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LLMアプリケーションで使用するVector Databaseの比較

LLMアプリケーションで使用するVector Databaseの比較

機械学習の社会実装勉強会第33回 (https://machine-learning-workshop.connpass.com/event/313574/) の発表で使用した資料です。

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  1. 自己紹介 • 名前: 西岡 賢一郎 ◦ Twitter: @ken_nishi ◦ note:

    https://note.com/kenichiro ◦ YouTube: 【経営xデータサイエンスx開発】西岡 賢一郎のチャンネル (https://www.youtube.com/channel/UCpiskjqLv1AJg64jFCQIyBg) • 経歴 ◦ 東京大学で位置予測アルゴリズムを研究し博士 (学術) を取得 ◦ 東京大学の博士課程在学中にデータサイエンスをもとにしたサービスを提供する株式会社ト ライディアを設立 ◦ トライディアを別のIT会社に売却し、CTOとして3年半務め、2021年10月末にCTOを退職 ◦ CDPのスタートアップ (Sr. PdM)・株式会社データインフォームド (CEO)・株式会社ディース タッツ (CTO) ◦ 自社および他社のプロダクト開発チーム・データサイエンスチームの立ち上げ経験
  2. 本日のお話 • はじめに • LLMアプリケーションとVector Database • Vector Databaseの概要 •

    Vector Databaseの種類と比較 • Vector Database選択のためのガイドライン
  3. LLMアプリケーションとは • LLMの定義 ◦ Large Language Models (LLM) ◦ AIモデルが大規模なテキストデータから言語の構造や意味を学習

    • LLMの特徴 ◦ 言語の本質的な理解 ◦ 様々なタスクを実行可能 • LLMアプリケーションの事例 ◦ 文章生成 ▪ ニュース記事の自動要約 ▪ 小説の続きを書くクリエイティブなタスク ◦ 感情分析 ◦ 翻訳 ◦ 対話システム ▪ チャットボット ▪ 仮想アシスタント • LLMアプリケーション開発の課題: 大量の非構造化データの効果的な入力方法
  4. Vector Databaseの必要性 • 構造化されていないデータの増加: テキスト、画像、 動画などの非構造化データが急増 • Vector Databaseによる解決策: ◦

    非構造化データをベクトル表現に変換し、効 率的に格納・検索 ◦ 類似度検索により、関連性の高いデータを高 速に取得
  5. Vector Databaseの基本概念 • Vector Database: 高次元ベクトルデータを格納・検索するためのデータ ベース • 主要な機能とメリット: ◦

    高速な類似度検索: コサイン類似度、ユークリッド距離など ◦ スケーラビリティ: 大規模データにも対応 ◦ 柔軟なデータモデル: 構造化・非構造化データを統合
  6. Vector Databaseの主要な特徴 • 高速な (近似) 最近傍探索 • スケーラビリティ: 水平・垂直スケーリングによる拡張性 •

    マルチテナンシー: 複数のユーザーやアプリケーションをサポート • 豊富なAPI: RESTful API、Python、JavaなどのSDK • ユーザーインターフェース (連携): Webベースの管理画面、可視化ツールな ど
  7. LangChainでサポートされているVector Database? • Vectore Storeとは、埋め込みデータの保存とベクト ル検索の実行をやってくれるLangChainの機能の一 つ • LangChainのVectore Storeのページにいくと

    Chroma, FAISS, Lanceの3つの事例が紹介されてい る ◦ https://python.langchain.com/docs/modul es/data_connection/vectorstores/ • LangChainを使うならこの3つから選べばいいかと思 いきや実はそうではない。
  8. Vector Databaseの種類 Vector DB 特徴 対象ユースケース Milvus • 高いパフォーマンスと拡張性 •

    大規模データセット対応 • 複雑なインデックス構築 • 大規模データセットを扱うアプリケーション Weaviate • RESTful APIとGraphQLサポート • マルチモーダル検索 • Dockerを使った簡単デプロイ • マルチモーダル検索が必要な場合 • GraphQLを使いたい場合 pgvector • PostgreSQLの拡張機能 • 既存のPostgreSQLインフラを活用可能 • SQLでベクトル検索 • 既存のPostgreSQLインフラを活用したい場合 • SQLでベクトル検索をしたい場合 Chromadb • シンプルで使いやすい API • 埋め込みデータベースとしても利用可能 • マルチモーダル検索サポート • 小規模プロジェクト • シンプルなVector Databaseを探している場合
  9. Vector DatabaseとVector Libraryの違い 特徴 Vector Library Vector Database データの保存 ベクトルのみ

    ベクトルとオブジェクトの両方 データの更新(CRUD) 一部(例: hnswlib)を除き、インデック スは不変で更新不可 データの追加、削除、更新が可能 インポート中のクエリ 一部(例: hnswlib)を除き、インポート 中のクエリは不可 インポート中でもリアルタイムにクエリ可能 速度 インメモリ検索に最適化され、通常は データベースより高速 エンドツーエンドの処理(ベクトル検索、永続ストレージからのオブジェクト取得、 ネットワークリクエストなど)に最適化 永続性と耐障害性 スナップショットのみ。クラッシュからの 回復機能なし 即時の永続化。耐障害性あり シャーディングとレプリケーショ ン サポートなし(一部のサードパーティプ ロジェクトで可能) サポートあり(例: Weaviateはv1.17からレプリケーションに対応) バックアップ、デプロイ、 SDK 自前で構築が必要 自動バックアップ、Dockerなどのデプロイエコシステム、複数言語の SDKを提供 参考: https://weaviate.io/blog/vector-library-vs-vector-database#feature-comparison---library-versus-database
  10. Vector Database選択のためのガイドライン • プロジェクトの特定ニーズの評価 ◦ データの種類とサイズ:画像、テキスト、音声など、扱うデータの種類と量 ◦ クエリのタイプと頻度:リアルタイム検索、バッチ処理、ストリーミングデータの処理能力 ◦ パフォーマンスとレイテンシー要件:応答時間とスループットのニーズ

    • 技術的・運用的考慮事項 ◦ スケーラビリティと拡張性:将来のデータ成長に対応できるか。 ◦ インフラストラクチャ:クラウドベース、オンプレミス、ハイブリッド ◦ データの安全性とプライバシー:暗号化、アクセス制御、コンプライアンス • 汎用的な評価基準 ◦ 技術サポートとコミュニティの活動:開発者ドキュメント、チュートリアル、フォーラムの 質 ◦ ベンダーの安定性と将来性:企業の健全性、製品のロードマップ ◦ コストとライセンス:使用料金、オープンソースライセンスの条件
  11. ベンチマークテストは比較サイトを利用 • すべてを自分で検証する必要はなく、ANN Benchmarksのようなサイトを使うのがおすすめ https://ann-benchmarks.com/ • よく使われる指標を2つ ◦ Recall ▪

    検索の正確性を測る指標。 ▪ 検索された正しい最近傍の数を、実際 の最近傍の総数で割った比率。 ▪ 値が高いほど、正確な検索結果を得ら れていることを示す。 ◦ Queries per second (QPS)(クエリ毎秒) ▪ ライブラリの処理速度を測る指標。 ▪ 1秒あたりに処理できるクエリの数。 ▪ 値が大きいほど、高速にデータを検索 できることを示す。
  12. Embedding Modelの変更の可能性も考慮に入れる • 非構造化データをベクトル化するEmbedding Modelは、変更される可能性が あることを考慮しておく • Modelが変われば当然ベクトルもすべて生成し直す必要がある • Embedding

    Modelを変更する理由 ◦ 新しいモデルのリリース (e.g. OpenAIの第3世代のEmbedding Modelのリリース) ◦ APIからセルフホスティングのモデルに移行 (e.g. OpenAI APIから自社サーバにインストール された日本語特化のEmbedding Modelを使う)
  13. pgvector • PostgreSQLの拡張であるため、PostgreSQLの知識 が必要 ◦ git clone → make &

    make install ◦ CREATE EXTENSION vector; • PostgreSQLなので経験のある人材を探すことは簡単 • デフォルトのインデックスを使うと最近傍探索であ ることに注意 • 近似最近傍探索 (ANN) を利用することも可能 ◦ HNSW ◦ IVFFlat • ベクター用の特殊な演算使用できる ◦ <-> : Euclidean Distance ◦ <#> : Negative Inner Product ◦ <=> : Cosine Distance
  14. Chroma DB • https://www.trychroma.com/ • 導入はトップクラスの簡単さ ◦ テストで使うために必要な作業を極端になく しており、Pythonを実行しているだけで Vector

    Databaseを立ち上げることが可能 ◦ データの永続化はもちろんのこと、サーバー モードでの起動もできる • 名前がすこしググりにくい (Chrome関連情報がヒッ トしてしまう) • Embedding (デフォルトでall-MiniLM-L6-v2) の機 能も持ち合わせているが、別のEmbedding Modelを 使うケースが多いので利点とはならない。
  15. まとめ • LLMアプリケーションで、非構造化データを取り扱ったRAGなどを構築する 場合はVector Databaseが必要となってくる • LangChainは主要なVector Databaseにほぼ対応しているので、LangChain によるVector Databaseの制限はないと考えて良い

    • Vector Databaseを選ぶ際は、プロジェクトの特定ニーズの評価、技術的・ 運用的考慮事項、汎用的な評価基準などを考慮しながら検討する • Embedding Modelが変更される可能性も考慮して、Vector Databaseの運用 について考えていく必要がある