Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

若手中心の内製アジャイル開発で研究開発に挑戦 / 20250517 Nobuhiro Kawa...

若手中心の内製アジャイル開発で研究開発に挑戦 / 20250517 Nobuhiro Kawamura & Dami Lee & Tomohiko Tanikawa

2025/5/17 SHIFT Agile FES
https://contents.shiftinc.jp/shift-agile-fes/

ソフトバンク株式会社
テクノロジーユニット統括 データ基盤戦略本部
デジタルインフラ開発統括部 アジャイル推進部
河村 信宏

ソフトバンク株式会社
テクノロジーユニット統括 データ基盤戦略本部
デジタルインフラ研究開発統括部 超分散基盤開発部
基盤インテグレーション課・システム統合SWP
スクラムマスター
李 多美

株式会社SHIFT
ソリューション事業部 アジャイル推進部
イノベーション推進グループ
谷川 智彦

Avatar for SHIFT EVOLVE

SHIFT EVOLVE

May 21, 2025
Tweet

More Decks by SHIFT EVOLVE

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 若手中心の内製アジャイルで 研究開発に挑戦 ポスト5G × 社会DX × 若手エンジニア © 2025 SoftBank

    Corp. & SHIFT Inc. 谷川 智彦 株式会社SHIFT 河村 信宏・李 多美 ソフトバンク株式会社
  2. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. プロジェクト概要 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業 「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」(JPNP20017)の研究テーマの一つ

    産総研(国立研究開発法人産業技術総合研究所)とソフトバンクの合同プロジェクト プロジェクト期間は5年間(2023~2028年) ​​https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/post5g/pdf/230131_gaiyo.pdf ①超分散サービス実行基盤技術 ②超分散データ活用基盤技術 ③システム統合技術 ④システム実証 ⑤実用化・標準化推進
  3. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 産総研 ソフトバンク 再委託先

    再委託先 共同研究 再委託先 再委託先 再委託先 再委託先 ①超分散サービス実行基盤技術 ②超分散データ活用基盤技術 ③システム統合技術 ④システム実証 ⑤実用化・標準化推進 ※③の「システム統合」 チームに所属 産総研とソフトバンク 研究成果の統合を担当 プロジェクト体制
  4. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. プロジェクトの特徴 その1:長期間 5年間の先端技術の研究開発プロジェクト

    その2:研究開発 求められる品質レベルが商用と異なる その3:アジャイル開発フレームワーク チーム連携の取り組み その4:若手中心の内製アジャイル開発
  5. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. プロジェクトの特徴(その1) 2023 2024

    2025 2026 2027 2028 研究開発スタート 研究開発終了 中間評価 その1:長期間 5年間の先端技術の研究開発プロジェクト
  6. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. プロジェクトの特徴(その2) • 研究成果の実現重視

    • 商用システム相当の品質は 求められない • ただ、将来の実用化・事業化 を見据え、適切な品質担保も必要 分類 フィーチャーが完了すること(スコープ) 予算内に収まること(予算) 時間通りに納入すること (時間) 高い品質、少ないバグ(品質) スキルの平準化 チーム間連携 ON OFF ON OFF ON OFF ON OFF ON OFF ON OFF ※中間評価までのトレードオフスライダー その2:研究開発 求められる品質レベルが商用と異なる
  7. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. プロジェクトの特徴(その3) 四半期計画 (Quarterly

    Planning) ワークショップ Scaled Refinement 3ヶ月ごとに開催 SAFeのフレームワーク(PIプランニング)を参考にして設計 型通りにやらない → 現場の負担を減少 Scrum of Scrums 毎月開催 各チームの成果と技術調査結果を共有 新たな気付きを得る・チーム間の認識齟齬をなくす場 チーム間連携の共通プロダクトバックログをリファインメント Scrum @ Scaleのフレームワークを参考に設計 必要最低限のScaledイベントのみ開催 各チームのSMが集まり、オープンな議論と情報共有 とてもよいイベント SMのなごみの場 その3:アジャイル開発フレームワーク チーム連携の取り組み
  8. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. プロジェクトの特徴(その4) その4:若手中心の内製アジャイル開発 •

    従来の開発は国内ITベンダーへの委託が主 次世代のコア技術の研究開発であるため内製アジャイル開発 体制を構築 • 若手社員が自ら手を動かして開発業務に取り込む
  9. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトで苦労したこと POとDevでバトル発生! 先端技術の研究開発プロジェクト

    要件がざっくりしていることが多い スプリント開発中に予想外の事象が多発 見積もり通りに開発が進まない! 長期間の研究開発プロジェクト ゴール意識や進捗状況の把握が難しい! 大規模なプロジェクトなので連携先が多い &複雑でシステムの統合が大変 実用化に向けた研究開発的進め方の課題 研究成果が出てから システム統合するため共通化が難しい CI/CD、ツール、APIなど その1 その2 その3 その4 その5 その6
  10. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトで苦労したこと(その1) POとDevでバトル発生! 先端技術の研究開発プロジェクト

    要件がざっくりしていることが多い その1 • 研究開発なのでSBIのACが明確に描けないケースあり • 1on1面談でDevメンバーの不満をSMが吸い上げ • 技術スパイクの活用
  11. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトで苦労したこと(その2) スプリント開発中には予想外の事象が多発 見積もり通りに開発が進まない!

    その2 • 納期優先もあり、READYでないSBIも多数存在 • 技術スパイクをとにかく多く設定 • 「検討しすぎの罠」にはまる • Sprintゴール未達のSprintを多数発生 • 研究開発スクラム脳へのカイゼンを進めた
  12. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトで苦労したこと(その3) 長期間の研究開発プロジェクト ゴール意識や進捗状況の把握が難しい!

    その3 • 2025年7月の中間評価を中間ゴールと設定 • リリースバーンアップチャートを作成 • 研究開発プロジェクト → バックログの見積もりが難しい リリースバーンアップチャートもSBIの消化個数で管理
  13. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトで苦労したこと(その4) 研究成果が出てからシステム統合するため共通化が難しい CI/CD、ツール、APIなど

    その4 • システム統合チームから技術情報を発信、共有 ◦ 毎月のワークショップでDevOps推進コーナーを運営 • 迅速な統合による課題認識・抽出に向けて統合プロセス改善 ◦ 安定稼働版の資材を運用するための環境整理と構築 ◦ 運用ルールの整備
  14. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトで苦労したこと(その5) 大規模なプロジェクト 連携先が多い&複雑でシステムの統合が大変

    その5 • Wrikeで統合バックログを一括管理 • コミュニケーション管理の工夫(Zoom、Slack) • インシデント管理→スピード、効率性を重視 • 統合バックログとリリースバーンアップチャートにより 全体進捗を管理、可視化 • SoSリファインメントが進捗会議になっていた。。。
  15. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトで苦労したこと(その6) 実用化に向けた研究開発的進め方の課題 その6

    • 研究開発と実用化ではトレードオフスライダーがまったく違う • 設計思想が根本的に異なるため流用はできない • 誰かがストッパーにならないと、今後現場が破綻する? • 今後、かなりのバトルが発生しそう。。。
  16. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトでうれしかったこと 次世代社会インフラを創造しているという 使命感!社会課題の解決に貢献!

    アジャイル的発想で 何でもトライできる失敗を許容する文化 研究開発という商用システム開発とは 違う開発経験! スクラムマスターの魅力を理解 SoSのSMの集まりによる仲間感 グループ・会社の垣根を越えた交流 心理的安全性が確保されたよいチーム その1 その2 その3 その4 その5 その6
  17. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトでうれしかったこと(その1) 次世代社会インフラを創造しているという 使命感!社会課題の解決に貢献!

    その1 • ポスト5G次世代社会インフラシステム開発の 強い使命感 • 現実社会の様々な社会課題の解決に貢献するための高い志
  18. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトでうれしかったこと(その2) 研究開発という 商用システム開発とは違う開発経験!

    その2 • 価値・スピード重視の研究開発を体験 • 新しいものを作り出すことの難しさ、楽しさを経験 • 内製アジャイル→考える力を持つ社員増 • 社員が開発経験を持つことで、ビジネスパートナーとの 関係性も改善
  19. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトでうれしかったこと(その3) アジャイル的発想で 何でもトライできる失敗を許容する文化

    その3 • まずは何でもやってみよう! • 失敗が許容される文化 • イベント運営も「6割達成できれば十分」 • 自分の意見が言える雰囲気 WSでも様々な層からの活発な議論
  20. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトでうれしかったこと(その4) SoSのSMの集まりによる仲間感 その4

    • 個々のSMは研究開発チーム運営にかなり苦労 • チームの悩みを話合う場ができた • 他のSMの共感 • SoS SM会はSMのなごみの場、成長の場 言うことを聞いて くれない。。。
  21. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトでうれしかったこと(その5) グループ・会社の垣根を越えた交流 心理的安全性が確保されたよいチーム

    その5 • 部課長もアジャイルに十分な理解 • 心理的安全性が高いよい文化の環境下だから リスクの高い研究開発でのスクラム開発がうまく進められ ている • 業務委託のメンバーもチームの一員
  22. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. 本プロジェクトでうれしかったこと(その6) • メトリクス取得によるスプリント分析実施

    Devチームメンバー自身が気づけるように、 Devチームに価値ある情報を提供 • SMが開発だけでなく、様々なチームに貢献できることを理解 • SMとしてのキャリアモデルが描けるようになった! スクラムマスターの魅力を理解 その6
  23. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. アジャイルCoEの主な活動 ①アジャイルを 知る

    アジャイルを実践する前に アジャイルとは何かを学習する アジャイル説明 アジャイル基礎研修 ②アジャイルを 始める 立ち上げ期のアセスメントと 経験のあるコーチによる伴走 開発手法の選定支援 アジャイル導入アセスメント ③アジャイルを 定着させる 継続的改善のための フィードバックとスキルの獲得 スキル認定制度の提供 定期的なフォローアップ 客観的な観察による課題解決 アジャイルコーチング アジャイルに取り組むチームの支援 各部署が組織的にアジャイルを推進するための包括的な支援 マネジメント層向けWS ④体制/環境を 整える 組織的にアジャイルを推進するための支援、環境を整える アジャイルな文化醸成 ルール整備 アジャイル組織変革支援
  24. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. ①アジャイルを知る アジャイルのマインドセットと手法を学ぶ研修を提供 アジャイル基礎研修

    マネジメント層向けWS 5,000人 が活用 アジャイルについて学べるポ ータルサイトを提供 アジャイル開発説明会 30回(200人以上) 満足度 : 4.1 /5点 楽しみながら業務に直結する スキルを習得できる研修 チームを管理する際の“勘所” を理解するためのワークショ ップ 参加者 : 24人 満足度 : 7.7 /10点 役立つ議論ができた:90% 参加者 : 25人 満足度 : 9.0 /10点 業務に役立つ : 4.3 /5点 アジャイル説明
  25. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. ②アジャイルを始める 実践経験があるアジャイルコーチによる伴走支援 開発手法の選定支援

    アジャイルコーチング 開発手法を正しく選ぶためのガイ ドライン プロジェクト特性や開発体制を基 に課題やリスクの確認、伴走支援 の計画をする アジャイル開発の実践に必要な知識、振る舞いをコーチが伴走支 援し、自律的なチームへ導く 支援実績 : 24件 / 5本部 支援期間:6カ月 / 件 こういう風に進めていけば 上手くいくという安心感が コーチにはある。 なんちゃってアジャイルで はなく、基本を守りながら 進められるようになった。 当事者意識をもって開発す るようになった。仕事をし ていて楽しい。 アジャイル導入アセスメント
  26. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. ③アジャイルを定着させる 継続的改善のためのフィードバックとスキルの獲得支援 スキル認定制度

    定期的なフォローアップ スクラム(※) の知識 / スキル / 振る舞いが一定レベル以上で あることを認定する社内プロ グラム 認定者:29人 / 4本部 継続的な改善のためチームの 状況を収集し、アジャイルの 定着を支援 アジャイル実践中のチームが 抱える課題に対してスポット でコーチング支援 相談実績:6件 客観的観察による課題解決 ※スクラム:アジャイル開発の代表的な 手法の1つで、シェアの80%を占める
  27. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. ④体制・環境を整える 組織的にアジャイルを推進するための支援、環境を整備 アジャイル組織変革支援

    ルール整備 アジャイルな文化醸成 I社内規定の改訂、ガイドラ インの整備 アジャイル勉強会 42回 900人超 コミュニティ運営 67人 組織全体のアジャイル化に向 けて、戦略と現場が連動した 変革を推進 ナレッジの集約
  28. © 2025 SoftBank Corp. & SHIFT Inc. チーム活動 プラン ニング

    日々の活動 レビュー 振り返り プロジェクト IT管理委員会 コミュニティ 変革バックログ アジャイルCoE 施策による働きかけ ナレッジ フィードバック 場づくり ・変革バックログを用意する ・CoEの活動をアジャイルで運用する ・学びを集積する フィードバック 施策による働きかけ 相談/フィードバック ・ ・ ・