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カンファレンスのつくりかた / The Conference Code: What Makes...

カンファレンスのつくりかた / The Conference Code: What Makes It All Work

PHPカンファレンス新潟 2025の資料です

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HASEGAWA Tomoki

May 31, 2025
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  1. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた 前提事項 • このトークは以下のタイプのイベントを対象としています • 技術的知見の共有、交流を目的としたイベント • 1日または複数日にわたって物理会場で開催される

    • ボランティアスタッフによる主催・運営 • メインコンテンツは公募されたスピーカーによるトーク(講演) • このタイプのイベントを カンファレンス または 草の根テックカンファレンス と呼びます • このトークでお話する内容は長谷川個人の10年・18回のカンファレンス主催経験による ものです • 良いカンファレンスのつくりかたはこれだけでは無いと思います • 良きところをつまみ食いしてください 5
  2. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた お金の考え方 • 一番大事 • カンファレンスの主催をするならお金のことは真剣に考える必要がある • これを面倒がると良いカンファレンスにする難易度が爆上がりする

    • 余剰金を出す前提で設計する • 余剰は申告・納税して次回に繰り越す • 税理士さんとかのコストや税金もカンファレンスのコストとして考える • お金は手段 • お金で解決できる問題は多い • お金が無い = すべての意志決定において打ち手が1つ少ない状態 • カンファレンス名言 「お金で解決できる問題は、お金があれば問題ではない」 8
  3. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた お金のソースとその比率 • カンファレンスのお金のソースはチケット販売 or スポンサーアイテム販売 • スポンサーアイテム販売をメインにするのが圧倒的におすすめ

    • 運営難易度が下がる • 一般的にスポンサーアイテム販売の方がチケット販売よりスケジュール的に早い • スポンサーアイテム販売の結果を見て企画の調整ができる • お金と参加者数が切り離されるので参加者数が少なくてもお金で解決できる(可能性がある) • チケット販売メインは上級者向け • 赤字になる=参加者が居ない、なのでイベントとして破綻する • チケットを値下げして無理矢理捌く or 参加者が居ない状況を許容する究極の選択 • スポンサー募集をするにはある程度テーマを狭めた方が募集しやすいので、 イベントのテーマ設定を広くしたい場合はチケット販売メインにせざるを得ないこともあるかも 9
  4. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた なにはともあれまず会場 • カンファレンスを開催したい、と思ったらまず会場を探す • カンファレンス開催のために必須なものはいくつかあるけど 会場はその中でも特に重要 •

    すべての計画(スケジュール、資金、参加人数、企画)に影響する • 会場のおおまかな分類 公共 自治体が運営する施設 民間 一般の貸し会場 スポンサー企業 企業のイベントスペースなど その他 学校など • どれを選ぶかで大きく運命が変わる 11
  5. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた 本当に一番最初に考えること • 自分は何がしたいのか • 「カンファレンスを主催したい」 • わかる

    • もっと具体的に考える • 参加者何人? • 何日間? • トラックいくつ? • それ以外にも部屋を使う? • 懇親会も会場でやる? 12
  6. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた 会場の探し方 • 会場4種別 (公共/民間/スポンサー企業/その他) のうち公共・民間は情報が公開されている • ひたすらWeb検索して収容人数と費用の一覧を作る

    • 費用は公共 <<< 民間 • 東京だと目安として公共は300円/人日、民間は1,000円〜2,000円/人日 • 500人・1日だと公共で15万円、民間で50万円〜100万円 • スポンサー企業・その他(学校など)はコネ勝負 • スケジュール、費用などすべてが非公開 コネが無いと何も出来ない • 会場貸しをメイン業務にしている訳ではないことも多く、 その場合すべての手続がイレギュラーケースになることを覚悟する • 費用面では有利なことが多い • どちらにしても、場所→開催日の順で決めるのがおすすめ 13
  7. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた スタッフの種類・集め方 • 多くのカンファレンスでは2種類のスタッフがいる コアスタッフ 企画立案から関わるスタッフ 当日スタッフ 当日のみ運営に関わるスタッフ

    • 企画立案・準備で必要な人数・深い関与度はすべてのスタッフに必要ではない • 最初からあまり人数が多くても熱が生まれにくい • そもそも企画段階で多くのスタッフを集めるのは難しい • コアスタッフは招待制がお勧め • 公募でお互いあまり知らない状態でジョインすると空気が合わないなどの場合に大変 • PHPerKaigi / iOSDC Japan では当日スタッフをやってくれたスタッフの中から 本人の希望 or/and スタッフアンケートの結果で招待 • 初回は勉強会仲間に声をかけた 19
  8. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた 主催者としてのスタッフの考え方 • スタッフは「主催者がやりたいこと」を労働力で支援してくれる存在 • スタッフもお客さんと考える • カンファレンスをやりたいのは自分(主催者)であり、

    スタッフはそれに付き合ってくれているありがたい存在 • スタッフには自分の人生・仕事・家族などを最優先してもらう • タスクはすぐに手放せる状態で進める • 自分が期待した働きと違ったとしてもスタッフを責めない。自分で巻き取る • …と考えると病まずに済む(と思う) • 一方、頼れるスタッフは確実にいる • 実力と情熱を存分に発揮してもらうと良いカンファレンスになる 20
  9. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた スピーカーをどう集めるか • 大きく2つの考え方 • 主催から声がけしてトークしてもらう or 公募してトークしてもらう

    • 公募をメインに、どうしても話して欲しい方に個別に声がけをするのがお勧め • 公募でも「この方なら採択されるプロポーザル書いてくれるだろうな」という方、 数名〜十数名に「出してよ!」と言える感じだと難易度が下がる • 勉強会・カンファレンスに参加して知人友人を作っておくと良いですね • 公募は「どんなトークを求めているか」を(よく考えて)表明する • 対象範囲(PHPとか)の話のみ or 参加者の技術的知的好奇心を刺激すれば何でも良い • 後者だと僕みたいな人がCPUとかコンパイラの話を投稿します • 前者でも何とかPHPに絡めて投稿するけど 22
  10. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた トーク選定 • ここでも「自分は何をしたいのか」を(改めて)よく考える • 参加者にどんなトークを聞いて欲しいのか • 「これを聞きたい人がいるだろう」という考えより

    「自分はこれが聞きたい」「自分はこれを聞いて欲しい」で考えた方が良い • カンファレンスらしさの出し方 • スタッフ投票の結果を機械的に反映しない方がそのカンファレンスらしさが出る • スタッフは必ずしも全員が同じ基準・考え方で投票しない • PHPerKaigi / iOSDC Japanでは「上位15%ぐらいはスタッフ投票そのまま」「それ以 降は実行委員長が全体のバランスを見ながら、実行委員長の意志も強く入れて決める」 23
  11. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた タイムテーブル作成 • 詰め込みすぎない • トークとトークの間隔は最低15分は必要 • たくさん採択したい気持ちをぐっと押さえる

    • Q&Aは(物理会場での)カンファレンス「ならでは」の要素なので、できるだけ入れると良い • Ask the Speakerでも良いけどQ&Aはコンテンツにもなり得るので強い • タイムテーブルづくりにはコツがある • すべてのトラックが同じぐらいの客入り(割合)になる様に作る • 強いトークは横に(= 同じ時間に)並べる • ガラガラのトラックを作ってはいけない • すべての時間帯でどれを聞くか迷う様に作る • 朝イチと午後イチは「強い」トークを置く • そのタイミングを目指して人が来てくれる = その直後のトークにも集客が見込める 24
  12. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた よしやるぞ、となったら… • 会場予約したし、コアスタッフも集まった、さあどうしよう? 1. 各種ツールを整える • チャットツール

    Slack, Discord, … • Issueトラッカー GitHub, GitLab, … • ビデオチャット Zoom, Google Meet, … • Google系 ドライブ, スプレッドシート, ドキュメント, フォーム 2. スケジュールを作る 3. Issueを立てて消化していく 27
  13. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた 使うツール • 基本的にはGoogle系ツールですべてできる • スポンサー & プロポーザル

    募集・管理: Googleフォーム, Googleスプレッドシート • スケジュール管理: Googleスプレッドシート • メール: Gmail • iOSDC Japan 2016はこの形式でやった • 1つだけツライのがバルクメール • 何らかの形で「Gmailで手動で送る」から脱却した方が良い • 面倒で規模拡大がおっくうになる & ミスが多発する • 長谷川は最初はメール送信ツールを(PHPで)作った • それが進歩したのが fortee 28
  14. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた fortee • 草の根テックカンファレンス向けの運営支援ツール • スポンサーやトークの募集・管理 • バルクメール・メール取り込み

    • タイムテーブルエディタ • Twitter自動投稿 • Slack, YouTube, Misocaなど外部システム連携 • その他多数の機能 • 長谷川カンファレンスのノウハウ • 無料で使えるのでご活用ください • PHP ユーザーズ (日本語) on Slack に開発・サポートチャンネルあります 29 PR
  15. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた スケジュール • Googleシートに作るのがお勧め • タスク間の入れ子関係があまり無いことが多いので 表の下に行くと日付が進む縦型スケジュールがおすすめ •

    管理項目: 日付, 開催までの日数, タスク, 各タスクのマイルストーン • 主催者はスケジュールを毎日見る • ぐらいの気持ちでやる 閑散期だったとしても最低でも2〜3日に1回は見る • 1週間見ないと相当リスクだな、の気持ち • 管理するタスク: • トーク・スポンサー募集, チケット販売 • ロゴ, サイトなどデザイン制作 • 各種ノベルティ(Tシャツとか)・会場装飾(ロールアップバナーとか)制作 30
  16. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた カンファレンスのスケジュール感 • PHPerKaigi / iOSDC Japanの場合のスケジュール感 1年前

    会場予約・支払 6ヶ月前 スタッフキックオフ・デザイン制作開始・スポンサー募集開始 4ヶ月前 デザイン(ロゴ・Webサイト)確定・ノベルティ制作開始 3ヶ月前 トーク募集開始 2ヶ月前 タイムテーブル確定 1.5ヶ月前 全員送付系ノベルティ制作完了 1ヶ月前 当日スタッフ募集開始 • みなさんだいたいこんな感じでは? • つまりカンファレンスは1年に2つ主催できますね • 会場が毎回変わる感じとかだともっと準備期間が長くなると思う 32
  17. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた Issue管理 • Issueトラッカーは必須 • GitHubでもforteeに付属するGitLabでも • 残す情報(ストック情報)はIssueに書く

    • SlackやDiscordは残さない情報(フロー情報) • ストック情報はWikiに書いても良いですね • 主催者はスケジュールとIssueを見てタス クが滞りなく進行しているか確認する • 滞っていそうだったら助けに入る • 難しそうなら自分(主催者)で巻き取る 33
  18. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた ノベルティ制作 • Tシャツとかステッカーとかエコバッグとか • どれも手順はだいたい同じ • ショップを探す

    → 注文 → 支払 → デザイン納品→ 届く • ショップは納期、価格を満たすところを探す • メールアドレスはカンファレンスのものを使用して、全員が(最低でも主催者が)進捗を見られる 状態で進める • 発送日・発送先の指定ミスは致命的なのでみんなでレビューしながら進められる様に • forteeを使うとメール通知がSlack/Discordに届くのでやりやすい • 会場装飾(ロールアップバナーとか)もほぼ同じ 34
  19. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた まとめ • 長谷川が主催しているカンファレンスでの考え方・進め方をお話ししました • 良いカンファレンスにするコツは最終的には「愛と情熱とリスペクト」かな〜と思 っています •

    主催者やコアスタッフが愛と情熱ドリブンでやりたいことをやる • カンファレンス、参加者(スピーカー, スポンサー, スタッフ, 一般参加者), トークはじめ各種コンテンツ など、すべてにリスペクトをもって接する • この後のおまけページにもノウハウをいろいろ書いておいたので必要に応じて活 用してください • 良いカンファレンスが各地で開催されることを願っています 37
  20. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた スポンサーの考え方 • スポンサーもカンファレンスの参加者の一員 • スポンサーは「主催者がやりたいこと」をお金で支援してくれる存在 • 主催者が最優先ですべきことは「良いカンファレンスにすること」

    • スポンサーに配慮しすぎない • スポンサー企業にはカンファレンスのファンがいると考える • カンファレンスのスポンサーになるために社内を説得してくれている • 説得に役立つ材料を提供できる様にすると良い • 開催後にスポンサーに参加人数やトーク数、参加者アンケート結果などのレポートを送る • 高クオリティの写真や動画を公開する 41
  21. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた スタッフの人数 • コアスタッフは5〜20人ぐらいが良いのでは • 多すぎても逆に盛り上がらない • iOSDC

    Japan / PHPerKaigi では共通化が進みどちらも30人ぐらい • 歴戦のスタッフたちなのでこの人数でも盛り上がってやれる • 当日スタッフの人数は当日必要なスタッフの総数で考える • 受付4人、各トラック3人、その他もろもろ3名、ぐらいがミニマムでは…? • iOSDC Japan / PHPerKaigi は当日スタッフ20人ぐらいで合計50〜60人ぐらい 42
  22. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた スピーカーの限定の考え方 • スピーカーは広く募集すればするほどクオリティの高いプロポーザルが集まり、イ ベントのクオリティも上がる • 「〇〇(地域名)勢」「初登壇」のようにスピーカーを限定するとトークのクオリティは (平均的・期待値的には)下がる

    • クオリティが低かった(= それよりクオリティが高いプロポーザルを落とす)としてもそれを採択す ることがカンファレンスにとって良い、と確信できる様にする必要がある • 「初登壇」とかであればカンファレンススタッフが資料のレビューをする、練習会をするな どでクオリティを上げる努力はできる 43
  23. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた 主催者が持っていると良いモノ • Adobe Creative Cloudライセンス & 操作スキル

    • Illustratorファイルを開いて確認したり、ちょっと編集したりできるとすごく捗る • ノベルティ制作で納品するファイルを確認したり、スポンサーからお預かりしたロゴファイル を確認したり… • デザイナさんにお願いするほどでないデザインをでっちあげて自分でギグバンド入稿した り… • カラーレーザープリンタ • だまされたと思って買うと良い • コンビニでも印刷できるけど開催直前の切羽詰まったときにコンビニに印刷しにいくことは 心理的にできない • 自分が印刷すれば納期0日なので企画の幅が広がる 44
  24. 長谷川智希 @tomzoh カンファレンスのつくりかた 定番ショップ • PHPerKaigi / iOSDC Japan でお願いしてる定番ショップ

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