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AIの視点からみた不動産のフロンティア / Frontiers of Real Estate ...
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Kiyota Yoji, Ph.D.
September 26, 2024
Technology
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AIの視点からみた不動産のフロンティア / Frontiers of Real Estate from the Perspective of Artificial Intelligence
九州産業大学 建築都市工学部『不動産学入門』第2講
2024年9月26日
Kiyota Yoji, Ph.D.
September 26, 2024
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Transcript
AIの視点からみた 不動産のフロンティア 麗澤大学工学部 教授 株式会社FiveVai 取締役 / 株式会社LIFULL 主席研究員 清田
陽司 九州産業大学 建築都市工学部『不動産学入門』第2講 2024年9月26日
本講義のねらい • AIという現代の「スーパーパワー」を使いこなすにあたっての ヒントを共有したい • 学問としての「不動産学」と「AI」の共通点をベースとして、 これからの協働の可能性を見出したい
清田 陽司 (きよた ようじ) • 久留米市生まれ、福岡市育ち(高校まで) • 小学校3年の頃、マイコン雑誌でAI(人工知 能)のことを知り、興味をもつ •
京都の大学に進学し、電気電子工学を専攻 • 大学院で「ことばを話すAI」の研究に取り組 み、博士の学位を取得 • いったん東京の大学で研究者になったものの、 「ビッグデータを使ったAIのサービスを開発 したい」という思いから、ベンチャーを起業 • 起業した会社がLIFULLに買収され、不動産分 野でのAIの研究開発に取り組む • その後、ふたたび起業 • 今年4月、12年ぶりに大学の研究者に戻る • 自身の会社(FiveVai)も引き続き共同経営しています • 福岡=千葉(柏)・東京を月2〜3往復する生活です
2003 東京大学西田・黒橋研 ポスドク(マイクロソフト共同研究) 2004 京都大学河原研 ポスドク(JSTさきがけ) 2005 2006 東京大学情報基盤センター 2007
中川研 助手・助教 2008 株式会社リッテル 2009 上席研究員→CTO 2010 2011 特任講師 2012 株式会社LIFULL 2013 東京電機大学 未来科学部 主席研究員 2014 研究員 2015 2016 2017 2018 株式会社メディンプル 2019 東京大学空間情報科学研究センター 代表取締役 2020 客員研究員 2021 2022 株式会社FiveVai 2023 取締役CDO 2024 麗澤大学工学部 教授 大学(アカデミア) 企業(ビジネス)
なぜ起業したか? 1回目(リッテル → LIFULL) • 博士課程時代、マイクロソフ ト日本法人との共同研究プロ ジェクトにて、対話型質問応 答システムの研究に従事 •
AIという研究分野のフロン ティアはビジネス領域にある と感じた 2回目(メディンプル → FiveVai) • 「不動産」という多くの分野 (経済学、建築学、都市学、 土木工学、防災工学、etc.) を、情報・データを介してつ なぐ役割が必要とされている • 連携すべき業界が連携できて いない現状の変革に、ビジネ スを通じて何か役に立てない か?
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人工知能学会「AI課題マップ」に みる不動産へのAI活用シナリオ
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課題マップ
事例: マルチエージェントシミュレーション artisoc4 (構造計画研究所) 不動産領域における応用シナリオ • 都市計画や経済価値シミュレーション への利用 • 渋滞予測
• 人流シミュレーション • 防災シミュレーション https://mas.kke.co.jp/artisoc4/
不動産領域における応用シナリオ • eKYC(オンラインでの本人確認)技 術を利用したオンライン契約手続き 事例: 駐車場契約におけるeKYCの活用(レオパレス21) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000565.000005429.html
不動産領域における応用シナリオ • 建物画像からの構造・築年代の推定 小川 芳樹, 沖 拓弥, 関本 義秀, 柴崎
亮介, 不動産に関する地理空間情報と建物 画像を用いた建物の構造・築年代推定手法の検討, 人工知能学会全国大会論文 集, 2020. https://doi.org/10.11517/pjsai.JSAI2020.0_2P6G
不動産領域における応用シナリオ • 間取り図の解析によるVRコンテンツ 生成 事例: LIFULL HOME’S 3D間取り
不動産領域における応用シナリオ • 街の雰囲気のオノマトペによる可視化 事例: タスキ社・電気通信大学 共同研究 https://tasukicorp.co.jp/news/9018/
不動産領域における応用シナリオ • 対話を通じた住まいへのニーズ理解 と提案 AIホームズくんᴮᴱᵀᴬ 対話から希望や細かなこだわりを理解し「ぴったり度」で 理想の住まいを提案する https://lifull.com/news/22847/
事例: Zestimateによる不動産の参考価格インデックス算出 (米Zillow社) https://www.zillow.com/tech/introducing-a-new-and-improved-zestimate-algorithm/ 不動産領域における応用シナリオ • ビッグデータを活用した不動産価格 指数の算出
不動産領域における応用シナリオ • 間取り図の自動生成 Nelson Nauata et al. (2020), House-GAN: Relational
Generative Adversarial Networks for Graph-constrained House Layout Generation, Computer Vision – ECCV 2020. ECCV 2020. Lecture Notes in Computer Science, vol 12346. Springer, Cham. doi:10.1007/978-3-030-58452-8_10 HouseGAN: 部屋のつながり情報をグラフとして入力することで 間取り図を自動生成(Simon Fraser大学 古川研究室)
不動産領域における応用シナリオ • 建築計画・事業計画の自動作成 https://www.starts.co.jp/news/press/2019/6180/ AIを活用し賃貸住宅の建築計画と事業計画を自動で一括して 作成するシステムの開発(スターツ社)
不動産領域における応用シナリオ • 行動心理学の知見を応用した物件情報 の提示順の最適化 大知正直ほか(2013)、「ユーザの成長を促進する情報推薦」、『2013年度人工知能学会全国大会(第27回)論文集』、doi:10.11517/pjsai.JSAI2013.0_3E37
AIと不動産学の意外な類似点
狭い意味でのAI 技術マップA: 知能活動のフロー
技術マップD: AI研究は多様 フロンティアは広大
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基礎理論 集合論 数論 代数学 解析学 幾何学 確率論 多くの科学分野の構造 金融工学 (解析学
+確率論) 数学 物理学 基礎理論 古典力学 電磁気学 熱力学 量子力学 相対性理論 暗号理論 (数論の応用) コンピューターグラフィックス (線形代数の応用) 最適化 (解析学の 応用) 半導体物性学 (量子力学の応用) 材料科学 (固体物理学 の応用) 流体力学 (古典力学 の応用) 宇宙物理学 (相対性理論の応用)
AIの構造と発展 三宅陽一郎. 人工知能学会 AI哲学マップ・総括セッション 講演資料. 2023年6月6日 https://speakerdeck.com/miyayou/ren-gong-zhi-neng-xue-hui-aizhe-xue-matupuzong-gua-setusiyon-jiang-yan-zi-liao
不動産学フロンティア =「理想の住まい?」 金融・経済 法律・制度 工学・技術 社会・文化 環境・エコロジー デザイン・美学 心理・ウェルビーイング ビジネス・マネジメント
テクノロジー・ イノベーション 不動産経済学 不動産投資論 不動産金融論 不動産鑑定評価 不動産法学 都市計画法 建築基準法 土地利用規制 建築工学 土木工学 環境工学 スマートホーム テクノロジー 都市社会学 住宅社会学 建築史 文化人類学 (住まいの文化) 環境心理学 グリーンビルディング サステナブル都市計画 エネルギー効率 建築デザイン インテリアデザイン ランドスケープアーキテクチャ ユニバーサルデザイン 環境心理学 ライフスタイル研究 ワークライフバランス コミュニティ心理学 不動産開発 プロパティマネジメント 不動産マーケティング ファシリティマネジメント PropTech(不動産テクノロジー) VR不動産ツアー ビッグデータ分析 IoT住宅 地理・空間分析 地理情報システム(GIS) 都市地理学 立地論 交通アクセス分析
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不動産学のフロンティアを探る
生活者にとっての不動産価値の 測定
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空き家問題とビッグデータ
出典: https://local.lifull.jp/
空き家問題の全貌は 誰も知らない • そもそも「空き家」の定義は? • 住民票が置かれていれば「空き家」ではない? • 住民が介護施設に入居中の場合はカウントする? • 民泊で貸出している物件は「空き家」なのか?
• 地方自治体でさえ、空き家発生状況は把握が困難
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研究のポイント A.空き家の抽出 • 水道使用量のデータを用いることで空き家(予備軍含む)を抽出 できるか。 • 空き家調査結果との比較を通じて、空き家調査では捕捉しきれ ていない予備軍を抽出。 B.空き家活用に向けた情報統合 •
水道使用量・固定資産台帳・住民基本台帳を結合し、活用に向 けた「所有者や連絡対象者となる人を特定するための」基本的 な情報の収集。
空き家の定義 空き家/非空き家を判定する水道使用量の目安 ・一人世帯月水道使用量は約8.2m³* ⇒年間約100m³ ・仮に、10m³/月未満として閾値を設定
突合したリストの水道使用量に基づく空 き家判定結果
「不動産」と「介護」の研究課題
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介護施設探しのステークホルダー 相談 アドバイス 施設紹介 入居者紹介
施設がなかなか決まらない大きな要因 相談 アドバイス 施設紹介 入居者紹介 必要な医療 サービス 予算の問題 家族内の 意見の対立
「LIFULL介護」のデータ分析からの知見 • 数十年前からの人間関係が大きく影響 • しかし、課題に直面するまでは「自分自身のリアルな問題である」と いう実感が薄い • 不動産、医療、保険などと密接な関係 • しかし、別々の業界であるためほとんど連携できていない
不動産 医療 介護 保険・金融 都市・地域
まとめ
フロンティアの課題に取り組む上で 大切なこと • 社会の変化の大きな流れを、大まかなイメージとしてつかんで いる • 素直に学びつづける姿勢を持ち続けている • たくさんの「正しさ」があることを理解し、違いを受け入れて 協力する
「ともに学ぶ仲間をもつ」ことの大切さ • 独りで学べる知識は、AIが補ってくれる • 「仲間がいる」ことが、何よりも学びの励みになる • 唯一の正解のない複雑な現代社会において、人との対話はさま ざまな知見を与えてくれる