分子や結晶などの3次元構造を扱う機械学習では、原子間の関係だけでなく、回転や並進といった空間の対称性をどのようにモデルへ組み込むかが重要となる。幾何学的深層学習は、グラフや点群などの幾何学的構造をもつデータを対象とし、こうした幾何学的性質を考慮したニューラルネットワークを構成するための枠組みである。本講演では、グラフニューラルネットワークを出発点として、回転・並進に対する不変性および同変性の考え方を中心に、幾何学的深層学習の基本を概説する。また、分子や結晶の3次元構造を対象とした物性予測などの事例を通して、幾何学的な帰納バイアスをモデルに組み込む意義と、近年のモデル設計の考え方を紹介する。