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一人一殺開発の崩壊から始まったスクラム開発

 一人一殺開発の崩壊から始まったスクラム開発

scrum fes sendai 2024の発表資料です。
https://www.scrumfestsendai.org/

吉田勇太 / ysdyt

August 24, 2024
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  1. ©10X, Inc. All Rights Reserved. 6 ネットスーパーアプリ ネットドラッグストアアプリ AIによる推薦や高精度の検索により数万点の SKUからスムーズに買い物ができる

    UX 主な機能 • 数万SKUから商品からスムーズにカゴを作成 • キーワード・カテゴリ検索・お気に入り・注文変更・購入履 歴といった基本機能 • 商品の受け取り方法を選択 • 注文状況・配達状況の確認や通知 • Web(オプションにて提供)
  2. ©2024 10X, Inc. 商品カテゴリー セールス種類 商品画像 商品名 金額(税率) 当該店舗の 在庫有無

    商品説明文 「商品マスタ」と呼ばれる どの商品が 、いつ、どの店舗に 、いくらで、何個あるか を 全パートナー、全店舗、全商品で、 毎日生成しているチームです!🛒 我々データチームが作っているもの 1店舗だけで数万種類の商品!
  3. ©2024 10X, Inc. スタートアップと一人一殺開発の引力 • PMF前のフェーズのプロダクト開発 • 「何を作るべきか」「どう作るか」を作りながら 理解する側面が強い •

    「早く探索する」「動くものを作る」ことが最優先の現場と ” 一人一殺開発” は相性が良い ◦ いい意味で「属人性」をフルに使う
  4. ©2024 10X, Inc. 14 • ローンチラッシュが終わり、各社運用フェーズに突入 • 調査チケット・バグ修正依頼 が届き始める •

    動くことを最優先にしたから織り込み済み!僕たちなら大丈夫! 複数パートナーの保守運営フェーズに突入
  5. ©2024 10X, Inc. 15 • 倒しても倒しても毎日届く問い合わせ... ◦ 業務委託メンバーのPRレビューが溜まっていく... • 修正が追いつかない

    • 直してもデグレ、直してもデグレ、直してもデグレ… おや、思ってたよりも苦しいぞ...
  6. ©2024 10X, Inc. 17 一人一殺の先に待っていた「チーム」の状態 全員が別々のことを やっているので、お互いが 順調なのか遅れているのか 分からない 進捗確認は、「間に合いそ

    うか」「依頼されたバグは 直ったか」のみ 振り返りも「お互い大変だね」と ねぎらう場になり共通の学びが 得られづらい 朝会も振り返りも 欠席者が増える スクラムとデッドライン壊れゆくチームをつなぎとめるもの/Scrum and Deadlines - Speaker Deck から一部印象
  7. ©2024 10X, Inc. 19 • 何を壊すかわからなくて、怖くてコードを触れない • 仕様が不明瞭なので真っ当なレビューができない • チームで問題を話そうにも途方もなさすぎる

    • ヘルプも厳しい。全員が各自対応をしていて余裕がない • タスクをコントロールできていない。場当たりで対応しているだけ感 • とある大型パートナーの担当となったとき、バグを出さずにリリースできる自信がい よいよ全くなくなった これ、もうどうしようもなくない? 自分もかなり参っていた
  8. ©2024 10X, Inc. 28 過去の反省とこれからどうなりたいか意思統一 • なぜスクラムをやりたいのか? • 一人一殺は本当にだめだったのか? •

    なぜこれまでスクラムを採用しなかったのか? • 我々は何を作っているのか?アウトカムは何? ひと月目。まず、メンタル合わせに時間を使う
  9. ©2024 10X, Inc. 29 • スクラムガイドの読み合わせ • 初めてプロダクトバックログを作 る •

    「教科書的なスクラム」を まずはやってみよう ふた月目。基本を学び土台を固める。Sprint0スタート 「スクラムを始められる」ことがゴールのバックログを作成
  10. ©2024 10X, Inc. 32 • 月に一回、チームメンバー全員で集まって一日みっちり議論する ◦ (一人一殺時代はそもそも集まっても意味がなかった) ◦ 感情も含めた話をする。(ex.

    腹落ちしてない、誤解を恐れずにいうと、敢えて 厳しい言い方をしてみると etc…) 顔を合わせて疲れきるまで議論して合意する フルリモートのためチーム全員が広域に居住 気軽には集まれない
  11. ©2024 10X, Inc. 33 • プロダクトバックログがチームの持ち物となることで、 ◦ 重要度の高い属人的なタスクが可視化 され、 それを解消するために議論される

    ようになった ◦ 一人一殺の断片的なインクリメントではなく、 開発/改善がチームとしての「積み上がる成果」 になった スクラムを導入し、特に価値を感じていること
  12. ©2024 10X, Inc. 35 • 「動くこと」が最優先 → 一人一殺・属人性への引力 • プロダクト品質が問題になる。継続的改善への壁。

    • スクラムに不慣れな職種メンバー • 新しい「アジャイルな価値観」のインストールとアンラー ニング スタートアップのデータチームがスクラムに挑戦した話 スクラム方法論からの問いかけ ↓ 意見や感情 /モチベーションの発露・ 対応・議論 ↓ チームとしての意思統一と同時に 個人のマインドセット整理 ↓ あとは実践を通じて学ぶ まとめ プロダクトバックログで タスクをチームのものにする。 地道なペアプロ /ナレッジ共有
  13. ©2024 10X, Inc. 37 改善を実感できて初めて「チーム」になれる • 綺麗事抜きでやっぱりこれ ◦ 「なんか最近いい感じになってきたね」の声が聞こえてきてからチーム感が増してきた •

    踏ん張る期間が必要 ◦ Sprintごとにアウトプットが積み上がっていく感覚が得られるが、 ▪ 良いときと悪い時と上下する。右肩上がりに良くなるわけではない • 最初の数カ月はむしろモヤモヤが増えた時期もあった • 一人一殺に戻る引力が常に働く。踏ん張る。 ▪ 透明性・検査・適応のサイクルは複利的に影響を生む。時間がかかる。 • それまで踏ん張れ