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解釈性を持つリスクファクター構成手法に関する研究

s-noma
November 23, 2023

 解釈性を持つリスクファクター構成手法に関する研究

第53回 JAFEE大会コンペティション 報告資料(優秀講演賞)
http://www.jafee.gr.jp/01rally/conference/pro_53th_2020_final.pdf

関連報告:第25回 人工知能学会 金融情報学研究会(SIG-FIN)
https://sigfin.org/?025-11

s-noma

November 23, 2023
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  1. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本研究の概要 本研究の概要 ①

    各資産の価格変動を横断的に説明する共通因子(リスクファクター)を 構成する手法を提案 ・ 提案手法によって構成されるリスクファクターは以下の2つの性質を満たす ✔ 解釈が容易 ✔ ファクターリターンが互いに直交する ・ 人工データ及びマルチアセット市場データを用いた実験により提案手法の有効性を確認 ・ マルチアセット市場データを用いた実験では,提案手法によって構成されたファクターを 貿易,金融政策,外交政策など,様々なマクロ経済的な概念と紐づけて解釈する ② 異なるサンプルから構成されたリスクファクターを同定する手法を提案 ・ 一定期間ごとにリスクファクターを構成し続ける実務的な設定を想定 2
  2. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 リスクファクター構成手法の定式化 ・ 債券,株式,商品など,マルチアセット市場における様々な資産のリターンから

    リスクファクターを構成する ・ すなわち,各時点における各資産のリターンを並べた行列 𝑅 が既知であるもとで ファクターリターン 𝑭 及びファクターローディング 𝑽 を構成する問題を考える 記法 行列表示 𝑅 = 𝐹𝑉⊤ + 𝐸 𝑟𝑡,𝑖 = ෍ 𝑘∈ 𝐾 𝑣𝑖,𝑘 ⋅ 𝑓𝑡,𝑘 + 𝜖𝑡,𝑖 問題設定と記法 3 𝑅 ∈ ℝ𝑇×𝑁 各資産のリターン 𝐹 ∈ ℝ𝑇×𝐾 ファクターリターン 𝑉 ∈ ℝ𝑁×𝐾 ファクターローディング (感応度,エクスポージャー) 𝐸 ∈ ℝ𝑇×𝑁 残差リターン 要素表示 𝑁 (101) 資産数 𝑇 (260) 観測数 𝐾 (10) 採用する ファクターの数 括弧内の数値は本研究における実証分析の設定を表す.
  3. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 4
  4. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本研究の背景 リスクベース・アプローチ ・

    近年,推定が困難である期待リターンを用いずに,推定リスクのみに基づいて ポートフォリオを構築する手法(リスクベース・アプローチ)が盛んに研究されている⋅1 ・ 中でも,各資産のリスク寄与度を等しくするリスクパリティ戦略は実務家を中心に注目を 集めている [Qian (2005)], [Maillard et al. (2010)] リスクパリティ戦略の問題点 ・ リスクパリティ戦略では資産間の相関を原因として意図せぬリスクの集中が生じ得る [Bhansali (2011)] ・ リスクファクターを制御対象とすることによってリスクの源泉を分散させる Factor Risk Budgeting戦略が提案されている [Roncalli and Weisang (2016)] リスクファクターの構成手法 ・ リスクファクターの構成手法としては主成分分析(PCA)が広く用いられている⋅2 5 序論 1 Risk Parity [Qian (2005)], [Maillard et al. (2010)],Maximum Diversification [Choueifaty and Goignard (2008)], Equal-Weighted [DeMiguel et al. (2009)],Risk Budgeting [Bruder and Roncalli (2012)] 2 [Meucci (2009)], [Bhansali (2011)], [Bhansali et al. (2012)], [Roncalli and Weisang (2016)], [伊藤・中川 (2018)]
  5. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 Factor Risk Budgeting戦略

    Factor Risk Budgeting戦略のアセットアロケーションへの活用 ・ マルチアセット市場において構成された上位のリスクファクターは,マクロ経済的な観点から 解釈が与えられることが多い⋅1 e.g.) リスク資産に正,低リスク資産に負のローディング → 経済成長 [Bhansali et al. (2012)] 国債,物価連動国債に正のローディング → 実質金利 [伊藤・中川 (2018)] ・ ファンドマネージャーは市場見通しに基づいて各リスクファクターのリスク配分比率を決定する 6 序論 1 [Bhansali (2011)], [Bhansali et al. (2012)], [伊藤・中川 (2018)] −3% 2% 0% 通貨 国債 社債 株式 経済成長 実質金利 インフレ 商品 景気加速,金利低下を予想 インフレの影響はヘッジしたい リスク配分を決定 解釈された リスクファクター 資産 ファンド マネージャー
  6. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 PCAの問題点 PCAによって構成されたリスクファクターの問題点 ・

    下位のリスクファクターを解釈することが困難 ・ PCAによって構成されたリスクファクターのうち,解釈が与えられるものは上位数本⋅1 ・ より多くのリスクファクターを解釈可能な形で構成することが出来れば リスク配分の対象として採用できるリスクファクターが増加 → 市場見通しをリスクファクターへのリスク配分比率としてより細かく反映可能に e.g.) 商品需要の拡大,地域別の金利動向,リスク資産同士の相対感 7 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver PCAによって構成された第10主成分のファクターローディング 101資産の週次リターン系列(分析期間:2015/01/02 - 2019/12/27)に対してPCAを適用. ロシア株高 日本株安 欧州通貨安 ルピー・ルーブル・台湾ドル高 米国IG安 畜産物高 ドイツ国債高 米国国債安 序論 工業用金属安 1 [Bhansali (2011)], [Bhansali et al. (2012)], [伊藤・中川 (2018)]
  7. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 スパースPCA スパースPCA [Zou

    et al. (2006)], [Erichson et al. (2020)] ・ あるウェイト行列 𝑮 を用いてファクターリターン 𝐹 が 𝑭 = 𝑹𝑮 と表せることを仮定した上で ℓ𝟏 -正則化を施すことによりスパースな(0成分が多い)ウェイト行列 𝐺 を得る因子分析手法 ・ ℓ𝟏 -正則化によってファクターリターンは少数の資産に関するリターンの線形結合として表現される → リスクファクターの解釈が容易となる 8 序論 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver ファクターリターンを構成するウェイト G の第1列 0 0.1 0.2 0.3 0.4 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver ファクターリターンを構成するウェイト G の第2列 各国株式ロング 欧米HYロング 各国債券ロング 欧州IGロング 金ロング 101資産の週次リターン系列(分析期間:2015/01/02 - 2019/12/27)に対してスパースPCAを適用.
  8. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 スパースPCAによって構成されたリスクファクターの問題点 ・ ファクターリターン

    𝐹 が直交性を有さない cf.) PCAによる構成ではファクターリターンは直交 ✔ 非0のウェイトは同一のアセットクラスに集中する傾向がある ✔ リスクパリティ戦略と同一の問題が生じ得る ・ ファクターリターンが互いに直交するメリット ✔ ポートフォリオのリスクを各リスクファクターに起因するリスクに分解可能⋅1 → リスク管理や要因分解の観点から有用 Fac1 Fac2 Fac3 Fac4 Fac5 Fac6 Fac7 Fac8 Fac9 Fac10 Fac1 1.00 Fac2 0.31 1.00 Fac3 0.29 -0.16 1.00 Fac4 0.70 0.22 0.53 1.00 Fac5 -0.38 -0.20 -0.30 -0.38 1.00 Fac6 0.44 -0.27 0.14 0.25 -0.11 1.00 Fac7 0.03 0.23 0.52 0.27 -0.18 -0.20 1.00 Fac8 0.09 0.20 0.16 0.12 -0.08 -0.10 0.16 1.00 Fac9 0.20 -0.11 -0.01 0.04 0.03 0.34 -0.10 -0.16 1.00 Fac10 0.25 0.10 0.11 0.22 -0.09 0.04 0.11 0.09 -0.01 1.00 スパースPCAの問題点 9 101資産の週次リターン系列(分析期間:2015/01/02 - 2019/12/27)に対してスパースPCAを適用. スパースPCAによって構成されたファクターリターンの相関行列 序論 ⋅1リスクファクターによるリスクの分解手法は補論にて詳説する.
  9. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 最適化問題としての整理 PCA及びスパースPCAの最適化問題としての定式化 ・

    PCA及びスパースPCAは,リスクファクターによって各資産のリターンを近似する問題 すなわち,近似誤差最小化問題として定式化可能 [Adbi and Williams (2010)] [Zou et al. (2006)] 10 序論 PCA スパースPCA 目的関数 1 2 ⋅ 𝑅 − 𝐹𝑉⊤ F 2 1 2 ⋅ 𝑅 − 𝐹𝑉⊤ F 2 + 𝜆 ⋅ 𝐺 1 ファクターリターン 𝐹 の制約 𝐹 = 𝑅𝐺 ファクターローディング 𝑉 の制約 𝑉⊤𝑉 = 𝐼𝐾 ファクターリターン 𝐹 を構成する ウェイト 𝐺 の制約 𝐺⊤𝐺 = 𝐼𝐾 - リスクファクターの解釈性 × 〇 ファクターリターン 𝐹 の直交性 〇 × ⋅ F はFrobeniusノルムを表し, 𝑅 F ≔ σ 𝑡∈ 𝑇 σ 𝑖∈ 𝑁 𝑟𝑡,𝑖 2 で定義される. ⋅ 1 は ℓ1 ノルムを表し, 𝐺 1 ≔ σ 𝑖∈ 𝑁 σ 𝑘∈ 𝐾 𝑔𝑖𝑘 で定義される.
  10. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 11
  11. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 提案手法 提案手法 ・

    解釈性とファクターリターン 𝐹 の直交性を両立するリスクファクター構成手法を提案 ・ ファクターローディング 𝑽 に対してℓ𝟏 -正則化を施す → 各リスクファクターは少数の資産を説明 PCA及びスパースPCAとの比較 12 提案手法の最適化問題 PCA スパースPCA 提案手法 ファクターリターン 𝐹 の 制約 各資産のリターンから構成される 𝐹 = 𝑅𝐺 互いに直交 𝑓𝑘 ⊤ 𝑓𝑘′ = 0 ファクターローディング 𝑉 の 制約 互いに直交 𝑉⊤𝑉 = 𝐼𝐾 ℓ2 ノルムが1 𝑣𝑘 2 = 1 解釈性 × ウェイト 𝐺 が スパース ローディング 𝑉 が スパース ファクターリターン 𝐹 の 直交性 〇 × 〇 提案手法
  12. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 提案手法:最適化アルゴリズム 最適化アルゴリズム ・

    前頁の問題と等価である次の最適化問題を考える( 𝐹 = 𝑈𝐷 と分解 ) ・ このとき,他の変数を固定したもとでは,𝑈, 𝐷 の大域的最適解は直ちに求まる ・ そこで,ブロック座標降下法のように変数 𝑈, 𝐷, 𝑉 の更新をサイクリックに行うことを提案 ・ 人工データ実験により局所収束性と有効性を実験的に確認(補論にて詳説) 13 提案手法の最適化問題 (2) 更新の対象 更新アルゴリズム 𝑈 直交Procrustes解析 [Grower et al. (2004)] 𝐷 解析解が求まる 𝑉 近接勾配法 [Parikh et al. (2014)] を一反復実行した後 各列をℓ2 ノルムが1となるように尺度化 提案手法
  13. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 提案手法:最適化アルゴリズム 𝑼 の更新

    ・ 直交Procrustes解析 [Grower et al. (2004)] により大域的最適解を得る ✔ 特異値分解定理やLagrangeの未定乗数法などから導出される ✔ アルゴリズム ① 𝐵 ← 𝑅𝑉𝐷 ② 𝐵 SVD 𝑃Σ𝑄⊤ (𝐵 ∈ ℝ𝑇×𝐾 の特異値分解) ③ 𝑈∗ ← 𝑃𝑄⊤ (大域的最適解) 14 𝑈 に関する最適化問題 提案手法
  14. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 提案手法:最適化アルゴリズム 𝑫 の更新

    ・ 𝑈⊤𝑈 = 𝐼𝐾 及び 𝑣𝑘 2 = 1 より,目的関数の diag 𝐷 微分は次のように計算される 𝜕 𝜕 diag 𝐷 𝑅 − 𝑈𝐷𝑉⊤ F 2 = 2 ⋅ diag 𝐷 − diag 𝑈⊤𝑅𝑉 ・ 従って,目的関数は diag 𝐷 に関する凸二次関数 ・ 以上より,大域的最適解は次式 𝑑𝑘𝑘 ∗ = 𝑈⊤𝑅𝑉 𝑘𝑘 15 𝐾 次の正方行列を引数にとる関数 diag ∶ ℝ𝐾×𝐾 → ℝ𝐾 を diag 𝐴 ≔ 𝑎11 ⋯ 𝑎𝐾𝐾 ⊤ で定義した. 𝐷 に関する最適化問題 提案手法
  15. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 𝑽 の更新 ・

    𝑓 𝑉 ≔ 1 2 𝑅 − 𝑈𝐷𝑉⊤ F 2 とすれば 𝑓 は 𝑑max 2 -平滑( 𝑑max ≔ max 𝑘∈ 𝐾 𝑑𝑘𝑘 とした ) ・ 従って,近接勾配法 [Parikh et al. (2014)] の一反復は次のような手続きとなる 𝑉tmp ← prox 𝑉 𝑗 − 1 𝑑max 2 𝜕 𝜕𝑉 𝑓 𝑉 𝑗 𝜆 𝑑max 2 ⋅ 1 ・ 提案アルゴリズムでは上記の手続きによって得られた 𝑉tmp の各列を ℓ2 ノルムが1となるように尺度化することで 𝑉 を更新する 提案手法:最適化アルゴリズム 16 𝑉 𝑗 𝑉tmp 近接勾配法の一反復 (最急降下+近接写像) 各列をℓ2 ノルムが1となるように 尺度化 𝑉 𝑗 は 𝑗 回目の更新で得られたファクターローディングを表す. 𝑉 の更新アルゴリズム ( 𝑗 + 1 回目の更新 ) prox ⋅ ⋅ は近接写像を表す. 𝑉 𝑗+1 提案手法
  16. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 17 提案手法
  17. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 提案手法:人工データ実験 人工データの生成プロセス ・

    ファクターリターン 𝐹 ∈ ℝ𝑇×𝐾 は次の手続きにより生成 ✔ 各要素を標準正規分布 𝒩 0,12 に従って生成 ✔ 得られた行列にQR分解を施すことで得られる直交行列をファクターリターン 𝐹 とする ・ ファクターローディング 𝑉 ∈ ℝ𝑁×𝐾 は各列ごとに以下の操作を施すことで生成 ✔ 各要素を標準正規分布 𝒩 0,12 に従って生成 ✔ 絶対値が小さい要素下位 50% を 0 で置換 ✔ ℓ𝟐 ノルムが1となるように尺度化 ・ 残差リターン行列 𝐸 ∈ ℝ𝑇×𝑁 を 𝒩 0, 0.012 に従って生成 ・ 𝑅 ← 𝐹𝑉⊤ + 𝐸 よりリターン行列 𝑅 を得る 18 -0.3 -1.1 -0.7 -0.2 -0.7 1.6 0.7 0.6 0.1 0.5 -1.4 -1.5 0 -1.1 0 0 0 1.6 0.7 0 0 0.5 -1.4 -1.5 0 -0.62 0 0 0 0.73 0.81 0 0 0.58 -0.79 -0.68 0置換 尺度化 提案手法
  18. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 提案手法:人工データ実験 ベースライン手法 ・

    前頁のプロセスに従って生成されたリターン行列 𝑅 にPCAを適用 ・ PCAにより得られたローディング 𝑉 の成分のうち,その絶対値に関して下位 𝑸% を0に置換 ・ ただし,各列は少なくとも一つの非0成分を持つように0置換する ・ 各列のℓ𝟐 ノルムが1となるように尺度化 セットアップ 19 実験回数 100回 資産数 𝑁 20 観測数 𝑇 1000サンプル ファクター数 𝐾 3 -0.3 -1.1 -0.8 -0.2 -0.7 1.6 0.6 0.6 0.1 0.5 -1.4 -1.5 0 -1.1 -0.8 0 0 1.6 0.6 0 0 0 -1.4 -1.5 0 -0.62 -0.34 0 0 0.69 1 0 0 0 -0.79 0.64 0置換 尺度化 提案手法
  19. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 提案手法:人工データ実験 結果 ・

    前章で提案した手法を用いて真のローディングとのマッチングを行った後, ファクターローディングが 0 であることを陽性と定義してAUCを計算する 20 ROC曲線 提案手法 ベースライン手法 0.903 0.785 AUC 提案手法
  20. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 21
  21. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 実証分析:概要とセットアップ 概要 ・

    各国の債券先物,株式先物,商品先物などを含むマルチアセット市場データに 提案手法を適用し,構成されたリスクファクターに対して定性的な解釈を与える⋅1 セットアップ 22 𝜎max 𝑅 はリターン行列 𝑅 の最大特異値を表す. 資産数 𝑁 101資産 (次頁に一覧表を記載) 観測数 𝑇 金曜引け週次リターン260週 (2015/01/02 – 2019/12/27) ファクター数 𝐾 10本 スパース性を調整する チューニングパラメータ 𝜆 𝜆 = 3 × 𝜎max 𝑅 2 𝑁𝐾 各資産のリターンは標本標準偏差によりリスク調整を施したものを使用した. 提案手法
  22. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 実証分析:データセット データセット ・

    7つアセットクラスに属する 101の資産を分析対象とする ・ 各アセットクラスに属する 資産数は下表の通り 23 国 地域 DE FR IT NL ES GB CH SE ZA JP AU HK KR SG TH IN RU TW CN US CA BR DM EM EU 為替 (17) EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AUD HKD KRW SGD THB INR RUB TWD CNY - CAD BRL - - - 債券先物 (18) 4 1 2 - - 1 - - - 2 2 - - - - - - - - 5 1 - - - - クレジット関連指数 (8) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 4 - - - - 4 株式先物 (34) 1 1 1 1 1 1 1 1 1 3 1 1 1 1 1 1 1 2 2 5 1 1 1 1 2 本稿での名称 Category 本稿での名称 Category 本稿での名称 Category EUR 為替 DE 株式先物 ChiWheat 商品(農畜産物) GBP 為替 FR 株式先物 KanWheat 商品(農畜産物) CHF 為替 IT 株式先物 Corn 商品(農畜産物) SEK 為替 NL 株式先物 Soybeans 商品(農畜産物) ZAR 為替 ES 株式先物 Coffee 商品(農畜産物) JPY 為替 GB 株式先物 Sugar 商品(農畜産物) AUD 為替 CH 株式先物 Cocoa 商品(農畜産物) HKD 為替 SE 株式先物 Cotton 商品(農畜産物) KRW 為替 EUR Large 株式先物 LeanHogs 商品(農畜産物) SGD 為替 EUR Small 株式先物 LiveCattle 商品(農畜産物) THB 為替 ZA 株式先物 FeederCattle 商品(農畜産物) INR 為替 TOPIX 株式先物 CrudeOil 商品(エネルギー) RUB 為替 JP Large 株式先物 HeatingOil 商品(エネルギー) TWD 為替 JP Blue 株式先物 RBOB-Gasoline 商品(エネルギー) CNY 為替 AU 株式先物 BrentCrudeOil 商品(エネルギー) CAD 為替 HK 株式先物 Gasoil 商品(エネルギー) BRL 為替 KR 株式先物 NaturalGas 商品(エネルギー) EUR2Y 債券先物 SG 株式先物 Aluminum 商品(金属) EUR5Y 債券先物 TH 株式先物 Copper 商品(金属) EUR10Y 債券先物 IN 株式先物 Nickel 商品(金属) EUR30Y 債券先物 RU 株式先物 Lead 商品(金属) OAT 債券先物 TW 株式先物 Zinc 商品(金属) BTS 債券先物 TW All 株式先物 Gold 商品(金属) BTP 債券先物 CN 株式先物 Silver 商品(金属) GBP10Y 債券先物 CN Large 株式先物 JPY10Y 債券先物 US Large 株式先物 JP Bond 債券先物 US Mid 株式先物 AUD3Y 債券先物 US Small 株式先物 AUD10Y 債券先物 US Blue 株式先物 USD2Y 債券先物 US Non-Fin 株式先物 USD5Y 債券先物 CA 株式先物 USD10Y 債券先物 BR 株式先物 USD20Y 債券先物 DM Ex-US 株式先物 USD30Y 債券先物 EM 株式先物 CAD10Y 債券先物 EU-Ind クレジット関連指数 EU-Utl クレジット関連指数 EU-Fin クレジット関連指数 EU-HY クレジット関連指数 US-Ind クレジット関連指数 US-Utl クレジット関連指数 US-Fin クレジット関連指数 US-HY クレジット関連指数 アセットクラス 資産数 為替 (対ドルのスポットレート) 17 債券先物 18 クレジット関連指数 8 株式先物 34 商品(農畜産物) 11 商品(エネルギー) 6 商品(金属) 7 提案手法
  23. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング 石油需要の拡大 ・

    石油関連商品に対して正のローディングを持つ ・ 米国HY債券指数の構成銘柄は時価総額ベースで10%以上がエネルギー関連企業を発行体にもつため 石油需要の拡大はそうした企業の信用拡大,ひいては米国HY債券指数の上昇に寄与 ・ ロシア,カナダは世界有数の産油国であり,石油需要の拡大は石油関連商品の輸出拡大, ひいてはロシアルーブル高,カナダドル高の進行を促進 ・ 従って,石油需要の拡大に対応すると解釈することが出来る -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第4ファクターの解釈 24 米国HY高 カナダドル高 ロシアルーブル高 ロシア株高 石油関連商品高 提案手法
  24. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング 欧州各国の中央銀行に対する緩和的な金融政策への期待 ・

    ユーロ,ポンド,フラン,クローナなど,欧州通貨に対して負のローディングを持つため, ファクターリターンの上昇は欧州通貨安の進行に寄与 ・ ドイツ,フランス,イギリスの国債,欧州IG債など,欧州各国の金利低下によって 価格が上昇する資産に対して正のローディングを持つ ・ 従って,欧州各国の中央銀行に対する緩和的な金融政策への期待に対応すると解釈することが出来る -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第6ファクターの解釈 25 欧州通貨安 独・仏・英国債高 欧州IG高 米国除く先進国株安 提案手法
  25. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング Brexit穏健化への期待 ・

    Brexitの穏健化,すなわち,イギリスがEUとの経済的な繋がりを保ったままEUを離脱することへの 期待は,イギリス経済に対する不透明性の解消,ひいてはイギリスポンド高の進行や 欧州IG債,欧州HY債の価格上昇を促進する ・ Brexit穏健化への期待が高まることによるイギリスポンド高の進行はイギリスの外需型企業に 嫌気され,イギリス株式の価格下落を促進する ・ 従って,Brexit穏健化への期待に対応すると解釈することが出来る -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第7ファクターの解釈 26 イギリスポンド高 欧州IG・HY高 イギリス株安 日本国債安 提案手法
  26. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 27
  27. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 リスクファクターの不定性 リスクファクターの順序と符号に関する不定性 ・

    一般にリスクファクターはその順序と符号に関して不定性を有する ・ すなわち,ファクターリターン 𝐹 とファクターローディング 𝑉 の両者に対して 下記の操作を施しても目的関数の値は不変 ✔ 列の順序を入れ替える( 𝐾! 通り ) ✔ 列ベクトルごとに 𝟏 または −𝟏 を乗ずる( 2𝐾 通り ) 28 -0.3 -1.1 -0.7 -0.2 -0.7 1.6 0.7 0.6 0.1 0.5 -1.4 -1.5 -1.1 -0.3 -0.7 -0.7 -0.2 1.6 0.6 0.7 0.1 -1.4 0.5 -1.5 -0.3 -1.1 0.7 -0.2 -0.7 -1.6 0.7 0.6 -0.1 0.5 -1.4 1.5 1,2列目を入れ替える 3列目を −1 倍 𝐾! ⋅ 2𝐾 通り ファクター の 同定
  28. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 リスクファクターのマッチング マッチングの必要性 ・

    一定期間ごとにリスクファクターを構成し続ける実務的な設定では 新たに構成したリスクファクターと既存のものとを適切にマッチングする必要がある ・ すなわち,新たに構成したリスクファクターの順序と符号を適切に定める 29 𝑅𝐹𝑡−1 1 𝑅𝐹𝑡−1 2 𝑅𝐹𝑡−1 𝐾 ⋮ ±𝑅𝐹𝑡 1 ±𝑅𝐹𝑡 2 ±𝑅𝐹𝑡 𝐾 ⋮ 前期に構成された リスクファクター 今期に構成された リスクファクター 𝑅𝐹𝑡 𝑘:第 𝑡 期に構成された 𝑘 番目のリスクファクター ファクター の 同定
  29. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 割当問題としての定式化 マッチングの望ましさを測る指標 ・

    リスクファクターの組に対する類似度をローディング 𝑣𝑘 のコサイン類似度で定義する CosSim 𝑅𝐹𝑡−1 𝑘 ,𝑅𝐹𝑡 𝑘′ ≔ 𝑣 𝑘 𝑡−1 ,𝑣 𝑘′ 𝑡 𝑣 𝑘 𝑡−1 2 ⋅ 𝑣 𝑘′ 𝑡 2 ・ あるマッチングの望ましさを対応するリスクファクターの組に関する類似度の絶対和として定義する ・ この指標の最大化問題は割当問題 [Kuhn (1955)] に属する → 多項式時間で求解可能 30 𝑅𝐹𝑡−1 1 𝑅𝐹𝑡−1 2 𝑅𝐹𝑡−1 𝐾 ⋮ ±𝑅𝐹𝑡 1 ±𝑅𝐹𝑡 2 ±𝑅𝐹𝑡 𝐾 ⋮ 0.3 0.9 ⋯ 0.2 -0.8 0.2 ⋯ -0.6 ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ -0.7 -0.3 ⋯ 0.1 𝑅𝐹𝑡−1 1 𝑅𝐹𝑡−1 2 𝑅𝐹𝑡−1 𝐾 ⋮ 𝑅𝐹𝑡 1 𝑅𝐹𝑡 2 𝑅𝐹𝑡 𝐾 ⋯ 望ましさ = −0.7 + 0.9 + ⋯+ −0.6 ファクター の 同定
  30. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 実証分析:概要とセットアップ 概要 ・

    毎月末に直近260週の週次リターンからリスクファクターを構成し, 前月末に構成したリスクファクターとのマッチングを行う セットアップ 31 分析期間 2018/06月末 - 2020/06月末 資産数 𝑁 101資産 (14ページと同一のデータセット) 観測数 𝑇 金曜引け週次リターン260週 ファクター数 𝐾 10本 スパース性を調整する チューニングパラメータ 𝜆 𝜆 = 3 × 𝜎max 𝑅 2 𝑁𝐾 ファクター の 同定
  31. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 実証分析:ベースライン手法 ベースライン手法 ・

    順序はファクターリターン 𝐹 のℓ𝟐 ノルムに関して降順に並べる ・ 符号はコサイン類似度の符号に応じて修正を行う 32 𝑅𝐹𝑡−1 1 𝑅𝐹𝑡−1 2 𝑅𝐹𝑡−1 𝐾 ⋮ ±𝑅𝐹𝑡 1 ±𝑅𝐹𝑡 2 ±𝑅𝐹𝑡 𝐾 ⋮ 前期に構成された リスクファクター 今期に構成された リスクファクター ファクター の 同定
  32. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 実証分析:結果 ファクターローディング 𝑽

    の推移 ・ 毎月末構成されるファクターローディング 𝑽 の推移を面グラフによりプロット ・ 提案手法はコロナ禍の影響で順序が変動するリスクファクターを適切にマッチング 33 第4番目 ベースライン手法 提案手法 第5番目 ファクター の 同定
  33. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 34
  34. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 まとめと今後の展望 本報告のまとめ ・

    次の性質を満たすリスクファクター構成手法を提案した ✔ 解釈性を持つ ✔ ファクターリターンが互いに直交する ・ その有効性をマルチアセット市場データを用いた実験により確認した ・ 異なるサンプルから構成されたリスクファクター同士を 適切にマッチングする手法を提案した 今後の展望 ・ 提案アルゴリズムの解析(局所収束性を有するか否か,収束レート) ・ より効率的な最適化アルゴリズムの構築 ・ 提案手法によって構成されたリスクファクターを活用した投資戦略の開発 ・ スパース性を調整するチューニングパラメータ 𝝀 を設定する手法の構築 35 まとめ
  35. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 36
  36. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング 世界経済への成長期待 ・

    各国株式,欧米HY債,イタリア国債など,比較的リスクが高い資産に対して正のローディングを持ち, イタリアを除く各国国債,リスク回避通貨(円・フラン),金など,比較的リスクが低い資産に 対して負のローディングを持つ ・ 従って,世界経済への成長期待に対応すると解釈することが出来る ・ [Bhansali et al. (2012)] 及び [伊藤・中川 (2018)] にて同一の解釈がなされている -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第1ファクターの解釈 37 各国株高 イタリアを除く各国国債安 イタリア国債高 ユーロ・円・フラン安 欧米HY高 金安 補論
  37. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング 緩和的な金融政策への期待 ・

    各国国債,欧米IG債など,世界各国の金利低下によって価格が上昇する資産に対して 正のローディングを持つ ・ 低金利環境において相対的な魅力度が高まる貴金属に対しても正のローディングを持つ ・ 従って,緩和的な金融政策への期待に対応すると解釈することが出来る ・ [Bhansali (2011)] にて同一の解釈がなされている -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第2ファクターの解釈 38 貴金属高 各国国債高 欧米IG高 日本円高 補論
  38. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 -0.1 -0.05 0

    0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver ファクターローディング 米国ドルの流動性拡大 ・ 各国通貨に対して正のローディングを持つため,ファクターリターンの上昇はドル安の進行に寄与 ・ ドル安の進行によって価格が上昇する各種ドル建て商品に対して正のローディングを持つ ・ 米国国債,米国IG債,米国HY債,各国株式など,米国ドルの流動性供給を伴う 米国の緩和的な金融政策によって価格が上昇する資産に対して正のローディングを持つ ・ 従って,米国ドルの流動性拡大に対応すると解釈することが出来る 実証分析:第3ファクターの解釈 39 各国通貨高・ドル安 商品高 米国国債高 米国社債高 HK RU CN EM BR 補論
  39. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング 農産物需要の拡大 ・

    農産物関連商品に対して正のローディングを持つ ・ ブラジルは世界有数の農産物輸出国であり,農産物需要の拡大はブラジルからの輸出拡大, ひいてはブラジルレアル高の進行を促進する ・ 従って,農産物需要の拡大に対応すると解釈することが出来る -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第5ファクターの解釈 40 農産物関連商品高 ブラジルレアル高 補論
  40. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング 工業用金属需要の拡大 +

    中国の景気加速 ・ アルミ,銅,ニッケル,鉛,亜鉛など,工業用金属に対して正のローディングを持つ ・ 日本,香港,シンガポール,台湾など,中国景気の影響を受けやすいアジア各国の株式及び 中国株式に対して正のローディングを持つ ・ 中国は世界有数の工業用金属輸入国であり,工業用金属需要の拡大は中国の景気加速に起因する ・ 従って,工業用金属需要の拡大及びその原因となる中国の景気加速に対応すると解釈することが出来る -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第8ファクターの解釈 41 日本・香港・シンガポール・ 台湾・中国株高 工業用金属高 補論
  41. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング 南欧への信用拡大 V.S.

    米国株式 ・ イタリア国債,フランス国債,欧州HY債,イタリア株式など,南欧各国の政治,財政に対する 信用拡大によって価格が上昇する資産に対して正のローディングを持つ ・ 米国株式に対して負のローディングを持つ ・ 従って,南欧への信用拡大及び米国株式の相対感に対応すると解釈することが出来る -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第9ファクターの解釈 42 イタリア国債高 米国株安 カナダ株安 イタリア株高 欧州HY高 補論 フランス国債高
  42. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 ファクターローディング 畜産物需要の拡大 ・

    豚肉,生牛,牛肉など,畜産物に対して正のローディングを持つ ・ 従って,畜産物需要の拡大に対応すると解釈することが出来る -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 EUR GBP CHF SEK ZAR JPY AU D HKD KRW SG D THB IN R RUB TWD CNY CAD BRL EUR2Y EUR5Y EUR10Y EUR30Y OAT BTS BTP GBP10Y JPY10Y JP Bond AU D3Y AU D10Y USD2Y USD5Y USD10Y USD20Y USD30Y CAD10Y EU-Ind EU-Utl EU-Fin EU-HY US-Ind US-Utl US-Fin US-HY DE FR IT NL ES GB CH SE EUR Large EUR Smal l ZA TOPIX JP Large JP Blue AU HK KR SG TH IN RU TW TW All CN CN L arge US Large US Mid US Smal l US Blue US N on-Fin CA BR DM Ex-US EM ChiWheat KanWheat Corn Soybeans Coffee Sugar Cocoa Cotton LeanH ogs LiveCattle FeederCattle CrudeOi l Heati ngOi l RBOB-Gasoline BrentCrudeOi l Gasoil NaturalG as Alumi num Copper Ni ckel Lead Zinc Gold Si lver 実証分析:第10ファクターの解釈 43 畜産物高 補論
  43. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 44
  44. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 リスクファクターによるリスク分解 ・ ファクターローディング

    𝑉 の第 𝑖 行ベクトルを 𝑣 𝑖 ∈ ℝ𝐾 と表せば, 資産 𝒊 のリターンが並んだベクトル 𝑟𝑖 ∈ ℝ𝑇 は次式を満たす: 𝑟𝑖 = 𝐹𝑣 𝑖 + 𝜖𝑖 ・ 従って,ファクターリターンが互いに直交するもとでは,資産 𝑖 のリスク 𝜎𝑖 は 次式のように分解することが出来る: 𝜎𝑖 2 ≔ 1 𝑇 ⋅ 𝑟𝑖 ⊤𝑟𝑖 = 1 𝑇 ⋅ 𝑣 𝑖 ⊤ 𝐹⊤𝐹𝑣 𝑖 + 𝜖𝑖 ⊤𝜖𝑖 + 2𝜖𝑖 ⊤𝐹𝑣 𝑖 = 1 𝑇 ⋅ ෍ 𝑘 𝑓𝑘 2 2 ⋅ 𝑣𝑖,𝑘 2 + 1 𝑇 ⋅ 𝜖𝑖 ⊤𝜖𝑖 + 2𝜖𝑖 ⊤𝐹𝑣 𝑖 ・ 資産 𝒊 のリスクの内,リスクファクター 𝒌 に由来するものの割合 𝒃𝒊 𝒌 を次式で定義: 𝑏𝑖 𝑘 ≔ 𝑓𝑘 2 2 ⋅ 𝑣𝑖,𝑘 2 𝑇 ⋅ 𝜎𝑖 2 リスクファクターによるリスク分解 45 補論
  45. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 各資産に対するリスクファクターの平均的な説明力 ・ 第

    𝑘 番目のリスクファクターが各資産のリスクを平均的にどれだけ説明しているかを 次の指標 AvgExp𝑘 によって評価する AvgExp𝑘 ≔ 1 σ 𝑖 𝕀 𝑣𝑖,𝑘 ≠ 0 ෍ 𝑖 𝑏𝑖 𝑘 = 1 説明している資産の数 ෍ 𝑖 ファクター𝑘に由来するリスク 資産𝑖のリスク リスクファクターによるリスクの分解 46 補論 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% Fac01 Fac02 Fac03 Fac04 Fac05 Fac06 Fac07 Fac08 Fac09 Fac10 リスクファクターの平均的な説明力 PCA 提案手法
  46. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 リスクファクターの追加に伴う決定係数の推移 ・ 上位

    𝒌 本のリスクファクターによって資産のリターン 𝑅 を説明したときの決定係数: 𝐶1:𝑘 ≔ 1 − 𝑅 − 𝐹1:𝑘 𝑉1:𝑘 ⊤ F 2 𝑅 F 2 ・ PCA及び提案手法によって構成されたリスクファクターの決定係数の推移 決定係数の推移 47 補論 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 1-1 1-2 1-3 1-4 1-5 1-6 1-7 1-8 1-9 1-10 決定係数の推移 PCA 提案手法 𝐹1:𝑘 ∈ ℝ𝑇×𝑘,𝑉1:𝑘 ∈ ℝ𝑁×𝑘はそれぞれ 𝐹, 𝑉 の 1 から 𝑘 列目を取り出した行列を表す.
  47. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 本報告のアウトライン ⚫ 序論

    ⚫ 提案手法 ✓ 解釈性を持つリスクファクター構成手法 ✓ 人工データ実験 ✓ マルチアセット市場データ実験 ⚫ リスクファクターの同定手法 ⚫ まとめ ⚫ 補論 ✓ 提案手法により得られたファクターの解釈 ✓ リスクファクターによるリスク分解 ✓ 関連研究(ローディングがスパースとなる因子分析手法) 48
  48. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 解釈性を持つファクター構成手法 ・ 提案手法の他にも,ファクターローディング𝑽

    がスパースになるような ファクター構成手法が存在 [Choi et al. (2010)], [West et al. (2003)] ・ ただし,これらの手法によって構成されるリスクファクターは ファクターリターン 𝑭 の直交性を満たさない 関連研究 49 手法の名称 目的関数 スパース化手法 ファクターリターンの 直交性 提案手法 近似誤差 ℓ1-正則化 〇 正則化因子分析⋅1 尤度 ℓ1-正則化 × Sparse Factor Model⋅2 尤度 Spike and Slab型の 事前分布を導入 × 1 [Choi et al. (2010)], [Ning and Georgiou (2011)] 2 [West et al. (2003)], [Carvalho et al. (2008)] 補論
  49. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 参考文献①:リスクベースポートフォリオ ・E. Qian

    : "Risk parity portfolios: Efficient portfolios through true diversification.“ Panagora Asset Management, (2005). ・S. Maillard, T. Roncalli and J. Teïletche : "The properties of equally weighted risk contribution portfolios.“ The Journal of Portfolio Management, 36(4), (2010), pp. 60—70. ・Y. Choueifaty and Y. Coignard : “Toward maximum diversification.” The Journal of Portfolio Management, 35(1), (2008), pp. 40—51. ・V. DeMiguel, L. Garlappi and R. Uppal : “Optimal versus naive diversification: How inefficient is the 1/N Portfolio Strategy?” The review of Financial studies, 22(5), (2009), pp. 1915—1953. ・B. Bruder and T. Roncalli : “Managing risk exposures using the risk budgeting approach.” Available at SSRN, 2009778, (2012). 51
  50. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 参考文献②:リスクファクター ・A. Meucci

    : “Managing diversification.” Risk, 22(5), (2009), pp.74—79. ・V. Bhansali : “Beyond risk parity.” The Journal of Investing, 20(1), (2011), pp. 137—147. ・T. Roncalli and G. Weisang : "Risk parity portfolios with risk factors.“ Quantitative Finance, 16(3), (2016), pp. 377—388. ・V. Bhansali, J. Davis, G. Rennison, J Hsu and F. Li : “The risk in risk parity: A factor-based analysis of asset-based risk parity.” The Journal of Investing, 21(3), (2012), pp. 102—110. ・伊藤彰郎・中川慧 “マクロファクターの定量化とリスク分析への活用” 証券アナリストジャーナル, 56(8), (2018), pp. 80—90. 52
  51. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 参考文献③:PCA・スパースPCA ・H. Abdi

    and L. J. Williams : “Principal component analysis.” Wiley interdisciplinary reviews, 2(4), (2010), pp. 433—459. ・H. Zou, H. Trevor, and R. Tibshirani: "Sparse principal component analysis.“ Journal of computational and graphical statistics, 15(2), (2006), pp. 265—286. ・N. B. Erichson, P. Zheng, K. Monohar, S. L. Brunton, J. Kutz and A. Y. Aravkin : "Sparse principal component analysis via variable projection.“ SIAM Journal on Applied Mathematics, 80(2), (2020), pp. 977—1002. 53
  52. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 参考文献④:提案手法の最適化 ・J. C.

    Gower : “Generalized Procrustes analysis.” Psychometrika, 40(1), (1975), pp. 33—51. ・N. Parikh and S. Boyd : “Proximal algorithms.” Foundations and Trends in Optimization, 1(3), (2014), pp. 127—239. ・H. W. Kuhn : “The Hungarian method for the assignment problem.” Naval research logistics quarterly, 2(1-2), (1955), pp. 83—97. 54
  53. 序論 提案手法 ファクター の 同定 まとめ 補論 参考文献⑤: ローディングがスパースとなるファクター構成手法 ・J.

    choi, G. Oehlert and H. Zou : “A penalized maximum likelihood approach to sparse factor analysis.” Statistics and its Interface, 3(4), (2010), pp. 429—436. ・L. Ning and T. T. Georgiou : “Sparse factor analysis via likelihood and ℓ1 -regularization.” 2011 50th IEEE Conference on Decision and Control and European Control Conference, IEEE, (2011), pp. 5188—5192. ・J. M. Bernardo, M. J. Bayarri, J. O. Berger, A. P. Dawid, D. Heckerman, A. F. M. Smith, and M. West : “Bayesian factor regression models in the “large p, small n” paradigm.” Bayesian statistics, 7, (2003), pp. 733—742. ・C. M. Carvalho, J. Chang, J. E. Lucas, J. R. Nevins, Q. Wang and M. West : “High-dimensional sparse factor modeling: applications in gene expression genomics.” Journal of the American Statistical Association, 103(484), (2008), pp. 1438—1456. 55