようにするため 無理にプロダクトコードを変更することが出てくる (条件分岐を無理やりまとめたり) • assertのないテストコードを書く⼈が出てきたりする(質の低下) •
テストコードを書く⼯数もかなり増える(かなりというかめちゃくちゃ増える) • なんのために書いてるかわからなくなる • ただ、学習としては100%⽬指してやってみるのはめちゃくちゃ良い 15
結局 何%にするのが良い? 16
Google • ガイドラインを提供 ◦ 60%を「許容可能」 ◦ 75%を「推奨」 ◦ 90%を「模範的」 出展:https://testing.googleblog.com/2020/08/code-coverage-best-practices.html
17
Martin Fowler⽒ プログラミングの多くの側⾯と同じく、テストには思慮深さが必要だ。よいテスト を選るのに、TDD は有⽤だが、決して⼗分ではない。思慮深くテストを実施すれ ば、テストカバレッジはおそらく80%台後半か90%台になるだろう。100%は信⽤ ならない。カバレッジの数字ばっかり気にして、⾃分が何をやっているかわかってい ない⼈間のいる臭いがする。 出展:https://bliki-ja.github.io/TestCoverage 18
だいたい85%くらい? ちょうどよさそ う 19
10年の間に考えるきっかけがたくさんありました • 例外プロジェクトへの参加 ◦ PoC/プロトタイピング • 納期が厳しくテスト⼯数を減らさざるを得なかったり • 100%は意味ないでしょうって意⾒をぶつけたり •
⾃⾝がPLやPjMとなり、品質に対するオーナーシップが必要になったり • 単体テストフェーズなくしてみたり • そして、ミドルウェア開発からサービス開発へ 20
カバレッジの数値⾃体ではなく その決定の裏側にある ⽬指したい品質の状態が重要 21
作っているものによる • 航空機搭載ソフトウェア(DO-178CのレベルA) ※ ◦ 100% MC/DC(Modified Condition/Decision Coverage) ◦
100% 決定カバレッジ(Decision Coverage) ◦ 100% ステートメントカバレッジ(Statement Coverage) • 医療機器のソフトウェア(IEC 62304でクラスC) ◦ 具体的な⽬標数値はないが、⾼い品質が求められることは分かる • RDBMS(データベース) • タスク管理システム • 家電の組込みソフトウェア (※)出展: https://ldra.com/ldra-blog/do-178c-structural-coverage-analysis/ 22
ドメイン内の業務領域による 出展:ドメイン駆動設計を始めよう システム全体が同じ重要度ではないのでは? 23
モジュールやシステムの依存関係による • 様々なシステムから 様々な使われ⽅をするソフトウェア (依存される側) ◦ ロギング⽤のライブラリ ◦ Webフレームワーク ◦
データベースなどのミドルウェア ◦ OS • それらを使⽤するソフトウェア (依存する側) システムA システムB システムC ミドルウェア OS OS OS ライブラリ/FW OS ライブラリ/FW ライブラリ/FW 使⽤ 使⽤ 使⽤ 問題があった場合の影響範囲は?変更のしやすさは? 24
提供⽅法による • SaaS • Webからダウンロードできるインストーラー • モバイルアプリ(ストアから⼊⼿) • ベンダー製品 問題が発⽣した場合にすぐ解消できる?
25
リリース頻度による • 継続的 • ⽇次 • 週1回 • ⽉1回 •
年1回 つぎに開発するのは同じメンバー? 26
プロダクトのフェーズによる どのタイミングで品質を上げる? 出展:https://blog.leapt.co.jp/what-is-the-product-lifecycle-what-product-marketers-need-to-know 27
会社のブランド戦略による 何にお⾦を払ってもらっている? 出展: https://reiro.co.jp/blog/branding-equity/ ブランドエクイティ あるブランドが顧客や社会に対して持つ無形 の資産価値 知覚品質 顧客がブランドを⾒たり聞いたりした時に、 そのブランドに対して感じたり察知する品質
28
時代による カバレッジに関するところも⾊んな意⾒がある • ガードレールとして、評価関数として、これまで以上にカバレッジも重要 • ホワイトボックステストではなくブラックボックステストとして、 仕様や振る舞いを保っているかを確認する⽅が重要 ⽣成AIによってテストの考え⽅も変わってきた 29
開発チームで話そう カバレッジは話すきっかけになる ⽬標感のイメージにもなる 品質⽂化につながる 30
考え続けるのが⼤事 守りたいものは何か 捨てても良いものは何か カバレッジは考えるきっかけになる 31
⾃分が考え出したきっかけは アンチパターンとも呼ばれる カバレッジ100%が 当たり前にある環境からでした それが品質⽂化を作り出していた 32
この場がみなさんにとって 改めて考えるきっかけ となれば嬉しいです ご清聴ありがとうございました 33