$30 off During Our Annual Pro Sale. View Details »
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
明日からできる!技術的負債の返済を加速するための実践ガイド~『ホットペッパービューティー』の事...
Search
Recruit
PRO
February 16, 2025
Technology
4
3.1k
明日からできる!技術的負債の返済を加速するための実践ガイド~『ホットペッパービューティー』の事例をもとに~
2025/02/13に、Developers Summit(デブサミ)で発表した、浅井の資料です。
Recruit
PRO
February 16, 2025
Tweet
Share
More Decks by Recruit
See All by Recruit
プロダクトマネジメントの分業が生む「デリバリーの渋滞」を解消するTPMの越境
recruitengineers
PRO
3
730
あなたの知らない Linuxカーネル脆弱性の世界
recruitengineers
PRO
4
310
dbtとBigQuery MLで実現する リクルートの営業支援基盤のモデル開発と保守運用
recruitengineers
PRO
4
220
『ホットペッパービューティー』のiOSアプリをUIKitからSwiftUIへ段階的に移行するためにやったこと
recruitengineers
PRO
4
1.7k
経営の意思決定を加速する 「事業KPIダッシュボード」構築の全貌
recruitengineers
PRO
4
390
Browser
recruitengineers
PRO
12
4k
JavaScript 研修
recruitengineers
PRO
9
2.2k
TypeScript入門
recruitengineers
PRO
37
15k
モダンフロントエンド 開発研修
recruitengineers
PRO
16
8.4k
Other Decks in Technology
See All in Technology
今からでも間に合う!速習Devin入門とその活用方法
ismk
1
560
re:Invent 2025 ~何をする者であり、どこへいくのか~
tetutetu214
0
170
新 Security HubがついにGA!仕組みや料金を深堀り #AWSreInvent #regrowth / AWS Security Hub Advanced GA
masahirokawahara
1
1.6k
Playwright x GitHub Actionsで実現する「レビューしやすい」E2Eテストレポート
kinosuke01
0
470
re:Inventで気になったサービスを10分でいけるところまでお話しします
yama3133
1
120
Karate+Database RiderによるAPI自動テスト導入工数をCline+GitLab MCPを使って2割削減を目指す! / 20251206 Kazuki Takahashi
shift_evolve
PRO
1
590
最近のLinux普段づかいWaylandデスクトップ元年
penguin2716
1
670
ガバメントクラウド利用システムのライフサイクルについて
techniczna
0
190
re:Invent 2025 ふりかえり 生成AI版
takaakikakei
1
190
Debugging Edge AI on Zephyr and Lessons Learned
iotengineer22
0
140
Kiro Autonomous AgentとKiro Powers の紹介 / kiro-autonomous-agent-and-powers
tomoki10
0
340
Edge AI Performance on Zephyr Pico vs. Pico 2
iotengineer22
0
120
Featured
See All Featured
Connecting the Dots Between Site Speed, User Experience & Your Business [WebExpo 2025]
tammyeverts
10
720
Principles of Awesome APIs and How to Build Them.
keavy
127
17k
The Success of Rails: Ensuring Growth for the Next 100 Years
eileencodes
47
7.8k
Helping Users Find Their Own Way: Creating Modern Search Experiences
danielanewman
31
3k
A better future with KSS
kneath
240
18k
How to Ace a Technical Interview
jacobian
280
24k
The Cost Of JavaScript in 2023
addyosmani
55
9.3k
Building an army of robots
kneath
306
46k
How STYLIGHT went responsive
nonsquared
100
6k
Performance Is Good for Brains [We Love Speed 2024]
tammyeverts
12
1.3k
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
141
7.2k
How to Create Impact in a Changing Tech Landscape [PerfNow 2023]
tammyeverts
55
3.1k
Transcript
明⽇からできる! 技術的負債の返済を加速する ための実践ガイド 〜『ホットペッパービューティー』の事例をもとに〜 株式会社リクルート 浅井 徹
⾃⼰紹介 • 浅井 徹 (あさい とおる) • 略歴 ◦ (前職)
▪ 2014年に新卒⼊社 ▪ iOSアプリエンジニア ◦ 株式会社リクルート ▪ 2019年に中途⼊社 ▪ 『ホットペッパーグルメ』 ▪ 『ホットペッパービューティー』 • 現在の仕事内容 ◦ 『ホットペッパービューティー』アプリの品質を、 中⻑期な視点で維持‧向上するための活動 https://x.com/trsxxii https://github.com/trsxxii
『ホットペッパービューティー』とは? ▼国内最⼤級のヘアサロン‧リラク&ビューティサロンの検索‧予約サービス • ネイティブアプリ(iOS‧Android)とWeb(PC‧SP)にて提供 • キレイ領域(リラク&ビューティ)ではネイル‧まつげ‧リラク‧エステなど複数ジャンルに対応 HOT PEPPER Beauty 経由での年間予約数※1
1億8388万件 (2023年度) ※1 予約受付⽇ベース
今⽇の⽬的 「機能開発で溜まった技術的負債を返済できずに困っている⼈」 に
今⽇の⽬的 「機能開発で溜まった技術的負債を返済できずに困っている⼈」 に 「改善の分類⽅法とKPIツリーに基づいた優先順位の付け⽅」 を伝えることで
今⽇の⽬的 「機能開発で溜まった技術的負債を返済できずに困っている⼈」 に 「改善の分類⽅法とKPIツリーに基づいた優先順位の付け⽅」 を伝えることで 「明⽇から技術的負債の返済活動を始めてほしい」
みなさんこんなことありませんか? • 機能開発は順調にやれている • その反⾯、技術的負債が溜まってしまっており、 負債を返済したいのになかなか着⼿できない • ⼯数が限られている中でどう進めるのが良いかわからない
『ホットペッパービューティー』アプリでも同じ課題が‧‧‧ • リプレイスから約6年が経っており、技術的負債は溜まってきていた • 返済活動をメンバーの主体性に任せていた結果、担当者によって掛ける⼯数が異なる など、計画性がなく気合でどうにかする運⽤となってしまっていた • ゴール定義が無かったので、順調に進捗しているかわからなかった
『ホットペッパービューティー』アプリでも同じ課題が‧‧‧ • リプレイスから約6年が経っており、技術的負債は溜まってきていた • 返済活動をメンバーの主体性に任せていた結果、担当者によって掛ける⼯数が異なる など、計画性がなく気合でどうにかする運⽤となってしまっていた • ゴール定義が無かったので、順調に進捗しているかわからなかった いまは計画的かつ順調に返済活動が出来ているので、ご紹介!
発表の流れ 発散 収束 決定
と、その前に
と、その前に この活動を⼀緒にやる「仲間」を⾒つけること いくつかの⼯程は1⽇集まって集中して作業すること ポイントゼロ
と、その前に 『ホットペッパービューティー』では、 • チームリーダー、iOS/Androidリーダーの計3名 + 上司のレビュー • つぎの3⼯程は1⽇集まってがっつり集中 ◦ 「理想の世界観を定義」
◦ 「理想‧課題の仮説を洗い出す」 ◦ 「仮説のマージと改善の分類」 この活動を⼀緒にやる「仲間」を⾒つけること いくつかの⼯程は1⽇集まって集中して作業すること ポイントゼロ
理想の世界観を定義 発散 収束 決定
理想の世界観を定義 技術的負債の返済を考える上で… • ⾃分たちはプロダクトをどうしたいのか • どんなプロダクトにしていきたいか ⾔語化して形に残し、悩んだときに⽴ち返る場所として使う
理想の世界観を定義 技術的負債の返済を考える上で… • ⾃分たちはプロダクトをどうしたいのか • どんなプロダクトにしていきたいか ⾔語化して形に残し、悩んだときに⽴ち返る場所として使う とにかく徹底的に話し合う ポイント①
理想の世界観を定義 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
理想の世界観を定義 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~ デリバリー短縮 • アプリ公開までの納期を短縮することで 多くの案件をリリースし、予約数‧売上に貢献出来ている 品質向上 •
障害が起こらず安定して使い続けられている • 技術的負債の継続的な返済が出来ている • 開発中の弊害が少なく開発速度が速い
理想の仮説を洗い出す 発散 収束 決定
理想の仮説を洗い出す いまある最新技術などのやりたいこと(=理想の仮説)とその理由の洗い出し • 効果の有無は関係なくすべて洗い出す (=まだ仮説状態でOK) • 洗い出しと同時に簡単なグルーピングもしておく
理想の仮説を洗い出す いまある最新技術などのやりたいこと(=理想の仮説)とその理由の洗い出し • 効果の有無は関係なくすべて洗い出す (=まだ仮説状態でOK) • 洗い出しと同時に簡単なグルーピングもしておく ⽇頃から最新技術を理解しておく 普段の業務中に常に理想を考えておく ポイント②
理想の仮説を洗い出す ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
理想の仮説を洗い出す ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
課題の仮説と解決策案を洗い出す 発散 収束 決定
課題の仮説と解決策案を洗い出す いまのプロダクトの課題であろうもの(=課題の仮説)とその解決策の案を洗い出す • 実際に課題かどうかは関係なくすべて洗い出す (=まだ仮説状態でOK) • メンバーにアンケートをするなど、実装時の細かい課題も洗い出す • 洗い出した課題を「なぜなぜ分析」で分析しておく •
洗い出しと同時に簡単なグルーピングもしておく
課題の仮説と解決策案を洗い出す いまのプロダクトの課題であろうもの(=課題の仮説)とその解決策の案を洗い出す • 実際に課題かどうかは関係なくすべて洗い出す (=まだ仮説状態でOK) • メンバーにアンケートをするなど、実装時の細かい課題も洗い出す • 洗い出した課題を「なぜなぜ分析」で分析しておく •
洗い出しと同時に簡単なグルーピングもしておく リーダーでもコードを触って現場感を知っている なぜなぜ分析で真因を突き⽌める ポイント③
課題の仮説と解決策案を洗い出す ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
課題の仮説と解決策案を洗い出す ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
課題の仮説と解決策案を洗い出す ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
仮説のマージと改善の分類 発散 収束 決定
仮説のマージと改善の分類 「課題の仮説と解決策案」を「理想の仮説」にマージする • 理想の仮説は、課題に関係なく洗い出されていて、広い範囲をカバーしているはず 再度グルーピングをすると、これが改善の分類となる • 理想の仮説とその取り組みをやりたい理由、課題の仮説とその解決策案を再度グルー ピング
仮説のマージと改善の分類 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
仮説のマージと改善の分類 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
整理‧評価 発散 収束 決定
整理‧評価 改善の分類と施策(=理想の仮説‧課題の仮説と解決策案)を表に書き写し、 コストとリターンを埋めていく • コストとリターンは「⼤中⼩」で3秒⾒積もり スコープを絞っていく • 『ホットペッパービューティー』ではコスト⼤、リターン⼤をスコープとした • それ以外の施策は、別途保守で扱うこととした
整理‧評価 改善の分類と施策(=理想の仮説‧課題の仮説と解決策案)を表に書き写し、 コストとリターンを埋めていく • コストとリターンは「⼤中⼩」で3秒⾒積もり スコープを絞っていく • 『ホットペッパービューティー』ではコスト⼤、リターン⼤をスコープとした • それ以外の施策は、別途保守で扱うこととした
計画が必要な⼤きさの課題を取り扱う ポイント④
整理‧評価 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
整理‧評価 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~ コスト‧リターン (⼤‧中‧⼩)
ファクトチェック 発散 収束 決定
ファクトチェック 解決する課題が本当に課題なのかをチェックする • おそらく⼀般的に⾔われる課題が多くあるはず • 本当に⾃分たちのプロダクトでも⾔えることなのか?をチェック
ファクトチェック 定量で測れる場合は定量調査 • 静的解析ツール‧バグや障害チケットの数など • ⽐較対象やしきい値は、社内の他プロダクトと⽐較 or ⼀般的なしきい値を調べる 定量で測れない場合は定性調査 •
ソースコードをいくつか調査して証拠を集める • 過去の障害履歴を遡ってKPI毀損数を計算 • etc
ファクトチェック 定量で測れる場合は定量調査 • 静的解析ツール‧バグや障害チケットの数など • ⽐較対象やしきい値は、社内の他プロダクトと⽐較 or ⼀般的なしきい値を調べる 定量で測れない場合は定性調査 •
ソースコードをいくつか調査して証拠を集める • 過去の障害履歴を遡ってKPI毀損数を計算 • etc 本当に課題か⾒極めて、改善に取り組む意義を確⽴する ポイント⑤
ファクトチェック(補⾜) ファクトチェックするには遅くないか?という意⾒に対して、、、 これらの理由で、評価をしてスコープを絞った上で、チェックするようにした • 定量で出来るファクトチェックばかりではない • 定性調査をするのはかなり労⼒が必要 • ある程度現場感を知っていたので、⼤きく外れることはない 効果が薄いものはあったが、
課題ではないものはなかった
ファクトチェック ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
KPIツリーとの紐付け 発散 収束 決定
KPIツリーとの紐付け KPIツリー内の「改善の分類」の指標となるノードに、実績値を記載していく • KPIツリーがない場合は「改善の分類」の指標となるノードとパスだけでも作成する • 実績値が出せない場合は、⼀旦感覚値で仮置きして考えてもいい ◦ 重要なのは改善の分類の優先度のため、⼤きく変わらなければ仮置きでもOK 最も重要なKPIに⼤きな影響を与える順で、優先度を付けていく
KPIツリーとの紐付け
KPIツリーとの紐付け 1000件/年 20件/年 200件/年 30件/年 …
KPIツリーとの紐付け 1000件/年 20件/年 200件/年 30件/年 … 1件あたり 50件/年
KPIツリーとの紐付け 1000件/年 20件/年 200件/年 30件/年 … 1件あたり 0.1件/年 1件あたり 50件/年
KPIツリーとの紐付け ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
優先度確定 発散 収束 決定
優先度確定 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~ 優先度 改善の分類 1 コーディングコスト削減 2 コード認知コスト削減
3 バグ/障害の流出防⽌ 4 障害復旧時間(MTTR)短縮 5 バグ/障害の混⼊防⽌
しかし、、、 改善の分類に紐づく施策に技術的な依存関係がある場合、 優先度順には実⾏できない可能性がある • 改善の分類の優先度と、 それに紐づく施策の技術的な依存関係を紐解き、 実際の計画に落とし込む
その後 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~
その後 ~ 『ホットペッパービューティー』では ~ 各施策を⾒積もれば、完了⽬処が⾒えて、施策順序も決まる ポイント⑥
結果 改善の分類とそれに紐づく施策が整理されて、⼯数や効果と優先度が明確になり • 適切なメンバーをアサインできるようになった • 限られた⼯数の中で効果を最⼤化できるようになった • 理想に向かう計画を⽴てられるようになった
結果 改善の分類とそれに紐づく施策が整理されて、⼯数や効果と優先度が明確になり • 適切なメンバーをアサインできるようになった • 限られた⼯数の中で効果を最⼤化できるようになった • 理想に向かう計画を⽴てられるようになった なによりも、優先度の根拠が明確にあるため、 ⾃分たちが⾃信を持って進められる状態になった
結果のその先 以前の気合でどうにかする運⽤だと課題も⽬的もはっきりせず、 技術的な解決そのものが⽬的化してしまっていた Before
結果のその先 以前の気合でどうにかする運⽤だと課題も⽬的もはっきりせず、 技術的な解決そのものが⽬的化してしまっていた Before 効果を語れるようになったことで、 事業や企画組織から理解を得やすく、⼯数獲得しやすくなった After
結果のその先 以前の気合でどうにかする運⽤だと課題も⽬的もはっきりせず、 技術的な解決そのものが⽬的化してしまっていた Before 効果を語れるようになったことで、 事業や企画組織から理解を得やすく、⼯数獲得しやすくなった After 膨⼤な⼯数がかかり、効果を語るのが難しい案件でも、 適切に効果を語ることができ、案件化することができた そのため
結果のその先 具体的には、iOSアプリにて SwiftUI導⼊を案件化できた (案件化 = KPIに寄与する事業施策として対応をするもの) • UIライブラリの置き換えなので⼀⾒、KPIに直接紐づかないように⾒える • しかし今回の整理のおかげで、SwiftUIを導⼊して開発コストを下げることで開発⽣
産性に寄与し、最終的にはKPIである予約数に影響があることを伝えられた • つまり、優先度と効果を適切に語れたことで案件化することができた
まとめ 発散 収束 決定 +技術的な依存関係の紐解き
https://www.recruit.co.jp/special/techconference2025 リクルート テックカンファレンス リクルートの開発事例・ナレッジを共有する 技術カンファレンス
WE ARE HIRING !
THANK YOU FOR WATCHING !