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マルチエージェントのチームビルディング_2025-10-25
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shino
October 27, 2025
Technology
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マルチエージェントのチームビルディング_2025-10-25
第3回 Dify Studio ハッカソンのLT3で発表した資料です
https://dify-studio.connpass.com/event/371485/
shino
October 27, 2025
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Transcript
マルチエージェントのチームビルディング 2025-10-25 Shino Yamada 〜PMが実践する3ステップ〜
⾃⼰紹介 ⼭⽥ 詩乃 Yamada Shino 2020.3 東京⼤学 物理⼯学専攻 修了 2020.6
コンサルティング企業⼊社、製造業向けDXに従事 2024.9 副業で個⼈事業主を開始、「1⼈CEO+AIエージェントたち」 での事業運営を探求し始める ‧1⼈CEOに役⽴ちそうなAIツールをDifyで開発&販売 2025.10 東京AI祭ハッカソン2025に出場、Difyを活⽤した マルチエージェントアプリ「Adapty」でルーキー賞を獲得
今⽇お話しすること マルチエージェントとは 1 マルチエージェント組織のパターン 2 マルチエージェントのチームビルディング(3ステップ) 3 Difyでの実装例 4
01 マルチエージェントとは 2
複数の⾃律的なAIエージェントが、協調しながら⽬ 標達成のために⾏動するAIシステム マルチエージェントとは 環境を「⾒て」、何をすべきかを⾃律的に「考え て」、⽬標達成のために「⾏動する」AIシステム エージェント(Agent) マルチエージェント(Multi-Agent) https://blog.langchain.com/context-engineering-for-agents/ https://www.anthropic.com/engineering/multi-agent-research-system 複数の⾃律的なAIエージェントが協調するAIシステムが「マルチエージェントシステム」
マルチエージェントにすると何が嬉しいのか 1. 分業による効率化 単⼀エージェントがツールを 持ちすぎると性能低下、分業 で⾼速かつ正確な処理が可能 2. ⾼精度な意思決定 複数の観点から分析‧検証が ⾏われるため、より信頼性の
⾼い判断が可能 3. ⾼い拡張性 業務や環境の変化に応じて エージェントを追加すること で、容易に拡張可能 分業により効率的に、⾼精度な意思決定をすることができ、拡張も容易
02 マルチエージェント組織のパターン 6
パイプライン型 マルチエージェント組織のパターン 順番に処理するパイプライン型、監督者が複数の作業者にタスクを振る監督者型、多層構造 の階層型、情報共有ボードを持つ黒板型等があり、ユースケースに応じた使い分けが重要 監督者‧作業者型 階層型 黒板型
03 マルチエージェントの チームビルディング
STEP 1 ゴールを定義する STEP 2 チームメンバーの役割 を決める STEP 3 各メンバーにタスクの進め⽅
を教える マルチエージェントのチームビルディング3ステップ ⼈間でプロジェクトチームを⽴ち上げるときと同様、ゴール定義→役割設計→タスク設計、 の順でマルチエージェント組織を結成することができる
STEP1: ゴール定義 何を達成するためにマルチエージェント組織を作るのか、を決める Tips • 誰の‧どんな体験を‧どのよ うに変えるための組織を作る のか?を明確にする • ゴールが明確だと、組織に不
可⽋な役割‧そうでない役割 を判別でき、迷⾛しなくなる • 素早く開発し簡潔に発表する ハッカソンのような場では、 「そぎ落とす」意識が⼤事 例: 「Adapty」の場合 AS-IS 親が ⼦供のスマホルールを 決めるとき 漠然とした不安を感じつつ ⼀⽅的な制限をする TO-BE 親が ⼦供のスマホルールを 決めるとき ⼦供の判断⼒や世の中の動向 をよく理解しながら 適切な助⾔をする 親の不安を軽減するマルチエージェント組織を作る
STEP2: 役割設計 ゴールを達成するために必要な役割を考え、⼈‧AIの役割分担、AI間の役割分担を設計する Tips • 各エージェントの関⼼領域が 分離するような役割分担 • 役割を果たすために必要な 前提知識(コンテキスト)と
スキル(ツール)を考える • Claude Code等にアーキ設計 を図解させておくと、その後 の実装がスムーズ ※Workslop問題を回避 例: 「Adapty」の場合 ⼦ 親 親⼦ナビAgent ⼦のリテラシー 情報 司書Agent ネットトラブル 事例情報 専⾨知⾒の提供 Web検索Tool 【役割】 〇⼦供と直接対話、信頼構築 ×知識のキャッチアップ 【役割】 ⼦と世の中の状況を踏まえた スマホルール提案 【役割】 世のネットトラブル動向 に関する知⾒提供
実体験エピソード: 関⼼領域を軸とした役割整理 「Adapty」の開発では当初9体エージェントの協働案を検討していたが、同じコンテキストを 参照するエージェントが複数いて⾮効率だったため、関⼼領域を軸に再整理し、5体にした
STEP3: タスク設計 各エージェントが与えられた役割を全うできるよう、タスクの進め⽅を⾔語化する Tips • 状況に応じて対応が変わりや すいところは、⽬的と考え⽅ (ReAct戦略)だけ設定し、裁量 を与える ※ReAct戦略:
⽬的達成のために思考→⾏動 →観察、を繰り返す戦略 • ReActのロジックをClaude Code等にドキュメント化させ ておくと、プロンプト作成が スムーズ 例: 「Adapty」の場合 司書Agentは、既存ナレッジからのRAGで⼗分な回答が得 られない場合にWeb検索の上で回答 質問受信 検索結果 確認 RAG結果で 回答⽣成 事例集 RAG ⼗分な情報 が集まるま でWeb調査 調査結果で 回答⽣成 ⼗分? y n
実体験エピソード: ReActフロー図からプロンプト⽣成 あなたは、{child_age}歳の⼦供に関するネットトラブルについて回答します。 質問: {query} 質問の背景: {context} 以下の形式で簡潔に回答してください: 1. 主要なリスクや注意点(2-3点)
2. 実際の事例(2-3例) Perplexity Searchを使って、実際の事例を調査したうえで回答するようにしてください。 事例を調査する際は、誰が(年齢‧性別)‧どんな状況でネットトラブルにあったのかわかるまで調査を繰り返し、 具体的な情報が集まったら回答を作成するようにしてください。 親が理解しやすい⾔葉で、具体的に説明してください。 「⼗分な情報が集まるまでWeb調査」のタスクは、クエリ検討→Web検索→結果評価、を繰 り返すReActフローをClaude Codeに描かせたうえで、プロンプトに落とし込んだ
04 Difyでの実装例
Dify実装例: エージェント間連携 親⼦ナビAgent 司書Agent 知⾒を提供する司書Agentをworkflow化し、親⼦ナビAgentノードからToolとして呼び出す Toolとして呼び出す(クエリは親⼦ナビAgentが考える) 司書Agentのworkflow
Dify実装例: 各エージェントのワークフロー作成 タスクの順序までコントロールしたい部分はワークフローで定義、裁量を持たせたい部分は Agentノードを利⽤し、ReAct戦略に基づくプロンプトを設定 質問 受信 検索結果 確認 RAG結果で 回答⽣成
事例集 RAG ⼗分な情報 が集まるま でWeb調査 調査結果で 回答⽣成 ⼗分? n y Agentノードを利⽤ ReAct戦略
まとめ • 複数の⾃律的なAIエージェントが協調する「マルチエージェントシステム」は、分業に よって効率的に、⾼精度な意思決定をすることができ、拡張も容易という利点がある • マルチエージェントの組織パターンには、パイプライン型‧監督者型‧多層型‧黒板型 等があり、ユースケースに応じた使い分けが重要 • マルチエージェント組織を作る際は、⼈間のプロジェクトチーム⽴ち上げと同様に、 ゴール定義→役割設計→タスク設計、の3ステップで考えると良い
• Difyでマルチエージェントシステムを実装する際は、AgentノードのToolとして別の Agent(workflow)を呼び出す‧ReActフローを体現するプロンプトを設定すると良い noteをフォローしていただけると嬉しいです!👉