Lock in $30 Savings on PRO—Offer Ends Soon! ⏳
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
SSII2025 [SS2] 横浜DeNAベイスターズの躍進を支えたAIプロダクト
Search
画像センシングシンポジウム
PRO
May 26, 2025
Research
7
4.1k
SSII2025 [SS2] 横浜DeNAベイスターズの躍進を支えたAIプロダクト
画像センシングシンポジウム
PRO
May 26, 2025
Tweet
Share
More Decks by 画像センシングシンポジウム
See All by 画像センシングシンポジウム
SSII2025 [OS3] どの論文でもダメなんだけど! 〜実応用とその課題〜
ssii
PRO
2
1.4k
SSII2025 [OS3-01] End-to-End自動運転の実応用の現場から
ssii
PRO
6
3k
SSII2025 [OS3-02] 広告における画像生成技術の実応用の現状
ssii
PRO
6
1.4k
SSII2025 [OS3-03] 有機ミニトマト農場におけるロボット開発と基礎研究
ssii
PRO
0
1.1k
SSII2025 [OS2-01] 自動運転の性能と共に進化するセンシングデバイス
ssii
PRO
2
2k
SSII2025 [TS3] 医工連携における画像情報学研究
ssii
PRO
3
1.3k
SSII2025 [OS2] 新たなセンシングの潮流
ssii
PRO
1
660
SSII2025 [OS2-02] イベントカメラの研究紹介と可視光通信への応用
ssii
PRO
1
1.3k
SSII2025 [OS2-03] マルチ/ハイパースペクトル領域における高度な画像撮影および処理技術
ssii
PRO
2
1.3k
Other Decks in Research
See All in Research
大規模言語モデルにおけるData-Centric AIと合成データの活用 / Data-Centric AI and Synthetic Data in Large Language Models
tsurubee
1
390
説明可能な機械学習と数理最適化
kelicht
2
630
スキマバイトサービスにおける現場起点でのデザインアプローチ
yoshioshingyouji
0
270
その推薦システムの評価指標、ユーザーの感覚とズレてるかも
kuri8ive
1
270
財務諸表監査のための逐次検定
masakat0
0
200
問いを起点に、社会と共鳴する知を育む場へ
matsumoto_r
PRO
0
720
Pythonでジオを使い倒そう! 〜それとFOSS4G Hiroshima 2026のご紹介を少し〜
wata909
0
1.2k
論文紹介:Not All Tokens Are What You Need for Pretraining
kosuken
1
220
日本語新聞記事を用いた大規模言語モデルの暗記定量化 / LLMC2025
upura
0
350
LLM-jp-3 and beyond: Training Large Language Models
odashi
1
640
MIRU2025 チュートリアル講演「ロボット基盤モデルの最前線」
haraduka
15
10k
カスタマーサクセスの視点からAWS Summitの展示を考える~製品開発で活用できる勘所~
masakiokuda
2
230
Featured
See All Featured
Large-scale JavaScript Application Architecture
addyosmani
514
110k
Testing 201, or: Great Expectations
jmmastey
46
7.8k
Building Flexible Design Systems
yeseniaperezcruz
329
39k
Bootstrapping a Software Product
garrettdimon
PRO
307
120k
Save Time (by Creating Custom Rails Generators)
garrettdimon
PRO
32
1.8k
Product Roadmaps are Hard
iamctodd
PRO
55
12k
No one is an island. Learnings from fostering a developers community.
thoeni
21
3.5k
Site-Speed That Sticks
csswizardry
13
990
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
40
2.2k
The Success of Rails: Ensuring Growth for the Next 100 Years
eileencodes
46
7.8k
Building Adaptive Systems
keathley
44
2.9k
Why You Should Never Use an ORM
jnunemaker
PRO
60
9.6k
Transcript
横浜DeNAベイスターズの躍進を ⽀えたAIプロダクト 2025.5.29 ⼤⻄克典 (DeNA)
© DeNA Co., Ltd. 2 ⾃⼰紹介 • ⼤⻄克典 • 略歴
◦ 2014-2017: 東京⼤学原⽥牛久研でComputer Visionの研究 ▪ 修士時代: CVPR, ACMMM, AAAI ◦ 2017: DeNAに新卒で⼊社 ▪ 横浜DeNAベイスターズ×AIプロジェクトの新規⽴上&主導 • 現在のRole ◦ プロダクトマネージャー 1
© DeNA Co., Ltd. 3 アジェンダ • ベイスターズチーム強化 × AIプロジェクト:プロダクト具体例
◦ Catcher skill metric ◦ 投⼿コマンド ◦ スイング動作解析 • AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫 ◦ プロダクトマネジメント ◦ アジャイル 2
© DeNA Co., Ltd. 4 プロダクト具体例 Catcher skill metric 投⼿コマンド
スイング動作解析
© DeNA Co., Ltd. 5 Catcher skill metric • キャッチャーの各スキルを定量的に評価できるように
1 Data Trackman / Hawkeye AI model Skill visualization
© DeNA Co., Ltd. 6 Catcher skill metric • 1球単位で捕逸確率を予測
◦ ブロッキングスキルをより正確に評価 1 Old stats 暴投 or 捕逸 10-0 or 0-10 ⽚⽅の責任 / 減点⽅式 / ⼀律評価 AI stats 捕球難易度を推定 2 : 8 責任割合の分解 / ⽌めたら加点 / 難易度で評価に濃淡
© DeNA Co., Ltd. 7 Catcher skill metric • 単にデータ提供だけでなく、可視化まで⼀貫して作成
◦ 詳細な分析や振り返りも可能に 1
© DeNA Co., Ltd. 8 Catcher skill metric • 現在地点と⽬標地点を明確にできるのが最も効果的だった
◦ 選⼿が漠然と練習から明確な⽬的意識を持って練習に ◦ コーチもデータがあることではっきりと選⼿に伝えやすくなる 1 もっとブロッキング 良くせんとあかんぞ 全然体⼊れられてないやん うーん…やっぱそうですか わかりました (あまりしっくりはきてない) コーチ 選⼿ ブロッキングで-4点分損してるぞ! 特に曲がり球逸らしまくってる (実際に映像⾒せながら) ほら!全然体⼊れられてないやん ほんとですね…! そこもっと重点的に勉強します コーチ 選⼿
© DeNA Co., Ltd. 9 投⼿コマンド • コマンドとは? 2 コントロール
枠の中に投げる能⼒ 四球% 今永選⼿ > ⼤貫選⼿ ≧ ⽯⽥健選⼿ コマンド 狙ったところに投げる能⼒ 実際の制球⼒ ⼤貫選⼿ ≧ 今永選⼿ > ⽯⽥健選⼿ [2023]
© DeNA Co., Ltd. 10 投⼿コマンド • コマンド能⼒を測定可能に 2 映像からミット構えた位置を推定
コマンドスコア化
© DeNA Co., Ltd. 11 投⼿コマンド • 単にデータ提供だけでなく、可視化まで⼀貫して作成 ◦ 詳細な分析や振り返りも可能に
2
© DeNA Co., Ltd. 12 投⼿コマンド • Pitcher skill metricの活⽤
◦ コマンドスキルの定量化によってPitcher版skill metricが作成可能に 2 コーチたちとデータを ⾒ながら議論する定例 選⼿へのFB
© DeNA Co., Ltd. 13 スイング動作解析 • 試合でのスイングを動作解析できるように 3 ハイスピードカメラ
600fps 4台 解析点を3D検出 関節 / バット / ボール 簡易分析ツールも作成 バイオメカニストによる動作解析
© DeNA Co., Ltd. 14 スイング動作解析 • バイオメカニストのFB件数を激増させることに成功 3
© DeNA Co., Ltd. 15 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫
© DeNA Co., Ltd. 16 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫 • キーワードはこの⼆つ ◦ プロダクトマネジメント
◦ アジャイル 1
© DeNA Co., Ltd. 17 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫: プロダクトマネジメント • プロダクトマネジメントって…? ◦
『⼈はドリルが欲しいのではなく⽳をあけたいのだ』 (セオドア・レビット) ◦ 『もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら彼らは「もっと速い⾺が欲しい」 と答えていただろう』(ヘンリー・フォード) • 投⼿コマンドの例で紹介 2
© DeNA Co., Ltd. 18 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫: プロダクトマネジメント • コマンドは計測できるようになったが… ◦
当初のリクエスト:1軍レベルの制球⼒を知りたい 2 2軍投⼿コーチ 制球⼒が測れなくて困ってる 1軍レベルのコマンドって どれくらい? AIチーム コマンドを計測可能にしました! でもここが1軍レベルって ライン特になかったです… いやいや! コマンド計測できるようになった だけでめっちゃありがたい ここで終わっていいのだろうか…?
© DeNA Co., Ltd. 19 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫: プロダクトマネジメント プロダクトの4階層フレームワークで整理 • 2軍投⼿コーチはコマンドを知りたいのではない
◦ 1軍レベルに選⼿を引き上げたい 2
© DeNA Co., Ltd. 20 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫: プロダクトマネジメント • 開発⽅針をpivot ◦
1軍ラインとコマンドスコアのギャップを埋めるべき! • Pitcher版skill metricの発⾒ ◦ コマンド+他データで1軍ラインまでの距離がわかることを解明 2 コマンドスコア ??? ルーキー 1軍平均レベル 1軍レギュラー
© DeNA Co., Ltd. 21 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫: アジャイル • アジャイルとは? ◦
シンプルだが動くものを作って、ユーザー価値を検証しながら進めていくこと ◦ 例)⽔を貯めるバケツを作る 3 各部品をシーケンシャルに開発 • 完成系のイメージを基にそれぞれ作る • 各部品完成後に結合 最低限動くものを少しずつ作る(MVP) • スコープをギリギリまで絞る • バケツ:まずは⽔を掬える浅い桶
© DeNA Co., Ltd. 22 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫: アジャイル • ウォータフォールとアジャイルの違いの1例 3
メリット • 開発難易度が低い • スケールしやすい デメリット • 結合してみるまで動くかわからない • 仕様変更や障害への対応難易度⾼い デメリット • 開発難易度が⾼い • スケールしにくい メリット • 動かしてみての課題が常に把握できる • 変更や障害に柔軟に対応しやすい
© DeNA Co., Ltd. 23 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫: アジャイル • スイング動作解析 ◦
3D検出だが、実は皆さんが想像してるような⾼度なアルゴリズムは使ってない ◦ ベースは固定環境で2Dkeypoint検出を最後三⾓測量してるだけ • なぜか? ◦ 過去別プロダクトでの失敗を踏まえての開発プロセス ▪ 昔あれもこれも詰め込んでリリースしたが、実際にユーザーの価値にはつな がらない機能ばかりなプロダクトを作った失敗があった… ◦ なのでまずは最短でシンプルに作って、ユーザーに実際にぶつけてみた 3
© DeNA Co., Ltd. 24 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫: アジャイル • ユーザーの反応 ◦
関節点に関してはこれで既に精度⼗分 ▪ 600fps下では⼈の関節の移動量は⼩さい ▪ 移動平均取れば⼗⼆分な精度が出る ◦ ただバットの軌道だけは移動量が⼤きく、ここだけもっと精度欲しい ▪ バットの精度向上に注⼒することに! 3
© DeNA Co., Ltd. 25 AIをユーザー価値に繋げるための⼯夫:まとめ • プロダクトを作ることは、仮説を検証すること ◦ プロダクトマネジメント
▪ What/Howだけでなくその上のWhy/Visionまで常に考える • これを作ればいいはずはあくまで仮説 ◦ アジャイル ▪ シンプルに動くものを作ってユーザー価値を検証しながら進める • ユーザーが本当に欲しいものは誰も知らない(ユーザー⾃身含め) • 必要な精度は解決したい課題によって決まる 4
© DeNA Co., Ltd. 26