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AIを用いた PID制御で部屋 の温度制御をしてみた

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AIを用いた PID制御で部屋 の温度制御をしてみた

2026/02/27開催 第141回NearMe技術勉強会 資料

汎用性が高い一方で、最適なパラメータ(P, I, D)を見つけるには経験が必要とされるPID制御の弱点を、AIを用いて解決するアプローチを検証しました 。ヒーターを用いた部屋の温度制御(一次遅れ系モデル)を題材に 、Pythonの最適化フレームワーク「Optuna」を活用してベイズ最適化を行い、誤差の二乗(MSE)を最小化する手法を紹介しています 。AIチューニングにより目標温度への収束時間が短縮された成果や 、逆に出力が激しく振動するといった実運用(機器保護など)に向けた課題と今後の展望についてもまとめています 。

#PID制御 #AI #Optuna #Python #ベイズ最適化 #制御工学 #NearMe

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Transcript

  1. 1 制御とは • 制御とはある目的に適合するように対象となっている物に所要の操作を加えること1) 制御の種類 手動制御 →人間が手動で操作・調整をする 例 • 車のハンドル

    • 蛇口 • 照明のオンオフ 自動制御 →機械によって自動的に操作・調整をする 例 • フィードバック制御 • フィードフォワード制御 • シーケンス制御 1). 日本機械学会, 制御, https://www.jsme.or.jp/jsme-medwiki/doku.php?id=13:1006683
  2. 2 PID制御 • PID制御はフィードバック制御の一つで、Pは比例、Iは積分、Dは微分を意味する 制御方法 役割 P動作 • PID制御の基本 •

    目標値と現在地の偏差に比例した操作量により制御する I動作 • P動作によるオフセットを補正する役割 • 時間の積み重ねによる偏差の累積値と比例して操作量を調整する D動作 • 外乱による急激な変化に対応して、短時間で安定させる役割 • 現在値の急激な変化に比例して、操作量を調整する 𝑈 𝑡 = 𝐾𝑃 𝑒 𝑡 + 𝐾𝐼 න 0 𝑡 𝑒 𝜏 𝑑𝜏 + 𝐾𝐷 ƴ 𝑒 𝑡
  3. 3 PID制御の強み・弱み 強み 弱み 厳密な数理モデルが 分からなくても制御できる 非線形などの複雑な モデルには弱い 汎用性が高い オーバーシュートや

    ハンチングなどの問題 P, I, Dそれぞれのパラメータを 調整するだけでよい 最適なパラメータを見つけるに はある程度の経験が必要
  4. 4 PID制御の強み・弱み 強み 弱み 厳密な数理モデルが 分からなくても制御できる 非線形などの複雑な モデルには弱い 汎用性が高い オーバーシュートや

    ハンチングなどの問題 P, I, Dそれぞれのパラメータを 調整するだけでよい 最適なパラメータを見つけるに はある程度の経験が必要 AIを用いてこれらの問題を解決したい 日経XTECH, 東芝、PIDの適性パラメーターをAIが提案 ブラックボックス化を防ぐ, https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03396/112500008/
  5. 5 部屋の温度制御 • 今回は部屋にヒーターを置き、温度制御を行うことを想定 • 部屋の物理モデルは一次遅れ系とし、以下の式で部屋の温度が変化すると仮定する 𝑑𝑇 𝑡 𝑑𝑡 =

    1 𝜏 𝑇𝑜𝑢𝑡 − 𝑇 𝑡 + 𝐶 ∙ 𝑃 𝑡 𝑇 𝑡 :室温(℃) 𝑇𝑜𝑢𝑡 :外気温(℃) 𝑃 𝑡 :ヒーターの熱入力(W) 𝜏:時定数(s) 𝐶:熱容量(J/℃) 外気温度は15℃、目標温度は20℃、時定数は1時間、熱容量は250kJ/℃とする
  6. 7 何故P制御だけだと残差が発生する? 目標温度に到達すると出力がゼロになってしまうから P制御の操作量 𝑈(𝑡) = 𝐾𝑝 × (𝑇𝑡𝑎𝑟𝑔𝑒𝑡 −

    𝑇𝑐𝑢𝑟𝑟𝑟𝑒𝑛𝑡 ) • 目標温度の20℃に到達すると出力がゼロになってしまう • 実際には外気へ熱が逃げるため、室内温度20℃を保つにはある程度の出力が必要
  7. 8 積分制御について 従来の比例制御に積分制御を追加することで、残差をゼロにすることが出来る I制御の操作量 𝑈(𝑡) = 𝐾𝑖 × න(𝑇𝑡𝑎𝑟𝑔𝑒𝑡 −

    𝑇𝑐𝑢𝑟𝑟𝑟𝑒𝑛𝑡 ) 𝑑𝑡 温度が目標の少し手前で止まっている(残差がある)間でも、I成分はその微小なずれ を足し合わせるため、操作量が増加していく
  8. 12 結論 展望 • AIを用いてPIDのパラメータを決定して、手動でパラメータを調整した場合と比較した • 手動で調整した場合よりもAIを用いた方が目標温度に収束する時間が短くなった • AIを用いた場合はヒーターの出力が激しく振動しながら制御されるため、実際の条件に即 した制約が必要になると考えられる

    • 機器の保護等も考えた上で制御を行えるようにする • 現在は外気温を固定しているので、様々な外気温に対応できるようにする • PID制御以外にも、フィードフォワード制御や、強化学習などについても試して比較する