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ガバメントクラウドの概要と自治体事例(名古屋市)

 ガバメントクラウドの概要と自治体事例(名古屋市)

JAWS Festa 2025 金沢 登壇資料

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高橋広和

October 11, 2025
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  1. Profile 名古屋市総務局デジタル改革推進課 課長補佐(システム標準化担当) 2 高橋 広和 ◆ 1998年 名古屋市入庁 区役所市民課

    住基・戸籍・印鑑業務従事 ◆ 2002年 健康福祉局医療福祉課 ホスト分散化対応、後期高齢者医療システム開発 ◆ 2009年 健康福祉局総務課 福祉総合情報システム保守運用 ◆ 2012年 愛知県後期高齢者医療広域連合 マイナンバー制度導入対応 ◆ 2017年 健康福祉局保険年金課 保険年金システム保守運用 ◆ 2022年 現職(2024年より課長補佐) ◆ 2024年 デジタル改革共創PFアンバサダー就任 担当業務:ガバメントクラウドCoE 趣味:読書・ゲーム 所属グループ:JAWS-UG名古屋/Gov-JAWS 好きなAWSサービス:AWS Cost Explorer X :https://twitter.com/techniczna Note:https://note.com/techniczna/
  2. ガバメントクラウドの利用方式の違い 単独利用方式 共同利用方式 運用主体 地方公共団体 事業者(運用管理補助者) 導入方法 地方公共団体がCSPや運用ルールを決定し、 調達仕様に盛り込む 事業者がCSPや運用ルールを決定し、

    地方公共団体に提案する 利用方法 地方公共団体が事業者用の環境を用意し、 事業者はその環境にシステムを構築する 事業者が共同利用環境を用意し、 地方公共団体はその環境に接続する メリット ガバナンスが効きやすい 運用状況やコストが可視化しやすい 地方公共団体の運用負担軽減 画一的な運用と共同利用によるコストダウン 主な利用 地方公共団体のネットワークアカウント 地方公共団体の業務環境アカウント 事業者の共通運用管理アカウント 【参考】地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウドの利用について(https://www.digital.go.jp/policies/local_governments#cloud-use)
  3. 大型電子計算機 名古屋市の基幹業務システムの変遷 (システム標準化直前の状況) 2000年 2006年 2022年 税務総合情報システム 税務総合情報システム 税務総合情報システム 住民記録システム

    住民記録システム 住民記録システム パッケージ 独自開発 再構築 分散移行 分散移行 保険年金システム 独自開発 保険年金システム 分散移行 保険年金システム 福祉総合情報システム(1次) 再構築 生活保護システム パッケージ 固定資産税・個人住民税・ 法人住民税・軽自動車税 住民記録・印鑑・選挙人 名簿・就学(学齢簿) 国保・年金・後期高齢 生活保護 介護保険システム 介護保険システム 介護保険システム パッケージ 介護保険 福祉総合情報システム(2次) 福祉総合情報システム パッケージ 障害者福祉・健康管理・ 子ども子育て支援 児童福祉システム 児童福祉システム 児童手当・ 児童扶養手当 独自開発 戸籍電算システム 新規開発 パッケージ 戸籍・戸籍附票 新規開発 就学援助システム パッケージ 就学(就学援助) 新規開発 情報連携基盤システム パッケージ 共通機能 新規開発 新規開発 新規開発
  4. ガバメントク ラウドの接続 回線 クラウドプロ バイダ(CSP) の選択 ガバメント クラウドの 制約上での 運用

    移行過渡期 の対応 情報セキュ リティ・個人 情報保護 委託する運 用作業の範 囲と調達 ガバメントクラウ ドの利用方式 単独利用か 共同利用か ガバメントクラウド利用にかかる要件検討
  5. ガバメントクラウドの利用方式の違い(再掲) 単独利用方式 共同利用方式 運用主体 地方公共団体 事業者(運用管理補助者) 導入方法 地方公共団体がCSPや運用ルールを決定し、 調達仕様に盛り込む 事業者がCSPや運用ルールを決定し、

    地方公共団体に提案する 利用方法 地方公共団体が事業者用の環境を用意し、 事業者はその環境にシステムを構築する 事業者が共同利用環境を用意し、 地方公共団体はその環境に接続する メリット ガバナンスが効きやすい 運用状況やコストが可視化しやすい 地方公共団体の運用負担軽減 画一的な運用と共同利用によるコストダウン 主な利用 地方公共団体のネットワークアカウント 地方公共団体の業務環境アカウント 事業者の共通運用管理アカウント 【参考】地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウドの利用について(https://www.digital.go.jp/policies/local_governments#cloud-use) 名古屋市は全面的に単独利用方式を採用 ※ 遠隔保守用途等一部例外あり
  6. As-Is To-Be ➢ それぞれのシステムでファイルサーバ等の個別 機能を調達 ➢ 各システムで認証基盤を保有 ➢ 各システムでセキュリティ対策を実施 ➢

    システムごとの専用端末 ➢ 全体的なコストや運用状況の把握が困難 ➢ 共通的な機能やリソースを集約 ➢ 統合認証基盤の構築 ➢ 統合的なセキュリティ対策 ➢ 全システム共通端末を利用 ➢ コストや運用状況を可視化 Aシステム Bシステム Cシステム 共通機能 Aシステム Bシステム Cシステム 単独利用方式採用による全体最適化
  7. 名古屋市のガバメントクラウド利用検討(2023年度) 事前準備 • ガバメントクラウド利用にかかる要件検討 • ガバメントクラウド利用方針の策定 2022 年度 環境の整備 •

    接続回線と統合運用管理補助者の調達 • 名古屋市統制テンプレートの構築(IaCの活用) 2023 年度 税務総合情報システムの移行開始
  8. As-Is To-Be 遠隔地 ➢ オンプレミスで複雑なクラスター構成を構築 ➢ 全区役所に縮退サーバを設置 ➢ 月次でバックアップデータを遠隔地に輸送 ➢

    RTO1週間以上、RPO1か月以上 ➢ クラウド機能で容易に可用性を確保 ➢ 回線は複数経路かつ冗長化し、障害や災害時に はバックアップリージョンを活用 ➢ 必要に応じDBをリアルタイム同期 ➢ 最短でRTO数時間、RPO数分間 東京リージョン 大阪リージョン Multi-AZ 可用性の確保と大規模災害対策
  9. 名古屋市 名古屋市 庁舎B 名古屋市 庁舎A クラウド接続拠点 【東京】 クラウド接続拠点 【大阪】 東京

    リージョン 大阪 リージョン 業務システム 業務システム 専用線 帯域:10Gbps 専用線 帯域:10Gbps DirectConnect 帯域:10Gbps DirectConnect 帯域:10Gbps ガバメントクラウド接続回線(独自調達)
  10. 名古屋市のガバメントクラウド利用検討(2024年度) 事前準備 • ガバメントクラウド利用にかかる要件検討 • ガバメントクラウド利用方針の策定 2022 年度 環境の整備 •

    接続回線と統合運用管理補助者の調達 • 名古屋市統制テンプレートの構築(IaCの活用) 2023 年度 運用の検討 • FinOps検討 • 持続可能なCCoEの構築(クラウド人材育成) 2024 年度 住民記録、情報連携基盤、保険年金、福祉総合、児童 福祉、選挙人名簿、就学事務の各システム移行開始
  11. 名古屋市のガバメントクラウド利用検討(2025年度) 事前準備 • ガバメントクラウド利用にかかる要件検討 • ガバメントクラウド利用方針の策定 2022 年度 環境の整備 •

    接続回線と統合運用管理補助者の調達 • 名古屋市統制テンプレートの構築(IaCの活用) 2023 年度 運用の検討 • FinOps検討 • 持続可能なCCoEの構築(クラウド人材育成) 2024 年度 利用の拡大 • システムライフサイクルとしてのガバメントクラウド利用手順の整備 • 対象を番号利用事務系以外も含めた全庁に拡大 2025 年度 生活保護システム、文書管理シス テムの移行開始
  12. 全333システム 番号利用事務系 20システム 他のネットワーク 42システム インターネット 182システム LGWAN系 79システム スタンドアロン

    10システム 所属内で閉じたイントラ 住基ネット等 ウェブサイト スマホアプリ SaaS利用 ガバメントクラウドに 移行予定 17システム オンプレミス 3システム LGWAN-ASP 19システム オンプレミス 60システム 名古屋市の情報システムの概況(2023年度)
  13. ガバメントクラウド利用方針 • 2024年末の法改正により、全公共情報システムがガバメントクラウド利用検討の対象に(努力義務) • システムライフサイクルに応じたドキュメントを整備し、構築や更改時の手続きと併せて自然にガバメン トクラウドの利用検討が出来るようにする ガバメントクラウド利用検討のスキーム ガバメントクラウド利用検討指針 システム化 検討

    • 前々年度 RFI実施 • 前々年度から 前年度初旬 利用環境の 検討・選定 • 前年度初旬 見積徴収と 精査 • 前年度前半 予算要求 • 前年度前半 調達・契約 • 当年度初旬~ 2か月前 構築・運用 このタイミングで捕捉してCCoE として伴走支援開始 ガバメントクラウドの利用が確 定したら、「利用方針」へ • ガバメントクラウド利用方針は主に番号利用事務系を対象としているため、他環境も含めた記載の拡 充を実施し、改正予定