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2026年6月13日第73回⼟⽊計画学研究発表会・春⼤会における発表スライドです.

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SatokiMasuda

June 23, 2026

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  1. • 従前の⼟地利⽤-交通モデルは、交通や⼟地・住宅の供給側主体の動学的⾏動メカニズムを⼗分に 記述できなかった 1. 供給側主体が、住宅供給・交通インフラ整備といった動学的効果を有する意思決定をする際の、 需要側反応を⾒越した動学的意思決定 2. 供給側主体間で、互いの⾏動に関する期待を形成し、⾏動論的均衡に⾄るメカニズム → 供給主体間、供給-需要主体間の動学的相互作⽤による都市の内⽣的発展過程の理解・記述や、

    補助・規制等の政策が与える動学的効果の評価に限界があった。 研究の全体像 2 RQ : ⼟地利⽤・交通への政策介⼊は、供給主体の動学的期待形成を通じて都市構造をどう変えるか 本研究では、複数主体の動学的期待に関する⾏動論的均衡を組み込んだモデルを提案する。 • 交通事業者と開発者を供給側、住⺠を需要側の意思決定主体とする • マルコフゲームにより、供給主体間の戦略的期待形成を内⽣化する • 観測データから利得関数を構造推定し、反実仮想・政策効果の定量化を可能にする
  2. 複数の主体の時間軸上の戦略的な意思決定を分析するため 背景:なぜ相互動学化が必要か 3 災害 : 防災インフラ投資の時間不整合性 (Kydland and Prescott, 1977)

    熊本朝⽇放送 ʻ新築物件の5割空室?TSMC周辺地域「かなり想定外」⼀⽅で活況の市場はʼ, 2025年12⽉21⽇ (2026年6⽉9⽇閲覧) 政府の堤防建設 堤防整備の 期待 交通インフラの新規整備 低地の市街地化 市街化の 期待 新規産業⽴地 : TSMCの⼯場開設による交通・⼟地利⽤の変化 ⼯場操業開始前から周辺市町でのマンション建設ラッシュ “建屋建設が始まると、かなりの⼯事業者さんが来られるので、まずはそこを狙って建てている” 訪問⼈⼝の増加、渋滞悪化を⾒越したインフラ整備 例) 空港アクセス鉄道の整備、県道の多⾞線化 Kydland, F. E. and Prescott, E. C. (1977) ʻRules Rather than Discretion: The Inconsistency of Optimal Plansʼ, Journal of political economy, 85(3), pp. 473–491.
  3. 背景:交通・⼟地利⽤システムの内⽣化 4 input: ⼈⼝シナリオ input: 交通シナリオ シナリオベースの交通計画 交通システム内の均衡 𝒙 =

    𝑓(𝑸, 𝑮) output: 交通⾏動 交通⾏動、 フロー ⼈⼝、 OD分布 交通ネットワーク LOS 供給主体の統合 : フィードバックの表現 output: 交通⾏動 output: ⼈⼝分布 output: 交通ネットワーク ⼟地利⽤・交通システム内の均衡 𝒙 = 𝑓(𝑸, 𝑮) 𝑸 = 𝑔(𝑮, 𝒙) 𝑮 = ℎ(𝒙, 𝑸) ⼟地利⽤-交通モデル 応⽤⼀般均衡モデル 数量空間経済モデル 外的政策ショック 同時⽅程式
  4. 背景:内⽣化したシステムの動学化 5 Static (静学): 不動点の解析 Reactive (準動学): 時間経過の追跡 Proactive (相互動学):

    将来期待を考慮した均衡の解析 𝒙 = 𝑓(𝑸, 𝑮) 𝑸 = 𝑔(𝑮, 𝒙) 𝑮 = ℎ(𝒙, 𝑸) 𝒙∗, 𝑸∗, 𝑮∗ 不動点 市場均衡型モデル 時間の⼊れ⼦構造 (将来への期待) 複数主体の⼊れ⼦構造 (他者への期待) → 計算上の困難性 𝒙" = 𝑓(𝑸"~$ , 𝑮"~$ ) 𝑸" = 𝑔(𝑮"~$, 𝒙"~$) 𝑮" = ℎ(𝒙"~$ , 𝑸"~$ ) 不動点 𝒙%~$ ∗ , 𝑸%~$ ∗ , 𝑮%~$ ∗ 𝒙" = 𝑓(𝑸", 𝑮" ) 𝑸" = 𝑔(𝑮" , 𝒙"&' ) 𝑮" = ℎ(𝒙"&' , 𝑸"&' ) 𝒙%~$, 𝑸%~$, 𝑮%~$ 𝒙" ∗, 𝑸" ∗, 𝑮" ∗ 𝒙" = 𝑓(𝑸", 𝑮") 𝑸" = 𝑔(𝑮", 𝒙") 𝑮" = ℎ(𝒙", 𝑸") 𝒙!"# ∗ , 𝑸!"# ∗ , 𝑮!"# ∗ 𝒙"(' = 𝑓(⋅) 𝑸"(' = 𝑔(⋅) 𝑮"(' = ℎ(⋅) ミクロシミュレーション
  5. • 利得関数の構造推定においては、各主体の価値関数とそこから導かれる⾏動を計算し、観測データ に適合するような利得パラメータを推定する。 → 政策に対する供給側の意思決定変更を構造パラメータに基づいて反実仮想分析できる 背景:相互動学化したシステムにおける構造推定の課題 6 … … …

    … … … … … … … … … … … … … 居住地選択 居住地選択 住宅デベロッパー 交通事業者 整備 開発 状態変数: ⼈⼝, 交通サービス⽔準, 地価 t=t0 t=t1 課題 ⾏動選択肢と状態空間が膨⼤ (次元の呪い) 期待利得 は推定プロセスで繰り 解法 期待利得をモンテカルロサンプリング により近似する 返し計算する必要がある
  6. 都市内・部分均衡・静学モデル • 主体:家計・企業・不在地主 (+開発者等) • 市場:⼟地市場・交通市場 (+建物床市場等) • ⾏動基準: •

    家計:賃⾦・地代・交通費⽤ → 居住地を選択 • 企業:利潤最⼤化 • 均衡:⼟地市場の清算と交通利⽤者均衡の 同時均衡 既往研究:応⽤都市経済 (CUE)モデル 7 交通コスト・地代を通じた分散効果 市場の設定 集積外部性の表現 交通 コスト ⽴地 選択 ⼟地 需要 地代 交通 需要 • ⼈⼝・企業の集中は、地代上昇と交通混雑増加 によって調整される。(集積の負の外部性) • ゾーン 𝑗 の効⽤の例 max 𝑈! = 𝛼" ln 𝑧! + 𝛼# ln 𝑎$ + 𝛼% ln 𝑞$ + 6 𝑢$ 合成財 消費量 建物床 消費量 交通トリップ 消費量 ⼟地利⽤ + 交通ネットワーク上の利⽤者均衡 他の財市場・労働市場の均衡、動学過程、集積の正の外部性 武藤慎⼀, 上⽥孝⾏, ⾼⽊朗義, & 冨⽥貴弘. (2000). 応⽤都市経済モデルによる⽴地変化を考慮した便益評価に関する研究. ⼟⽊計画学研究・論⽂集, 17, 257-266.
  7. 多地域多部⾨・⼀般均衡・静学モデル • 主体:家計・企業・地主・政府 • 市場:財市場・要素市場・地域間交易 交通は輸送費⽤を通じて経済全体へ波及 • ⾏動基準: • 家計:所得制約下での効⽤最⼤化

    消費・労働量供給量を選択 • 企業・地主:利潤最⼤化 • 均衡:地域別・産業別の財市場、労働・資本など の要素市場、地域間交易が同時に整合 既往研究:空間的応⽤⼀般均衡 (SCGE)モデル 8 市場の設定 標準モデルでは集積外部性の表現に難点 • 標準モデルでは、完全競争市場、規模に関して 収穫⼀定の技術 → 集積メカニズムは内⽣的には説明されない • ⽴地考慮型モデルでは、交通費⽤低下 → 交易増加 → ⽣産・所得増加 → 労働・⼈⼝移動 の内⽣的発展を考慮 • 新経済地理学 (NEG)型モデルは、独占的競争、多 様性選好、規模の経済を導⼊し、集積⼒を内⽣化 外⽣的交通変化の広域・多部⾨経済への⼀般均衡効果 都市内⽴地、⼟地・住宅市場の記述、動学過程は標準モデルでは簡略化 集積外部性の表現 ⾼⼭雄貴, ⾚松隆, & ⽯倉智樹. (2014). 新経済地理学に基づく空間応⽤⼀般均衡モデルの開発. ⼟⽊学会論⽂集 D3 (⼟⽊計画学), 70(4), 245-258. 武藤慎⼀, & 伊藤聖晃. (2005). 都市交通に係わる環境施策評価ための⽴地均衡を考慮した応⽤⼀般均衡モデルの開発. 環境システム研究論⽂集, 33, 275-284.
  8. 都市内外・空間⼀般均衡・静学モデル • 主体:労働者・家計・企業・地主 • 市場:財市場・労働市場・⼟地/住宅市場 交通は輸送費⽤を通じて経済全体へ波及 • ⾏動基準: • 家計:賃⾦・地代・アメニティ・通勤費⽤

    → 居住地・勤務地を選択 • 企業:⽣産性・市場アクセス・賃⾦・地代 → ⽣産・⽴地を決定 • 均衡:財市場、労働市場、⼟地市場、地域間交易、 居住地選択が同時に決まる空間⼀般均衡 既往研究:数量空間経済 (QSE)モデル 9 市場の設定 市場アクセス・外部性・分散⼒の記述 • 市場アクセス、通勤アクセス、⽣産外部性、居住 アメニティの⾼い地点に企業・労働者が集積 • ⼟地・住宅制約、地代上昇、混雑が分散⼒ → 均衡として内⽣的都市成⻑を表現 → 観測データに整合する空間分布を再現 𝐴! ∝ / " 𝜏!" #$𝑌 " 交易・ 通勤費⽤ 市場規模 市場アクセス =集積⼒の表現 集積の経済による内⽣的相互作⽤、⼀般均衡、複数空間スケール 動学過程そのものは通常は明⽰しない Redding, S. J., & Rossi-Hansberg, E. (2017). Quantitative spatial economics. Annual Review of Economics, 9(1), 21-58. 集積外部性の表現
  9. 都市内・⾮均衡・準動学モデル • 主体:世帯・企業・開発者 • 市場:⼟地市場・建物床市場 (+交通市場) • ⾏動基準: • 家計:居住効⽤最⼤化

    • 企業:⽴地効⽤最⼤化 • 開発者:利潤最⼤化 • 均衡:年次の逐次更新で時間変化を表現 価格により段階的に調整 (⾮均衡) 既往研究:⼟地利⽤-交通 (LUTI)モデル、ミクロシミュレーション 10 地代を通じた動学的な調整過程 市場の設定 ⼈⼝・ 雇⽤変化 転居 企業 ⽴地 価格 調整 開発 更新 • ⼈⼝・企業の集中は、地代の段階的上昇によって 調整 (集積の負の外部性) • ⾮集計⽴地選択モデルの説明変数として、集積へ の選好を組み込み (集積の正負の外部性) 例) ⼈⼝密度、雇⽤密度、混合⼟地利⽤など t ←t+1 ⼈⼝・ 雇⽤変化 転居 企業 ⽴地 価格 調整 開発 更新 ⼟地利⽤・交通の時間的フィードバック効果、⾼解像度、異質性 市場均衡、厚⽣評価、キャリブレーションコスト 集積外部性の表現 Waddell, P. (2002). UrbanSim: Modeling urban development for land use, transportation, and environmental planning. Journal of the American planning association, 68(3), 297-314.
  10. 都市内・⾏動論的均衡+住宅市場均衡 • 主体:家計・開発者・交通事業者 • 市場:住宅床市場 • ⾏動基準: • 家計:地代・アメニティ・交通アクセス →

    居住地を選択 • 開発者:地代・⼈⼝・交通アクセス → 住宅開発量を決定 • 交通事業者:⼈⼝・開発量 → 公共交通供給量を決定 • 均衡:供給主体の⾏動的均衡、住宅市場の清算 本研究 11 市場の設定 供給主体間の動学的期待形成 • 家計の⽴地選択モデルの説明変数として、集積の 選好を記述 例) 住宅価格、交通アクセス • 供給主体間の動学的期待により、交通整備・開発 ⾏動の集積を表現 ミクロシミュレーション的動学過程 + 住宅と交通の供給主体間の動学期待 交通均衡、他の市場の均衡・集積プロセス 動学的期待 集積外部性の表現
  11. • CUEモデル 交通側の利⽤者均衡に強みがあるものの、交通事業者⾃体の供給⾏動は記述しておらず、 供給⾏動を含む都市構造の発展まで加味した政策評価には向かない。 • SCGE/QSEモデル 広域・⼀般均衡効果は⾒られるが、住宅/⼟地市場における動学的期待や時間発展は弱く、 動的過程を考慮した都市マネジメントや介⼊政策の適⽤は困難 • ミクロシミュレーション

    逐次的な変化や異質性の表現はあるが、静学的意思決定にとどまっており、政策の波及効果に バイアスが発⽣する可能性がある • 本研究 補助・規制等の介⼊政策が供給側事業者の動学的期待を変化させることによる、 供給側⾏動と住⺠余剰への政策の波及効果を評価することを⽬指す。 既往研究のまとめと本研究の位置付け 12
  12. モデルの枠組み:公共交通整備と⼟地開発のマルコフゲーム 13 • プレーヤーは現在の状態と将来の予想をもとに現在の⾏動を決定 (マルコフ性) • 各プレーヤーは他のプレーヤーの戦略に対する最適反応となる戦略を選ぶ (⾮協⼒ゲーム) ① ②

    𝑡 ← 𝑡 + 1 𝑡 ← 𝑡 + 1 公共交通事業者 𝑷 公共交通本数を決定 住宅デベロッパー 𝑫 住宅供給量を決定 住⺠の居住地選択 効⽤最⼤化 住宅価格の調整・均衡 更新した住宅価格の下で 居住地選択の再計算 𝑞!,# 𝑞$,# 𝑁# % 𝑝# 𝑁#&' 𝑁#&' 更新⼈⼝ 更新⼈⼝ 𝑞$,#~) 𝑞!,#~) 互いの⾏動系列 を予想 ① マルコフ完全均衡(MPE) 均衡において、各プレーヤーは⾃分だけが 戦略を変えるインセンティブを持たない ② 需要-供給の釣り合い 各期の住宅需要と供給は⼀致 プレーヤー1 プレーヤー2 状態 遷移
  13. 𝑉! 𝑆& ; 𝝈 = 𝔼' 𝜋! 𝒒& , 𝑆&

    , 𝜈!,& ; 𝜃! + 𝛽! 7 𝑉! 𝑆&)* ; 𝝈 𝑑𝑃 𝑆&)* 𝑆& , 𝒒& 14 各プレーヤーが解く最適化問題 即時利得 割引率 状態遷移確率 • プレーヤー : 交通事業者 𝑃 、デベロッパー 𝐷. • 状態 𝑆& : ⼈⼝, 交通サービス⽔準, 地価. • ⾏動 𝑞& ∈ 𝒜! : 公共交通運⾏本数 (交通事業者)、住宅建築の供給⾯積 (デベロッパー) • ⽅策 𝜎! : プレーヤーは現在状態 𝑆& と私的ショック 𝜈!,& のみから⾏動 𝑞! を選択 (マルコフ性) • 各プレーヤー𝑖 は⾃分と他者の⽅策𝝈 = (𝜎+ , 𝜎, )の下での期待利得 𝑉! を最⼤化 = 住⺠の居住地選択モデル • マルコフ完全均衡 (MPE) 戦略プロファイル 𝝈 = (𝜎! , 𝜎" ) は、⾃分だけが⽅策を変えても 累積利得を改善できないとき、MPEである。 • 各期の需要-供給の釣り合い 価格𝑝の下での 住宅需要 デベロッパーによる 住宅供給 不動点の定義 𝜅𝑀",C 𝑝",C = 𝑞D,",C 𝑉* 𝑆#; 𝝈 ≥ 𝑉* 𝑆#; 𝜎* %, 𝜎+* ∀𝑆#, 𝜈*,#, 𝜎* % ∈ Σ*
  14. 15 モデルの仮定 状態遷移 • 各プレーヤーは、状態遷移 (住⺠の居住地選択)について同⼀の予想をもち、その予想は、 居住地選択の観測データから推定されるモデルで表現される (合理性)。 • 交通事業者とデベロッパーの⾏動は、公共交通アクセスと住宅価格への選好を通じて居住地選択に影響する。

    • 居住地選択は、転⼊先ゾーンの決定のみを考え、転出の意思決定⾃体には影響しない 観測域外 転出割合 𝜃-. ⾮転居割合 1 − 𝜃!/ − 𝜃-. 転⼊先選択モデル𝑃 住宅価格 公共交通アクセス 観測域内 転出割合 𝜃!/ 推定上の仮定 • 観測データ 𝑆& , 𝒒& &0* 1 は,単⼀のマルコフ完全均衡の戦略プロファイル𝝈 によって⽣成される (均衡選択の回避) • 各プレーヤー𝑖について,𝒜! , 𝜈! ∈ ℝ であり,かつ2!3(𝒒,𝒔,'" ) 2#"2'" ≥ 0
  15. 利得関数𝜋0 𝒒, 𝑆1 , 𝜈0,1 ; 𝜃0 のパラメータ𝜃の構造推定 16 •

    通常であれば、価値関数計算 と 尤度最⼤化 の繰り返しで推定 (NFXPアルゴリズム) 𝑉! 𝑆& ; 𝝈 = 𝔼' 𝜋! 𝒒& , 𝑆& , 𝜈!,& ; 𝜃! + 𝛽! 7 𝑉! 𝑆&)* ; 𝝈 𝑑𝑃 𝑆&)* 𝑆& , 𝒒& 状態 𝑆& : ⼈⼝・交通サービス⽔準・地価、の多次元・連続量 価値関数の求解困難 (次元の呪い) 𝑉! 𝑆& ; 𝝈 = 𝔼',𝒒 I 80& 1 𝛽! 89&𝜋! 𝒒& , 𝑆& , 𝜈!,& ; 𝜃! ∣ 𝑆& • 価値関数の期待値演算を、直接モンテカルロサンプルで近似 𝜎*(𝑆#, 𝜈*#; 𝜃) = 6 𝐹* +'(𝐺*(𝜈*)|𝑆#) • 観測⽅策𝜎! の下で連続⾏動𝑞! を選択する確率は、 状態𝑆の下で 𝑞! を選ぶ観測確率 K 𝐹! (𝑞! |𝑆) 誤差項 Pr 𝜎! 𝑆, 𝜈! ≤ 𝑞! = Pr 𝜈! ≤ 𝜎! 9* 𝑞! , 𝑆 = 𝐺(𝜎! 9*(𝑞! , 𝑆)|𝑆) 𝐺: 誤差項の分布 𝑞 action Prob. 1 0 K 𝐹! (𝑞! |𝑆) 𝐺(𝜈) 𝑞′ データからS 𝑭𝒊 (𝒒𝒊 |𝑺)を推定し、 𝑮𝒊 (⋅)の分布を仮定することで観測⽅策𝝈に基づく⾏動𝒒を⽣成できる ①誤差分布より ②観測データより
  16. Two-step estimation by Bajari et al. (2007) 17 利得関数𝜋0 𝒒,

    𝑆1 , 𝜈0,1 ; 𝜃0 のパラメータ𝜃の構造推定 ⽅策関数 K 𝐹! (𝑞! |𝑆) を観測データ{𝑆& , 𝒒& }から推定 Stage 1 Bajari, P., Benkard, C. L., & Levin, J. (2007). Estimating dynamic models of imperfect competition. Econometrica, 75(5), 1331-1370. ⽅策関数 K 𝐹と状態遷移関数 𝑃 の推定 状態遷移関数 𝑃 𝑆&)* 𝑆& , 𝒒& を推定 = 居住地選択モデル 𝑞 action Prob. 1 0 K 𝐹! (𝑞! |𝑆) Stage 2 利得パラメータ 𝜃 の推定 ⽅策関数の推定 𝑞!,& = 𝜷! ;𝑺& + 𝜀!,& , 𝜀!,& ~𝑁(0, exp(𝜸! ;𝑺& )) ⾏動 𝑞 を状態 𝑆 で線形回帰 状態遷移関数の推定 空間相関付きMixed logit モデル • 世帯 𝑛 がゾーン 𝑗 を選択する確率を推定 • 価格と未観測ゾーン魅⼒度の内⽣性に対処するため、 最尤推定 + 操作変数法の⼆段階推定 推定済み⽅策関数 K 𝐹と状態遷移関数𝑃を⽤いて ⾏動・状態・利得の系列を多数⽣成 → 価値関数の計算 均衡条件からの逸脱が最⼩になるような パラメータを推定
  17. … … … … … … … … … …

    … … 18 利得関数𝜋0 𝒒, 𝑆1 , 𝜈0,1 ; 𝜃0 のパラメータ𝜃の構造推定 Two-step estimation by Bajari et al. (2007) … … … 居住地選択 居住地選択 デベロッパー 交通事業者 交通 整備 住宅 開発 𝑉(𝑆& ; 𝜎! <, 𝜎9! ; 𝜃) 𝑉(𝑆& ; 𝜎! , 𝜎9! ; 𝜃) Stage 1で推定済み 観測がマルコフ完全均衡に従うなら、𝜃は以下を満たす 𝑉 𝑆& ; 𝜎! , 𝜎9! ; 𝜃 ≥ 𝑉(𝑆& ; 𝜎! <, 𝜎9! ; 𝜃) ⽅策関数 K 𝐹! (𝑞! |𝑆) を観測データ{𝑆& , 𝒒& }から推定 Stage 1 ⽅策関数 K 𝐹と状態遷移関数 𝑃 の推定 状態遷移関数 𝑃 𝑆&)* 𝑆& , 𝒒& を推定 = 居住地選択モデル Stage 2 利得パラメータ 𝜃 の推定 推定済み⽅策関数 K 𝐹と状態遷移関数𝑃を⽤いて ⾏動・状態・利得の系列を多数⽣成 → 価値関数の計算 均衡条件からの逸脱が最⼩になるような パラメータを推定 → 均衡条件からの乖離を表す損失関数 𝑄 を最⼩化 住宅価格の調整・均衡
  18. 災害リスクの⾼いエリアで近年市街化が進む → 効果的な⼟地利⽤規制・誘導施策が必要 19 ケーススタディ: 松⼭市 ゾーン分け 居住地選択: 39 ゾーン

    住宅開発・交通整備: 19 ゾーン 災害リスクの存在 → 交通・住宅開発によるリスク低減 洪⽔: 100年に1度の洪⽔規模の浸⽔域を使⽤. 津波: 南海トラフ地震での浸⽔想定域を使⽤.
  19. 21 Stage 1: 状態遷移モデル (居住地選択モデル)の推定結果 公共交通を58 [本/⽇]増加させる効⽤ = 住宅価格を10,000 [円/m2]

    低下させるのと同じ (特に⾃動⾞⾮保有世帯) 前居住地と近い場所への強い選好 市外から転⼊した⼈は中⼼部を好む ⾞を持っていない⼈は、公共交通⽔準を重視 リスクの⾼い地域が選好される傾向 = データと合致
  20. 22 Stage 2: 利得関数の設定 𝜋c = 𝑝𝑜𝑝 ⋅ 𝑞d e

    − (𝜃d,f+𝜃d,f⋅g𝑑𝑖𝑠𝑡) ⋅ 𝑞𝑃 + 𝜃d,D ⋅ 𝑞𝐷 𝜋h = 𝑝𝑟𝑖𝑐𝑒 ⋅ 𝑝𝑜𝑝 − (𝜃D,f +𝜃D,f⋅g 𝑑𝑖𝑠𝑡) ⋅ 𝑞𝐷 + 𝜃D,d ⋅ 𝑞𝑃 ⼈⼝ 中⼼部からの 距離 地価 公共交通⽔準 住宅開発量 収⼊ 開発・整備 コスト 相互作⽤ 住宅開発量 公共交通⽔準 ⼈⼝
  21. 23 デベロッパーと交通事業者の利得関数の推定 公共交通整備は住宅開発に正の影響を与える 公共交通をゾーン内で10 [本/⽇] 増やすことは、 デベロッパーにとって約2億円[/年] の増益に等しい コスト 住宅開発の増加が公共交通整備

    に影響するとは⾔えない 公共交通主導型の⼟地利⽤誘導の可能性 コスト 中⼼部からの距離 中⼼部からの距離 相互作⽤ 相互作⽤ 𝜃,,+ 𝜃+,, 住宅供給 1m2 当たりの費⽤は 約 69,150 円 → 住宅価格のスケールと整合
  22. シングルエージェントモデルとの⽐較 24 コスト コスト 中⼼部からの距離 中⼼部からの距離 相互作⽤ 相互作⽤ マルチエージェント、提案⼿法 •

    各主体が、⾃⼰と他者の将来にわたる⾏動を予想 → マルコフ完全均衡 シングルエージェント (デベロッパー) • 公共交通事業者の⾏動系列は、観測データ で固定 (内⽣的に変化しない) • デベロッパーは公共交通事業者の⾏動系列 を完全予⾒して⾏動選択 • 公共交通の内⽣的変化を除くと、相互作⽤の影響は不明確に (統計的に有意でない) デベロッパーが、⾃らの⾏動による交通事業者の意思決定の内⽣的な変化を合理的に予想するという 仮定があるときにのみ、観測データから両者の正の相互作⽤が説明される。
  23. 2009年から2023年の⼈⼝と地価 (内⽣変数)について、観測値と予測値を⽐較 25 モデル適合度の内部検証 MAE MAPE [%] ⼈⼝ 1,924 8.0

    住宅価格[円] 14,360 13.7 住宅価格の予測精度が低い. • 特に中⼼部・⼭間部で、住宅の需給釣り合い以外の要因 • ⼈⼝移動の予測誤差が住宅価格の予測にも影響 住宅価格 ⼈⼝ 過⼤評価 過⼩評価 過⼩評価 過⼤評価 観測 予測 郊外ゾーン ⼭間部ゾーン 中⼼部ゾーン
  24. 政策シミュレーションの内容 • 災害リスクの存在 → 交通・住宅開発によるリスク低減 1. 低リスクゾーンでの公共交通整備 (公共交通サービスを100 本/⽇増加 )

    2. ⾼リスクゾーンでの住宅開発規制 ( 住宅開発レベルを2008年の半分に規制 ) 交通事業者・開発者の期待利得、住⺠余剰の計算⽅法 ① 公共交通事業者・開発者の期待利得変化 • 政策対象ゾーンの、基準シナリオと介⼊シナリオの利得差の現在価値 政策シミュレーション、期待利得変化分析 26 洪⽔: 100年に1度の洪⽔規模の浸⽔域 津波: 南海トラフ地震での浸⽔想定域 ∆𝑊! = I &0= 10*> 𝛽& 𝜋 ! ?@ABCD 𝑠& , 𝑎& − 𝜋! EFGHABIH 𝑠& , 𝑎& , 𝑖 ∈ 𝑃, 𝐷 ∆𝑊J = 1 𝜇 ln I $∈L exp 𝜇𝑢 J,$ ?@ABCD 𝑠& , 𝑎& − ln I $∈L exp 𝜇𝑢J,$ EFGHABIH 𝑠& , 𝑎& ② 住⺠の余剰変化:最終期における住宅⽴地選択から得られる期待効⽤の変化
  25. ⼟地利⽤規制・誘導の政策シミュレーション 27 余剰の変化 [%] 1. 低リスクゾーンでの公共交通整備 ( ゾーンの公共交通サービスを100 本/⽇増加 )

    • 住⺠の余剰増加 特に⾃家⽤⾞⾮保有世帯 ← 公共交通サービスの向上 • 住宅供給や価格は、当該ゾーンの顕著な 変化はない • 周縁部は相対的な魅⼒・需要が低下し、 住宅価格の減少 ①公共交通の頻度↑ 住宅供給→ 住宅価格→ ②⼈⼝↑ 各変数の無政策時との差 [%]
  26. ⼟地利⽤規制・誘導の政策シミュレーション 28 2. ⾼リスクゾーンでの住宅開発規制 ( 住宅開発レベルを2008年の半分に規制) 余剰の変化 [%] • 住⺠の余剰減少

    • 住宅供給減少の影響は2経路 • 住宅供給減 → 住宅価格上昇 • 住宅供給減 →⼈⼝減 → 公共交通減便 ④公共交通の頻度↓ 期待・正の 相互作⽤ ①住宅供給↓ ②住宅価格↑ ③⼈⼝↓ 各変数の無政策時との差 [%] 供給を減少させても交通事業者と開発者が より⾼い期待利得を得られるのはなぜか?
  27. 住宅と交通の供給主体間の動学的相互作⽤をモデル化 • マルコフゲームの枠組みを⽤いて、動学的な期待を⼟地利⽤-交通モデルに導⼊ • モンテカルロサンプリングによる価値関数近似を⽤いた効率的な推定⼿法 • 公共交通・開発⾏為・居住地移転のデータを⽤いて、開発者と交通事業者間の⾮対称な相互作⽤を推定 災害リスク低減という同⼀の⽬的を持つ政策であっても、余剰変化は異なる。 • 公共交通投資は、動学的期待形成を通じて住宅開発を促進し、住宅価格低下により住⺠余剰を⾼めた

    • 内⽣的なフィードバック効果とそれに対する各主体の期待の評価の重要性 供給側と需要側の⾏動に関するパネルデータの整備によって、動学的期待の推定が可能になる。 結論 30 今後の展望 • 公共交通のネットワーク効果、道路整備、利⽤者均衡を含む枠組みへの発展 • 推定・均衡計算の計算コストの低減 → Mutli-Agent RL, 敵対的逆強化学習等の機械学習フレームワークの適⽤と、マルコフゲームとの整合性 • 推定のロバスト性、複数均衡の理論的・数値的検証