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AIがコードを書く時代、人間は何を保証するのか———馬場さんと考える、開発者に求められる新しい...

AIがコードを書く時代、人間は何を保証するのか———馬場さんと考える、開発者に求められる新しい責任と価値 - TECH PLAY

AIがコードを書く時代、人間は何を保証するのか———馬場さんと考える、開発者に求められる新しい責任と価値 - TECH PLAY
https://techplay.jp/event/997300
TECH PLAY X 2026-07-31 登壇資料

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Toshiaki Baba

July 30, 2026

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Transcript

  1. 馬場俊彰(ばばとしあき) netmarkjp.bsky.social クラウド インフラ SRE 運用 モニタリング・オブザーバビリティ大好き トラブルシューティング・パフォーマンスチューニング大好き 株式会社X-Tech5 取締役CTO、株式会社iCARE技術顧問、

    ICTトラブルシューティングコンテスト 会長 • SREaaS、SRE実現伴走支援/コーチ、チーム立ち上げ伴走 • 運用現場変革のリード/伴走支援、メンタリング・トレーニング • パフォーマンスチューニング、トラブルシューティングサービス Amazon著者ページ https://www.amazon.co.jp/~/e/B004Y4SUBY 2
  2. 【それぞれの特性】 人間 AI(LLM) プログラム 確実に繰り返す 不可能 不可能 可能 複製/スケールアウト 困難

    容易 容易 疲れ あり なし なし 柔軟性 あり(大) あり(中) なし 狭い文脈理解 あり あり なし 広い文脈理解/暗黙知対応 可能 不可能 不可能 可能だが制御できない(モデ 自発的成長(期待値向上) 可能だが制御 しづらい ル更新、自己更新による指標最 適化) なし 外部からのアプローチによ る期待値向上 可能だが制御 しづらい 可能で比較的制御しやすい 手をかけたことだけできる ようになる(バージョンアップ) 責任を負うこと できる (プロンプトやハーネスの更新) できない ➔提供者(最終的に人)が負 う できない 8 ➔提供者(最終的に人)が負う
  3. 【それぞれの特性】 人間 AI(LLM) プログラム 確実に繰り返す 不可能 不可能 可能 複製/スケールアウト 困難

    容易 容易 疲れ あり なし なし 柔軟性 あり(大) あり(中) なし 狭い文脈理解 あり あり なし 広い文脈理解/暗黙知対応 可能 不可能 不可能 可能だが制御できない(モデ 自発的成長(期待値向上) 可能だが制御 しづらい ル更新、自己更新による指標最 適化) なし 外部からのアプローチによ る期待値向上 可能だが制御 しづらい 可能で比較的制御しやすい 手をかけたことだけできる ようになる(バージョンアップ) 責任を負うこと できる (プロンプトやハーネスの更新) できない ➔提供者(最終的に人)が負 う できない 9 ➔提供者(最終的に人)が負う
  4. 【それぞれの特性】 人間 AI(LLM) プログラム 確実に繰り返す 不可能 不可能 可能 複製/スケールアウト 困難

    容易 容易 疲れ あり なし なし 柔軟性 あり(大) あり(中) なし 狭い文脈理解 あり あり なし 広い文脈理解/暗黙知対応 可能 不可能 不可能 可能だが制御できない(モデ 自発的成長(期待値向上) 可能だが制御 しづらい ル更新、自己更新による指標最 適化) なし 外部からのアプローチによ る期待値向上 可能だが制御 しづらい 可能で比較的制御しやすい 手をかけたことだけできる ようになる(バージョンアップ) 責任を負うこと できる (プロンプトやハーネスの更新) できない ➔提供者(最終的に人)が負 う できない 10 ➔提供者(最終的に人)が負う
  5. 遂行責任 / 結果責任 / 説明責任 遂行責任: そうすべしと決まっていること、そうすべきとわかって いることをきちんと果たす 結果責任: 諸々の結果としてどうなっているべしと決まっている

    こと、どうなっているべきと決まっていることを実現する 説明責任: どのように状態が結実したかの過程や機序を、その時々の 判断や行動の決定要因や基準とともに解説できる 遂行責任 結果責任 説明責任 メンバー エグゼク 12 ティブ
  6. ところで、リテラシー=読み書き能力について - リテラシー=読み書き能力についての大原則 ➔読み書きの能力はセット 読めないと書けないし、書けないと読めない - - 読めなくなると書けなくなる 書けなくなると読めなくなる 文字もそう

    自然言語もそう プログラミング言語もそう プログラムもそう 結果として出力しているものもそう - 例:給与計算プログラムなら給与明細、会計プログラムなら財務諸表 15
  7. わたしたち開発者が提供している価値 有用性 効率を上げること、不可能を可能にする こと 客観的に 評価しやすい 保証 信頼性、可用性、キャパシティ、パフォー マンス、セキュリティ、持続性 比較的客観的に

    評価しやすい 情緒的便益 興奮・快楽・快適・満足感・安心感… 客観的に 評価しづらい 自己表現的便益 自己主張の実現、自己肯定感… 客観的に 評価しづらい 機能的便益 - これらの「程度を設計」し「実現する」ことで価値を創出し、それを提供している いずれも「程度が高ければ高いほどよい」わけではない 情緒的便益や自己表現的便益は「競合と差別化すること」が求められることがあ る➔一般解はない。客観的評価しづらいので指標最適化もしづらい ※整理のためにAaker理論を参考にしていますが、あくまで分類の参考のみです 17
  8. わたしたち開発者が提供している価値 有用性 効率を上げること、不可能を可能にする こと 客観的に 評価しやすい 保証 信頼性、可用性、キャパシティ、パフォー マンス、セキュリティ、持続性 比較的客観的に

    評価しやすい 情緒的便益 興奮・快楽・快適・満足感・安心感… 客観的に 評価しづらい 自己表現的便益 自己主張の実現、自己肯定感… 客観的に 評価しづらい 機能的便益 - これらの「程度を設計」し「実現する」ことで価値を創出し、それを提供している いずれも「程度が高ければ高いほどよい」わけではない 情緒的便益や自己表現的便益は「競合と差別化すること」が求められることがあ る➔一般解はない。客観的評価しづらいので指標最適化もしづらい ※整理のためにAaker理論を参考にしていますが、あくまで分類の参考のみです 18
  9. わたしたち開発者が提供している価値の解説 - ITIL 4等も参照して整理すると情報通信システムの価値には有用性と保証があ る 有用性は時短や不可能を可能に、という要素 保証は信頼性・可用性・キャパシティ・パフォーマンス・セキュリティ・持続性、とい う要素 いままでは、この有用性と保証の実現がソフトウェアエンジニアの専門性だった 有用性を正確に・迅速に実現すること、保証を適切に実現することが、ソフトウェ

    アエンジニアの腕の見せ所だった これらは、インターネットやクラウドサービスの普及でかなりハードルが下がり、 生成AIによってさらにハードルが下がった わたし個人は、有用性実現は特にAIが上手という実感がある 有用性と保証の設計もAIが参加可能。有用性の設計は、目的適合を客観指標で 評価しやすいぶん、AIの適用可能性が広いと考える。保証の設計は、可用性やコ ストなど各要素は客観計測できるが、「どの程度を保証するか」がトレードオフの 意思決定になるので客観評価だけでは決まらず、AIの適用可能性が(比較して) 狭いと考える 19
  10. わたしたち開発者が提供している価値の解説 - - ウェブサービス開発でもファームウェア開発でもゲーム開発でも、開発者は手元 では「開発行為でお金を貰って」いる もう少し視野を広げると、これは「そのソフトウェアの利用者に対する価値提供」 でお金をもらっている 利用者が、ほとんどの場合はそのソフトウェアを通じて得られる便益に対して、 ごく稀にそのソフトウェア自体に、価値を感じ、お金を払っている これはブランディング/ブランド管理のAaker理論を参考にしているけれど、

    Aaker理論自体はユースケースが異なるのでAaker理論として理解しないほう がここではスムーズ 機能要件を実現するのは機能的便益の実現で、非機能要件を実現するのも機能 的便益。機能的便益は客観的評価しやすく計測可能性が高い 有用性と保証はいずれも「機能的便益」 機能的便益/情緒的便益/自己表現的便益が完全に区切れているわけではない。 20 情緒的便益の快適さを支えるのは機能的便益のパフォーマンスだったりする
  11. 【それぞれの特性】 人間 AI(LLM) プログラム 確実に繰り返す 不可能 不可能 可能 複製/スケールアウト 困難

    容易 容易 疲れ あり なし なし 柔軟性 あり(大) あり(中) なし 狭い文脈理解 あり あり なし 広い文脈理解/暗黙知対応 可能 不可能 不可能 可能だが制御できない(モデ 自発的成長(期待値向上) 可能だが制御 しづらい ル更新、自己更新による指標最 適化) なし 外部からのアプローチによ る期待値向上 可能だが制御 しづらい 可能で比較的制御しやすい 手をかけたことだけできる ようになる(バージョンアップ) 責任を負うこと できる (プロンプトやハーネスの更新) できない ➔提供者(最終的に人)が負 う できない 23 ➔提供者(最終的に人)が負う
  12. わたしたち開発者が提供している価値 有用性 効率を上げること、不可能を可能にする こと 客観的に 評価しやすい 保証 信頼性、可用性、キャパシティ、パフォー マンス、セキュリティ、持続性 比較的客観的に

    評価しやすい 情緒的便益 興奮・快楽・快適・満足感・安心感… 客観的に 評価しづらい 自己表現的便益 自己主張の実現、自己肯定感… 客観的に 評価しづらい 機能的便益 - これらの「程度を設計」し「実現する」ことで価値を創出し、それを提供している いずれも「程度が高ければ高いほどよい」わけではない 情緒的便益や自己表現的便益は「競合と差別化すること」が求められることがあ る➔一般解はない。客観的評価しづらいので指標最適化もしづらい ※整理のためにAaker理論を参考にしていますが、あくまで分類の参考のみです 25
  13. 周辺の話題 「とある個人の雇用継続」はまた別の話 - AIが直接雇用を奪うことは、いまのところ原理的におきない ➔雇用・解雇を決定するのは人間の意思決定による ➔「AI」でも「会社」でも「社会」でもなく決定した人 ➔意思決定をした人、そのひとに意思決定を迫る圧力をかけた人が要因 - 「XXX(なんらかの指標や他者の価値基準)のためには仕方がない」が判断軸なら、その役割は人 間である必要はない

    AIで代替されるのは「自己判断しない管理職」かもしれない 企業は収益追求マシーンだけど、同時に社会の公器である - バランスを決めるのは人だし、それを求めるのも人。それを評価するのも人 ルールも法律も社会も人が作るもの 例えば「AIで代替するから雇用を削減した企業・サービス」を選ぶのも、避けるの 29 も意思決定
  14. グッと来る問い 1: 「ちょうどいい」は難しい/よくわからないがちですよね ➔あなたは自分が開発している対象について、購買者視点で受容可能な範囲で、品 質/保証を下げて他の指標を上げる具体的な品質の程度を判断/決定できますか? 2: 「プログラミングの再定義」が話題です(品質管理軸への転換) ➔あなたはこの「再定義」が成立すると考えますか? 3: 「プログラミング能力の再定義」が話題です(同上)

    ➔あなたは「(現在の意味での)書く能力」がなくなっても、最低限の機能的便益の実 現は可能だと考えますか? ➔わたしたちは、機能的便益(有用性)、機能的便益(保証)、情緒的便益、自己表現的 31 便益、どこをどう組み合わせて提供することで食っていきましょうか?
  15. グッと来る問い1 では、つま先まで・爪の先までの品質を提供すべきか? - - - 前提: 大量生産品の品質管理は基本的に確率的に行い、それが社会に受け入れ られている ➔機能開発は大量生産とは異なるワンオフの取り組みだけれども、しかしAIに よって大量生産的になってきている(一点ものから注文住宅へ)

    つま先まで・爪の先までの品質に価値があるかどうかは、利用者がそれを基準に 買うかどうかにかかっている ➔求められないものを提供するのは基本的に過剰 「あったほうがいい」は「なくてもいい」でもある。「ないほうがいい」まである ➔安くてそれなり、安くてイマイチが選ばれるなら・選ぶなら品質は過剰 これは社会受容の話。つまり「わたしたち市民が決めていく」こと ➔あなたは自分が開発している対象について、購買者視点で受容可能な範囲で、品 質/保証を下げて他の指標を上げる具体的な品質の程度を判断/決定できますか? 33
  16. グッと来る問い3 問い2から続けて、しかし敢えて逆に - - 【再】「書く」の再定義は、細部にまで責任を負わないひと(典型的には上職者やコ ンサル、立ち上げや展開フェーズに携わる人材)が、声高にAI推進しているよう に見える側面がある(ばばもこの顔がある) ただ、その立場の人にとって、「細部まで実現できないかもしれない」リスクは 「人間のときもAIのときも同じ」 なので「同程度の機能的便益」が実現できなくても「最低ラインの機能的便益」を

    実現できれば問題ないという考え方もある ➔あなたは「(現在の意味での)書く能力」がなくなっても、最低限の機能的便益の実 現は可能だと考えますか? ➔わたしたちは、機能的便益(有用性)、機能的便益(保証)、情緒的便益、自己表現的 35 便益、どこをどう組み合わせて提供することで食っていきましょうか?