Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
安定した基盤システムのためのライブラリ選定
Search
KAKEHASHI
PRO
July 14, 2025
Technology
3
410
安定した基盤システムのためのライブラリ選定
実践!バックエンドTypeScript〜現場から学ぶtsの可能性〜
https://findy.connpass.com/event/360678/
での登壇資料です
KAKEHASHI
PRO
July 14, 2025
Tweet
Share
More Decks by KAKEHASHI
See All by KAKEHASHI
制約下の医療LLM Observability 〜セキュアなデータ活用と専門家による改善サイクルの実現〜
kakehashi
PRO
1
170
KAKEHASHI❤️Hono
kakehashi
PRO
1
280
生成AIが拓く医療DXの進化と壁
kakehashi
PRO
0
160
品質と速度を両立する、私たちのフロントエンドテストの工夫と取り組み
kakehashi
PRO
2
120
爆速でプロダクトをリリースしようと思ったらマイクロフロントエンドを選んでいた
kakehashi
PRO
5
2.6k
生成AI時代に必要な価値ある意思決定を育てる「開発プロセス定義」を用いた中期戦略
kakehashi
PRO
1
2k
プロダクトの成長に合わせたアーキテクチャの段階的進化と成長痛、そして、ユニットエコノミクスの最適化
kakehashi
PRO
1
250
ユーザー課題を愛し抜く――AI時代のPdM価値
kakehashi
PRO
1
620
「AIと一緒にやる」が当たり前になるまでの奮闘記
kakehashi
PRO
3
650
Other Decks in Technology
See All in Technology
Logik: A Free and Open-source FPGA Toolchain
omasanori
0
300
バグと向き合い、仕組みで防ぐ
____rina____
0
260
re:Invent完全攻略ガイド
junjikoide
1
300
CodexでもAgent Skillsを使いたい
gotalab555
9
4.5k
内部品質・フロー効率・コミュニケーションコストを悪化させ現場を苦しめかねない16の組織設計アンチパターン[超簡易版] / 16 Organization Design Anti-Patterns for Software Development
mtx2s
2
210
技術の総合格闘技!?AIインフラの現在と未来。
ebiken
PRO
0
250
AIエージェントは「使う」だけじゃなくて「作る」時代! 〜最新フレームワークで楽しく開発入門しよう〜
minorun365
11
1.6k
Redux → Recoil → Zustand → useSyncExternalStore: 状態管理の10年とReact本来の姿
zozotech
PRO
12
5.8k
お試しで oxlint を導入してみる #vuefes_aftertalk
bengo4com
2
1.4k
Lazy Constant - finalフィールドの遅延初期化
skrb
0
160
ある編集者のこれまでとこれから —— 開発者コミュニティと歩んだ四半世紀
inao
4
1.9k
ググるより、AIに聞こう - Don’t Google it, ask AI
oikon48
0
860
Featured
See All Featured
個人開発の失敗を避けるイケてる考え方 / tips for indie hackers
panda_program
118
20k
Being A Developer After 40
akosma
91
590k
A Modern Web Designer's Workflow
chriscoyier
697
190k
Chrome DevTools: State of the Union 2024 - Debugging React & Beyond
addyosmani
9
970
Visualization
eitanlees
150
16k
Let's Do A Bunch of Simple Stuff to Make Websites Faster
chriscoyier
508
140k
GraphQLとの向き合い方2022年版
quramy
49
14k
Improving Core Web Vitals using Speculation Rules API
sergeychernyshev
21
1.2k
Git: the NoSQL Database
bkeepers
PRO
432
66k
Documentation Writing (for coders)
carmenintech
76
5.1k
The Power of CSS Pseudo Elements
geoffreycrofte
80
6.1k
Designing for Performance
lara
610
69k
Transcript
©KAKEHASHI inc. 安定した基盤システムのための ライブラリ選定 2025/07/15 実践!バックエンドTypeScript〜現場から学ぶTSの可能性〜 株式会社カケハシ 岩佐 幸翠 (@kosui_me)
©KAKEHASHI inc. カケハシについて
©KAKEHASHI inc. #1 医療プロダクトを支える 基盤システム
©KAKEHASHI inc. 機能要求 #1 医療プロダクトを支える基盤システム • 認証・認可 複雑な状態遷移を伴う • ディレクトリサービス
ユーザー・店舗・テナント・グループ・組織階層... 複雑なリレーションシップが絡み合う • ライセンス 契約とコンプライアンスに直結する
©KAKEHASHI inc. 非機能要求 #1 医療プロダクトを支える基盤システム • セキュリティ 患者の薬歴などの要配慮個人情報を取り扱う • 可用性
医療の現場の業務を止めてはいけない • 移植性 基盤システムとして永く運用し続ける必要がある • 性能・拡張性 日本の薬局は約60,000店舗 薬局は常に一定の時間に開局・閉局する データ量やトラフィックはある程度上限が推定できる
©KAKEHASHI inc. #2 TypeScriptで 基盤システムを構築する
©KAKEHASHI inc. 基盤システムを構築するなら #2 TypeScriptで基盤システムを構築する 静的型付け言語で堅牢かつ効率的な基盤システムを構築したいなら 選択肢は数多くある • Java パターンマッチ・仮想スレッド・レコードパターン...
今なお進化し続ける言語 • Go ゴルーチンで高パフォーマンスなアプリケーションを容易に構築できる • Rust メモリ安全で表現力の高い言語
©KAKEHASHI inc. なぜTypeScript? #2 TypeScriptで基盤システムを構築する 基盤システムでは複雑な機能要件を表現したい 認証・認可、ディレクトリサービス、ライセンスなど 複雑な状態遷移とリレーションシップがコード上で表現されてほしい TypeScriptの型の表現力でモデリングする 値やエンティティ、そして状態を型で表現する
コードや仕様の誤りを型検査時に発見できる • 「関数型ドメインモデリング」 (アスキードワンゴ社) • TypeScript 関数型スタイルでバックエンド開発のリアル - Speaker Deck • TypeScript開発にRailway Orientedを持ち込み、より型安全なエラーハンドリングへ - Sansan Tech Blog
©KAKEHASHI inc. 例) ディレクトリサービス #2 TypeScriptで基盤システムを構築する OrgRoot OrgGroup OrgGroup OrgGroup
OrgStore OrgGroup OrgGroup OrgStore OrgStore 店舗の親は グループのみ グループの親は グループかルート ルートは親を 持たない 親子関係の正確な表現
©KAKEHASHI inc. 例) ディレクトリサービス #2 TypeScriptで基盤システムを構築する OrgRoot OrgGroup OrgGroup OrgGroup
OrgStore OrgGroup OrgGroup OrgStore OrgStore シグニチャを 見れば発生する エラーがわかる 振る舞いの事後条件を型で示す
©KAKEHASHI inc. TypeScriptを採用する場合の注意点 #2 TypeScriptで基盤システムを構築する • クラスや例外機構における型推論 😭 過去のJavaScriptコードへ漸近的に型付けできるように クラスに対する型推論はゆるめなことも多い
例) メソッド記法は双変になってしまう 😭 try-catch文ではすべての例外がunknown型になるため ランタイムでの型の検証が必須 • CPU boundな処理が苦手 Node.jsはシングルスレッド ✅ I/O boundな処理 (非同期処理) をイベントループで高速に捌ける ❌ CPU boundな処理 (同期処理) を掴まされると他イベントの処理が詰まる
©KAKEHASHI inc. 指針 #2 TypeScriptで基盤システムを構築する 設計方針 • 型とスキーマを活用し、自己文書化されたコードを目指す • 移植性を高く保つ
• クラスや例外機構に頼らない ライブラリ選定方針 • スキーマ駆動である • 標準に基づいている • クラスや例外機構への依存度が低い
©KAKEHASHI inc. #3 型とスキーマを活用した 基盤システム
©KAKEHASHI inc. スキーマ検証ライブラリ #3 型とスキーマを活用した基盤システム TypeScriptにおけるスキーマ検証ライブラリは 単なる外界とのI/Fの文書化以上の意味を持つ 例: 値オブジェクトの定義 UserId型は必ずzodによる
UUID v4の検証を通してのみ インスタンス化される badUserIdは 型検査でエラーとなる
©KAKEHASHI inc. スキーマ検証ライブラリの選び方 #3 型とスキーマを活用した基盤システム - JSON Schemaベース Ajvなど 移植性を重視した選択肢
- Standard Schema準拠 Zod、Valibot、Arktype、Effect Schemaなど 多くのスキーマ検証ライブラリがサポートする標準インタフェース エンティティ、値オブジェクト、状態などの定義にもスキーマ検証ライブラリを使うなら TypeScriptでスキーマを定義できるZodがおすすめ ただしメールアドレスの検証ルールはライブラリによって細かく異なる場合がある 既存データを弾いてしまう / 不正データを許してしまうことがないようによく検証する
©KAKEHASHI inc. Webフレームワーク #3 型とスキーマを活用した基盤システム Hono 段階的に採用を進行中 • 様々なJSランタイムで実行可能 •
Web標準に基づいたデザイン fetch、Requests、Responses、URL、URLSearchParamなど • Standard Schemaをサポート リクエストやレスポンスをStandard Schemaで検証できる NestJS 新規では採用しない予定 Spring BootのようなリッチなDIコンテナを提供する • 型検査時ではなくランタイム時まで依存性の検証ができない • 明らかに型と一致しないサービスを注入できてしまう
©KAKEHASHI inc. データベースとの接続 #3 型とスキーマを活用した基盤システム Kysely 継続利用中 事前に用意した型定義に従ってクエリ結果に型を付けてくれるクエリビルダー Drizzle 注視
同じくクエリ結果に型を付けてくれるクエリビルダー Kyselyよりもリッチなマイグレーション機能を有する Prisma ORM 弊チームでは撤退済み (2023年頃) 様々なデータベースをサポートするType-safeを謳うORM 発行されるクエリが予想しづらく断念 • Prisma ORMを2年運用して培ったノウハウを共有する - Speaker Deck
©KAKEHASHI inc. #4 TypeScriptの 注意点を乗り越える
©KAKEHASHI inc. CPU boundな処理との向き合い方 #4 TypeScriptの注意点を乗り越える コンピューティングリソースを分離する 最もシンプルな解決策 • 他のAWS
ECSサービス/Cloud Runへ • 他のAWS Lambda/Cloud Run functionsへ Worker threadsを利用する CPU Boundな処理を他のスレッドへ逃がす方法 適切にWorker threadをハンドリングする能力と気合が必要
©KAKEHASHI inc. 仲間を探しています 数多くの医療プロダクトを支えるプラットフォームシステムを作るのは楽しい - 難易度の高い非機能要求を達成する - 複雑な医療業界をモデリングしてシステムに落とし込む - システムの正しさを仕組みで担保する
型システム、関数型ドメインモデリング、Effect System... テナント分離、Row Level Security... https://recruit.kakehashi.life/ お待ちしております!