このセッションはScrum Fest Osaka 2025で発表した以下のセッションの続きになります。当時は挑戦中でしたが、現在は1つの結果が出ているため、結果とその過程で得た知見を共有したいと思います。
Scrum Fest Osaka 2025のセッション:もっと!「契約交渉よりも顧客との協調を」 〜協調を助ける契約と関係づくり〜
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-osaka-2025/proposal/22788
最初に本セッションの目的
本セッションでは受託でアジャイル開発を行う際の「顧客との協調」を更に一歩進めることを目的に、人月での開発ではなく成果報酬で開発を行った結果を共有します。
また、結果だけでなく、成果報酬型へ挑戦する中で得た知見や、そこから見えてきた次のアクションや挑戦していきたいことも共有することで、これから成果報酬型に挑戦する方の成功確率を高めることも目指します。
受託でアジャイル開発をする上での課題感
私はこれまで受託でアジャイル開発を行ってきましたが、受託元と受託先で深い協調を行うことが難しいと感じていました。協調とは以下の意味で使います。
「互いに協力し合うこと。特に、利害や立場などの異なるものどうしが協力し合うこと。」
「特に」と書いている通り、利害や立場が異なるケースでの協調はなかなか難しいものです。実際に先述した悩みは利害の不一致や、立場の違いが大きな要因になっています。
受託元と受託先の利害の不一致、立場の違いの一例としては以下のようなものがあります。
受託元はビジネスが成功しないと儲からない、受託先は仕事を受けているだけで儲かる
受託元はビジネスインパクトが大事と言い、受託先はアウトプットやユーザーアウトカムが大事と言う
これは一例ですが、見ているもの、期待されていること、利益の出る構造が異なるため、協調することが困難であることがよくあります。
そこでやってみた成果報酬型
利害の不一致や立場の違いが協調を拒むのであれば、一致させちゃえばいいじゃないか!ということで私たちは成果報酬型の契約を行い、実際に成果報酬型でアジャイル開発をやってみました。具体的にはこのような取り組みです。
ビジネス的なKPIを明確にする
KPI達成度に基づいた請求額の定義
上記を盛り込んだ契約
ビジネスデザインから開発・運用まで全フェーズ関与
顧客とのフラットな関係づくり
その結果見えてきたもの
良かったこととイマイチだったことをまとめてみると以下の通りです。
良かったこと
開発者がユーザーアウトカムやビジネスインパクトを考えた行動をとるようになった
顧客とペルソナ、マーケット、ピボットなどの相談ができるようになった
同じ指標を目指して進む関係ができた
イマイチだったこと
KPIは計測方法や計測対象によって変化するため現状を正しく評価できない
ピボットがあった時にKPIを設定するのが難しい
今後の挑戦
イマイチだった点を改善してKPIではないタイプの成果報酬型に挑戦しようと思っています。具体的には以下のような型です。
レベニューシェア型
コスト削減型
企業価値連動型
成果報酬型は受託アジャイルにおける顧客との協調を一歩進め、アウトカムとインパクトの両方を顧客と一緒に追求していけるものであるという感触を得ています。ただ、私たちのやり方だとまだまだ改善点もあるため、今後も挑戦の中で得た知見を共有していきたいと思っています。