Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

生成AI時代における料金モデルのトレンド / Trends in pricing models...

Yuki.Ozasa
January 22, 2025

生成AI時代における料金モデルのトレンド / Trends in pricing models in the era of generative AI

「JP_Stripes 東京 Vol.23: これからの価格と収益の話をしよう」に於いて
https://jpstripes.connpass.com/event/340589/

Yuki.Ozasa

January 22, 2025
Tweet

More Decks by Yuki.Ozasa

Other Decks in Technology

Transcript

  1. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 自己紹介 小笹 佑京(Ozasa

    Yuki) 株式会社アンチパターン 代表取締役 SaaS Engineering Meetup主催者 日本CTO協会 Contributor 立教大学卒業後、2014年に株式会社イノベーションに入社。 マーケティングオートメーション SaaS開発業務に従事。 2018年より開発本部長を歴任。 2019年7月株式会社アンチパターンを創業。 ▪主な登壇暦 ・Postman API Night Tokyo 2024 Spring ・JP_Stripes 東京 Vol.20 ・日本CTO協会主催 Developer eXperience Day 2024 ・アーキテクチャConference 2024 ソフトウェアエンジニア 兼 CEO 兼 VPoE
  2. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSus Platformのご紹介 弊社がもつ

    SaaS 開発のナレッジを集約し、 SaaS 開発 / 運用 / 販売を支援する SaaS を開発 / 提供
  3. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSを利用 顧客に直接価値提供する機能群 競争力高い

    SaaSであるために 必要な機能群 SaaS特有の ナレッジ テナント管理 認証・認可 稼働状況分析 請求・利用料 開発計画 プランニング 事業 モニタリング 外部サービス 連携 BizDevOps 関連ツール 内製開発 業務ナレッジ 請求書作成 送信 入金消し込み 見積書作成 ※機能名は一例 SaaS 提供事業者 ※機能名は一例 SaaSus Platformを活用することで、業務ナレッジにフォーカスした機能開発を実現 SaaSus Platformのご紹介
  4. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSアプリケーションのスプリットプレーンアーキテクチャ DevOps Silo

    Model Architecture Pool Model Architecture Bridge Model Architecture Hybrid Model Architecture SaaS提供事業者向け管理画面 オンボーディング 認証 テナント管理 ユーザー管理 請求 分析 料金プラン管理 モニタリング アプリケーションプレーン (コア機能 ) コントロールプレーン (SaaS特有機能 ) 7
  5. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 今回のテーマとアジェンダ 生成AI時代における料金モデルのトレンド •

    プライシングの考え方について • 代表的なプライシングモデルについて • 現状の課題と対応策 • さいごに
  6. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSにおけるTierごとの収益構造の実際 Tierの考え方 ▪

    Costs:費用 ▪ Revenue:収益 ▪ Catlog size:顧客数 プランなど Tier を 考えることは ビジネスを考えること に直結する。
  7. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSにおけるTierごとの収益構造の実際 Tierの考え方 ▪

    Costs:費用 ▪ Revenue:収益 ▪ Catlog size:顧客数 プランなど Tier を 考えることは ビジネスを考えること に直結する。 「SlackやUnityといった企業では、 Top 1%の顧客が40%以上を占めるケースも存在」 引用元: https://price-hack.com/articles/1212
  8. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. プライシングの考え方 おおよそ3種類のアプローチが存在 自社視点

    競合視点 顧客視点 • 「Cost-plus方式」 ◦ コスト(原価+販管費)に対して、適切なマージンを 設定し販売 • 「Competitor-based方式」 ◦ 競合企業群の価格水準 • 「Value-based方式」(バリューベースプライシング ) ◦ 顧客が製品に対し感じる価値に基づき価格を決 める方法
  9. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. コスト種別 コストといっても様々な種類に分かれる。 目に見えやすいコスト

    • トータルのインフラコスト ◦ AWSサービスごとのコスト ◦ 生成AIの活用コスト • Dev要員のコスト ◦ アプリ開発費 見逃しがちなコスト • SaaSとしてのインフラコスト ◦ テナントごとのインフラコスト ◦ テナントティアごとのインフラコスト • Ops要員のコスト ◦ 環境のメンテナンス ◦ テナントオンボーディング ◦ テナントオフボーディング • 請求とか事務手続きコスト (=人件費) Total Cost of Ownershipを意識しましょう。
  10. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. プライシングモデル 下記のアプローチを混ぜながら設計していく 機能ベース

    シートベース • 機能でティアを設ける ◦ 機能ON/OFFだけでなく数量で制限を設けるパター ンも存在 • ユーザー数課金 • ライトユーザーにとっては割高に見えることも 従量課金 (Pay as you go) 固定 (サブスク) 変動 (Usage) • 使った分だけなので始めやすい • 逆に法人によっては使う分を予測しないと予算化できな い
  11. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. プライシングモデル シートベースのモデルは限界が来ている? •

    SaaSの普及率にもキャップが存在している。 • 労働人口にもキャップが存在している。 つまり、SaaSが飽和状態に近づくと、「シート数を増やす=売上拡大」というシンプ ルなモデルでは成長が鈍化しやすい 1. 既にSaaSが広範に普及し、人口や企業の IT投資総額という上限に達しつつある 2. 競合が増えてライセンス料の価格競争が激しくなり、 CACの上昇や継続率低下が問題化している 3. エンタープライズ企業のシート数拡張の余地が少なくなり、さらなるアップセルが難化 4. 顧客が「実際の使用量に応じた課金を望む」というニーズが高まっている アメリカではすでにシートベースモデル離れが始まっているとの説も
  12. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. AIエージェントとは 環境と対話し、データを収集し、そのデータを使用して自己決定タスクを実行して、事前に決められた目標 を達成するためのソフトウェアプログラム

    https://aws.amazon.com/jp/what-is/ai-agents/ プライシングモデル 生成AIエージェントにおいては人件費との比較での バリューベースプライシングが議論されている
  13. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. プライシングモデル AIエージェントの動きを料理のプロセスで例えると? (by

    Google) 1.情報収集: シェフは、客の注文やキッチンのパントリーや冷蔵庫にある食材の情報を集めます。 =>エージェントでは、外部データやユーザーからのクエリを取得するプロセスに該当します。 2.内部での推論: シェフは収集した情報から、どのような料理を作るか、味付け含めた組み合わせを考えます。 =>エージェントでは、内部の認知アーキテクチャを使って、収集したデータを基に次の行動を計画します。 3.行動と調整: シェフは実際に料理を作り始めます(野菜を切る、スパイスを混ぜる、肉を焼くなど)。その過程で、食材が 足りない場合や顧客のフィードバックがあれば、それに応じて計画を調整します。 =>エージェントでは、外部ツールや APIを使って具体的なアクションを実行し、その結果を基に次のアク ションを決定します。
  14. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. プライシングモデル 生成AIエージェントにおいては人件費との比較での バリューベースプライシングが議論されている

    人件費と比較しやすい理由 人の業務を部分的に置き換え・支援し、結果的に人件費 (または工数)の削減や効率化につながるケース を期待できるため (加えてシートベースには限界があるため ) プライシングのしやすさと売りやすさがある 「人件費削減をどれだけ見込めるか」という指標があることによって ROIをプレゼンテーションしやすい。 人間のコスト エージェントのコスト 50%OFF!
  15. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. プライシングモデル 新しい価格モデルが出てきている 作業単位ベース

    スキルベース • 機能ベースとの組み合わせにもなるが、課題解決力を 定義するイメージ(≒AIのモデルやレベル) ◦ o1 ◦ o3-mini • 作業内容と目的をインプットに作業を代行する • 作業自体に完了定義と価値を定義できる場合はバ リューベースで設計可能 • 作業自体が反復したりする場合は Cost-plus方式(原価 にマージンをのせる )
  16. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. VaaSとは 新しい概念(?)も提唱されてきている “Value

    as a Service”(VaaS) 成果重視 データの活用と プレゼンテーション • 月額の固定料金やユーザー数課金ではなく、タスクの 成果によって課金されるモデル • 例 ◦ Salesforceの「Agentforce」では1会話あたりの 課金 ◦ サポートシステムにおいて「解決済みチケット数」 に基づいて課金 • バリューベースで価格設定がされ、顧客にとってどれく らいの経済効果を生んだのかをデータ分析をすること でプレゼンテーションする
  17. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 現状の課題感 生成AIのモデル利用料が使用量課金になっていることが多いので、 価値を提供するまでにかかる原価が大きく変動しやすい(DeepSeekとかでまた変化あるかも?)

    原価 提供 価値 そのため、安全策としては、「Cost-plus方式(原価に乗せ た形での料金プラン)」になりがち。 しかし、その分、利益率を高く設定するのが難しい場合も ある。 また、その場合でも、ChatGPTやOpenRouterのように後 払いでないデポジット形態が出てきている。目的は不払い リスク低減とキャッシュフロー健全化と思われる。 使う側に原価を抑える力学が働くのである意味で嬉しい が、使用量の制限を設計することが必要になる。
  18. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 対応策 外部環境や内部環境の変化によって価格戦略も変え続ける必要がある 柔軟に変えられる状態でプロダクト作りをしておくべき

    つまりRevOps!!? 検知できる仕組み 料金プラン マネジメント • ハードコーディングに近いようなことはしない • Stripeを始めとしたSaaSに任せる • ユーザーごとのアクティビティデータ • テナントごとのアクティビティデータ これらを集計してモニタリングできる状態にしておく
  19. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 自社で作るスコープを絞る モダンアプリケーション開発の潮流 SaaS提供に必要な機能群は多岐に渡るため

    SaaS Firstでなるべくすでにある機能は外部サービスを活用し コア機能に集中 する 各SaaS固有のコア機能群 (顧客提供価値の中心) テナント管理 インフラ 認証/認可 管理画面 監視 分析 請求/計測 デプロイ SaaSで必要な機能群 自社エンジニアは コア機能にフォーカス ※ここに記載した外部 APIサービスはあくまでも一例となります
  20. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS開発ガイド -テナント編- のご紹介

     SaaS開発ガイドダウンロードページ URL: https://saasus.io/resource/e-book/saas-dev-guide-tenant