1755年11月1日、ポルトガルの首都を襲った「リスボン大震災」。
マグニチュード8.5〜9とも推定されるこの巨大地震は、甚大な被害をもたらしただけでなく、科学史における極めて重要な転換点となりました 。
それまで「神の怒り(神罰)」として解釈されていた地震災害が、いかにして「観測可能な物理現象」へと定義し直されたのか 。
カント、ミッチェル、マレットといった科学者たちの考察と、英国王立協会によるデータ蓄積の歴史を紐解きながら、近代地震学が誕生するまでの過程を解説します 。
【もくじ】
・ 1755年リスボン大震災の概要:地震・津波・火災による「三重の災害」
・ 科学革命前夜の観察文化:英国王立協会とデータ収集
・ パラダイムシフト:「なぜ(神の意志)」から「どのように(メカニズム)」へ
・ 科学者たちの反応:
・ イマヌエル・カント:自然現象としての再定義
・ ジョン・ミッチェル:波動説と震源推定
・ ロバート・マレット:実験的地震学と世界地震地図
・ 現代への接続:災害が科学を変えた瞬間