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日本の家電とMatterの世界
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Kenta IDA
April 01, 2025
Technology
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日本の家電とMatterの世界
電子情報通信学会 2025 総合大会 企画セッション BI-7 にて発表した 日本の家電とMatterの世界 のスライドです。
Kenta IDA
April 01, 2025
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Transcript
⽇本の家電とMatterの世界 2025年3⽉28⽇ 電⼦情報通信学会 総合⼤会 企画セッション BI-7 Nature 井⽥健太 1
- 井田 健太 @ciniml - Nature株式会社 Firmware Engineer - Nature
Remoのファームウェア開発 自己紹介 2
Agenda • Nature紹介 • Nature Remoの紹介 • Matter - IRブリッジを実現するシステム
• Matter - IRブリッジ開発の課題 • Matterを含めNatureが実現したい未来 3
NatureおよびNature Remoの紹介 4
5
Natureのデバイス • Nature Remoシリーズ ◦ ⾚外線リモコン対応機器を制御するためのスマートリモコン • Nature Remo Eシリーズ
◦ ECHONET Lite対応のHEMSコントローラ 6 Nature Remo/Nature Remo Eシリーズ 累計販売台数70万台突破
Nature Remo (1/2) • スマートフォンやスマートスピーカーから⾚外線リモコン制御の家電を操作 ◦ 多くの⾚外線リモコン制御の家電に対応可能 ▪ e.g. エアコン、照明、テレビ等
• 単体でスマートホーム対応 (ネットワーク経由での操作) に対応しない家電を スマートホーム対応家電として扱える ◦ 外出中の家電の操作 ◦ スマートスピーカーでの⾳声による操作 ◦ オートメーションによる⾃動制御 • 所謂スマートリモコン‧デバイス 7
Nature Remo (2/2) • ⾚外線リモコン以外にも、 Bluetooth Low Energy経由で接続するサードパーティ機器に対応 ◦ 提携して対応しているデバイス
▪ Qrio Lock (スマートロック) ▪ Mornin’plus (カーテン開閉) ▪ SESAME5 (スマートロック) ▪ SESAME bot, SESAME bot 2 (指ロボット) ▪ Phillips Hue (スマート照明) • 機器拡張マクロ機能によりユーザー定義のマクロで接続も可能 ◦ Phillips Hueは初めはマクロでの対応 8
Nature Remoの特徴 9
Nature Remo E • ECHONET Lite対応のHEMSコントローラ • ECHONET Lite対応機器の状態モニタリング ◦
スマートメーター、太陽電池、蓄電池等の充電‧放電‧買電‧売電 • ECHONET Lite対応機器をリモートで制御可能 ◦ 蓄電池、V2H、エコキュート 10
RemoとMatter • 2022年10⽉4⽇: Matter 1.0規格が公開 • 2023年5⽉18⽇: Matter 1.1規格が公開 •
2023年7⽉4⽇: Nature Remo nanoが発売 - Matter 1.0対応 • 2023年10⽉23⽇: Matter 1.2規格が公開 • 2024年5⽉8⽇: Matter 1.3規格が公開 • 2024年7⽉5⽇: Nature Remo Lapisが発売 - Matter 1.2対応 • 2024年11⽉7⽇: Matter 1.4規格が公開 11
Nature Remo nano • 2023年に発売した世界初のMatter対応スマートリモコン ◦ ⽇本企業として初のMatter対応デバイス (⽇本企業としてのMatterデバイ ス認証第1号) (1)
• Matter 1.0に対応 • ⾚外線経由で制御可能な家電をMatterデバイスとしてMatterコントローラから 制御可能にする⾚外線ブリッジ‧デバイス ◦ エアコン (運転モード‧温度設定) ◦ 照明‧テレビ (On/Offのみ) ◦ 学習リモコン機能のOn/Off割り当て (1) https://www.tuv.com/press/jp/press-releases/csa-matter-testing-natureremonano.html 12
13
14
Remo nanoとスマートデバイス • スマートデバイスとRemoの間の接続としてMatterに対応 ◦ 従来はスマートデバイス固有の⽅式 ▪ Google Home, Amazon
Alexaに対応 • Apple Homeは⾮対応だったが、Matter経由で対応 15
Nature Remo Lapis • 2024年に発売したMatter対応スマートリモコンの次世代機 • Matter 1.2に対応 • 新たにDoor
Lock Clusterに対応 ◦ 連携しているQrio LockをMatter経由で操作可能 • 温湿度センサーを搭載 ◦ Matterの温湿度センサーを実装 ◦ エアコンに対応するMatterデバイスの現在温度としても使⽤ 16
17
Matter - IRブリッジを実現するシステム 18
Matter対応で実現したこと • Matter対応Controllerのスマートデバイスから 統⼀した⽅法で設定‧連携‧⾚外線操作が可能 19
Matter - IRブリッジの構成 • Remoは”アプライアンス”として 実際の家電に対応する情報を保持 ◦ e.g. エアコン ▪
動作モード ▪ 温度設定 ▪ ⾵向‧⾵量 ▪ 特殊機能の有効無効 • 対応付け可能な機能を Matterデバイスとして公開 20
Matterデバイスの基本的な構成要素 • 物理デバイス 21
Matterデバイスの基本的な構成要素 • ノード • 論理的な 1 Matterデバイス • ネットワーク上の通信単位 •
⼀般的には 1物理デバイスに1ノード 22
Matterデバイスの基本的な構成要素 • エンドポイント • 機能の管理単位 • 機能に応じた 1つ以上のデバイスタイプを持つ 23
Matterデバイスの基本的な構成要素 • デバイスタイプ • 1つのまとまった機能の集合 • e.g. ON/OFFライト サーモスタット ON/OFFプラグイン
• Matter規格で種類を規定 • 各デバイスタイプの規格に基き 1つ以上のクラスターを実装 24
Matterデバイスの基本的な構成要素 • クラスター • 機能の最⼩単位 • サーバー ◦ 機能を他のノードに提供する •
クライアント ◦ 他のノードの機能を利⽤する • Matter規格で規定 ◦ カスタムクラスターも作れる • e.g. サーモスタット ファンコントロール ON/OFFライト • 読み書きできるアトリビュート • 呼び出せるコマンド 25
RemoのMatter構成要素 26
Bridge (Aggregatorデバイスタイプ)の構成 27
Nature Remoが実装するデバイスタイプ (1/2) • On Off LightデバイスタイプとOn Off Lightクラスター →
照明などの家電 28
Nature Remoが実装するデバイスタイプ (2/2) • ThermostatデバイスタイプとThermostatクラスター → エアコン 29
Matter - IRブリッジ開発の課題 30
Matter - IRブリッジ開発時の課題 (1/4) • Matterの規格が想定している”ブリッジ” 対象のデバイスは、 基本的に他の無線通信規格による双⽅向通信が前提 ◦ e.g.
Bluetooth, ZigBee ◦ 特にZigBeeに関してはCSAの前⾝がZigBee Allianceなので 相互運⽤に関する特別な対応あり • ⾚外線は単⽅向通信 (リモコン→機器)のみ ◦ 稀に双⽅向通信をする機器もあるが例外 ◦ 基本的に制御対象の機器の正確な状態がわからない ◦ 内部で制御するよりも操作の遅延が⼤きい 31
Matter - IRブリッジ開発時の課題 (2/4) • 照明の明るさ‧⾊の調整には⾮対応 ◦ ⾚外線経由での制御固有の課題 • それぞれLevel
Control, Color Control Clusterへの対応が必要 ◦ Color Control ClusterはLevel Control Clusterも必要 • Level Control Clusterは指定の明るさへの変更機能が必要 ◦ e.g. 認証試験では 50% へ設定するテスト項⽬がある • 階調制御付きの照明は 全灯‧消灯‧明るさの相対増減のみ可能なものが多い ◦ 全灯状態の50%に設定するのは難しい ◦ ⼀旦消灯して50%になるまで明るさを増やす等必要 32
Matter - IRブリッジ開発時の課題 (3/4) • エアコンの除湿‧送⾵に⾮対応 • Nature Remo⾃体は除湿‧送⾵に対応 •
MatterのThermostat Clusterでは 除湿‧送⾵モード⾃体はオプション • 除湿‧送⾵モードがあるかどうかを表す仕組みが無い ◦ c.f. AUTOモードはAUTO Featureで表せる • →主要Matterコントローラでは暖房‧冷房のみ対応 • Matterの仕様変更が必要なのでCSAにフィードバック済み 33
Matter - IRブリッジ開発時の課題 (4/4) • Matterコントローラのエアコン画⾯では Thermostat Clusterの温度を表⽰可能 ◦ LocalTemperature
Attribute • ⾚外線リモコン経由なのでエアコンの温度情報は取得不可 • Nature Remo nanoも温度センサは持たない • LocalTempreatureの値としてnullを返すよう実装 ◦ LocalTemperatureは 規格上はnull許容、デフォルト値もnull • Controllerによってはnullではなく0と表⽰される ◦ c.f. 対応したControllerでは - - となり温度不明の表⽰ • Controllerのベンダーに報告済み 34
Matter 1.2の変更点 • 家電に対応する複数のクラスター‧デバイスタイプが追加された ◦ 洗濯機 ◦ 冷蔵庫 ◦ ⾷洗器
◦ ⾐類乾燥機 ◦ オーブン ◦ 電⼦レンジ ◦ ロボット掃除機 ◦ ルームエアコン 35
ルームエアコンとサーモスタット (1/2) • Matter 1.2ではじめてルームエアコン デバイスタイプが追加された ◦ Matter 1.1まではサーモスタット デバイスタイプのみ
• サーモスタット ◦ 海外では冷暖房としてセントラル‧ヒーティングを⽤いることが多い ◦ 家に1台冷暖房のためのヒートポンプ等があり、配管で部屋に分配 ◦ セットポイントと呼ばれるヒステリシスを持つ⽬標値を設定して制御 ▪ e.g. 21度で暖房、0.5℃ヒステリシス • 20.5℃を下回ったら暖房ON • 21℃を上回ったら暖房OFF • MatterのThermostatクラスターとThermostatデバイスタイプが対応 36
ルームエアコンとサーモスタット (2/2) • Matterの空調はサーモスタット (Thermostat Cluster) 前提 ◦ セットポイントに対応するアトリビュートを設定して制御 ▪
OccupiedHeatingSetpoint, OccupiedCoolingSetpoint • OccupiedとUnoccupiedがあり、 在室時‧不在時で切り換え (オプション ) ◦ AUTOモード時は冷房‧暖房を⾃動で切り替え 37
サーモスタットと日本のエアコン • ⽇本のエアコンはセントラルヒーティング⽅式ではない ◦ 各部屋に室内機を設置し、 対応する室外機を接続する⽅式が主流 • ⾃動モードで直接⽬標温度を設定しないエアコンが多い ◦ 室内‧外気温から⾃動的に基準温度を計算
◦ 基準温度からのオフセットで指定 38
日本のエアコンとMatterの対応 • Remoではエアコンをサーモスタット デバイスタイプで表現 • Matter経由でのモード切替はOFF‧暖房‧冷房のみ対応 ◦ 前述の通り、送⾵‧除湿に加えて⾃動モードも⾮対応 • ⾃動モードの温度設定⽅式が根本的に異なるのでマッピングが出来ない
◦ 仮想的な基準温度 (e.g. 22℃) を⽤意してマッピング等を検討 ▪ 実際のエアコンのリモコンとMatterコントローラでのUIが⼀致しない ▪ 整合性を保つのが難しい ▪ →対応を断念 • Matter 1.2のルームエアコン デバイスタイプはどうか? 39
ルームエアコン デバイスタイプ • ルームエアコンとサーモスタット デバイスタイプのクラスタ構成 ◦ ルームエアコンではファンコントロールと温度センサはサーバー ◦ セントラルヒーティングでは ファンと温度センサは別のデバイスの場合があるのでクライアント
• どちらもサーモスタット クラスター (サーバー) であるのは同じ ◦ 前述のAUTOの問題はルームエアコン デバイスタイプでも解決しない 40 クラスター/デバイスタイプ サーモスタット ルームエアコン サーモスタット サーバー (必須) サーバー (必須) ファンコントロール クライアント (オプション) サーバー (オプション) 温度センサ クライアント (オプション) サーバー (オプション) オン‧オフ サーバー (必須) サーバー (必須)
エアコン固有機能への対応 • ⽇本のルームエアコンには型式固有の機能が多くある ◦ e.g. ⾃動クリーニング機能、空気清浄機能、換気 ⾵向き⾃動調整、⽔平⾵向 • Nature Remoでは⼀部の固有機能に対応
◦ e.g. ⾃動クリーニング機能 • Matterでは固有機能への対応が現時点で不可能 ◦ 規格上はBoolean State, Mode Stateクラスターで 表現できなくは無さそう ◦ デバイスタイプの規定を拡張する必要あり • 対応したとしてもコントローラがUIを実装するかは別 41
Matterの規格と日本の家電(1/2) • Nature RemoをMatterに対応するにあたっていくつかの課題あり • ⾚外線経由であることに起因するもの ◦ 照明の調光機能への対応が困難 ◦ 温度情報が無い場合にControllerによっては不適切な表⽰
◦ ⾃動モードはエアコン⾃体が実装する場合は実装可能と思われるが、 家電のリモコンでの操作とは異なった仕様となる • ⽇本の家電とMatterの規格の不整合に起因するもの ◦ エアコンの送⾵‧除湿モードへの対応が中途半端 ▪ モードはあるがControllerが正しく扱えず、操作UIが⾮実装 ◦ エアコンの⾃動モードは⽬標値の設定の考え⽅が全く異なる ▪ ⽇本のルームエアコンの⽅が単体で完結しており⾃動制御が⾼機能 42
Matterの規格と日本の家電(2/2) • ⽇本の家電とMatterの規格の不整合に起因するもの (cont.d) ◦ エアコン固有機能への対応が現時点ではできない • その他の家電についても、⽇本と海外の事情からくる仕様の差異について 調べておく必要がある •
⽇本の事情にも対応できるようMatterの規格への働きかけが必要 • Matter JIGの発⾜により⽇本からの仕様提案などがすすむと良い 43
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