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Claude Cowork Plugins を読む - Skills駆動型業務エージェント設計...

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Claude Cowork Plugins を読む - Skills駆動型業務エージェント設計の実像と構造

AI社会実装勉強会第56回 (https://machine-learning-workshop.connpass.com/event/385476/) の発表資料です。

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Transcript

  1. 0 前提共有 皆さんは Claude Code をもう知っている コマンドラインからの ファイル操作・外部連携 今日の話は 「届け方が変わった」話

    新しいモデルではなく 新しいインターフェース 後半はrepo紹介と 自作デモ 実物を見て 応用を考える
  2. 1 Claude Codeで何ができていたか ファイルの読み書き・整理 例:散らばったメモから報告書の下書きを生成 外部ツール連携( MCP経由) 例:Slackのメッセージを取得して要約を作成 マルチステップの自律実行 例:計画→実行→確認を人の介入なしで進める

    データ分析・レポート生成 例:CSVを読み込み、集計結果をスプレッドシートに出力 ただし… 入口がターミナル。 使えるのは コマンドラインに 慣れた人だけだった。 能力はすでにあった。問題は「誰が使えるか」だった。
  3. Cowork とは何か Claude Code の「非技術者版」 デスクトップアプリの「Cowork」タブで、 フォルダを1つ指定するだけで利用開始。 Claudeがそのフォルダ内のファイルを 自律的に読み書き・整理・作成する。 ユーザーはチャットで依頼するだけ。

    ターミナルもコマンドも不要。 余談:Cowork自体が約10日でClaude Codeによって構築された。開発者 は3〜8個のClaudeインスタンスを並列運用し、人間は設計判断に集中し た。 ポイント 基盤 Claude Codeと同じAgent SDK 対象 Max / Pro / Team / Enterprise 動作 macOS / Windows デスクトップ アプリ 中身 Linuxサンドボックス上で実行 「チャットのやり取り」ではなく「同僚にメモを残す」感覚。
  4. インターフェースが変わることの意味 歴史が教えること CLI → GUI OSの能力は変わらなかったが、 GUIの登場で使えるユーザーが激増。 アプリケーション市場が爆発的に拡大した。 今回も同じ構造 Claude

    Code → Cowork 能力は同じ基盤(Agent SDK)。 UIが変わったことで、開発者以外にも 同じパワーが届くようになった。 使える人が変わると、使われ方が変わり、影響範囲が変わる Cowork発表後、SaaS企業の株価が大きく変動した。 Thomson Reuters -16%、LegalZoom -20%(Plugin公開後にさらに加速)。 技術の能力が同じでも、アクセシビリティの変化だけで市場インパクトが生まれた。
  5. 2 公開された Pluginの全体像 anthropics/knowledge-work-plugins に11のプラグインがOSSで公開 productivity タスク管理・カレンダー・日常ワー クフロー sales 見込み客調査・商談準備・パイプ

    ライン管理 customer-support チケット対応・エスカレーション・ KB 化 product-mgmt 仕様書作成・ロードマップ・ユー ザーリサーチ marketing コンテンツ作成・キャンペーン・ブラ ンド管理 legal 契約レビュー・ NDAトリアージ・コン プライアンス finance 仕訳・決算・財務諸表・分散分析 data SQLクエリ・ダッシュボード・データ 探索 enterprise-search 社内ツール横断検索(メール・ チャット・Wiki) bio-research 文献検索・ゲノム解析・臨床試験 設計 plugin-mgmt プラグイン自体の作成・管理 OSSはこの11個。Cowork UI上にはApollo, Brand voice等さらに追加のプラグインも提供されている。
  6. Plugin の設計構造 ディレクトリ構造 plugin-name/ ├── .claude-plugin/ │ └── plugin.json ←

    Manifest ├── commands/ ← Commands │ └── call-prep.md ├── skills/ ← Skills │ └── sales-playbook/ │ └── SKILL.md └── .mcp.json ← MCP接続 Manifest プラグインの識別情報 バージョン・配布単位 Commands 仕事の開始ボタン /sales:call-prep Skills 暗黙知の外部化 自動発動する判断基準 MCP 外部ツール接続 Slack, HubSpot等 全部Markdownファイル。コードではなく「業務知識の記述」。
  7. なぜこの4つに分かれているのか Pluginの4要素はそれぞれ異なる問いに答えている Manifest 「これは何か?」 プラグインの名前・バージョン・配布単位を定義。 npmのpackage.jsonに相当する。 Commands 「どう始めるか?」 明示的な開始点。ユーザーが /sales:call-prep

    と打つと 特定のワークフローが起動する。 Skills 「どう判断するか?」 判断基準・行動原則を記述。Claudeが状況に応じて 自動的に参照する。呼び出し不要。 MCP 「何と繋がるか?」 外部ツールとの接続を宣言。Slack, HubSpot, BigQuery等 を標準プロトコルで接続。 4つの問い(何か・どう始めるか・どう判断するか・何と繋がるか)で業務が記述される。
  8. Skill と Command の違い Skill = 思考の設計 状況に応じて自動的に発動する 明示的な開始トリガーを持たない 判断基準・行動原則を外部化する

    例:営業プレイブック、レビュー基準、 評価原則、KPI定義 比喩:「この人はこう判断できる」 Command = 開始ボタン 明示的なトリガーで起動する 仕事の入口を固定する ワークフローの制御を行う 例:/sales:call-prep /legal:review-contract /data:write-query 比喩:「この仕事を始めて」
  9. Skill の中身:実際の Markdown Skillファイルの中身は「業務の判断基準」を自然言語で書いた Markdownファイル legal/skills/ のPlaybook例 ## Limitation of

    Liability - Standard: Mutual cap at 12mo fees - Acceptable: 6-24 months - Escalation: Uncapped liability ## IP Ownership - Standard: Each party retains pre-existing IP - Escalation: Broad IP assignment これが意味すること コードではない 自然言語で書かれた業務上の判断基準。 プログラミングスキルは不要。 Claudeが自動参照する 契約レビュー時、 Claudeがこの基準を 自動的に読み込み、逸脱を指摘する。 業務知識の棚卸し Skillを書くこと自体が、暗黙的だった 判断基準を組織の形式知に変える作業。
  10. MCP(Model Context Protocol)とは LLMと外部ツールを繋ぐ「接続の共通規格」。 2024年11月にAnthropicが公開。 Claude (LLM) 推論・判断・生成 MCP 共通プロトコル

    JSON-RPC 2.0ベース どのLLMからでも利用可 外部ツール Slack / GitHub / Notion HubSpot / BigQuery Asana / Jira 等 現在:月間9700万DL超のSDK。OpenAI・Google・Microsoftも採用。Linux Foundationに寄贈済み。
  11. 設計パターンとして見えるもの Cowork Pluginsから抽出できる共通構造 1 職務単位で分割する sales, legal, data… 職務ごとに独立した Pluginにする

    2 開始点を固定する /sales:call-prep のように 明確なCommandを設計する 3 暗黙知を外部化する 判断基準・ポリシーを SkillとしてMarkdownに書く 4 接続を標準化する .mcp.json で外部ツールの 接続先を宣言する 5 配布単位を作る plugin.json(manifest)で インストール可能にする この5つが揃うと「業務がインストール可能なパッケージ」になる。
  12. 何が新しくて、何が新しくないのか 新しくない 新しい モデル能力 Claude自体の推論力 — 実行能力 ファイル操作、外部連携 — 接続標準

    — MCP(2024年11月〜) 業務構造化 — Skill / Command / Manifest 配布単位 — Plugin(install / marketplace) ユーザー層 開発者 非技術者にも開放 「AIが突然賢くなった」のではなく「既存の能力に配線と梱包がついた」。
  13. 自分で Plugin を作るには 3つのルートがあり、いずれもコーディング不要 A Plugin Create で自然言語から生成 最も手軽。Cowork UIで「Plugin

    Create」を選び、作りたいものを日本語で説明するだけ。 Claude がディレクトリ構造・ Skill・Command・MCP設定をすべて生成してくれる。 B 公式Pluginをカスタマイズ 既存の11プラグインをインストール → 「Customize」ボタン → Claudeが対話で調整を案内。 .mcp.json のコネクタ差し替え、 Skillに自社用語・プロセスを追加、 Commandの調整など。 C ディレクトリを手動で構築 plugin.json + commands/ + skills/ + .mcp.json を自分で作成。Claude Code の /plugin コマンドで ローカルテスト → marketplace に登録して配布。 ZIPにしてCoworkにドラッグ&ドロップも可。
  14. デモ:eng-evaluation Plugin の構造 ディレクトリ構造 eng-evaluation/ ├── CLAUDE.md ← Claude Code用の指示

    ├── README.md ← 使い方・前提条件 ├── commands/ │ └── quarterly-review.md ← Command └── skills/ └── SKILL.md ← 評価観点(自動参照) Command: quarterly-review /eng-evaluation:quarterly-review で起動。 対象ユーザー・リポジトリ・期間を指定すると、 PR・レビュー・Issueを収集→分析→ Markdownレポートを生成。 Skill: engineer-evaluation 5つの評価軸を定義(自動参照): 1. 実装力(PRサイズ・リードタイム) 2. レビュー貢献(件数・応答速度・質) 3. 技術的リーダーシップ 4. 協働・コミュニケーション 5. 成長トレンド 注意書き:「GitHub外の貢献は反映されない」 「面談のたたき台であり最終評価ではない」
  15. Skill の中身:何を書いているのか skills/SKILL.md から抜粋 SKILL.md 抜粋 --- name: engineer-evaluation description:

    エンジニア評価の観点と 判断基準。レビュー資料生成時に自動参照。 --- # エンジニア評価の観点 ## 評価の原則 - 数値は「傾向の手がかり」であり それ自体が評価ではない - レビュー活動はコードを書くことと 同等の貢献として扱う ### 2. レビュー貢献 - レビュー件数と応答速度 - コメントの質:具体性、代替案の提示 ## 注意事項 - GitHub に残らない貢献は反映されない - 本資料は面談の「たたき台」であり 最終評価ではないことを明記する ここで起きていること 暗黙知の言語化 「レビューも実装と同じ価値」 という判断基準を明文化 ガードレールの設置 数値偏重を防ぐ注意書きが Claude の出力を制御する 文化の形式知化 チームの評価文化が ファイルとして共有・改善可能に