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Transformer

 Transformer

2022年6月8日にSSII 2022のチュートリアル講演で使用
2023年2月2日に順天堂大学産学連携講座:AI技術とビジネス活用で使用

2017年に機械翻訳を対象として提案されたTransformerは、従来の畳込みや再帰を排して自己注意機構を活用したニューラルネットワークです。2019年頃からコンピュータビジョン分野でも急速に応用が進んでいて、より柔軟かつ高精度なネットワーク構造としての地位を確立しつつあります。本スライドでは、そんなTransformerの最前線を概説しています。基盤モデルやVision Transformer、MLP/CNNの逆襲についても取り扱っています。

・そもそもTransformerって?
・Transformer旋風と基盤モデル
・Transformerのノウハウ
・Transformerはオワコン?!
・CNNはオワコン?!

Yoshitaka Ushiku

June 08, 2022
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Transcript

  1. 自己紹介(学職歴) 2013.6~2013.8 Microsoft Research Intern 2014.3 博士(情報理工学)、東京大学 2014.4~2016.3 NTT CS研

    研究員 2016.4~2018.9 東京大学 講師 (原田牛久研究室) 2016.9~ 産業技術総合研究所 協力研究員 2016.12~2018.9 国立国語研究所 共同研究員 2018.10~ オムロンサイニックエックス株式会社 Principal Investigator 2019.1~ 株式会社 Ridge-i Chief Research Officer 2020.4~2023.3 津田塾大学 非常勤講師 2021.7~ 東北大学 非常勤講師 2022.1~ 合同会社ナインブルズ 代表 [Ushiku+, ACMMM 2012] [Ushiku+, ICCV 2015] 画像キャプション生成 動画の特定区間と キャプションの相互検索 [Yamaguchi+, ICCV 2017] A guy is skiing with no shirt on and yellow snow pants. A yellow train on the tracks near a train station.
  2. 自己紹介(その他) 主な学術団体活動 ACM・IEEE・情報処理学会・応用物理学会 一般会員 コンピュータビジョン勉強会@関東 幹事 電子情報通信学会 パターン認識・メディア理解研究会 専門委員 情報・システムソサイエティ

    庶務幹事 著作権管理委員会 委員 人工知能学会 論文誌編集委員会 編集委員 建築情報学会 理事 日本ロボット学会 代議員 日本ディープラーニング協会 有識者会員 共立出版 コンピュータビジョン最前線 編集 主な研究プロジェクト 2022-2025 人と融和して知の創造・越境をするAIロボット JST Moonshot(PM:牛久祥孝) 2021-2025 マテリアル探索空間拡張プラットフォームの構築 JST 未来社会創造事業(代表:長藤圭介) 2017-2020 多様なデータへのキャプションを自動で生成する技術の創出 JST ACT-I(代表:牛久祥孝) 2017-2021 機械可読時代における文字科学の創成と応用展開 JSPS 基盤研究(S)(代表:内田誠一)
  3. 本講演について Transformerの基本的な動作から応用範囲、最近のMLP系ネットワーク までの俯瞰 • そもそもTransformerって? • Transformer旋風と基盤モデル • Transformerのノウハウ •

    Transformerはオワコン?! • CNNはオワコン?! 本講演の資料の最新バージョン→ (サブタイトルにも掲載しております)
  4. 色々聞きすぎて良く分からない!という人のために • Transformerはトークン(単語やパッチなど)をResidual接続しなが ら2つのモジュールを繰り返しているだけ! – トークンを混ぜるToken Mixer – トークンを変換するMLP •

    話題になったMLP系も実は基本的に同じ構造! • …あとは色々とノウハウがあるので気を付けましょう 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 ベクトルを まぜて変換 ベクトルを 個別に変換 正 規 化 正 規 化 点線部を複数回繰り返す
  5. Positional Encoder 入力ベクトルの位置と出力ベクトルの位置を表すベクトル • 単語の分散表現なら「文中の何単語目?」 • 画像の特徴量なら「画像内のどこの座標?」 • 時系列の特徴量なら「何秒時点の情報?」 RNNやCNNは各特徴量の位置情報を知っている

    • 「RNNもCNNも各要素の相対位置を知っている」 [Shaw+, NAACL-HLT’18][Dai+, ACL’19] • 「CNNは各要素の絶対位置を学習している」[Islam+, ICLR’20] 画像の顕著性推定で、画像全体を入力 vs. 一部の画像を入力→それぞれ”画像の中央”は顕著性が大きい [Vaswani+, NIPS’17]では単語の位置を サイン・コサインでベクトル化 →波のマークはサイン・コサインの意味
  6. Autoregressive vs. Non-autoregressive 出力のベクトルを… • Autoregressive= 1個ずつ推定する – 入力のベクトル群と出力済みのベクトル群を用いて 新たなベクトルを出力

    – 「終わり」を意味する単語が出るまで繰り返す – 元のTransformer [Vaswani+, NIPS’17] はAutoregressive – 精度は良いが遅い • Non-autoregressive=全部一気に推定する – 何らかの方法で複数個の出力ベクトル用の 「タネ」となるベクトルを入力[Gu+, ICLR’18][Guo+, AAAI’19] • 並列で1回で計算できるので速いが、精度が低下 – 一気に推定するのを繰り返して単語数を調整 [Ghazvininejad+, EMNLP’19][Gu+, NeurIPS’19] 一旦無視 𝒌𝒌個の出力済み ベクトル 𝒌𝒌 + 𝟏𝟏個目の 出力ベクトル 一旦無視 𝑲𝑲個の「タネ」 ベクトル 𝑲𝑲個の 出力ベクトル
  7. Multi-head Attention おさらい: 扱うのは任意の個数のベクトル • 自然言語処理であれば単語の分散表現の系列+位置情報 • 画像認識であればタテ×ヨコにチャネル数分の 次元のベクトル(局所特徴量)が 並んだ数列+タテ・ヨコの位置情報

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 Ougai , 鷗外さん♂ you look like the cat that ate the canary .
  8. このベクトル に注目して考える 2. 「類似検索」対象としての各ベクトルのキー𝒌𝒌 = 𝑊𝑊𝐾𝐾𝒙𝒙を計算 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒒𝒒 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌
  9. このベクトル に注目して考える 3. クエリとキーの内積を次元数𝑑𝑑とsoftmaxで正規化した「類似度」 𝑎𝑎 = softmax 𝒒𝒒⊤𝒌𝒌/ 𝑑𝑑 を計算

    𝒙𝒙 𝒒𝒒 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝒌𝒌 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 = = = = = = = = = = = = 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙
  10. このベクトル に注目して考える 4. 各ベクトルの代表値𝒗𝒗 = 𝑊𝑊𝑉𝑉𝒙𝒙を計算 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗
  11. このベクトル に注目して考える 5. 類似度𝑎𝑎で重みづけした和∑𝑎𝑎𝒗𝒗を計算→ベクトル に加算(residual接続有) 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝑎𝑎 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒗𝒗 𝒙𝒙 ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ 𝒙𝒙 更新後のベクトル
  12. Scaled Dot-Product Attention 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 手順1~5をすべてのベクトルに対して実行する という図に該当
  13. Multi-head Attentionでは 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 行列𝑊𝑊𝑄𝑄, 𝑊𝑊𝐾𝐾, 𝑊𝑊𝑉𝑉をℎ個用意し、それぞれを用いながら 手順1~5をすべてのベクトルに対して実行する という図に該当
  14. Transformer まとめ 任意の個数のベクトルを 形式で変形する技術 Encoder-Decoder N回繰り返す 例えばGPT-3では • 96回繰り返す •

    各回96-headsの Attention(128次 元) →パラメータ数 175B ※2022年4月にGoogle が公開したPaLMは540B [Chowdhery+, 2022]
  15. (Attentionの無い)CNNやRNNとの違い 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 CNN Transformerは… 全𝒏𝒏個のベクトルから全𝒏𝒏個のベクトルへのアテンションを計算 𝑂𝑂(𝑛𝑛2)だが一番広域に情報がロス無く伝達可能 CNNは… 3つなど、全体からすれば少数の ベクトルだけの畳込み計算を走査 𝑂𝑂 𝑛𝑛 だが情報が伝わるのは近隣だけ RNNは… ベクトルを一つずつ走査しながら 内部のセルに変数(記憶)を保存 𝑂𝑂 𝑛𝑛 だが長い系列は不得手 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 RNN
  16. Computer Vision以外 • 自然言語処理 – 翻訳かつ原著 [Vaswani+, NIPS’17] その他多数!!! –

    言語モデル GoogleのBERT [Devlin+, NAACL-HLT’19], PaLM [Chowdhery+, 2022], DeepMindのGopher [Rae+, 2022], OpenAIのGPT-2/3 [Radford+, 2019][Brown+, NeurIPS’20] など多数 – 2兆トークンからなるデータベースの検索 [Borgeaud+, 2021] • 音声処理・信号処理 – 表現学習 HuBERT [Hsu+, TASLP’21], SSAST [Gong+, AAAI’22] – 音声認識 [Lüscher+, INTERSPEECH’19] – 音楽生成 [Huang+, ICLR’19][Choi+, ICML’20] – 時系列予測 [Li+, NeurIPS’19][Wu+, NeurIPS’20] • テーブルデータ – FT-Transformer [Gorishniy+, NeurIPS’22] ※ただし表データは依然としてGradient Boostingが強い • Bio/Chem-informatics – 分子構造解析 [Fuchs+, NeurIPS’20][Rong+, NeurIPS’20] • エージェント・ロボティクス – マルチエージェント通信 [Inala+, NeurIPS’20] – One Shotで模倣学習 [Dasari+Guputa, CoRL’20] – タスク系列の強化学習 Scene Memory Transformer [Fang+, CVPR’19], Decision Transformer [Chen+, NeurIPS‘21], Trajectory Transformer [Janner+, NeurIPS‘21], Gato [Reed+, 2022]
  17. Vision & Language 表現学習→基盤モデル VideoBERT [Sun+, ICCV’19] LXMERT [Tan+Bansal, EMNLP’19]

    ViLBERT [Lu+, NeurIPS’19] VL-BERT [Su+, ICLR’20] UNITER [Chen+, ECCV’20] OSCAR [Li+, ECCV’20] Voken [Tan+Bansal, EMNLP’20] COOT [Ging+, NeurIPS’20] Perceiver [Jaegle+, ICML’21] PolyViT [Likhosherstov+, 2021] Flamingo [Alayrac+, 2022] キャプション生成 [Zhou+, CVPR’18][Li+, ICCV’19][Cornia+, CVPR’20] TextVQA [Kant+, ECCV’20] 動画検索 [Gabeur+, ECCV’20] [Tan+Bansal, EMNLP’20] [Cornia+, CVPR’20] He starts his motorbike Then walks away. 参照表現理解 MDETR [Kamath+, ICCV’21]
  18. Vision Transformer [Dosovitskiy+, ICLR’21] • 画像からTransformerのみで学習すると – ResNet152層とほぼ同等の精度かつ25%程度の学習時間 – JFT-300Mという大規模データセットが必要

    – 知識蒸留を組み合わせて、ImageNetの1000クラス画像データのみの学習でも EfficientNetを超えたDeiTも有名 [Touvron, ICML’21] • エンコーダのみのTransformer – 実はオリジナルのTransformerよりも構造が単純で理解も容易
  19. MobileViT • 中央のブロックでは… – 各パッチを左右方向に展開 (Unfold) – 縦にスライスしたベクトル集合毎にTransformerを適用 • 言い換えると、𝑑𝑑次元ベクトルが𝑁𝑁個ある集合上でのTransformerをP回適用

    – もう一度各パッチを正方形に戻す (Fold) [Mehta+Rastegari, ICLR’22] ℎ 𝑤𝑤 𝑑𝑑 𝑃𝑃 = 𝑤𝑤𝑤 𝑑𝑑 Unfold MV2: MobileNet v2 block ↓2: down sampling
  20. 有名な基盤モデル 言語+画像編 • CLIP [Radford+, ICML 2021] – 4億の画像とキャプションのペアによる自己教師あり学習 –

    (ResNet50も試したけど)ViTとTransformerを使用 – Zero/Few-shot学習や損失関数として活用可能
  21. 有名な基盤モデル 言語+画像編 • DALLE [Ramesh+, ICML’21] /DALLE-2 [Ramesh+, 2022] –

    どちらもCLIPを活用して言語から画像を生成 – DALLE • Transformerで言語と画像をエンコード • VQVAEという量子化されたVAEで画像を生成 – DALLE2 • Transformer (CLIP)で言語をエンコード • 拡散モデルによって画像を生成
  22. 要するに 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 ベクトルを まぜて変換 ベクトルを 個別に変換 正 規 化 正 規 化 点線部を複数回繰り返す
  23. 要するに 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 ベクトルを まぜて変換 ベクトルを 個別に変換 正 規 化 正 規 化 点線部を複数回繰り返す
  24. 要するに ベクトルを まぜて変換 ベクトルを 個別に変換 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙

    𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 正 規 化 正 規 化 点線部を複数回繰り返す ベクトルを 個別に変換
  25. 同じところ vs. 変わったところ • みんな同じところ – ベクトルの集合を変換するモジュールを繰り返し適用する – 変換はベクトルをまぜて変換するか、ベクトルを個別に変換する かの2通り

    – ベクトルを個別に変換する方法はMLP – 誤差消失や爆発を防ぐための正規化(Layer Normalization) – 同じ目的で導入されているSkip Connection • Transformerから変わったところ – ベクトルをまぜて変換する方法がAttentionから行列積になった – ベクトルの位置情報をベクトル自身が保持(Transformer) →ベクトルのインデックスに併せてネットワークが保持(MLP系)
  26. 同じところ vs. 変わったところ • みんな同じところ – ベクトルの集合を変換するモジュールを繰り返し適用する – 変換はベクトルをまぜて変換するか、ベクトルを個別に変換する かの2通り

    – ベクトルを個別に変換する方法はMLP – 誤差消失や爆発を防ぐための正規化(Layer Normalization) – 同じ目的で導入されているSkip Connection • Transformerから変わったところ – ベクトルをまぜて変換する方法がAttentionから行列積になった – ベクトルの位置情報をベクトル自身が保持(Transformer) →ベクトルのインデックスに併せてネットワークが保持(MLP系) – ベクトルをまぜて変換する方法がAttentionから行列積になった gMLPの論文内の報告 「ネットワーク内はほとんどMLPだけど、 ちょっとだけAttention入れた手法(aMLP)は さらに高性能」
  27. MetaFormer [Yu+, CVPR’22] なんてことを2021年頃から言っていたら… • MLP-like modelとTransformerの違いは Token Mixerの部分だけ →まさに「ベクトルをまぜて変換」

    • 混ぜるのPoolingでも良くない? • ImageNetの1000クラスデータの学習で ViT系やMLP系の手法よりも高精度だよ
  28. HyperMixer [Mai+, 2022] なんてことを2021年頃から言っていたら… • MLP-MixerとTransformerの違いは Token Mixingの部分だけ →まさに「ベクトルをまぜて変換」 •

    MLP-Mixerと違って位置不変なToken Mixingを行うHyperMixerを作ったよ • 自然言語処理の各タスクで良好な精度 を実現したよ
  29. Transformerの基本性能向上を心がけた軌跡 • ELU [Clevert+, ICLR 2016] • GeLU [Hendrycks+Gimpel, 2016]

    • Swish [Ramachandran+, ICLR WS 2018] • SELU [Klambauer+, NIPS 2017] • GLU [Dauphin+, ICML 2017] • RMS [Zhang+Sennrich, NeurIPS 2019] • ReZero [Bachlechner+, 2020] • Fixup [Zhang+, ICLR 2019] • Adaptive Softmax [Joulin+, ICML 2017] • Mixture of Softmaxes [Yang+, ICLR 2018]
  30. …が無駄に続けられている近年?! • Transparent Attention [Bapna+, EMNLP 2018] • Evolved Transformer

    [So+, ICML 2019] • Synthesizer variants [Tay+, 2020] • Funnel Transformer [Dai+, NeurIPS 2020] • Lightweight and Dynamic convolution [Wu+, ICLR 2019] • Mixture of Experts Transformer [Shazeer+, NeurIPS 2018][Lepikhin+, ICLR 2021] • Switch Transformer [Fedus+, 2021] • Product Key Memory [Lample+, NeurIPS 2019] • Universal Transformer [Dehghani+, ICLR 2019]
  31. 改善方法の分類 1. 活性化関数 2. 正規化 3. 深さ 4. 埋め込み 5.

    パラメータ共有 6. Softmaxの改良 7. 全体のアーキテクチャ ※ 必ずしもTransformerの改善を意図して発表された手法だけ では無いので注意
  32. 1. 活性化関数の改善の歴史 • ELU [Clevert+, ICLR 2016] – 負の部分だけ指数関数で-1に漸近し、基本的に滑らかな形をとる。 –

    被引用数3000超! • GeLU [Hendrycks+Gimpel, 2016] – ReLUに似た形だけど導関数が滑らか。 – BERTにもGPT-3にも使われているけどICLRからはリジェクトされている。頑張れ。 • Swish [Ramachandran+, ICLR WS 2018] – ReLUに似た形だけど導関数が滑らか。あれ言っていることがGeLUと変わらない。 • SELU [Klambauer+, NIPS 2017] – Self-Normalizing Neural Networksを提案する論文の一部。ELUを正の部分でも負の部 分でも定数倍したもの。 – SELU自体の評価は行われていない。査読者もツッコんでいるのに何故通った。 • GLU [Dauphin+, ICML 2017] – LSTMのGate部分を持ってきた活性化関数。 – 線形変換+活性化関数(シグモイド)を通した0~1の値をもつGateと、別途計算した 線形変換の要素積。
  33. 1. 活性化関数の改善の歴史 • ELU [Clevert+, ICLR 2016] – 負の部分だけ指数関数で-1に漸近し、基本的に滑らかな形をとる。 –

    被引用数3000超! • GeLU [Hendrycks+Gimpel, 2016] – ReLUに似た形だけど導関数が滑らか。 – BERTにもGPT-3にも使われているけどICLRからはリジェクトされている。頑張れ。 • Swish [Ramachandran+, ICLR WS 2018] – ReLUに似た形だけど導関数が滑らか。あれ言っていることがGeLUと変わらない。 • SELU [Klambauer+, NIPS 2017] – Self-Normalizing Neural Networksを提案する論文の一部。ELUを正の部分でも負の部 分でも定数倍したもの。 – SELU自体の評価は行われていない。査読者もツッコんでいるのに何故通った。 • GLU [Dauphin+, ICML 2017] – LSTMのGate部分を持ってきた活性化関数。 – 線形変換+活性化関数(シグモイド)を通した0~1の値をもつGateと、別途計算した 線形変換の要素積。 要するに… ReLU ELU/SELU GeLU/Swish 負の部分が下がる 大体ReLUで滑らか
  34. 1. 活性化関数の改善の歴史 • ELU [Clevert+, ICLR 2016] – 負の部分だけ指数関数で-1に漸近し、基本的に滑らかな形をとる。 –

    被引用数3000超! • GeLU [Hendrycks+Gimpel, 2016] – ReLUに似た形だけど導関数が滑らか。 – BERTにもGPT-3にも使われているけどICLRからはリジェクトされている。頑張れ。 • Swish [Ramachandran+, ICLR WS 2018] – ReLUに似た形だけど導関数が滑らか。あれ言っていることがGeLUと変わらない。 • SELU [Klambauer+, NIPS 2017] – Self-Normalizing Neural Networksを提案する論文の一部。ELUを正の部分でも負の部 分でも定数倍したもの。 – SELU自体の評価は行われていない。査読者もツッコんでいるのに何故通った。 • GLU [Dauphin+, ICML 2017] – LSTMのGate部分を持ってきた活性化関数。 – 線形変換+活性化関数(シグモイド)を通した0~1の値をもつGateと、別途計算した 線形変換の要素積。 そしてぶっちゃけ… 精度大して上がりません
  35. ここで先に:実験概要 • 転移学習課題:Text-to-Text Transfer Transformer (T5) – テキストを入れてテキストを出す複数の課題のための事前学習 – 6.1TBのテキストをフィルタリングして約750GBにしたColossal

    Clean Crawled Corpus (C4)を利用 – 本論文は次の3つの課題を採用 • QAや推論などの複合タスク SuperGLUE [Wang+, NeurIPS 2019] • 文の要約 XSum [Narayan+, EMNLP 2018] • 質問応答 WebQuestions [Berant+, EMNLP 2013] • 機械翻訳課題:WMT’14の英独翻訳タスク
  36. 活性化関数にまつわる実験結果 • パラメータ数と計算量が揃う様に調整 – Final loss = 文法モデル性能、ここだけ lower is

    better – SGLUE = 複合課題 – XSum = 要約課題 – WebQ = 質問応答 – WMT EnDe = 機械翻訳 • 結果:共通して性能が向上した手法が無い – 性能向上=太字と言っているけどしばしば間違っているので注意
  37. 精度が良くなった活性化関数もある • GLUの発展形 [Shazeer, 2020] – GLUは線形変換+活性化関数によるゲートと線形変換の要素積 – GLU自体は活性化関数をシグモイドとしていた •

    以下のバリエーションを試してみた – GeGLU:活性化関数がGeLU(ReLUみたいな形の滑らかなやつ) – ReGLU:活性化関数がReLU – SwiGLU:活性化関数がSwish(ReLUみたいな形の滑らかな奴) • パラメータ数5400億の超巨大言語モデルPaLMでも利用 [Chowdhery+, 2022] – LiGLU:活性化関数なし(双線形形式) – あれ、ELUやSELUとも組合せてみないの…?
  38. GLUのバリエーションの評価 • 評価方法は前述通り – Final loss = 文法モデル性能、ここだけ lower is

    better – SGLUE = 複合課題 – XSum = 要約課題 – WebQ = 質問応答 – WMT EnDe = 機械翻訳 • GLUとLiGLUは少し下がる結果もあるが… 他のバリエーションは一貫して効果アリ
  39. 2. 正規化の改善の歴史 • Vanilla Transformer:LayerNorm [NIPS DLS 2016] – ベクトルの要素ごとの平均と分散で正規化。

    • RMS [Zhang+Sennrich, NeurIPS 2019] – LayerNormが遅いので平均抜きで正規化。 • ReZero [Bachlechner+, 2020] – タイトルの出だしがReZero is All You Need… 出たよ◦◦ is All You Need系論文。 – 元のTransformer(左側)の変換部分に学習可能 パラメータα(初期値ゼロ)を掛ける(右側)。 • Fixup [Zhang+, ICLR 2019] – 正規化を一切せずに、Residualブロックの初期値を0とか1にするだ けでもBatchNormやLayerNormと近い精度を達成。
  40. 3. 深さについての検証 • 右図のFeed Forward部分 – 線形変換その1→ReLU→線形変換その2 – パラメータ数のトレードオフを調べたい •

    全体の層数(右図におけるN) • 真ん中の部分の次元数𝑑𝑑ff • Multi-Head Attentionのヘッド数𝐻𝐻 • 調べた結果 – Vanillaは 12 layers, 𝑑𝑑ff = 3072, 𝐻𝐻 = 12 – 層数が深い方が精度良さげだが、1秒当たりのステップ計算が遅い。
  41. 4. 埋め込み方法についての検証 • InputとOutputは語彙×埋め込み次元のパラメータ – NLPだとパラメータ数に影響が大きい • 行列分解(ALBERT [Lan+, ICLR

    2020] より) – 語彙×埋め込み次元 → 語彙×内部次元と内部次元×埋め込み次元 • エンコーダの入出力での埋め込み [Chung+, ICLR 2021] – 共有(Tied)か非共有(Untied)か • 頻度による埋め込み次元の調整 [Baevski+Auli, ICLR 2019] – 低頻度な単語は低次元のベクトルに埋め込む • 実験結果:デコーダの入出力を共有(エンコーダとは非共有)すると〇
  42. 5. パラメータ共有方法についての検証 • ALBERT [Lan+, ICLR 2020] より – 各層のパラメータを全部共有する

    – 先ほどの埋め込みの分解と共有も試す – エンコーダだけ/デコーダだけで共有 • 実験結果:大体ダメ – ただしALBERTでは文の順番を当てる損失も入れているが、この論 文では対象としていないのでALBERT自体との比較ではない
  43. 6. Softmax • Adaptive Softmax [Joulin+, ICML 2017] – 単語の頻度に応じて語彙をクラスタリング→階層的識別で高速化

    – 低頻度語はさらに射影して軽量化+高速化 • Mixture of Softmaxes [Yang+, ICLR 2018] – Softmaxを𝐾𝐾通り計算して重みづけ和による事後確率計算 • 実験結果: – Mixture of Softmaxesは、性能が良くなったタスクもあるけど 計算速度が40%低下
  44. 7. 全体のアーキテクチャの改善の歴史 • Transparent Attention [Bapna+, EMNLP 2018] • Evolved

    Transformer [So+, ICML 2019] • Synthesizer variants [Tay+, 2020] • Funnel Transformer [Dai+, NeurIPS 2020] • Lightweight and Dynamic convolution [Wu+, ICLR 2019] • Mixture of Experts Transformer [Shazeer+, NeurIPS 2018][Lepikhin+, ICLR 2021] • Switch Transformer [Fedus+, 2021] • Product Key Memory [Lample+, NeurIPS 2019] • Universal Transformer [Dehghani+, ICLR 2019]
  45. 7. 全体のアーキテクチャの改善の歴史 • Transparent Attention [Bapna+, EMNLP 2018] • Evolved

    Transformer [So+, ICML 2019] • Synthesizer variants [Tay+, 2020] • Funnel Transformer [Dai+, NeurIPS 2020] • Lightweight and Dynamic convolution [Wu+, ICLR 2019] • Mixture of Experts Transformer [Shazeer+, NeurIPS 2018][Lepikhin+, ICLR 2021] • Switch Transformer [Fedus+, 2021] • Product Key Memory [Lample+, NeurIPS 2019] • Universal Transformer [Dehghani+, ICLR 2019]
  46. 精度が良くなったもの/悪くなったもの • Transparent Attention [Bapna+, EMNLP 2018] • Evolved Transformer

    [So+, ICML 2019] • Synthesizer variants [Tay+, 2020] • Funnel Transformer [Dai+, NeurIPS 2020] • Lightweight and Dynamic convolution [Wu+, ICLR 2019] • Mixture of Experts Transformer [Shazeer+, NeurIPS 2018][Lepikhin+, ICLR 2021] • Switch Transformer [Fedus+, 2021] • Product Key Memory [Lample+, NeurIPS 2019] • Universal Transformer [Dehghani+, ICLR 2019]
  47. Product Key MemoryとSynthesizer variants • Synthesizer [Tay+, 2020] – アテンション行列を𝑄𝑄𝐾𝐾⊤から

    • 入力Xの線形変換+ReLU+線形変換 に(Dense) • もう乱数でいいや(Random) – Performer [Choromanski+, ICLR’21] は 𝒒𝒒と𝒌𝒌のカーネルでアテンション を近似 • Product Key Memory [Dehghani+, ICLR 2019] – 大量のkeyを別途学習しながら multi-head attentionぽいことを やるPKMの提案 – 一部の層のFFNをPKMに変える と、より小規模なネットワーク で精度・速度up! – 前頁では本論文と[Wu+, ICLR 2019]だけがFacebookの論文 (他は全てGoogle系)
  48. Switch TransformerとMixture of Experts Transformer • Switch Transformer:1.6兆個のパラメータ – と聞くと大変そうだが、FFNが複数ある(Mixture

    of Experts) – Switch Transformerでは選択的にこのFFNのうち一つを選ぶ – ので、全パラメータを毎回の学習や推論に使うわけではない • 余談 – これらの一連の論文は Googleによるもの – 特にNorm Shazeerは • Transformer原著の第2著者 • これらの論文にも著者と して入っている [Shazeer+, NeurIPS 2018][Lepikhin+, ICLR 2021][Fedus+, 2021]
  49. まとめ • 近年のTransformerの改善手法の大半が元のTransformerと 比べて大差ない – 複数課題での汎用性が無い、ソースコードもほとんど変わらない – ありがたい格言:新たな改善手法を考えた時は 「複数実装をベースに使え」「CVも含む複数の課題で評価せよ」 「ハイパーパラメータを揃えよ」「最良値じゃなく平均+分散」

    One possible explanation for this is that the originally- proposed Transformer architecture was near-perfect, and there wasn't much that could be done to improve it. (これは、当初提案されたTransformerのアーキテク チャが完璧に近く、改良の余地があまりなかったこと が理由として考えられます。) 著者ら
  50. それでも:効果が確認された手法 • 実は…Vanilla Transformerでも入っている工夫がある – LayerNormが後 → LayerNormが先 [Baevski+Auli 2019][Xiong+,

    2020] – 絶対値による位置埋め込み → 相対的な位置埋め込み [Raffel+, 2019] • 活性化関数:GLUとGeLU/Swishの組合せ • 正規化:RMS Norm • デコーダにおける入出力の分散表現の共有 • アーキテクチャの工夫 – Mixture of Experts Transformer – Switch Transformer – Product key memory – Synthesizer variants
  51. Layer Normalization が後か先か問題 • Post-LN: 性能が高いが、訓練が不安定 • Pre-LN: 訓練が安定するが、性能が低い •

    Bottom-to-Top (B2T) connection [Takase+, 2022] – Post-LNの変換能力とPre-LNより優れた訓練安定性を両立 • DeepNorm [Wang+, 2022] – Post-LNベースで、Residual接続がそのまま(1倍)加算されるのを定数倍大きくする – パラメータの初期値(の一部を)定数で割って小さくする – 1000層のTransformerでも訓練できるようになった →誤差が途中で消失してしまうのが問題 →入力と出力が余り変わらないのが問題
  52. Positional Encoderの改良とWarmup Positional Encoder • 元々は絶対位置の埋め込み • 相対位置による位置埋め込み [Shaw+, NAACL’18]

    [Raffel+, 2019] • 絶対位置の位置埋め込みにシフト不変性を導入 [Kiyono+, EMNLP’21] • RoPE (Rotary Position Embedding) [Su+, 2021] 学習率のWarmup • 最初は𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠_𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛 に対して線形に増加 • 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠_𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛が𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤_𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠と等しくなると 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠_𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛の平方根に逆比例して0に漸近
  53. 出てくるかもしれない諦観 • Exploring the Limits of Large Scale Pre-training [Abnar+,

    ICLR’22] – JFT-300Mを上流タスクとして学習した時の精度(横軸) – vs. 続いて下流で各タスクを学習したときの精度(縦軸) 巨大な基盤モデルを大規模データセットで訓練して 後続タスク学習できるところが強いんだ… 上流タスクの精度が 上がっても、 途中から下流タスク の精度は頭打ち
  54. Vision Transformer • 画像からTransformerのみで学習すると – ResNet152層とほぼ同等の精度かつ25%程度の学習時間 – JFT-300Mという大規模データセットが必要 – 知識蒸留を組み合わせて、ImageNetの1000クラス画像データのみの学習でも

    EfficientNetを超えたDeiTも有名 [Touvron, ICML’21] • エンコーダのみのTransformer – 実はオリジナルのTransformerよりも構造が単純で理解も容易 [Dosovitskiy+, ICLR 2021]
  55. ViT vs. CNN • 精度の比較 – Conv層をViT前に入れると良いよ! [Xiao+, NeurIPS 2021]

    – Local AttentionはDepth-wise Convと同じ! [Han+, ICLR 2022] – CNNも頑張るとTransformerを超えるよ! [Liu+, CVPR 2022] • 特徴量の比較 – ViTの特徴量とCNNの特徴量を色々比べた [Raghu+, NeurIPS 2021] – CNNはハイパスフィルタ、ViTはローパスフィルタ [Park+Kim, ICLR 2022] • 頑健性の比較 – 今日のECCV論文
  56. ViT vs. CNN • 精度の比較 – Conv層をViT前に入れると良いよ! [Xiao+, NeurIPS 2021]

    – Local AttentionはDepth-wise Convと同じ! [Han+, ICLR 2022] – CNNも頑張るとTransformerを超えるよ! [Liu+, CVPR 2022] • 特徴量の比較 – ViTの特徴量とCNNの特徴量を色々比べた [Raghu+, NeurIPS 2021] – CNNはハイパスフィルタ、ViTはローパスフィルタ [Park+Kim, ICLR 2022] • 頑健性の比較 – 今日のECCV論文 本当は MLP vs. ViT vs. CNN にしたかったけど (発表時間も準備時間も)無理
  57. ViT vs. CNN • 精度の比較 – Conv層をViT前に入れると良いよ! [Xiao+, NeurIPS 2021]

    – Local AttentionはDepth-wise Convと同じ! [Han+, ICLR 2022] – CNNも頑張るとTransformerを超えるよ! [Liu+, CVPR 2022] • 特徴量の比較 – ViTの特徴量とCNNの特徴量を色々比べた [Raghu+, NeurIPS 2021] – CNNはハイパスフィルタ、ViTはローパスフィルタ [Park+Kim, ICLR 2022] • 頑健性の比較 – 今日のECCV論文
  58. Local AttentionとDepth-wise Convの関係性 • AttentionとConvの図解 – 縦方向が空間次元、横方向がチャネル次元 – 普通の縦×横の画像ではないので要注意 普通のConv

    普通のAttention =Global Attention または MLP-Mixer Local Attention (Swin-Tのやつ) または Depth-wise Conv 1x1 Conv 全結合MLP
  59. 動的な重みのDepth-wise Conv • Local AttentionとDepth-wise Convの唯一の違い =重み(パラメータ)が動的か静的か • 実験結果(の一部) –

    Swin TransformerのAttentionをDepth-wise ConvにしたDWNet – Depth-wise Convを動的にした2種のdynamic DWNet CNNとViTで精度がほぼ一緒になった!
  60. 2020年代のConvNet = ConvNeXt • ResNetを拡張したConvNeXt モダンな – データ拡張 – Depth-wise

    conv – 活性化関数 – 正規化 etc. • Swin-Transformerを超えるよ! [Liu+, CVPR 2022]
  61. ViT vs. CNN • 精度の比較 – Conv層をViT前に入れると良いよ! [Xiao+, NeurIPS 2021]

    – Local AttentionはDepth-wise Convと同じ! [Han+, ICLR 2022] – CNNも頑張るとTransformerを超えるよ! [Liu+, CVPR 2022] • 特徴量の比較 – ViTの特徴量とCNNの特徴量を色々比べた [Raghu+, NeurIPS 2021] – CNNはハイパスフィルタ、ViTはローパスフィルタ [Park+Kim, ICLR 2022] • 頑健性の比較 – 今日のECCV論文
  62. ViT vs. CNN • 精度の比較 – Conv層をViT前に入れると良いよ! [Xiao+, NeurIPS 2021]

    – Local AttentionはDepth-wise Convと同じ! [Han+, ICLR 2022] – CNNも頑張るとTransformerを超えるよ! [Liu+, CVPR 2022] • 特徴量の比較 – ViTの特徴量とCNNの特徴量を色々比べた [Raghu+, NeurIPS 2021] – CNNはハイパスフィルタ、ViTはローパスフィルタ [Park+Kim, ICLR 2022] • 頑健性の比較 – 今日のECCV論文
  63. 結局どっちが頑健なのか • TransformerはCNNよりも入力に対する摂動にロバストだよ 2021年3月→[Bhojanapalli+, ICCV 2021] • TransformerはCNNよりも敵対的な摂動にロバストだよ 2021年4月→[Mahmood+, ICCV

    2021] • TransformerはCNNよりも自然な摂動にロバストだよ 2021年5月→[Paul+Chen, AAAI 2022] • TransformerとMLPはCNNよりも敵対的摂動にロバストだよ 2021年10月→[Benz+, BMVC 2021] • 分布外データには強いけど、敵対的摂動には大して変わらんよ 2021年11月→[Bai+, NeurIPS 2021] • パッチの摂動が自然ならViTの方が、敵対的ならCNNの方がロバストだよ 2021年11月→[Gu+, ECCV 2022] • パッチの敵対的な摂動だとCNNの方がViTよりもロバストになるよ 2022年3月→[Fu+, ICLR 2022] • 分布外データに対しても変わらんよ 2022年7月→[Pinto+, ECCV 2022] 標準:@mi141より 太字:追加 橙色:ECCVの論文
  64. パッチによる摂動に注目してみよう • Naturally Corrupted Patch – ViTの方がCNNよりも頑健だった • Adversarial Patch

    – ViTの方がCNNよりも脆弱だった 両方ともアテンション機構に起因しているっぽい [Gu+, ECCV 2022] CNN ViT
  65. パッチによる摂動に注目してみよう • Naturally Corrupted Patch – ViTの方がCNNよりも頑健だった • Adversarial Patch

    – ViTの方がCNNよりも脆弱だった 両方ともアテンション機構に起因しているっぽい [Gu+, ECCV 2022] 自然な崩壊パッチ? ノイズやブラーなど [Hendrycks+Dietterich, ICLR 2019] CNN ViT
  66. ちゃんと比較しよう • 学習モデル – BiT [Kolesnikov+, ECCV 2020] • 要するにResNet、いろいろなデータにfine-tuningしやすい工夫入り

    • ViTと紛らわしいのはどうにかならないだろうか – ConvNeXt [Liu+, CVPR 2022] • 先程紹介した、2020年代のCNN – ViT [Dosovitskiy+, ICLR 2021] – Swin Transformer [Liu+, ICCV 2021] • 学習データと学習方法も統一 – 要するに [Bai+, NeurIPS 2021] を最強のViTとCNNで比較したもの • バイアスの影響、分布外検出、キャリブレーション、誤識別 検出を評価 [Pinto+, ECCV 2022]
  67. さいごに Transformerの基本的な動作から応用範囲、 最近のMLP系ネットワークまでを俯瞰した • そもそもTransformerって? • Transformer旋風と基盤モデル • Transformerのノウハウ •

    Transformerはオワコン?! • CNNはオワコン?! 帰納バイアスと必要データ量・計算機の トレードオフ • ベクトルを個別に変換 • ベクトルをまぜて変換 → アテンションは有効だけど 全てじゃない 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 CNN 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 RNN 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 Transformer/MLP系
  68. 色々聞きすぎて良く分からない!という人のために • Transformerはトークン(単語やパッチなど)をResidual接続しなが ら2つのモジュールを繰り返しているだけ! – トークンを混ぜるToken Mixer – トークンを変換するMLP •

    話題になったMLP系も実は基本的に同じ構造! • あとは色々とノウハウがあるので気を付けましょう • 自己教師あり学習による基盤モデルが様々なタスクで大暴れ! 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 𝒙𝒙 ベクトルを まぜて変換 ベクトルを 個別に変換 正 規 化 正 規 化 点線部を複数回繰り返す