スクラムフェス仙台2026での講演資料です。
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皆さんお馴染みのConwayの法則。チームトポロジー、マイクロサービス、逆Conway戦略、などなど、あちこちで引き合いに出される、アジャイル界隈では本当によく耳にする言葉です。
でも、Conwayが1968年の原論文で本当に言っていたことは、今みんなが言っているアレとはぜんぜん違う、と言ったら、皆さん驚くのではないでしょうか。
実は原典を読み返してみると、現在広く流通している"Conwayの法則"とはかなり違った主張を展開しています。鍵になるのは、Conway自身が「組織とシステムは準同型になる」と数学用語を使って表現していることです。聞き慣れない言葉かもしれませんが、重要なことは、これは「組織とシステムは相似形になる」という意味ではない ということです。相似形、あるいは1対1対応する、というのは準同型ではなく、同型 という、似ているようで、そこから得られる意味は全く異なるものです。
Conway自身は原論文で「準同型」と言う表現で説明していたものが、その後さまざまな文献で引用されるたびに少しずつ解釈がスライドしていき、いつの間にか「同型」に近い意味で語られるようになりました。それゆえ、現代において逆Conway戦略は「組織とシステムは相似形になる」という前提で解釈されることが多いのですが、Conwayのオリジナルの解釈を踏まえると、逆Conway戦略からは全く違った景色が見えてきます。
そもそも原典を読むと、Conway自身、Conwayの法則を踏まえて組織をどう設計すべきか、について現代の逆Conway戦略とは全く違う主張をしています。ここには立ち止まって考える価値があります。逆Conway戦略はきちんと使えば有用なのですが、濫用されがちなものでもあります。本来の意味を知ることで、もっと深く考えながら使えるようになるはずです。
このセッションでは、
- 原論文でConwayが本当に言っていたこと
- 原典の「準同型」がどう引用され、どう変遷して、いまの姿になったのか
- 「準同型」を前提にすると、Conwayの法則はどう解釈できるのか
について、数学の前提知識なしで理解できるよう解説を試みます。
また、数学者である松谷先生・大森先生が、平鍋さんや羽生田さんらと共著で著した2023年の論文 "Conway's law, revised from a mathematical viewpoint" にも触れていこうと思います。これはConwayの原論文をベースに、数学的に厳密に再解釈した、というものです。こちらも、「すると何が面白いの?」といったあたりを、数学があまりわからなくてもわかるように解説していきます。