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いま、データに必要な解像度

Hikaru Kashida
December 09, 2024

 いま、データに必要な解像度

Hikaru Kashida

December 09, 2024
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  1. Current 日本政府 デジタル庁(2022-) - CxO(Chief Analytics Officer) Past 株式会社メルカリ(2016-2020) -

    Head of Data Analyst 株式会社ブレインパッド(2014-2016) - Data Scientist etc. Speaker - Hikaru Kashida
  2. 「解像度」とは: 観測対象がどこまで詳しく描写されているか、異なる対象がどこまで分離されているかを意味する    (wikipediaより 一部意訳的に引用) データ分析は事業の「解像度」を上げるための営み モノリシックなものを分離し、事業をより良く理解し、アクションの精度を上げる 例:KPIツリーによる事業目標の分解、セグメンテーションによる顧客の分解(最終形がone to one)

    だが、そもそも我々は「データ」というものに対して解像度が低くないか データという言葉の名の下、いろいろなものが十把一絡げに語られている(=異なるものが分離されていない) このセッションを通して、いくつかの質問とそれに対する世間的な通説の否定を通して、 「データ」について、 解像度を高めるための議論をしてみたいと思う。
  3. 事業マネジメント (言語:事業目標、事業計画) 企画 (言語:KPI、施策、顧客体験) アナリティクス (言語:分析モデル、インサイト) 機械言語 (言語:Python、SQL) 計算インフラ 最終的なアクションポイント

    (顧客やオペレーション) 人間判断介在モデル → Human Friendlyな情報量であることが最重要 自動化モデル → データ量と特徴量Engeeringが最重要 要件解釈 データ準備・ プログラミング 判断の上でのアクション 言語の異なる5つのバリューチェーンと情報量の調整プロセス 1 2 3
  4. データ分析は何に使えるか データは意思決定と実行の間にある 定説の否定: データと意思決定と事業の関係について解像度が低い 大きな意思決定(戦略) 、小さな意思決定(オペレーション)がある 日本型組織の意思決定は「瞬間的」ではなく「逐次浸透的」 意思決定と実行の熱伝導は常に100%ではない. 両者は地続きの関係にある。事業の本質は「実行」 データ

    × 大きな意思決定 のみにこだわると 実は市場が小さい 戦略と実行の間にあると考えるのが適切で最もバリューを発揮すると考える 意思決定と云う言葉のダイナミックさはまやかしを含んでいる。むしろ、空気のように目立たずに戦略 と行動に介入している方がはるかに上策
  5. “俺は一人じゃねえ 人間を舐めるなよ メルエム“ ー ネテロ(ハンター協会会長) 人間の強さ・賢さ 直感・知識に寄る相応な戦略の策定 集合知/暗黙知の集積を用いて、それらしい戦略を組み立てることが出来る 複合的な、複雑な要素を加味して、最適解を導き出せる 人間と組織の愚かしさ

    戦略と実行のベクトルの内積が常に「1」にならない 組織の構成員にはばらつきがある。全員に正しく戦略を熱伝導させるのは至難 人は怠ける 自分の好奇心で動く 戦略の理解が正しくない etc. 人間を舐めるな 俺は一人じゃねえ 人間(の集団の愚かさ)を舐めるな
  6. セグメントに正解はない。そこにあるのは「世界をどう見たいか」という “意思の反映” 言語学等、世界の認識に関する学問でも提唱されていることと同じ 日本語:鳩 英語:白い鳩はDove 黒い鳩はPigeon 仏語:Papillon(パピヨン) 日本語:蛾と蝶 日本語:ウマ モンゴル:オス

    or メス・去勢の有無・馬齢 が違うとそれぞれに専用の単語がある 英語:Rain 日本語:五月雨、時雨、霧雨、夕立、小雨、天気雨、俄雨
...400種類! → どこの国でも世界の存在は変わらないが、世界を切り取るセグメントのあり方は様々。 どれが正しいというものはない。あるのは「世界をどう分解すれば最も良く生きれるか」という視点の結果のみ
  7. 3ヶ月前 3ヶ月前 - - - • • ✕ ✕ ✕

    ✕ • • 前々月 前々月 - - ✕ ✕ - 前月 前月 - - • • 初 今月 今月 初 初 新規 1000 1000 新規 既存 5,000 500 既存 ルーキー 復帰 2000 4500 2000 復帰 • • • • • ユーザセグメントは事業で何を重んじるかを表現している必要がある。 ある程度既存ユーザが積み上がっている事業 シンプルさを重視して3セグメントに絞り込んで考える 新規ユーザの次月残存を重視するセグメント組みにする 新規ユーザの残存に課題がある事業 500 1000
  8. データの価値は何で決まるか データの価値はユースケースで決まる 定説の否定:データの価値が出せる条件について解像度が低い データ分析によるアウトプットが機能する範囲はそれほど実は広くない。 間違った分野にどれだけリッチなデータを投入しても、 Rich-In / Garbage-Out になる スタートアップと同じ。間違った市場に参入した時点で、99%負ける

    データを適用するシーンが適切であればSmall Dataでも勝機は十分ある 「狭い必要十分条件」を理解する必要がある データは大概のシーンでMust-Haveな要素ではない データを使わずとも事業は最低限は成り立つ。この事実を真摯に受け止める必要がある 「スポーツ科学を知らずとも、Apple Healthcareを使わずともダイエットは出来る」
  9. データ(分析)が機能するシーンの類型を理解する 経験上、パターンはそれほど多くない 80%は「対他者で必要だから」 20%は「自身が知りたいから」 善意のデータ活用は尊いが、20%程度。 監督者と実施者との間のフリクションが発生するところに陣取るほうがマーケットとしては強い 監督者と実施者との間のフリクション モデル(全体の80%) ガバナンス・監理(事業計画など) 大きい判断の正当化、説明責任(マーケティング投資など)

    戦略 <-> 実行 の橋渡し、実行者への説明 と 実行からのフィードバック 善意のデータ活用 モデル(全体の20%) パフォーマンス連動で給与が決まるなど、どんな手を使っても成果を上げたい 自身のサービスのフィードバックと改善に純粋に飢えている ハマるユースケースを自分でイチから見つけ出すのは実は簡単ではない。事業の特性とガバナンス構造、 キーパーソンの性格の理解など、割と全人格的な能力が求められる。
  10. Conclusion 1 データを使うとはどういうことか 情報量をデータ消費者の言語体系に調整すること (定説:データをビジネスに役立てること ) 2 データ分析は何に使えるか データは意思決定と実行の間にある (定説:データは意思決定のためにある

    ) 3 データに必要な態度とは データは主観×客観 の重ね合わせ (定説:データは常に客観的であるべき ) 4 データの価値は何で決まるか データの価値はユースケースで決まる (定説:データの価値はデータの量、データ基盤、分析のクオリティで決まる ) Conclusion