Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
IoT向けストレージにTiKVを採用したときの話 / 2024-10-25 TiUG Meet...
Search
kamijin_fanta
October 25, 2024
Programming
0
43
IoT向けストレージにTiKVを採用したときの話 / 2024-10-25 TiUG Meetup 3 Using TiKV as IoT storage
https://tiug.connpass.com/event/327074/
kamijin_fanta
October 25, 2024
Tweet
Share
More Decks by kamijin_fanta
See All by kamijin_fanta
TrinoとIcebergで ログ基盤の構築 / 2023-10-05 Trino Presto Meetup
kamijin_fanta
1
1.3k
Unicodeと符号化形式
kamijin_fanta
0
900
Reactとフォームとスキーマバリデーション / React forms with Schema Validation
kamijin_fanta
0
2.5k
2020/05/25 さくらのクラウド向けツールを使いこなす
kamijin_fanta
3
280
2019-01-24 業務でのOSSとの関わり方
kamijin_fanta
7
4.7k
関数型言語で始めるネットワークプログラミング
kamijin_fanta
0
950
2018-11-10 Akka-HTTPで作るAPIサーバ
kamijin_fanta
2
3.5k
2018-06-30 Dockerで手に入れるデプロイ環境
kamijin_fanta
1
420
2017-09-09 Scala Kansai Summit - Akka Streams
kamijin_fanta
3
1.5k
Other Decks in Programming
See All in Programming
Compose 1.7のTextFieldはPOBox Plusで日本語変換できない
tomoya0x00
0
190
Webの技術スタックで マルチプラットフォームアプリ開発を可能にするElixirDesktopの紹介
thehaigo
2
1k
Flutterを言い訳にしない!アプリの使い心地改善テクニック5選🔥
kno3a87
1
200
What’s New in Compose Multiplatform - A Live Tour (droidcon London 2024)
zsmb
1
480
ローコードSaaSのUXを向上させるためのTypeScript
taro28
1
630
RubyLSPのマルチバイト文字対応
notfounds
0
120
GitHub Actionsのキャッシュと手を挙げることの大切さとそれに必要なこと
satoshi256kbyte
5
430
A Journey of Contribution and Collaboration in Open Source
ivargrimstad
0
970
CSC509 Lecture 09
javiergs
PRO
0
140
Nurturing OpenJDK distribution: Eclipse Temurin Success History and plan
ivargrimstad
0
960
Streams APIとTCPフロー制御 / Web Streams API and TCP flow control
tasshi
2
350
Better Code Design in PHP
afilina
PRO
0
130
Featured
See All Featured
The World Runs on Bad Software
bkeepers
PRO
65
11k
Side Projects
sachag
452
42k
Visualization
eitanlees
145
15k
The Language of Interfaces
destraynor
154
24k
KATA
mclloyd
29
14k
Designing on Purpose - Digital PM Summit 2013
jponch
115
7k
[RailsConf 2023 Opening Keynote] The Magic of Rails
eileencodes
28
9.1k
Designing the Hi-DPI Web
ddemaree
280
34k
Fireside Chat
paigeccino
34
3k
Code Reviewing Like a Champion
maltzj
520
39k
Practical Orchestrator
shlominoach
186
10k
How to Think Like a Performance Engineer
csswizardry
20
1.1k
Transcript
IoT向けストレージに TiKVを採用したときの話 2024-10-25 TiUG Meetup #3 Tadahisa Kamijo
上條 忠久 • さくらインターネット 2016年 新卒入社 • ずっと大阪勤務 • クラウド事業本部
所属 • 今は監視基盤を開発中 ◦ Go, Kotlin, React, TypeScript, TiDB, Trino, Iceberg… ※今日の話は多分当時はこうだったという適当な話です
入社直後 • sakura.ioというIoTサービスの開発を行うことに ◦ 通信モジュール・LTE回線・バックエンドサービスを提供
無限にスケールする IoTストレージを作って えっ? ワイ えらい人
第一世代 • 当時DBはMySQL, Postgresql, Elasticsearchくらいしか知らなかった • Elasticsearch良さそう ◦ クラスタリング対応 スケーラビリティ・耐障害性高そう!
◦ レプリカ・シャードを割と自由に設定できるらしい! ◦ 自由にJSONでクエリ書ける! • 社内でも何台か動いているらしい • とりあえず作ってみよう ◦ Elasticsearchにデータを入れるところは JavaSDK + Scala + Akka http ◦ ユーザがアクセスする REST APIをPython + flask • 2016年6月から開発・同年12月にリリース
第一世代 つらかった • 実際にあった問題 ◦ メモリ使用量が異様に多い・開くファイルの数が多すぎて止まる ◦ データを投入する時にたまに止まる ◦ クラスタリングしているのに、サーバ
1台止まるだけで止まる ◦ クラスタにサーバを1台足すと止まる 調べると全部Elasticsearchが悪いんじゃなくて使い方が悪かった
なんで辛かったか • ElasticsearchにはIndexという保存領域が存在 • 毎日デバイス毎にIndexを作っていた ◦ 1000デバイスが3ヶ月間保存すると9万Index • どうやIndexあたり数MBのメモリが必要らしい ◦
9万Indexに必要なメモリ総量は 900GB…? ◦ 当時1台に割り当て可能なメモリは 32GBが最大 ◦ サーバ1台で30デバイスくらいしか収容できない … 1日1通のデバイスも居るんですが … • Index毎にPrimary/Secondaryの選出等が行われる ◦ ノードが追加・削除されたタイミングで全て選出し直される • ノード間のデータの容量に偏りが少なくなるようにリバランスが入る ◦ Indexあたり数十秒掛かる 並列でも数時間~数日単位で性能劣化 …
直した 毎日デバイス毎にIndexを作っていた ↓ 毎日全デバイスのメッセージを受け入れるIndexを作成
教訓 • パフォーマンステストやったほうが良い • ちゃんと仕組みを理解したほうが良い
どうしよう… • ElasticsearchのIndex毎にWriteのスケール限界がある • ”無限にスケール”からは遠ざかってしまった… • 運用性も改善はされたが課題は残る ◦ ノード追加・削除時にサービス断時間が減ったが …
第二世代の開発を開始 • 主な要件 ◦ デバイスから送信される JSONを保存・ユーザがHTTP APIでクエリできる事 ◦ 1日に1メッセージのデバイス・ 1秒に1メッセージのデバイス
数万倍の差を吸収できる事 • 色々なDBを調査 ◦ Cassandra, HBase, Hypertable, Kudu, MapR, Druid, InfluxDB, TimescaleDB ◦ 要件に合う・DB自体の運用が楽・アプリケーション側の実装が楽 なDBは意外と少ない • 色々試した結果TiKVが一番向いていそうだ
TiKV • TiDBの永続層として開発 • Google BigTable(恐らくHBaseも)を参考に作られている • 当時(2018年)日本で使っている人ぜんぜん居ない • 何か問題が有ったらRust(TiKV開発言語)を書くという決意で導入
https://docs.pingcap.com/ja/tidb/stable/tidb-architecture
第二世代 • ストレージはTiKV • 開発言語はGo ◦ TiKVのクライアントはGo向けが一番ちゃんとしていた • TiKVは便利なクエリ/Indexがない ◦
基本的に↓だけでアプリケーションを作る ◦ Get(key []byte) => []byte ◦ Put(key []byte, value []byte) ◦ Delete(key []byte) ◦ Scan(keyStart []byte, keyEnd []byte) => [][]byte • シンプルなので運用が比較的楽・コントロールしやすい
TiKVの扱い方 • TiKVはデカい「Sorted Map」 ◦ Keyの順番でソートされた Map(辞書) • 容量等に応じて透過的に分割・クラスタ内で分担 ◦
この要件にマッチする →1日に1メッセージのデバイス・ 1秒に1メッセージのデバイス ◦ 分割によって書き込みスループットがスケール https://blog.kamijin-fanta.info/2022/09/tikv-get-started/
TiKVでのキー設計 IoTストレージでの利用例 • Key: iotmsg_{deviceId}_{time}_{insertId} • Value: JSON Payload Scanの仕方
• 開始キー・終了キーを指定する 例: デバイス”aaa”の12:00:00~12:20:00 • 開始: iotmsg_aaa_2024-10-25_12-00-00_ • 終了: iotmsg_aaa_2024-10-25_12-20-00_ Key Value iotmsg_aaa_2024-10-25_12-10-00_AAAA {“paylaod”: … iotmsg_aaa_2024-10-25_12-20-00_BBBB {“paylaod”: … iotmsg_aaa_2024-10-25_12-30-00_CCCC {“paylaod”: … iotmsg_bbb_2024-10-25_12-05-00_DDDD {“paylaod”: … iotmsg_bbb_2024-10-25_12-15-00_EEEE {“paylaod”: … iotmsg_ccc_2024-10-25_12-08-00_FFFF {“paylaod”: … iotmsg_ddd_2024-10-25_12-09-00_GGGG {“paylaod”: …
第二世代リリース • 2020年5月にTiKVバックエンドとした第二世代ストレージをリリース • 運用性も非常に良かった ◦ ノードの追加・削除で停止することも無くなった ◦ スケーリングはTiKVが勝手にやってくれるので、サイジングの負荷軽減 ◦
消費リソース量は数十~数百分の 1 ◦ ユーザへのレスポンス時間は数十分の 1 • TiKVにPR送ったりもした https://github.com/tikv/tikv/pull/3724
さくらインターネットのIoTサービス 頑張って作ったが… • 2016年4月1日 sakura.io パブリックα提供開始 • 2017年4月18日 sakura.io 正式サービス提供開始
• 2022年3月24日 後継サービス モノプラットフォーム提供開始 • 2024年5月30日 モノプラットフォーム 新規申し込み停止 SIM 1枚月額13円から利用可能なセキュアモバイルコネクトは継続して提供中
なぜTiDBを使わなかった? • TiDBはTiKV上に保存する際のキーを自由に指定できない ◦ Key: table{tableId}_record{rowId} ◦ tableIdはテーブルを分けることで変更できる・ rowIdはPKのint64 •
1テーブルに書き込む場合はスケールに限界がある ◦ 基本的にテーブルの末尾に追記する形になるので Prefixが分散しない(調整可能) ◦ WriteよりReadが非常に多いサービスは特に問題にならない • Key Prefixを分けるためにはTableを分ける必要がある ◦ 今回のケースだと、1デバイス毎に1テーブル ◦ スキーマ管理などのオペレーションが煩雑になりそう ※性能検証した上で受け入れられるならTiDBを使いましょう
IoT向けストレージにTiKVを採用したときの話 まとめ • TiDBで利用されるTiKVの性質 ◦ 大きいSorted Map ◦ 便利クエリは存在しないが安定性・スケーラビリティに優れる •
アーキテクチャを理解・パフォーマンステストした上でリリースしよう • GoからTiKVを触る話ブログで詳しく書いているので興味あれば ◦ NewSQL TiDBを支える分散KVS "TiKV"入門 https://blog.kamijin-fanta.info/2022/09/tikv-get-started/ さくらインターネットでは“こういう”ストレージの話が出来る人も募集中です