Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
プロダクトの成長に合わせたアーキテクチャの段階的進化と成長痛、そして、ユニットエコノミクス...
Search
KAKEHASHI
PRO
August 28, 2025
Technology
1
160
プロダクトの成長に合わせたアーキテクチャの段階的進化と成長痛、そして、ユニットエコノミクスの最適化
社会インフラ基盤開発に関わるアーキテクチャ設計を学ぶ会!
https://finatext.connpass.com/event/365430/
での登壇資料です
KAKEHASHI
PRO
August 28, 2025
Tweet
Share
More Decks by KAKEHASHI
See All by KAKEHASHI
生成AI時代に必要な価値ある意思決定を育てる「開発プロセス定義」を用いた中期戦略
kakehashi
PRO
1
350
ユーザー課題を愛し抜く――AI時代のPdM価値
kakehashi
PRO
1
250
「AIと一緒にやる」が当たり前になるまでの奮闘記
kakehashi
PRO
3
280
みんなのSRE 〜チーム全員でのSRE活動にするための4つの取り組み〜
kakehashi
PRO
2
230
医療系のプロダクト開発における生産性向上と高信頼性を両立させる生成AI活用
kakehashi
PRO
1
170
完璧を目指さない小さく始める信頼性向上
kakehashi
PRO
0
270
ユーザー理解の爆速化とPdMの価値
kakehashi
PRO
1
230
スプリントゴール未達症候群に送る処方箋
kakehashi
PRO
2
890
安定した基盤システムのためのライブラリ選定
kakehashi
PRO
3
300
Other Decks in Technology
See All in Technology
Firestore → Spanner 移行 を成功させた段階的移行プロセス
athug
1
500
dbt開発 with Claude Codeのためのガードレール設計
10xinc
2
1.3k
react-callを使ってダイヤログをいろんなとこで再利用しよう!
shinaps
2
270
COVESA VSSによる車両データモデルの標準化とAWS IoT FleetWiseの活用
osawa
1
400
MagicPod導入から半年、オープンロジQAチームで実際にやったこと
tjoko
0
110
AIエージェントで90秒の広告動画を制作!台本・音声・映像・編集をつなぐAWS最新アーキテクチャの実践
nasuvitz
3
360
品質視点から考える組織デザイン/Organizational Design from Quality
mii3king
0
210
実践!カスタムインストラクション&スラッシュコマンド
puku0x
0
550
Snowflake Intelligenceにはこうやって立ち向かう!クラシルが考えるAI Readyなデータ基盤と活用のためのDataOps
gappy50
0
280
Codeful Serverless / 一人運用でもやり抜く力
_kensh
7
460
Modern Linux
oracle4engineer
PRO
0
160
Apache Spark もくもく会
taka_aki
0
140
Featured
See All Featured
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
40
2k
A Tale of Four Properties
chriscoyier
160
23k
Being A Developer After 40
akosma
90
590k
Building Applications with DynamoDB
mza
96
6.6k
Docker and Python
trallard
46
3.6k
Easily Structure & Communicate Ideas using Wireframe
afnizarnur
194
16k
Build your cross-platform service in a week with App Engine
jlugia
231
18k
Why Our Code Smells
bkeepers
PRO
339
57k
Helping Users Find Their Own Way: Creating Modern Search Experiences
danielanewman
29
2.9k
Performance Is Good for Brains [We Love Speed 2024]
tammyeverts
12
1.1k
Done Done
chrislema
185
16k
How to Create Impact in a Changing Tech Landscape [PerfNow 2023]
tammyeverts
53
3k
Transcript
©KAKEHASHI inc. プロダクトの成長に合わせた アーキテクチャの段階的進化と成長痛 そして、ユニットエコノミクスの最適化 2025年8月28日 松本 明紘 社会インフラ基盤開発に関わるアーキテクチャ設計を学ぶ会!
©KAKEHASHI inc. 株式会社 カケハシ(2023年2月〜) • AI在庫管理、新規事業 • バックエンドに軸足を置くテックリード もっち(X: @mottyzzz)
松本 明紘 2 自己紹介 https://speakerdeck.com/kakehashi
© KAKEHASHI Inc. All Rights Reserved. ©KAKEHASHI inc. 3
©KAKEHASHI inc. Musubi AI在庫管理(1/2) 4 患者さん・医薬品ごとに、AIが需要予測 めんどうな在庫管理の課題を解決
©KAKEHASHI inc. Musubi AI在庫管理(2/2) 5
©KAKEHASHI inc. 6 AI在庫管理の全体のアーキテクチャ 本日はこの範囲の お話をします https://findy-tools.io/companies/kakehashi/91
©KAKEHASHI inc. 7 ソフトウェアアーキテクチャは変化していく • 事業や組織や技術、トレードオフとなる制約を満たす必要がある • 事業状況、組織構造、技術トレンドなどすべて変化していく 出展: ソフトウェアアーキテクトのための意思決定術:
Software Architecture and Decision-Making https://speakerdeck.com/snoozer05/software-architecture-and-decision-making
©KAKEHASHI inc. 8 プロダクトのフェーズと事業や組織的な要件の変化 2020 2021 2022 2023 2024 2025
MVP期 SMB導入期 エンタープライズ導入期 Musubi AI在庫管理リリース 仮説検証の 早さ・速さ 機能開発のスケーリング チームの体制の強化 持続可能な成長 高信頼性・高品質 それぞれのフェーズで重要にしたい事業や組織的な要件 それぞれのフェーズでアーキテクチャに求められる品質特性 • 機能適合性 (特に機能適切性) • 保守性 • 機能適合性 (特に機能完全性) • 使用性 • 保守性 (特にモジュール性、修正性) • 機能適合性(特に機能正確性) • 信頼性 • 性能効率性 • 保守性(特に解析性) • そしてユニットエコノミクス 入社!(※) (※)入社より前のいなかった時期の情報は、正確ではない可能性があります
©KAKEHASHI inc. 9 品質特性 システム/ソフトウェア製品品質 機能適合性 性能効率性 互換性 使用性 信頼性
セキュリティ 保守性 移植性 機能完全性 時間効率性 共存性 適切度認識性 成熟性 機密性 モジュール性 適応性 JIS X 25010:2013 製品品質モデルより 機能正確性 資源効率性 相互運用性 習得性 可用性 インテグリティ 再利用性 設置性 機能適切性 容量満足性 ユーザエラー 防止性 運用操作性 障害許容性 (耐故障性) 否認防止性 解析性 置換性 回復性 責任追跡性 修正性 ユーザインタ フェース快美性 真正性 試験性 アクセシビリティ • 品質特性はトレードオフ。すべてを同時に満たすことはできない • プロダクトの特性やフェーズに合わせて、アーキテクチャドライバとなる要素を自分たちで選択する
©KAKEHASHI inc. 10 ユニットエコノミクス • ユニットエコノミクスとは ◦ 顧客あたり(1ユーザー、1店舗など)の採算性 ◦ LTV(顧客生涯価値)
> CAC(顧客獲得コスト) という健全な目指す • アーキテクチャとどう関係するのか? ◦ どうすれば長く使い続けてもらえるか ▪ ユーザーが増えても、サクサク動いて落ちないサービス ▪ 魅力的な機能を素早く提供 ◦ どうすればコストを下げられるか ▪ 事業モデルに適したサービス選定、構成 ▪ システムの負荷の削減
MVP期
©KAKEHASHI inc. MVP期の状況 12 • 事業 ◦ ヒアリング、モックアップでデモすることにより、プロダクトに必要な要素を洗い出し ◦ 初期開発のカオス
• 開発チーム ◦ 新規のスクラムチーム ◦ バックエンドエンジニアの全員が業務委託のメンバー ▪ 最初1人 ▪ 徐々に増え3〜4人 ◦ バーンダウンチャートがアップし続ける問題
©KAKEHASHI inc. 13 MVP期のアーキテクチャ • AWS Lambdaでトランザクションスクリプト構成 • フルマネージドなサービスを選択し、インフラに手間をかけない
©KAKEHASHI inc. 14 MVP期のアーキテクチャのふりかえり 良かったこと 課題 性能効率性 • 考えることが少ない ー
信頼性 • 考えることが少ない ー 保守性 • 価値提供のリードタイムの短さ ー
SMB導入期
©KAKEHASHI inc. SMB導入期の状況 16 • 事業 ◦ SMB領域のPMFに向けて足りない機能をどんどん作っていく時期 ◦ AIの精度向上も含めて、ユーザー体験の向上を推進
◦ オンボーディングや手作業での運用の課題 • 開発チーム ◦ 開発チームが20人〜40人ほどに ▪ バックエンドエンジニアも10人程度に ◦ コミュニケーションコスト、マネジメントコストの増加
©KAKEHASHI inc. 17 SMB導入期のアーキテクチャ • 基本的な構成は変えず • AWS Lambdaのスケーラビリティを活かしつつパフォーマンス対策を行う
©KAKEHASHI inc. 18 SMB導入期のアーキテクチャのふりかえり 良かったこと 課題 性能効率性 • 最低限の対応でレスポンス性能へ対処でき る構成になっていた
• CI/CDの遅さ 信頼性 • 考えることが少ない ー 保守性 • 機能開発に集中できる構成 • 修正の影響範囲 • 単体テストの追加が難しい • チームのパフォーマンスがスケールしな い
エンタープライズ導入期
©KAKEHASHI inc. エンタープライズ導入期の状況 20 • 事業 ◦ 大手法人の薬局に向けて、機能の正確性の向上や法人としての管理機能を開発 ◦ システムの信頼性とスケーラビリティの重要度が一気に上がる
◦ 持続可能な成長のため、インフラコスト削減を実施 ◦ 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への対応 • 開発チーム ◦ 職能別のサブチームから、フィーチャーチームへの変化 ◦ 技術的負債の解消をチームとして実施できるタイミング ◦ 品質向上のための開発プロセスの見直し
©KAKEHASHI inc. 21 エンタープライズ導入期のアーキテクチャ • APIのコードにレイヤー構造を導入、単体テストを増やしていく • 性能効率を向上させるため、DBの負荷軽減とスケール性の向上
©KAKEHASHI inc. 22 エンタープライズ導入期のアーキテクチャのふりかえり 良かったこと 課題 性能効率性 • 高いスケーラビリティ •
DBの変更の運用が容易 • インフラコスト増加 信頼性 • 高い信頼性 • 可観測性の低さ 保守性 ー • 変更の影響範囲も大きさ • 動作確認の難しさ
これから考えていること
©KAKEHASHI inc. 24 これから目指そうとしているアーキテクチャ • 影響範囲を小さく、テストしやすさを向上させるため、モノリスからモジュラーモノリスへ • AppSyncとAWS LambdaをECS on
Fargateへ
©KAKEHASHI inc. 25 完璧なアーキテクチャは存在しない • さまざまな制約で捨てざるを得ないものが存在する • 変更を前提としたアーキテクチャに ◦ ベストだったアーキテクチャも、事業やチームの状況が変わると課題に変わる
• 変えていくことで自分たちのものになっていく
アーキテクチャの痛みは 事業やプロダクトが成長している証拠
これからも医療体験が日々進化する世 界の実現のために、成長痛と向き合って プロダクトを成長させていきます
© KAKEHASHI Inc. All Rights Reserved. PM・EM・エンジニアを積極採用中 https://kakehashi-dev.hatenablog.com/entry/2025/07/17/093000 We’re Hiring!!!
©KAKEHASHI inc. プロダクトの成長に合わせた アーキテクチャの段階的進化と成長痛 そして、ユニットエコノミクスの最適化 2025年8月28日 松本 明紘 社会インフラ基盤開発に関わるアーキテクチャ設計を学ぶ会!