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デジタル社会の行き着く先にライブラリアンが果たしうる役割を考える / Thinking abo...

デジタル社会の行き着く先にライブラリアンが果たしうる役割を考える / Thinking about the role librarians can play in the destination of the digital society

図書館総合展2022カンファレンス in 鳥取 / 都道府県立図書館サミット2022
https://www.library.pref.tottori.jp/info/post-241.html

Kiyota Yoji, Ph.D.

November 26, 2022
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Transcript

  1. 清⽥ 陽司(きよた ようじ) 博⼠(情報学) 1975年 福岡県⽣まれ 2004年 京都⼤学⼤学院情報学研究科 博⼠課程修了 2004-2012年

    東京⼤学情報基盤センター 助⼿・助教・特任講師 2007-2011年 株式会社リッテル 上席研究員・取締役CTO(共同起業) 2011年- 株式会社LIFULL 主席研究員(バイアウト) 2018-2022年 株式会社メディンプル 代表取締役(⼆度⽬の起業) 2022年- 株式会社FiveVai 取締役CDO(3社との対等合併) 関⼼分野: ⾃然⾔語処理応⽤ → 検索・推薦 → 情報リテラシー (図書館) → ⽣活領域のAI研究 (不動産、介護 etc.) → 業界横断のAI社会実装 (医療、教育、⾦融 etc.) 主な対外的活動 ⼈⼯知能学会 編集委員⻑ (2020-2022)/情報科学技術協会(INFOSTA)会⻑ (2022-)
  2. 社会のデジタル化の加速 1990年代 インターネットの商⽤利⽤が開始 Windows 95の登場 携帯電話の普及開始 2000年代 常時接続サービス Web検索エンジンの精度向上 SNSの本格的普及

    ビッグデータ処理技術の発達 スマートフォンの登場 2010年代 第三次⼈⼯知能ブームの始まり (ディープラーニングなど) IoT (モノのインターネット) 電⼦決済サービス 2020年代 コロナ禍に伴うリモートワークの 普及
  3. 巨⼤プラットフォーマーの影響⼒増⼤ 情報アクセス⼿段の主流は1990年代から⼤きく変化 • 〜1990年代 オンラインデータベース • 2000年代〜 Webサーチエンジン • 2010年代〜

    SNS、スマートフォンアプリ 求められるユーザー体験(UX)のレベルが⾶躍的に向上 ソフトウェア・ハードウェアに巨額の資本を投下できる巨⼤プ ラットフォーマーが、圧倒的な影響をもつようになった
  4. デジタル化が⾏き着く先に どのような未来がデザインできるか? • 巨⼤プラットフォーマーが描く未来のデジタル社会の姿をその まま追認してよいか? • 複雑な社会課題 (⾼齢化・医療・教育・交通・環境・etc.) に、Webビジ ネスと同じようなアプローチで成果を出せるか?

    • 技術のフロンティアに⽴ちはだかっている課題に着⽬し、有り たい未来の姿からライブラリアンがなすべきことを逆算する必 要があるのではないか? 未来の社会に影響を与える存在にライブラリアンがなれるか?
  5. • 時代は「知・情・意」の精神の繰り返し となって流れている • 知: 古代ギリシャ時代 • 情: 中世キリスト教時代 •

    意: ルネッサンスからフランス⾰命の時代 • 知: 科学技術中⼼の19世紀・20世紀 • 21世紀は「情の時代」「⼼の時代」に 移ってゆくだろう
  6. • ⻘池・川島︓国⽴国会図書館次世代システム 開発研究室の取組み紹介 • 橋本︓ AI ⽂字認識とクラウドソーシングを組 み合わせた歴史資料の⼤規模テキスト化 • ⼤向︓

    Wikidata と知識ベース • 江草・岡本・清⽥・⾼久・常川︓図書館にお けるテクノロジー活⽤を促進する「場」の創 出 ─ Code4Lib JAPANコミュニティの取組み─ ⼈⼯知能学会誌 2020年11⽉号 (エンバーゴ解除済み)
  7. (1) 図書館業界におけるICTスキルの 向上の課題 • 司書養成課程の整備 • 「図書館法施⾏規則の⼀部を改正する省令」(平成21年⽂部科学省令 第21号) • ICT技術の発展に対応するためのスキルが習得できるようにカリキュラ

    ムが整備された • 図書館技術論: Webサイトの整備、図書館システムの調達、電⼦書籍や電⼦ ジャーナルなどのオンライン情報資源などをカバー • 近年のICTの発展、スキルの⾼度化には⼗分対応できていない • 電⼦書籍の規格やプラットフォームに関する知識 • IIIFなどのデジタルアーカイブ資源の規格、APIなどの知識 • AI活⽤、データサイエンスに関する知識レベルの社会全体での底上げ
  8. (2) ICT技術の実践者の交流の課題 ICT技術に⻑けた図書館関係者同⼠が交流し、先進的な技術に関 する議論を⾏う場がないことによる弊害 • ベンダー依存が強くなり、システムの健全な調達を阻害する • ⽶国NISO(調達の技術的要件に関する標準)のような取り組みを⾏う には、担当者間での組織横断型の情報交換が不可⽋ •

    新しい取り組みが図書館間で普及していかない • IIIFに準拠したデジタルアーカイブの導⼊などは、⾼度な技術知識やノ ウハウ、コスト感覚が必要 • システム担当者の精神的な孤⽴ • 特定の図書館員に業務負荷が集中し、業務上の課題を⼀⼈で抱え込ん でしまいがち
  9. 「未来をデザインする」 ライブラリアンに求められるスキル • デジタル社会の⼤きな流れを、「感覚的」に理解している • さまざまな産業分野の最前線で、どのようにデジタル技術が浸透して いるかのイメージをもっている • 素直に学び続ける姿勢を持ちつづけている •

    10年後にどのような知識が求められるかは、誰も予測できない • 多様なバックグラウンドをもった⼈々と協働できる • 多様な「正しさ」があることを理解し、違いを受け⼊れて協⼒するこ とで、「確かな情報を使いこなす」という能⼒は最⼤限に発揮される
  10. INFOSTAが提供している学びの場 (2) 検索検定 (3級, 2級, 1級) • 確かな情報を得るスキル • 合格者のコミュニティ

    各種セミナー • 第⼀線の講師 • ⽣きた情報スキル 各種研究会活動 • ⾃ら運営に関わる楽しさ • 強固な関係づくり