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フェアな比較を崩すもの ~交絡と効果修飾~ / Confounding EffectModif...

funain
March 20, 2021

フェアな比較を崩すもの ~交絡と効果修飾~ / Confounding EffectModification

交絡と効果修飾と傾向スコアと何かを, 簡単な例を用いて説明するスライド.

funain

March 20, 2021
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Transcript

  1. 薬メッチャヤセールの半年間の効果の実験 試験集団:120人 • 治療群(60人):薬メッチャヤセール 平均 4kg 減少 • 対照群(60人) :プラセボ

    平均 2kg 減少 ⇒薬メッチャヤセールで 2kg 減量できる!! 仮想例その1 (薬メッチャヤセールの効果) 4
  2. 薬メッチャヤセールの半年間の効果の実験 試験集団:120人 • 治療群(60人):薬メッチャヤセール 平均 4kg 減少 • 対照群(60人) :プラセボ

    平均 2kg 減少 ⇒薬メッチャヤセールで 2kg 減量できる!!?? 仮想例その1 (薬メッチャヤセールの効果) 5
  3. 40 20 20 40 治療群 対照群 • 健康意識が高い人が勝手に6kgやせただけで薬の効果は本当は無し • 治療群(60人):薬メッチャヤセール

    (40*6 + 20*0) / 60 = 4 kg • 対照群(60人) :プラセボ ⇒フェアな比較でない!! (20*6 + 40*0) / 60 = 2 kg 本当の効果の計算 (神様視点) 7
  4. 40 20 20 40 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 2 3

    2 3 1 3 1 3 共変量ごとの割付確率 (傾向スコア) 治療群 対照群 9
  5. 40 20 20 40 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 3 2

    2 3 3 3 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 共変量ごとの割付確率の逆数で重み付け 治療群 対照群 10
  6. 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 共変量ごとの割付確率の逆数で重み付け •

    治療群:薬メッチャヤセール (60*6 + 60*0) / 120 = 3 kg • 対照群 :プラセボ ⇒分布を揃えてフェアな比較に!! (60*6 + 60*0) / 120 = 3 kg ⇒ 3-3=0kg で薬の効果なんて無かった!! 重み付けした治療群 重み付けした対照群 11
  7. 40 20 20 40 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 2 3

    2 3 1 3 1 3 【再掲】共変量ごとの割付確率 (傾向スコア) 治療群 対照群 13
  8. 40 20 20 40 2 3 2 3 3 健康意識高い

    60人 健康意識低い 60人 傾向スコアの逆数の重み付けで治療群に合わせることも可能 重み付けした対照群 対照群 40 20 治療群 1 3 14
  9. 薬チョットダケヤセールの実験 試験集団:120人のRCT • 治療群(60人):平均 5.4kg 減 • 対照群(60人):平均 3kg 減

    • 効果:5.4 – 3 = 2.4kg 仮想例その2 (薬チョットダケヤセールと薬カンゼンニヤセールの比較) 薬カンゼンニヤセールの実験 試験集団:120人のRCT • 治療群(60人):平均 5.8kg 減 • 対照群(60人):平均 3kg 減 • 効果:5.8 – 3 = 2.8kg ⇒ (カンゼンニ – プラセボ) – (チョットダケ – プラセボ) =2.8 – 2.4 = 0.4 kg 分, カンゼンニがチョットダケより効果が高い!! (神様視点) 本当は, チョットダケは 2 kgやせる薬で, カンゼンニは 1 kgやせる薬 ただし, 遺伝子Yがあると薬の効果は 3 倍になる 16
  10. 薬チョットダケヤセールの実験 試験集団:120人のRCT • 治療群(60人):平均 5.4kg 減 • 対照群(60人):平均 3kg 減

    • 効果:5.4-3=2.4kg 仮想例その2 (薬チョットダケヤセールと薬カンゼンニヤセールの比較) 薬カンゼンニヤセールの実験 試験集団:120人のRCT • 治療群(60人):平均 5.8kg 減 • 対照群(60人):平均 3kg 減 • 効果:5.8-3=2.8kg ⇒ (カンゼンニ – プラセボ) – (チョットダケ – プラセボ) =2.8 – 2.4 = 0.4 kg 分, カンゼンニがチョットダケより効果が高い?? (神様視点) 本当は, チョットダケは 2 kgやせる薬で, カンゼンニは 1 kgやせる薬 ただし, 遺伝子Yがあると薬の効果は 3 倍になる(効果修飾) 17
  11. 高い&なし 27人 低い&なし 27人 実験の実態 チョットダケの試験集団 カンゼンニの試験集団 高い&あり 3人 低い&あり

    3人 高い&あり 27人 低い&あり 27人 高い&なし 3人 低い&なし 3人 • 健康意識が高い人が勝手に 6 kgやせるのは調整できているが • 薬の効果が 3 倍になる遺伝子Yがある人の割合が集団で異なった (チョットダケは 1 割, カンゼンニは 9 割) ⇒どちらもRCTだがフェアな比較でない!! 19
  12. 高い&なし 27人 低い&なし 27人 チョットダケの効果の計算 • 治療群:薬チョットダケヤセール ( 3*(6+2*3) +

    3*(2*3) + 27*(6+2) + 27*2 ) / 60 = 5.4 kg • 対照群 :プラセボ ( 3*(6+2*0) + 3*(2*0) + 27*(6+0) + 27*0 ) / 60 = 3 kg ⇒ 5.4-3=2.4kg がこの集団に対する平均的な効果 チョットダケの試験集団 高い&あり 3人 低い&あり 3人 20
  13. カンゼンニの効果の計算 • 治療群:薬カンゼンニヤセール ( 27*(6+1*3) + 27*(1*3) + 3*(6+1) +

    3*1 ) / 60 = 5.8 kg • 対照群 :プラセボ ( 27*(6+0*3) + 27*(0*3) + 3*(6+0) + 3*0 ) / 60 = 3 kg ⇒ 5.8-3=2.8kg がこの集団に対する平均的な効果 カンゼンニの試験集団 高い&あり 27人 低い&あり 27人 高い&なし 3人 低い&なし 3人 21
  14. • 両試験とも個人データ (IPD : Individual Patient dData) がある場合 ⇒ 層別や傾向スコア,

    回帰で調整 • 両試験とも集計データ (AgD : Aggregate Data) しかない場合 ⇒ ナイーブ比較で2.8 – 2.4 = 0.4 kg と誤った結論を導きかねない 異質性ありでNMA(Network Meta-Analysis)もあるが • 片方の試験はIPD, 片方の試験はAgDがある場合 ⇒ PAIC(Population-Adjusted Indirect Comparison)でアプローチ 対象の集団は何か、集団の異質性はあるか意識することが超重要 試験間で共変量の分布を調整する統計手法:IPDとAgDの有無 22
  15. 参考資料・文献紹介 • 岩波データサイエンス刊行委員会 編『岩波データサイエンス Vol.3』 • 篠崎智大『因果推論入門:交絡とその調整』 https://www.icrweb.jp/course/view.php?id=412 • 林岳彦『因果推論の奥へ:

    "What works" meets "why it works"』 https://www.slideshare.net/takehikoihayashi/what-works-meets-why-it-works- 155769980?ref=https://takehiko-i-hayashi.hatenablog.com/ • 中村知繁 『統計的因果推論とデータ解析』 https://speakerdeck.com/tomoshige_n/causal-inference-and-data-analysis • KRSK『因果推論のための3ステップ入門』 https://speakerdeck.com/koro485/yin-guo-tui-lun-falsetamefalse3sutetupuru-men • 安井翔太『効果検証入門 正しい比較のための因果推論/計量経済学の基礎』 • 中室牧子・津川友介『「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法』 • James Robins and Miguel A. Hernan 『Causal Inference: What If』 25