Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
AIに丸投げしないトイル削減 / Eliminating Toil Without Leavi...
Search
Sponsored
·
Your Podcast. Everywhere. Effortlessly.
Share. Educate. Inspire. Entertain. You do you. We'll handle the rest.
→
kohbis
September 09, 2026
Technology
130
2
Share
Embed
Copy iframe code
Copy JS code
Copy link
Start on current slide
AIに丸投げしないトイル削減 / Eliminating Toil Without Leaving It All to AI
[SRE AI活用事例] 減らせ!TOIL削減大作戦!
https://mixi.connpass.com/event/403987/
kohbis
September 09, 2026
More Decks by kohbis
See All by kohbis
『家族アルバム みてね』における インシデント対応との向き合い方 / Approach incident response in Family Album
kohbis
2
420
Kubernetes環境周りの責任範囲をいい機会なので考える / Taking the Opportunity to Clarify Kubernetes Responsibilities
kohbis
2
450
『家族アルバム みてね』におけるAmazon EKSコストとの向き合い方 / Optimizing Amazon EKS Costs: The FamilyAlbum Case
kohbis
4
1.8k
潜在的課題探索活動の近況報告 / Exploration of latent challenges
kohbis
2
190
いま、あらためて考えてみるアカウント管理 with IaC / Account management with IaC
kohbis
3
1.2k
〜『世界中の家族のこころのインフラ』を目指して”次の10年”へ〜 SREが導いたグローバルサービスの信頼性向上戦略とその舞台裏 / Towards the Next Decade: Enhancing Global Service Reliability
kohbis
4
7.6k
Grafana MCP serverでなんかし隊 / Try Grafana MCP server
kohbis
0
1.1k
Custom Prometheus Exporterによる オブザーバビリティ拡張 / Extending observability with Custom Prometheus Exporter
kohbis
1
310
データベースで見る『家族アルバム みてね』の変遷 / The Evolution of Family Album Through the Lens of Databases
kohbis
5
1.6k
Other Decks in Technology
See All in Technology
Bet AI Day 2026丨バクラク Autopilot、業務システムの再設計
layerx
PRO
2
1.2k
設計の世代交代を乗り越える、14年続くAndroidアプリの開発戦略
sansantech
PRO
1
120
深夜のクラウド懺悔室 1:29:300 or 1:0:0
kazzpapa3
0
160
JAWS-UG初心者支部#88わいわい初心塾(夏休みの宿題やったかGit編)
otsuki
0
120
Beyond the Hype: Practical AI for Your Oracle Database with MCP
thatjeffsmith
1
260
PdMをやめて、 "プロダクトビルダー"という 働き方に変えました / PdM to Product Builder
shikichee
2
710
Microsoft 365 Copilot chat -tekoälypalvelun tietosuojaongelmat
hponka
0
110
AIで開発は速くなったのに、なぜ現場は楽にならないのか 〜あなたの組織のボトルネックを突き止めるワークショップ〜
jacopen
1
260
GuardDuty 検知対応を DevOps Agent で効率化しようとしている話 / GuardDuty Investigations with DevOps Agent
masahirokawahara
1
300
『止めない』を設計する — 制約の中で、事業の根幹を支える判断
hiroyaterui
0
190
生成AI時代の クレデンシャルとパーミッション設計
nrinetcom
PRO
3
1.5k
Benchmarking Vector Databases: pgvector vs. LanceDB
tsho
0
140
Featured
See All Featured
Google's AI Overviews - The New Search
badams
0
1.6k
Believing is Seeing
oripsolob
1
210
Bridging the Design Gap: How Collaborative Modelling removes blockers to flow between stakeholders and teams @FastFlow conf
baasie
0
690
HTML-Aware ERB: The Path to Reactive Rendering @ RubyCon 2026, Rimini, Italy
marcoroth
4
570
New Earth Scene 8
popppiees
3
2.5k
Sam Torres - BigQuery for SEOs
techseoconnect
PRO
0
530
Leveraging LLMs for student feedback in introductory data science courses - posit::conf(2025)
minecr
1
370
Building Better People: How to give real-time feedback that sticks.
wjessup
370
20k
The Art of Programming - Codeland 2020
erikaheidi
57
14k
Designing for Performance
lara
611
70k
Deep Space Network (abreviated)
tonyrice
0
290
HU Berlin: Industrial-Strength Natural Language Processing with spaCy and Prodigy
inesmontani
PRO
0
690
Transcript
AIに丸投げしないトイル削減 2026/09/09 【SRE AI活⽤事例】減らせ!TOIL削減⼤作戦! #BIZREACH_MIXI @kohbis ©MIXI 1
ABOUT ME Kohei SUGIMOTO 株式会社MIXI • 2022/04 ~ 『家族アルバム みてね』SRE
X/ ©MIXI @kohbis 2
『家族アルバム みてね』について(1/2) 家族アルバム みてねはスマホで撮った⼦どもの写真や動画を家族と共有し、 コミュニケーションして楽しむ家族アルバムサービスです。 ©MIXI 3
『家族アルバム みてね』について(2/2) 2015年にリリースから、7⾔語‧175の国と地域で3,000万⼈以上の⽅にご利⽤いただいています。 人数 国内 海外 30,000,000 25,000,000 20,000,000 15,000,000
10,000,000 5,000,000 0 20 15 20 1 6 20 1 7 20 18 20 19 20 20 20 21 20 22 20 23 20 24 20 25 20 26 年月 .5 ※ iOS‧Android™ アプリ登録者数、ブラウザ版登録者数の合計 ©MIXI 4
たまにやる、思い出したときにやる業務たち 「やる価値はある。でも急ぎじゃないしそこまで重要ではない。 でもやる価値はある。でも忘れがち。でも(ry …」系のタスク たとえば • 「インフラのリソース割り当てに過不⾜がないか」 • 「Dockerイメージサイズ、肥⼤化してないか」 •
「テスト(CI)をもっと早くできないか、遅くなってないか」 • 「前にレビューで指摘したことは、ドキュメントやテストに追加したか」 なんとなくやることや流れは決まっていそう しかし、⼿順化するタイミングも逃しやすい (なぜなら思い出したときにやるから) ©MIXI 5
“トイル” とは?なぜ減らす? Google SRE - Chapter 5 - Eliminating Toil
※1 より • ⼿作業である(Manual) • 繰り返される(Repetitive) • ⾃動化できる(Automatable) • 戦術的である(Tactical) • ⻑期的な価値がない(No enduring value) • サービス成⻑に⽐例して増加する(O(n) with service growth) 少量なら薬(⼩さな成功や達成感)にもなるが、過剰になると毒(toxic)になる • 個⼈ キャリアの停滞、⼠気の低下 • 組織 進捗の鈍化、引き受ける前例をつくる、離職の促進 ※1 https://sre.google/sre-book/eliminating-toil/ ©MIXI 6
“誰にとっての” トイル? 「これはトイル(嫌なこと)だ」は主観的に語られやすい ※1 • より正確に定義することが求められる • あるひとにとってトイルは、別のひとの権限で⾏われるべきかもしれない 今⽇のスコープ •
• みてねのSREチームにとってのトイル 「改善業務」そのものはエンジニアリング • データ収集や抽出、(機械的な)判定、過去の事例‧実績を探す これらはトイルになりえる 業務を分解すれば、トイルだけを取り出せるはず ※1 『SREをはじめよう』https://www.oreilly.co.jp/books/9784814400904/ ©MIXI 7
AIに丸ごとまかせればいいのでは? 「もちろんアリ」 しかし、現実にはAIあるあるな課題‧可能性と向き合う必要がある • 実⾏ごとの品質や、変更の再現性にブレがある • AIによる作業で完結するため、誤った⽅針でも突き進んでしまう(特にCI) • データ(メトリクスなど)は量によってはコンテキストに収まらない •
LLMでデータ収集や集計まで⾏わせると、トークン消費が増加する • (⼈間が⾏うような)広い権限を与える必要があり、意図しない動作による事故 が発⽣する 「丸ごとまかせる」ことであらたに「AIのためのトイル」が発⽣する可能性がある (もちろんコンテキストやスキルによる調整やガードレールを効かせる余地はある) ©MIXI 8
「ループに任せる」の潮流に逆らっていないか? ループエンジニアリング ※1 Loop engineering is replacing yourself as the
person who prompts the agent. You design the system that does it instead. ただし • 作業者と検証者(Verifier)が分かれている • 検証可能な停⽌条件( /goal ) などが必要となる それでも “Done” is a claim and not a proof. であり Verification is still on you. ※1 https://addyosmani.com/blog/loop-engineering/ ©MIXI 9
今⽇お話しすること 誰にとってのトイルか • みてねのSREチームにとってのトイル(再掲) なにをやりたかったか • AIによってトイルを削減したい • AIによるDone(完了)を、 claim(主張)から
proof(証明)に近づけたい そのためになにをやったか • 業務を分解してトイル部分だけを取り出し、そのステップだけをAIに任せる • ほかのステップは可能な限り、決定的なロジックに寄せる ©MIXI 10
「業務のレイヤーを分解して、AIの仕事を局所化する」アプローチ 蓄積 抽出 具体的な実装で実現できる(⾃然⾔語にしない) • • • ©MIXI 判定 修正
レビュー AIはここだけ ⼈間 + CI 「蓄積」「抽出」「判定」までは、CIやクエリ、コードを書く 毎回「同じ⼊⼒から同じ出⼒」が期待できるため、再現性のある説明が可能 「蓄積」は新しい何かとは限らず、モニタリングなど既存データを使⽤できる 「どのように直すか?」という思考を伴う「修正」は、AIの仕事にする 「レビュー」は⼈間とCIが⾏い、AIよる修正にも⼈間が作ったPRと同じ検証を⾏ う(もちろんAIがレビューするケースは多い) 11
実践① K8sリソース最適化(1/2)〜判定のルール化〜 K8sリソースの過剰な割り当てはコスト増につながるが、気づきベースでの調整 ※1 (ワークロードによっては使⽤量が時間経過に伴い変化) Prometheusに蓄積された実際の使⽤量と、resources設定(YAML)を突合する • • • 適正値(推奨値)をロジック化(例)
• max(p50) * 1.25 • HPAが指定されている場合は、そのtargetを採⽤ • CPUは 50m 、Memoryは 128Mi 単位で切り上げる 要⾒直しも機械的に判定(例) • recommended < request (削減のみ) • 1 - recommended / request >= 40% (削減率) • (request - recommended) * pods >= 2core / 8Gi(削減総量) ⾒直し対象はリストファイルで管理、⽅針はMarkdownにドキュメント化 ※1 K8sのリソース管理を容易にするツールやサービスは存在する ©MIXI 12
実践① K8sリソース最適化(2/2) 「判定をロジックに落としたら、この改善業務にはAIは不要だった」というオチ 当初は、最終的にAIによる分析、PRの⾃動起票なども⾒込んでいた (実装も⾏い、PR起票もいい感じに動いた) • しかし、推奨値はロジックで算出済み AIは推奨値から修正対象箇所を⾒つけてPR起票するだけ AIに任せる意味がほとんどない •
そもそもが「思い出しベースで⾜りていた」温度感 • 将来的にはワークロードごとの重要性などのコンテキストを加味したうえで、PR 起票まで⾏う可能性はある 業務を分解したことで「AIを使わなくていい」ということがわかった (もちろん、このワークフロー構築にはAIが⼤活躍している) ©MIXI 13
実践② スローテスト改善、コンテナイメージサイズ削減(1/2) スローテストの増加も、コンテナイメージサイズの肥⼤化も、気づきベースで対応 パイプラインにあてはめて、AIの作業を「修正」に局所化 レイヤー スローテスト改善 コンテナイメージ削減 蓄積 CloudWatchにテスト時間を記録 存在するECRイメージ
抽出 最遅specをn件だけ取得 dive ※1 で構成を分析 判定 ルール(遅い順) ルール(削減余地の有無) 修正 AIが⾼速化PRを⽣成 AIがDockerfile修正PRを⽣成 レビュー ⼈間 & CI ⼈間 & CI ※1 https://github.com/wagoodman/dive ©MIXI 14
実践② スローテスト改善、コンテナイメージサイズ削減(2/2) AIによる修正を「局所化」するためのガードレールづくり、調整は必要 • • • 出⼒の制約 • PRテンプレート準拠の強制 •
修正を「やり込みすぎない」ように限定 (例)Dockerfileでパッケージに同梱されるdocをオプション以外で削除不可 作業相応のモデルの選択 発散の防⽌ • そもそも「局所化」したはずなので発散する余地は少ないはず • (例)サブエージェントやMCPの制限、CIの実⾏上限設定 • (参考)Claude Code ActionでAgent ModeとTag Modeの挙動差異を調査 した記録 at Zenn ※1 ※1 https://zenn.dev/mitene/articles/202607-claude-code-action-tag-vs-agent-mode ©MIXI 15
実践③ AGENTS.mdの⾃動更新 〜AI時代のあらたなトイル〜 TerraformのPRでレビューで指摘した観点が、PRコメントかレビュワーの記憶にしか なく、全体に徹底されない レビューコメントからルールを抽出し、AGENTS.mdへ⾃動的に蓄積&統廃合 マージ済み PRの レビューコメント •
• • ルール抽出 ⼈間の作業は「PRをマージする」だけ ( googleapis/release-please ※1から着想) ルール抽出、統廃合の基準(プロンプト)⾃体を ⽂書化してレビュー対象にする AIが⽣成するコードおよびAIによるレビューの 品質をAGENTS.mdから両⽅向に改善し続ける AGENTS.md改善を蓄積した PRに追記(なければ起票) 肥大化を避けるために しきい値超えで統廃合 ※1 https://github.com/googleapis/release-please ©MIXI 16
「業務の分解」「AI活⽤の局所化」の副作⽤ 「業務のレイヤーを分解して、AIの仕事を局所化する」アプローチによって いままでトイルと認識していたものの⾒え⽅が変わる(かもしれない) • • 完全に定型化できる作業だとわかった 機械的に⾃動化 or エージェントへの定型依頼として(あえて)丸投げ •
(例)DevinのPlaybook + Automation • Rubocop TODO ※1 の継続的な削減、Terraformブロックお掃除 ⼈間がレビューで守っているだけのルールだとわかった ポリシーテストやフォーマッタによって機械的に作業⾃体をなくす AGENTS.mdに追記し、(あえて)AIのコーディングやレビューに丸投げ レイヤーを分解することで、各レイヤーにおける⼿法の置換も容易になる ※1 https://docs.rubocop.org/rubocop/latest/usage/auto_gen_config.html ©MIXI 17
まとめ • • • 判定はAIに委ねない(委ねすぎない) 判定をルール化することで、品質のブレやトークン消費を抑えられ AIが不要になる AIの仕事は局所化し、実⾏や出⼒それぞれにガードレールを設ける 可能な作業、権限の範囲を絞る 出⼒はテンプレートを強制し、CIで検証する
⼈間の介⼊ポイントをセットで設計する 「PRをマージするだけ」「分析結果を⾒るだけ」まで決めて⾃動化する 「業務のレイヤーを分解して、AIの仕事を局所化する」アプローチにあてはめれば トイル削減の仕組みは量産できる ©MIXI 18
ありがとうございました ©MIXI 19