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【CEDEC2024】『鉄拳8』32キャラ分のアセット制作と同時進行の映像制作におけるFlow...

 【CEDEC2024】『鉄拳8』32キャラ分のアセット制作と同時進行の映像制作におけるFlowPT活用術

本セッションは鉄拳8の総勢32キャラクター分の映像管理を行うにあたってのFlow Production Tracking(旧ShotGrid、以下FlowPT)の活用方法について解説していきます。
バンダイナムコスタジオと映像制作を担当したデジタル・メディア・ラボの間でFlowPTを使用して何をどう管理していたか、レビューや承認機能等の有効的な使用方法のご説明と、FlowPTの長期的な運用に関する設計、データマネジメントへの活用、さらにToolkitを用いたワークフローの自動化など、FlowPTの持つ多様な可能性についてご紹介いたします。

Bandai Namco Studios Inc.

December 24, 2024
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Transcript

  1. 『 鉄 拳 8 』 3 2 キ ャ ラ

    分 の ア セ ッ ト 制 作 と 同 時 進 行 の 映 像 制 作 に お け る F l o w P T 活 用 術 株 式 会 社 バ ン ダ イ ナ ム コ ス タ ジ オ 第 1 ス タ シ ゙ オ ス タ シ ゙ オ フ ゚ ロ シ ゙ ェ ク ト マ ネ シ ゙ メ ン ト 室 P M 鈴 木 温 子 株 式 会 社 デ ジ タ ル ・ メ デ ィ ア ・ ラ ボ 制 作 本 部 C G 制 作 部 C G 制 作 部 長 / テ ク ニ カ ル ス ー パ ー バ イ ザ ー 片 山 敏 春 制 作 本 部 制 作 副 本 部 長 / ク リ エ イ テ ィ ブ プ ロ デ ュ ー サ ー 吉 田 学 TEKKEN 8 & ©Bandai Namco Entertainment Inc. 発売元:株式会社バンダイナムコエンターテインメント
  2. は じ め に 自己紹介 株式会社スクウェア・エニックス、 株式会社グリオグルーヴ アニマロイドにてそ れぞれPM、プロデューサーとしての経験を経 てマレーシアにてCGプロダクションを設立、

    2016年にバンダイナムコスタジオ マレーシア の立ち上げ時にプロダクションごと参加、 2020年バンダイナムコスタジオ入社。 入社後は鉄拳8のプリレンダムービー関連の進 行管理に従事。 鈴木 温子 Atsuko Suzuki 吉田 学 Manabu Yoshida 片山 敏春 Toshiharu Katayama 2005年に株式会社デジタル・メディア・ラボ 入社 10年ほどジェネラリストとして様々なプロジェ クトへ従事 現在はTAとして制作支援ツール開発やワーク フロー・パイプライン整備を担当 CGアーティストとしてキャリアスタート。 フロム・ソフトウェア、SMDE、アニマロイド を経て、デジタル・メディア・ラボには制作進 行として入社。 デザイナー経験を活かし、クリエイティブプロ デュース、人材マネジメント、採用と幅広く従 事。 鉄拳8はプレイヤーとしても活動中。 写真 写真 写真
  3. 目次 は じ め に • FlowPTとは • 概要説明 •

    導入経緯 • 鉄拳8のキャラクターエピソードムービー制作においてFlowPTをどう活用させたか ・今回の課題 ・課題の解決 • FlowPT 活用事例 • Q&A
  4. Flow Production Tracking (旧ShotGrid) F l o w P T

    概 要 説 明 • 略称 FlowPT • レビュー機能を搭載したクラウドベースのプロジェクト管理ツール 本資料では開発中の画像を使用しています
  5. 導入経緯 (BNS) F l o w P T 導 入

    経 緯 • 鉄拳8では各セクションごとに部分的に使用 • 映像管理での使用はその他管理ツールと比較検討の上、 アーティストの意見でFlowPTを採用。 • プロジェクト進行中の導入のため、アセット管理はムービー側のFlowPTには統合せず、 映像のステータス管理・FB記入・バージョンチェック用に使用 • スケジュールはエクセルにて管理
  6. 導入経緯 (DML) F l o w P T 導 入

    経 緯 • FlowPTを導入したのは10年ほど前 • 導入以前 • アセット管理 エクセル • 社内チェック ファイルサーバーにデータ格納しチェック担当者へチャットで報告 • クライアントチェック FTPへチェックムービーをアップしチャットで報告 • フィードバック フィードバック内容はエクセル管理 詳細フィードバックは画像や動画をFTP経由で受領
  7. 導入当初 (BNS) F l o w P T 導 入

    経 緯 • 各パイプラインのレイアウト設定の意見まとめが大変 • アカウント権限設定の悩み • 画面操作の複雑さ → Autodeskサポートを活用 → 使用する機能に絞った社内用マニュアルを作成
  8. 導入当初 (DML) F l o w P T 導 入

    経 緯 • フィールド、カスタムエンティティ、ステータスなどカオスに • 権限を絞りルールを定める • 使用目的をヒアリングし運用について都度協議 • オペレーションミス(グローバル設定変更、誤って削除) • 使用方法を説明 • FlowPTを使ってくれない • デザインページ機能を使用して見やすいページを作る • FlowPTをワークフローやパイプラインのコアに • 自動化による恩恵を感じてもらう
  9. 鉄拳8 キャラクターエピソードムービー イ ン ト ロ ダ ク シ ョ

    ン • 鉄拳8のキャラクターエピソードムービー制作においてFlowPTをどう活用させたか • ムービーパートのDMLへの発注/BNS側で必要な管理情報 →スケジュールは別途エクセルで管理 →アセット受け渡しは主にPerforce・その他ファイル転送システム経由 →映像のステータス・バージョン管理 チェックムービー フィードバック をFlowPTで管理
  10. 今回のムービー制作における課題 課 題 サ マ リ ー 1. 異なるアセット管理方法 2.

    アセット開発とムービー制作が同時進行 3. 膨大なチェックムービーの管理
  11. 課 題 ① 異 な る ア セ ッ ト

    管 理 方 法 課題① 異なるアセット管理方法
  12. 異なるアセット管理 課 題 ① 異 な る ア セ ッ

    ト 管 理 方 法 BNS C:¥{鉄拳8_BNS} • 保存場所 = Cドライブ DML C:¥{鉄拳8_BNS} • 保存場所 = Cドライブ P:¥{鉄拳8_DML} • 保存場所 = Pドライブ(ファイルサーバー) ※ムービー制作でのみ使用するアセット ※ C:¥{鉄拳8_BNS} 以下アセットからの派生データ
  13. 課題と対応策 課 題 ① 異 な る ア セ ッ

    ト 管 理 方 法 P:/{鉄拳8_DML}/~/~/~/{砂漠背景}.mb P:/{鉄拳8_DML}/~/~/~/{戦車}.mb C:/{鉄拳8_BNS}/~/~/{G社兵士}.mb P:/{鉄拳8_DML}/~/~/~/{ボブルヘッド人形}.mb P:/{鉄拳8_DML}/~/~/~/{戦車の上の椅子}.mb P:/{鉄拳8_DML}/~/~/~/{国連軍兵士の銃}.mb P:/{鉄拳8_DML}/~/~/~/{装甲車}.mb P:/{鉄拳8_DML}/~/~/~/{ポールのバイク}.mb P:/{鉄拳8_DML}/~/~/~/{ファランのバイク}.mb C:/{鉄拳8_BNS}/~/~/{ロウ}.mb C:/{鉄拳8_BNS}/~/~/{反乱軍兵士}.mb C:/{鉄拳8_BNS}/~/~/{ファラン}.mb C:/{鉄拳8_BNS}/~/~/{国連軍兵士}.mb C:/{鉄拳8_BNS}/~/~/{ポール}.mb C:/{鉄拳8_BNS}/~/~/{ブライアン}.mb 本資料では開発中の画像を使用しています
  14. FlowPTの基本構成 課 題 ① 異 な る ア セ ッ

    ト 管 理 方 法 • プロジェクト • FlowPTを利用するには、まずプロジェクト作成から • ショット、タスクなど、制作に必要なすべての「要素」が含まれます • エクセルの「ブック」に相当 • エンティティ • ショット、タスクなど、管理したい「要素」ごとに作成できる「箱」 • エクセルの「シート」に相当 • リンク • エンティティ同士を関連付けることができる • エクセルの「VLOOKUP関数」「参照式」に相当 • フィールド • 各エンティティのプロパティ • エクセルの「列」に相当
  15. FlowPTのデータ構造イメージ 課 題 ① 異 な る ア セ ッ

    ト 管 理 方 法 ProjectA … ep001 … sq001 … c001 c002 … c001 Anim c001 Light c002 Anim c002 Light エンティティ Project エンティティ Episode エンティティ Sequence エンティティ Shot エンティティ Task ProjectA ep001 sq001 c001 c001 Anim c001 Light c002 c002 Anim c002 Light 内部的には ウェブブラウザ上では
  16. アセット タスク ステップ バージョン パブリッシュファイル • アセットの名前 • アセットの説明 •

    アセットの種類(キャラ、プロップ、背景等) • 制作工程(モデル、リグ、質感付け等) • 制作内容 • 制作期間 • 制作担当者 • チェック担当者 • 進捗状況 • 成果物(画像や動画) • 成果物(DCCツールデータ) アセット制作時に追跡したい情報 課 題 ① 異 な る ア セ ッ ト 管 理 方 法
  17. Asset と PublishedFile エンティティ 課 題 ① 異 な る

    ア セ ッ ト 管 理 方 法 Asset Task Asset Step Published File Asset Task 本資料では開発中の画像を使用しています
  18. FlowPTへの情報登録 課 題 ① 異 な る ア セ ッ

    ト 管 理 方 法 ②CSVファイルによる一括インポート ①タスクテンプレートの作成
  19. FlowPT構造に沿ってデータ構造を決める(Asset) 課 題 ① 異 な る ア セ ッ

    ト 管 理 方 法 {Step.ShortCode} {Asset.Code} {Asset.Type} publish work assets 本資料では開発中の画像を使用しています
  20. Toolkit とは 課 題 ① 異 な る ア セ

    ッ ト 管 理 方 法 • FlowPT と連携したパイプラインツール群(各DCCツールで共通のGUI) • FlowPT の情報を元にディレクトリの自動生成、制作データへのアクセスや保存が可能 • ディレクトリ構造やツール動作のカスタマイズが可能(若干ハードル高い) • 対応DCCツールが豊富 • Maya, 3dsMax, After Effects, Houdini, Nuke, Photoshop 等に公式対応 • Unreal Engine, Substance Painter, Blender 等にも対応
  21. BNS提供アセットのパブリッシュ 課 題 ① 異 な る ア セ ッ

    ト 管 理 方 法 本資料では開発中の画像を使用しています
  22. DML内製アセットの制作からパブリッシュまで 課 題 ① 異 な る ア セ ッ

    ト 管 理 方 法 本資料では開発中の画像を使用しています
  23. Published File エンティティ( DMLアセット) 課 題 ① 異 な る

    ア セ ッ ト 管 理 方 法 本資料では開発中の画像を使用しています
  24. Loader によるアセット参照 課 題 ① 異 な る ア セ

    ッ ト 管 理 方 法 本資料では開発中の画像を使用しています
  25. 課 題 ② ア セ ッ ト 開 発 と

    ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 課題② アセット開発とムービー制作が同時進行
  26. 課題 課 題 ② ア セ ッ ト 開 発

    と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 • アセット更新が複数回発生する • 使用アセットの追加やオミット情報を次工程へ正確に引き継げるか • 更新によるミスや不具合が発生
  27. 課題 課 題 ② ア セ ッ ト 開 発

    と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 • アニメーションシーンのアセット構成から、UEレベルシーケンサーを自動構築する
  28. ショット シーケンス エピソード ステップ バージョン パブリッシュファイル タスク • ショット •

    シーケンス • エピソード(キャラ、プロップ、背景等) • 制作工程(アニメーション、ライティング、コンポジット等) • 制作内容 • 制作期間 • 制作担当者 • チェック担当者 • 進捗状況 • 成果物(画像や動画) • 成果物(CGデータの保存場所) ショット制作時に追跡したい情報 課 題 ② ア セ ッ ト 開 発 と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行
  29. Shot と PublishedFile エンティティ 課 題 ② ア セ ッ

    ト 開 発 と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 本資料では開発中の画像を使用しています Task Shot Step Published File Shot Task Sequence Episode
  30. FlowPT構造に沿ってデータ構造を決める(Shot) 課 題 ② ア セ ッ ト 開 発

    と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 {Step.ShortCode} {Sequence.Code} {Episode.Type} publish work shots {Shot.Code} 本資料では開発中の画像を使用しています
  31. アニメーション制作 課 問 題 ② ア セ ッ ト 開

    発 と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 本資料では開発中の画像を使用しています
  32. パブリッシュデータ 課 題 ② ア セ ッ ト 開 発

    と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 Mayaシーン x 1 アセットアニメーション x 25 カメラ(FBX) x 1 カメラ(Maya) x 1 カメラ(UE) x 1 キャラルートアニメーション x 8 シーン情報 x 1
  33. Published File エンティティ 問 題 ② ア セ ッ ト

    開 発 と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 本資料では開発中の画像を使用しています
  34. Published File エンティティ 課 題 ② ア セ ッ ト

    開 発 と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 本資料では開発中の画像を使用しています Downstream Published Files アニメーションシーンから 生成された パブリッシュデータ アニメーションシーン Upstream Published Files アニメーションシーンで 参照している パブリッシュデータ
  35. UEアニメーションシーケンサー構築 課 題 ② ア セ ッ ト 開 発

    と ム ー ビ ー 制 作 が 同 時 進 行 本資料では開発中の画像を使用しています
  36. 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー ビ

    ー の 管 理 課題③ チェックムービーの管理
  37. 課題 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー

    ビ ー の 管 理 • 32キャラ、各工程ごとに、各カット分のチェックムービーが作成される • 提出履歴や過去のフィードバックを確認する必要がある
  38. ショット シーケンス エピソード ステップ バージョン パブリッシュファイル タスク ショット制作時のエンティティ構成 課 題

    ③ チ ェ ッ ク ム ー ビ ー の 管 理 • ショット • シーケンス • エピソード(キャラ、プロップ、背景等) • 制作工程(アニメーション、ライティング、コンポジット等) • 制作内容 • 制作期間 • 制作担当者 • チェック担当者 • 進捗状況 • 成果物(画像や動画) • 成果物(CGデータの保存場所) • 提出履歴 プレイリスト
  39. チェックムービーのアップロード方法(通常手順) 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー

    ビ ー の 管 理 本資料では開発中の画像を使用しています
  40. チェックムービーのアップロード方法(通常手順) 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー

    ビ ー の 管 理 社内利用者の声 • 一つ一つ関連するタスクにバージョンを作成するのは面倒 • 成果物をアップロードしたらタスクステータスを自動で変更したい • アップロードしたらチェック担当者へ通知してほしい
  41. チェックムービーのアップロード方法(Toolkit) 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー

    ビ ー の 管 理 本資料では開発中の画像を使用しています
  42. Published File エンティティ 課 題 ③ チ ェ ッ ク

    ム ー ビ ー の 管 理 本資料では開発中の画像を使用しています
  43. Version エンティティ 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム

    ー ビ ー の 管 理 本資料では開発中の画像を使用しています
  44. クライアントチェックとフィードバック 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー

    ビ ー の 管 理 クライアントレビューサイトを使用 クライアントレビューサイトとは • プレイリストをクライアントと共有し、直接レビューやフィードバックが可能 • クライアントはクライアントユーザー(無償)として専用サイトへアクセス可能
  45. クライアントレビューサイト経由でプレイリスト共有 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー

    ビ ー の 管 理 本資料では開発中の画像を使用しています 1. プレイリストを作成 2. プレイリストを共有
  46. クライアントレビューサイト 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー

    ビ ー の 管 理 本資料では開発中の画像を使用しています
  47. BNSフィードバック 課 題 ③ チ ェ ッ ク ム ー

    ビ ー の 管 理 1. クライアントレビューサイト上でコメント入力や赤ペンを入れる 2. 修正指示画像や参考資料の受け渡しもコメント欄添付で可能 本資料では開発中の画像を使用しています
  48. まとめ ま と め • 異なるアセット管理方法 • Publish ツールでアセット情報を FlowPT

    へ集約 • Loader ツールでアセットをリファレンス • エンティティ設計が重要 • アセット開発とムービー制作が同時進行 • シーケンサー自動生成 • Publish ツールでショット情報を FlowPT へ集約 • エンティティ設計が重要 • チェックムービーの管理 • 「タスクにリンクするバージョンエンティティを作成する」を徹底する • Publish ツールで一括バージョン作成 • クライアントレビューサイト経由でプレイリスト共有