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「エンジニア像」を言語化し文化の礎を築く

Toshiaki Baba
December 08, 2019

 「エンジニア像」を言語化し文化の礎を築く

July Tech Festa 2019
D30 「エンジニア像」を言語化し文化の礎を築く

2019.12.8

Toshiaki Baba

December 08, 2019
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  1. 2 https://speakerdeck.com/netmarkjp 「エンジニア像」を言語化し文化の礎を築く - 今日やりたいこと • エンジニアは「個の能力を高めること」に向 き合おう!と主張したい • 個の能力を高めるにあたり、技術者・技術力

    を構成する要素の構造を言語化・体系化した ので自慢したい • その流れで、エンジニア像をかなり具体的に 言語化したので自慢したい https://heartbeats.jp/hbblog/2019/11/ethics-of-engineers.html
  2. 4 https://speakerdeck.com/netmarkjp なぜ「エンジニア像」を言語化したかったのか 用語 • 保有能力(保持能力)=個人が備え持つ能力 / 発揮能力=保有能力を発揮し結果を出す力 • さきほど「個の能力」と呼んだものは個人レベルの保有能力×発揮能力のこと

    大前提 • 保有能力を効率的に発揮することは素晴らしい • 発揮能力の行使可否や効率は環境要因の影響が大きく、組織は真摯に取り組む必要がある 危機感 • 「発揮能力を行使するための組織や環境」に世間の興味が寄りすぎているのでは? – エンジニア個々人の興味がそちらに寄りすぎているのでは? • 「個の能力」を伸ばすことから目を背けたらいけないと思うの わたしはCTO。弊社にはVPoEもいる • VPoEが保有能力を効率的に発揮する組織や環境に向き合ってくれる • CTOは「個の能力」を伸ばすことに向き合おうと思ったのです
  3. 10 https://speakerdeck.com/netmarkjp 時代は少数精鋭 • パワー10の人は効率100%でも10しか出ない • パワー100の人は効率30%でも30出る • 人数を少なく抑えることは組織の複雑度を抑えるうえで重要 例:

    チームは 2 Pizza • 8人以内を基本としたチーム – 人数が増えるとコミュニケーションなどの困難が増えるので、それを避ける • 大規模システムはチーム人数を増やさずチーム数を増やす ( Microservices ) 例: SRE ( Site Reliability Engineering ) • SREのモチベーションは「システム規模に対してオペレーション系業務を行うエンジニアの 人数を比例させない」 「8人採用 x 10チーム」と「80人採用」を比べたとき、 下位50〜60%の実力の人が採用に至る可能性は…
  4. 17 https://speakerdeck.com/netmarkjp 鍛える? • 鍛えるとは言うけれど • やみくもにやる?とりあえず毎日走る? – やってみる、失敗してみるのはとても大事だけれども… –

    コンピュータエンジニアとあまり相性がよくなさそうなアプローチ… – なりたい自分に近づくための論理的アプローチがしたい(してほしい) ⇒方向性を定めるために指針が必要 ⇒論理的アプローチのために構造の把握が必要
  5. 24 https://speakerdeck.com/netmarkjp about:me / 馬場俊彰 @netmarkjp • 株式会社ハートビーツ 取締役 技術統括責任者(CTO)

    • ネットワーク〜ミドルウェアが得意 • Golang, Python, vim, ArchLinux • 電気通信大学で人工生命シミュレータ → 産業技術大学院大学で新規事業開発 • 著書(単著のほうが好き)
  6. 26 https://speakerdeck.com/netmarkjp ハートビーツ ハートビーツ • July Tech Festa 2019 スポンサー

    • インフラの運用課題を解決する会社 – マルチクラウド – インフラ設計・構築・管理・監視=マネージドサービスを提供=MSP – OSS活用 + 自分で使うものは自社開発(Python, Golang中心) • 開発事業もやってます – PHP + React Native + TypeScript が中心 • 業界未経験新卒・中途をイチから育ててインフラエンジニアにしてきた実績 →「エンジニアリングのアウトソーシング」の会社 ※エンジニアではなくエンジニアリング
  7. 30 https://speakerdeck.com/netmarkjp 個の能力… エンジニアリングに焦点をあてました わたしのエンジニアリングの定義: 自ら切り開くこと、 課題の発見と解決 を 創造・実現すること →これを成す人=技術者(とした)

    →これを成す力= 技術力(とした) ※「技術力」の明確な定義はない(と思う) ※「技術者(エンジニア)」はInternational Engineering Alliance(IEA/国際エンジニアリ ング連合)の定義があるが、一般には認知されていないと思う
  8. 31 https://speakerdeck.com/netmarkjp 技術力 • 「技術者」を構成するスタックの形で整 理 • 自分がどういう意図で使っているか見つ め直した •

    定義・体系化した – 会話の土台になる – 構造を明らかにして、ボトルネック 特定などをしやくすしたい – 雰囲気わかりやすさ狙いで心・技・ 体に分類もした お断り • これはハートビーツにおいて私が利用し ている定義です – 「違うと思う!」とかはあるかも – ぜひあなたの定義も持ち寄っていた だき、ディスカッションしましょう • まだ試験運用中 – 他社さんの定義も聞いてみたい! 社内ドキュメント「ハートビーツのエンジニア倫理規定」から抜粋
  9. 32 https://speakerdeck.com/netmarkjp 技術力 社内ドキュメント「ハートビーツのエンジニア倫理規定」から抜粋 技術者が技術を以て為すもの・ことを指し ます 根源的なものとは別に技術者が判断や行動 の出力を結果として結実させるためにもう ひと押し [心]のレイヤーがあると考えます

    技術者は知識と価値の認識をもとに判断を 設計し行動します 結果の選択肢の幅を左右する要素だと考え ます。なお 価値の認識 は誰にとって何が どのような価値を持つかの認識を指します 技術者が技能・技術を習得・発揮するため の根源的な動力源だと考えます 技術者の基礎だと考えます
  10. 33 https://speakerdeck.com/netmarkjp 技術力 社内ドキュメント「ハートビーツのエンジニア倫理規定」から抜粋 【知識】をもとに判断を設計し行動するこ とを 【論理的判断】と呼ぶ 【価値の認識】をもとに判断を設計し行動 することを 【倫理的判断】と呼

    ぶ 【ポイント】 • 論理的判断と倫理的判断は排他 ではない。両立しえるし両立さ せるもの • 自律的に行った場合のみ論理的 判断・倫理的判断と呼ぶことが できる
  11. 34 https://speakerdeck.com/netmarkjp 技術力 なりたいわたしとの距離は? • 健康不足? • 基礎的な根性不足? • 知識不足?

    • 価値の認識不足? • 論理的判断力不足? • 技能不足? • 最後の一手の執念不足? 社内ドキュメント「ハートビーツのエンジニア倫理規定」から抜粋
  12. 35 https://speakerdeck.com/netmarkjp 技術力 なりたいわたしとの距離は? • 健康不足? • 基礎的な根性不足? • 知識不足?

    • 価値の認識不足? • 論理的判断力不足? • 技能不足? • 最後の一手の執念不足? 社内ドキュメント「ハートビーツのエンジニア倫理規定」から抜粋 【ポイント】 「経験」という要素はない! 同じ経験から得るもの・程度は千差万別 (過去の教育課程を思い返すと…) 経験は手段であり要素ではない。
  13. 36 https://speakerdeck.com/netmarkjp 利用例 日常のキャリア相談的なシーンで利用する • 例:知識が足りない – ⇒資格試験を通じて知識を獲得して みたら? –

    ⇒実は知識じゃなくて価値の認識が ネックなのでは? – ⇒実は知識じゃなくて技能がネック なのでは? • 例:設計レビューのウケが悪い – 何を取り揃えるべきかわからない⇒ 知識を強化すべきでは? – どの程度堅牢にすべきかわからない ⇒価値の認識を強化すべきでは? – 反応が悪くはないが良くもない⇒論 理的判断と倫理的判断のバランスが 悪いのでは? 社内ドキュメント「ハートビーツのエンジニア倫理規定」から抜粋
  14. 39 https://speakerdeck.com/netmarkjp 会社という環境からの要請=エンジニア像の具体化 • 知識をベースとし、価値の認識と倫理的判断を整理・言語化するのがよいと考えた – 「らしさ」(=期待値)や「文化」と呼ばれる結果に大きな影響を与える要因と思う • ハートビーツのエンジニアの倫理規定という形で言語化 –

    規定文言と解説 • 規定文言=〜べし / 〜べからず、のリスト • 解説=理解するための知識、価値の認識や倫理的判断の例 – 約15,000文字で表現 • PDF(A4) 23page • 中堅・ベテランからの「普通」や「当たり前」の伝承・継承活動でもある – 技術者としての契約である / ルールである / ガイドライン(推奨事項)である という捉え方のブレが発生 しがち – ルール遵守志向の強い規定もあれば、価値共有志向の強い規定もある(作れる) – ハートビーツの倫理規定は技術者としてのステークホルダーとの契約で、価値共有志向の強い規定 • 自社blogで公開しています – 技術とは・技術者とは・成長とは・倫理とは・結果を出すために重要な考え方......ハートビーツのエン ジニアの倫理規定を公開します - インフラエンジニアway - Powered by HEARTBEATS https://heartbeats.jp/hbblog/2019/11/ethics-of-engineers.html
  15. 40 https://speakerdeck.com/netmarkjp 要請(規定文言):ハートビーツのエンジニアの倫理規定 概要 1. 広い視野を持つ 2. 信頼獲得に努める 3. 誠実さを発揮する

    4. 研鑽を積み成長する ハートビーツのエンジニアの倫理規定 ハートビーツのエンジニアは以下の規定に則り社会生活を営むものです (以下項番は優先順位です) 1. 視野 : 社会においてハートビーツのエンジニアが信頼されるよう努めるということ 1. 1.社会・業界、2.仲間、3.顧客の順に広い視野で思考・判断する 2. 目先だけでなく将来も見据え持続可能性の確保に努める 2. 信頼 : 社会においてハートビーツのエンジニアがどのように信頼を獲得するかということ 1. 自責・利他の精神の元、主体的・能動的・自律的に思考し行動する 2. 自身とそのコミュニティの品位を保持し、信頼の獲得・向上に継続的に努める 3. 業務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしたり転用したりしない 4. 成功・失敗の事実と過程を客観的な事実を元に分析し継続的な改善に努める 3. 誠実さ : ハートビーツのエンジニアが発揮する誠実さはどのようなものかということ 1. 自身の携わる事柄について、手を抜かず気を抜かず技能・技術を発揮する 2. 自身の携わる事柄について、結果を素直に受け止め、至らぬ点は改善につなげる 3. 自身の携わった事柄について、客観的かつ事実に基づいた情報をもとに速やかに報告を行う 4. 自身の携わった事柄について、客観的かつ事実に基づいた情報をもとに論理的・倫理的な判 断を行い、都合の良し悪しに関わらず判断結果と理由を伝える 5. 同僚・顧客・業界・社会などコミュニティ内外のメンバーとお互いに協力しやすくなるよう、 相手の立場や専門性を尊重し、協力するよう努める 6. 自身の技術で対処しきれない事態や状況になりそうな場合・なった場合は速やかに同僚・上 司にヘルプミーする 7. 複数軸の倫理的判断が競合した場合、上司や、上司の上司に相談するなどし主体的・能動的 に競合の解消に努める 8. コンピュータを活用し正確性・再現性・継続性の向上に努める 4. 研鑽 : ハートビーツのエンジニアが実現する成長はどのようなものかということ 1. お互いに研鑽し、お互いの成長・変化適応・時代の先取りや価値創造に努める 2. 先輩後輩・職種職位問わず人材育成に努める 3. 公開不可能でない情報は積極的に発信し業界・社会の成長に寄与する
  16. 41 https://speakerdeck.com/netmarkjp 要請(規定文言):ハートビーツのエンジニアの倫理規定 概要 1. 広い視野を持つ 2. 信頼獲得に努める 3. 誠実さを発揮する

    4. 研鑽を積み成長する ハートビーツのエンジニアの倫理規定 ハートビーツのエンジニアは以下の規定に則り社会生活を営むものです (以下項番は優先順位です) 1. 視野 : 社会においてハートビーツのエンジニアが信頼されるよう努めるということ 1. 1.社会・業界、2.仲間、3.顧客の順に広い視野で思考・判断する 2. 目先だけでなく将来も見据え持続可能性の確保に努める 2. 信頼 : 社会においてハートビーツのエンジニアがどのように信頼を獲得するかということ 1. 自責・利他の精神の元、主体的・能動的・自律的に思考し行動する 2. 自身とそのコミュニティの品位を保持し、信頼の獲得・向上に継続的に努める 3. 業務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしたり転用したりしない 4. 成功・失敗の事実と過程を客観的な事実を元に分析し継続的な改善に努める 3. 誠実さ : ハートビーツのエンジニアが発揮する誠実さはどのようなものかということ 1. 自身の携わる事柄について、手を抜かず気を抜かず技能・技術を発揮する 2. 自身の携わる事柄について、結果を素直に受け止め、至らぬ点は改善につなげる 3. 自身の携わった事柄について、客観的かつ事実に基づいた情報をもとに速やかに報告を行う 4. 自身の携わった事柄について、客観的かつ事実に基づいた情報をもとに論理的・倫理的な判 断を行い、都合の良し悪しに関わらず判断結果と理由を伝える 5. 同僚・顧客・業界・社会などコミュニティ内外のメンバーとお互いに協力しやすくなるよう、 相手の立場や専門性を尊重し、協力するよう努める 6. 自身の技術で対処しきれない事態や状況になりそうな場合・なった場合は速やかに同僚・上 司にヘルプミーする 7. 複数軸の倫理的判断が競合した場合、上司や、上司の上司に相談するなどし主体的・能動的 に競合の解消に努める 8. コンピュータを活用し正確性・再現性・継続性の向上に努める 4. 研鑽 : ハートビーツのエンジニアが実現する成長はどのようなものかということ 1. お互いに研鑽し、お互いの成長・変化適応・時代の先取りや価値創造に努める 2. 先輩後輩・職種職位問わず人材育成に努める 3. 公開不可能でない情報は積極的に発信し業界・社会の成長に寄与する Pros. • 気持ちはわかる Cons. • 覚えきれない • 具体性が低い
  17. 42 https://speakerdeck.com/netmarkjp 要請(解説):ハートビーツのエンジニアの倫理規定 目次 i. 技術とは・技術者とは i. 技術とは ii. エンジニアとは

    iii. エンジニアが持ついろいろな顔(ロール) iv. (特定のジャンルの)エンジニアである、とは? v. ハートビーツにおけるエンジニア vi. FAQ : 未熟なエンジニアについて vii. FAQ : 誤った情報の公開・発信について viii.FAQ : 誤りの指摘を受けても1度で改善できないエンジ ニアについて ii. 成長とは i. 成長とは ii. 社会人の成長とは iii. 社会人が成長するためのアプローチ iii. 倫理とは i. 倫理と倫理的判断 ii. (一般的な)倫理の2側面 iii. 論理・倫理の適用 iv. 結果の予測と確信について v. 倫理規定違反時の対処の基本 vi. FAQ : 依頼側の手法にこだわり・制約があり、その手 法が倫理的に許容できない場合の対処 vii. FAQ : 依頼側の手法にこだわり・制約があり、期待し た結果を得られない可能性が高い場合の対処 iv. 結果を出すために重要な考え方 i. プロフェッショナルサービスにおけるエンジニア個々 人の技術力と主体性の重要性 ii. プロフェッショナルサービスの価値と存在意義の価値 認識 iii. 管理者権限の重みの価値認識 iv. 「当たり前のことを当たり前にやる」ことの価値認識 v. 失敗を避けるセルフマネジメント vi. 甚大な被害を避けるフェイルセーフ思考 vii. 適正な品質を見定める viii.他者への要求と受容 ix. 機嫌よくいること x. 善管注意義務(善良な管理者の注意義務)と重過失 覚えきれない⇒がんばる / 具体性が低い⇒解説を具体的に書く
  18. 44 https://speakerdeck.com/netmarkjp (特定のジャンルの)エンジニアである、とは? • 自分が何者であるかという宣言は、自身が望む望まないに関わらず・意図するしないに関わ らず、相手から見た期待役割に応えるという、相手に対する宣言となります。そのため誰に どのように宣言するかにより意味が変わります。 • エンジニアはいろいろな顔を持つので、「(特定のジャンルの)エンジニアであると宣言する こと」にはさまざまなレベルがあります。

    • 例: Webディレクターに対してインフラエンジニアであると自己紹介するということは、 Webインフラ領域について相応の技術があると宣言することになる。 • 例: 整体師にITエンジニアであると自己紹介するということは、肩凝り・腰痛など特定の症 状が非常に発生しやすい環境にあると宣言することになる。 Agree Disagree
  19. 45 https://speakerdeck.com/netmarkjp 結果の予測と確信について • 一般的に視野が広く洞察が深いほど未来の事象に対する断言は難しいものです。 この傾向は情 報システムにおいて同様の傾向があります。 • 昨今の情報システムはたいへん複雑であり、 一見単純に見える動作の裏には複雑な計算や処理、

    経緯や事情が隠れていることが多々あります。 • そのため、より技術を有するエンジニアであるほど事象の予測に対する回答の歯切れが悪くなる 傾向があります。 特に「確実」「100%」という要求には警戒心を抱くのは専門家として正常 な反応です。 良い未来についても悪い未来についても不確定要素は存在します。 • ……という事情はあるにせよ、非専門家との対話においては、非専門家は専門家に相応の確実性 を求め、 それを元に予測可能性を得ようとします。 前提条件と範囲を明確にした上で、客観的 な知識と判断をもとに、 確度の高い情報を提供し期待値を調整しましょう。 • 表現例: – 確率95%以上 => 「まず間違いなくそうなる」 – 確率80%以上 => 「ほぼそうなる」 – 確率70%以上 => 「おそらくそうなる」 – 確率50%以上 => 「半々」「じゅうぶんにありえる」 – 確率50%未満 => 「現時点ではなんとも言えない」 Agree Disagree
  20. 46 https://speakerdeck.com/netmarkjp Question: 未熟な者はエンジニアを名乗ってはいけないのか? Question: 未熟な者はエンジニアを名乗ってはいけないのか? (あるいは、未熟な者をエンジニアと呼んではいけないのか?) Answer: • 端的に言うとYes

    • 両者の立場の一般的な関係性に於いて期待される最低限の水準を満たす技術を持つのは前提 条件であり、 前提条件を満たす場合にのみ名乗ることが双方・双方が今後関わるステーク ホルダー全員の幸せにつながる。 Agree Disagree
  21. 47 https://speakerdeck.com/netmarkjp Question: 未熟な者はエンジニアを名乗ってはいけないのか? Question: 未熟な者はエンジニアを名乗ってはいけないのか? (あるいは、未熟な者をエンジニアと呼んではいけないのか?) Answer: • 端的に言うとYes

    • 両者の立場の一般的な関係性に於いて期待される最低限の水準を満たす技術を持つのは前提 条件であり、 前提条件を満たす場合にのみ名乗ることが双方・双方が今後関わるステーク ホルダー全員の幸せにつながる。 Agree Disagree セットにしている補足事項 この話のややこしいポイント: • (特定のジャンルの)エンジニアである、という基準がないケースが多数 • 最低限の水準の明確な定義がないのでいかようにもできてしまう • 例えば日本では建築士・医師・会計士・看護師など士業は基準がある(海外は詳しくは調べてないがいわ ゆる先進諸国では概ね何かしらの基準による資格がありそう) • これらの士業系は海外でも同様の職種が存在することが多い • リージョン(国・地域等)を越えて厳格に同一ではないが、概ね社会からの期待役割・要求成果は共通 認識がある(と思われる) • (特定のジャンルの)エンジニアはリージョンごとの基準もない • 基準としてコンピュータサイエンス学士などが相当すると思われるが統一基準がない • 例えば日本には「技術士」制度があるが、あまり一般的ではない(士業各種ほどの認知・尊重はなされて いない) • ぶっちゃけ社会において学士/修士そのものが技術を担保しているという信頼感がない • 学校名・コース名・成績まで含めるとそれなりの信頼感が出る • 技術の変化が速く、基準が後追いになり時代遅れ感が出てしまうことが多々ある • 誰でも入口に立てる環境・内容のため、メンタリティの話に持っていかれがち • またコンピュータサイエンスを修めていない構成員が実際のところ多数いるという事実がある • 技術がなくてもアイデアと体力と行動力でなんとなくなるように感じられる雰囲気がある • 業界や構成員に「権威」や「資格」を嫌う傾向がある(ように、感じられることがある)
  22. 48 https://speakerdeck.com/netmarkjp Question: (特定のジャンルの)エンジニアはそのジャンルについて誤った情報を公 開・発信してはいけないのか? Answer: • 端的に言うとYes • 情報の公開・発信は受け手に対して、自身とそのコミュニティの評価や信頼性を主張する公

    開であり、 客観的で正確な事実、再現性の担保、事実と評価の分離には特段の配慮をする 必要がある。 ※情報公開・発信を行うこと自体は善であり推奨事項であり、場合によっては義務に近しいが、 だからといって発信するという行動の評価と内容の評価のバランスを著しく欠いてはいけない ※だからといって誤りを公開・発信した者の人格を貶めてはいけない Agree Disagree
  23. 49 https://speakerdeck.com/netmarkjp Question: (特定のジャンルの)エンジニアはそのジャンルについて誤った情報を公 開・発信してはいけないのか? Answer: • 端的に言うとYes • 情報の公開・発信は受け手に対して、自身とそのコミュニティの評価や信頼性を主張する公

    開であり、 客観的で正確な事実、再現性の担保、事実と評価の分離には特段の配慮をする 必要がある。 ※情報公開・発信を行うこと自体は善であり推奨事項であり、場合によっては義務に近しいが、 だからといって発信するという行動の評価と内容の評価のバランスを著しく欠いてはいけない ※だからといって誤りを公開・発信した者の人格を貶めてはいけない Agree Disagree セットにしている補足事項 この話のややこしいポイント: • 正確性、再現性を確認するというのは相当に難易度が高く手間がかかる • 前提条件としてバージョンや観測範囲を明記すればよいだけの話なので、実はたいしたハードルではな い • でも忘れがち • ある時点・環境では客観的で正確な事実・再現性のある事象であっても、時代の変化・環境の変化で再現性 がなくなることがあり、ITは環境変化が速いため顕著に現れやすい • 「結果として現時点では正しいとは言えなくなった」ということは往々にしてある • 前提条件が書いてあれば特段の問題にはならないし、継続的に更新できると素晴らしい • 医師が医療に関して、弁護士が司法に関して、トンチンカンなことを言わないだろう、という信頼を保てる かどうかというのと似た話 • 同じ肩書きを持つコミュニティ全員の信用に関わるので誤りを誤りのまま放置しておくのはよろしくな い • コミュニティ全体で誤りを修正し、客観的で正確な事実・再現性の担保・事実と評価の分離を実現 にしていくのは健全な姿 • 正しければOK、誤りは貶めて・叩いて良い、という雰囲気が存在することがあるが、これは明確にダメ • 誤りを修正し客観的で正確な事実・再現性の担保・事実と評価の分離を実現することは公共の利益に資 するが、そのために攻撃的な手段を用いることは完全に悪
  24. 50 https://speakerdeck.com/netmarkjp 社会人の成長とは/社会人が成長するためのアプローチ 社会人の成長とは • 端的に以下の3要素で説明できると考えます。 – 結果を実現すること – 結果の期待値を維持すること

    – 結果の期待値を高めること • 社会人の成長は相手からの信頼で構成されていると言ってもよいです。 社会人が成長するためのアプローチ • 社会人が成長するためには、着実な積み重ねと行動変容が必要不可欠です。 • 着実な積み重ねは期待値の維持のために必要不可欠です。 また期待値を高める土台・足場とし ても必要不可欠です。 知識・価値観・技能など、技術を積み重ねることで結果に至る可能性が 出てきます。 • こと社会人の場合、行動変容なくして成長はありえません。 あるべき姿と現在の自分のギャッ プを見つめ、 あるべき姿と現在の自分の非連続を認め、 「あるべき姿との連続性を持つ自分の 姿」に変化する必要があります。 • そのためには、コツコツと行動変容を積み重ね、 新しい自分になる・思考も行動も変える自己 変革が必要です。 • …(たくさん続く)
  25. 51 https://speakerdeck.com/netmarkjp 社会人の成長とは/社会人が成長するためのアプローチ 社会人の成長とは • 端的に以下の3要素で説明できると考えます。 – 結果を実現すること – 結果の期待値を維持すること

    – 結果の期待値を高めること • 社会人の成長は相手からの信頼で構成されていると言ってもよいです。 社会人が成長するためのアプローチ • 社会人が成長するためには、着実な積み重ねと行動変容が必要不可欠です。 • 着実な積み重ねは期待値の維持のために必要不可欠です。 また期待値を高める土台・足場とし ても必要不可欠です。 知識・価値観・技能など、技術を積み重ねることで結果に至る可能性が 出てきます。 • こと社会人の場合、行動変容なくして成長はありえません。 あるべき姿と現在の自分のギャッ プを見つめ、 あるべき姿と現在の自分の非連続を認め、 「あるべき姿との連続性を持つ自分の 姿」に変化する必要があります。 • そのためには、コツコツと行動変容を積み重ね、 新しい自分になる・思考も行動も変える自己 変革が必要です。 • …(たくさん続く) セットにしている補足事項 学生時代の「成長」はパターン学習をベースに知識を習得することが重視されていたかもしれませ ん。 社会人の「成長」はパターン学習による知識の習得は前提として必要ですが、 主題ではなく、 それらをもとにした行動変容の積み重ねが主題となります。 実際に仕事をする上でパターン学習した内容をそのまま適用できることは少なく、 知識をもとにし た抽象化や原理原則の発見、知識を応用した課題解決が大半を占めます。 価値の認識の習得 = 価値観のメジャーアップデート が必要になることが多いでしょう。
  26. 53 https://speakerdeck.com/netmarkjp 参考図書など 新しい時代の技術者倫理 (放送大学教材) https://www.amazon.co.jp/dp/4595315708/ – これが一番おすすめ その他 •

    第五版 大学講義 技術者の倫理 入門 https://www.amazon.co.jp/dp/4621300164/ • 技術者倫理-技術者として幸福を得るために考えておくべきこと https://www.amazon.co.jp/dp/4526076112/ • JABEE対応 技術者倫理入門 https://www.amazon.co.jp/dp/4621082523/ • 技術士倫理綱領|公益社団法人 日本技術士会 https://www.engineer.or.jp/c_topics/000/000025.html
  27. 54 https://speakerdeck.com/netmarkjp 「エンジニア像」を言語化し文化の礎を築く - 今日やりたいこと • エンジニアは「個の能力を高めること」に向 き合おう!と主張したい • 個の能力を高めるにあたり、技術者・技術力

    を構成する要素の構造を言語化・体系化した ので自慢したい • その流れで、エンジニア像をかなり具体的に 言語化したので自慢したい https://heartbeats.jp/hbblog/2019/11/ethics-of-engineers.html