Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
スポーツAIの民主化と発展:アカデミアの立場から
Search
Keisuke Fujii
October 01, 2025
Technology
0
140
スポーツAIの民主化と発展:アカデミアの立場から
2025/09/30
Sports Tech Meetup Vol. 1
〜スポーツの未来を創る、AIとデータの最前線〜
にて発表
Keisuke Fujii
October 01, 2025
Tweet
Share
More Decks by Keisuke Fujii
See All by Keisuke Fujii
2025/6/21 日本学術会議公開シンポジウム発表資料
keisuke198619
2
890
2024/10/30 産総研AIセミナー発表資料
keisuke198619
1
630
MLSA (Machine Learning and Data Mining for Sports Analytics) 2023 参加報告
keisuke198619
1
550
集団スポーツの動きに関するデータ分析の概要と今後の展望
keisuke198619
0
410
最新のスポーツアナリティクス研究論文はどこで読めるか?
keisuke198619
0
380
Sports Analyst Meetup #13 (2022/11/26)
keisuke198619
0
930
スポーツ戦術をAIのデータ解析で評価する
keisuke198619
0
1.3k
Sports Analyst Meetup #12 Keisuke Fujii
keisuke198619
0
960
Learning interaction rules from multi-animal trajectories via augmented behavioral models
keisuke198619
0
410
Other Decks in Technology
See All in Technology
なぜThrottleではなくDebounceだったのか? 700並列リクエストと戦うサーバーサイド実装のすべて
yoshiori
13
4.9k
LINEスキマニ/LINEバイトにおけるバックエンド開発
lycorptech_jp
PRO
0
340
[CV勉強会@関東 ICCV2025] WoTE: End-to-End Driving with Online Trajectory Evaluation via BEV World Model
shinkyoto
0
290
グローバルなコンパウンド戦略を支えるモジュラーモノリスとドメイン駆動設計
kawauso
3
5.8k
生成AI時代に若手エンジニアが最初に覚えるべき内容と、その学習法
starfish719
2
560
Redux → Recoil → Zustand → useSyncExternalStore: 状態管理の10年とReact本来の姿
zozotech
PRO
21
8.9k
入社したばかりでもできる、 アクセシビリティ改善の第一歩
unachang113
2
340
ステートレスなLLMでステートフルなAI agentを作る - YAPC::Fukuoka 2025
gfx
8
1.4k
Perlの生きのこり - YAPC::Fukuoka 2025
kfly8
0
610
Kubernetesと共にふりかえる! エンタープライズシステムのインフラ設計・テストの進め方大全
daitak
0
420
Axon Frameworkのイベントストアを独自拡張した話
zozotech
PRO
0
220
Javaコミュニティの歩き方 ~参加から貢献まで、すべて教えます~
tabatad
0
140
Featured
See All Featured
[RailsConf 2023] Rails as a piece of cake
palkan
57
6.1k
Six Lessons from altMBA
skipperchong
29
4.1k
How to train your dragon (web standard)
notwaldorf
97
6.4k
Let's Do A Bunch of Simple Stuff to Make Websites Faster
chriscoyier
508
140k
Distributed Sagas: A Protocol for Coordinating Microservices
caitiem20
333
22k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
463
33k
The Cost Of JavaScript in 2023
addyosmani
55
9.3k
Being A Developer After 40
akosma
91
590k
Building a Modern Day E-commerce SEO Strategy
aleyda
45
8.1k
Optimizing for Happiness
mojombo
379
70k
Testing 201, or: Great Expectations
jmmastey
46
7.8k
StorybookのUI Testing Handbookを読んだ
zakiyama
31
6.3k
Transcript
スポーツAIの民主化と発展: アカデミアの立場から 藤井 慶輔 名古屋大学 大学院情報学研究科 2025/09/30 Sports Tech Meetup
Vol. 1 〜スポーツの未来を創る、AIとデータの最前線〜 資料はHP
None
目指したいAIスポーツ解析の世界 現状:人手で分析して公開できない。技術的にも難しいため、今のAIの活用が難しい あるべき姿: AIで分析を民主化 (初心者の理解、 専門家の能力向上) 課題①画像処理によるデータ自動収集 課題②予測モデルに基づく 行動評価 課題③強化学習による全選手・
全局面の評価・提案 3
①コンピュータビジョンでデータを自動取得 4 フィギュアスケート3D姿勢の公開 [Tanaka+24, MMSports] サッカーのシュート時の単眼3D姿勢推定と分析 データセットも公開 [Yeung+24, CVSports] フルピッチ映像の選手とボール追跡データセットと
アルゴリズムの公開[Scott+24, CVSports] 4
どこにポジショニン グすればよいか一 目でわかる [Teranishi+22,MLSA] の技術を利用 ドリブルを考慮して バスケに応用 [Kono+24,MLSA] 従来)(主観で)ここにパスを出せば良かったのに…(どこに出したらどれくらい良かった?) 提案)このパスよりも、ここに出した方が得点チャンスが
** %増加する! ※筑波大学蹴球部と共同研究 ②予測モデルに基づく行動評価(空間の価値を計算し選択肢を提示) 5
③強化学習による全選手・全行動の価値を推定・評価 [Nakahara+23, IEEE Access; MLSA’24] 従来) 解説者:(主観、結果論で)この選手がこう動いたから、良いプレーですね。 提案) この瞬間のパスの判断は**の価値があったから良いプレーでしたね。 全選手の全行動の
価値を推定・評価 (SoccerNet GSRの 映像から) ゲームの行動の 選択肢を模倣 6
どうしたらAIの恩恵を受けられる未来を実現できるか? 今後の課題(アカデミアの立場から) • 今は資金のある大会やリーグのみデータや技術が利用できるので、 多くの人が利用できるようにすることが必要 • 多くの人にとっては、映像はあるがデータやその先の分析ができない • トップ層も、情報が秘匿されすぎて技術交流が少なく発展しない •
科学・技術の民主化と発展のためには、秘匿すべき情報は守りつつ、 オープンサイエンスを実現することが必要 7 • 将来的には将棋のように人間より 強く、良い戦術を提案したり、正確 に評価ができるようになりそう • ただし現状は実現が難しい構造に なっている 7
どこで最新の研究を確認・発表できるか? 1. スポーツ科学系のジャーナル論文 2. 情報系のジャーナル論文 3. 上記1,2の両方の話題を含むジャーナル論文 4. スポーツアナリティクス系の国際会議論文 5.
情報系の国際会議論文 6. 情報系の国際会議ワークショップ論文 ※ 非常に数が多いので検索が必須 • 査読が重要:全部定期的にチェックするのは不可能なので、目的を持ってGoogle Scholarなどでまず調べる • 2,3,5,6ならarXivに投稿される場合も多いので、arXivで探してみるのもあり(ただし査読前なので注意) • 最新の動向を探してみるなら、国際会議の方が情報が早いので、4,6は大体会議ごとにチェック(3つ紹介) ※ スポーツアナリティクスはここが多い? ※ あまり知られていないので後で紹介 ※ MIT SSACが代表例(後で紹介) 8 スポーツアナリティクス/機械学習の論文はどこで読めるか?|note スポーツアナリティクス/機械学習の論文をどこで発表するか?|note
1. MIT SSAC (Sloan Sports Analytics Conference) • 日本でも取り上げられることの多い有名な学会(2025年で19回目) •
インパクト重視・やや商業的 • これまで、メジャースポーツ・トップチームの分析重視 9
2. MLSA (Machine Learning and Data Mining for Sports Analytics)
機械学習(ML)とデータマイニング(DM)の主要な国際会議(ECML-PKDD)で開催される、 Sports AnalyticsのML-DM workshop (2025年で12回目) 本会議同様、フルペーパーでしっかり査読がある 2025はポルト(ポルトガル) 10 https://dtai.cs.kuleuven.be/events/MLSA25/
3. CVSports (International Workshop on Computer Vision in Sports) コンピュータビジョンのトップ国際会議(CVPR)で開催される、スポーツのワークショップ
(2025年で11回目、2025はNashville) • 今後のスポーツアナリティクスとコンピュータビジョンは融合していく • CVPRが画像処理のトップ会議なので、こちらも競争的でレベルが高い 11 https://vap.aau.dk/cvsports/ Best paper award受賞者とOrganizer SoccerNet competitionが複数あり 参加者数が非常に多い
論文やコードは公開されているが、なかなか広まらない... →OpenSTARLab:時空間エージェントデータの解析プラットフォーム データの多様化、解析の高度化により高まる参入障壁を下げる(商用可: Apache 2.0 License) データの扱いが部門ごとになり内外でノウハウが共有されず、統合してチーム固有の課題の分析が難しい 様々な会社のデータの異なるフォーマットを簡単に統一できる! チーム、リーグ、企業、大学など包括的な連携を実現するためのプラットフォーム [Yeung+25,
C&IS] 12
まとめ • 今できなくても、AIで可能になることは数多くある • 様々な立場が絡む構造的課題も、解決する必要がある • AIの恩恵を誰もが受けられる未来を、一緒に創りましょう! • コンペやワークショップ、輪読会を定期的に開催しています (11月5
or 12日に名大+オンラインで行います!Xで告知します) お気軽にご連絡ください mail:
[email protected]
X(twitter): @keisuke_fj スポーツAIの未来を 書いた書籍(無料) もご覧ください! 13 資料はHPに: