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yubessy
September 11, 2016

Formal requirements for virtualizable third generation architectures

yubessy

September 11, 2016
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  1. Formal Requirements for Virtualizable Third Generation Architectures Popek, Gerald J.,

    and Goldberg, Robert P. Communications of the ACM 17.7 (1974): 412-421.
  2. 論文の内容 仮想化機構に求められる特性を定義 第三世代アー キテクチャのコンピュー タの形式的 な計算モデルを定義 第三世代アー キテクチャの命令セット中の 仮想化に関連する命令に対する分類を導入 第三世代アー

    キテクチャで仮想化機構を構築する ために命令セットが満たすべき十分条件を導出 ※ 第三世代アー キテクチャ: 当時の最先端アー キテクチャの総称(x86 の源流)
  3. エミュレー ション vs. 仮想化 共通点: あるコンピュー タ上で 別のコンピュー タを動作させること エミュレー

    ション 仮想化 アー キテ クチャ ゲストとホストで 異なる ゲストとホストで 同じ ホストの 役割 ゲストの命令の解 釈・ 翻訳・ 実行 ゲストのリソー ス 利用を監視・ 管理 ゲストの 命令実行 ホストが解釈・ 翻 訳・ 実行 一部を除いて透過 的に実行
  4. エミュレー ション vs. 仮想化 エミュレー ション (Emulation) = 代理 ゲストが発行する命令を逐一代わりに実行

    仮想化 (Virtualization) = 監視 ゲストが権限のない命令を発行したときのみ介入 → 仮想化はオー べー ヘッドが少ない ※ ここでの「 仮想化」 は 現代でいう「 ハー ドウェア仮想化」 に近い
  5. 仮想化機構に求められる特性 仮想化機構を実現するプログラムを仮想マシンモニタ (VMM) と呼ぶ e.g. VMware, VirtualPC, VirtualBox, ... VMM

    とそれが作り出す仮想環境は次の特性を 持たなければならない 1. 等価性(Equivalence) 2. 資源の管理(Resource Control) 3. 効率性(Ef ciency)
  6. 特性1: 等価性(Equivalence) OS やアプリケー ションが、VM 上で実行された場合と 通常のハー ドウェア上で実行された場合とで同じよう に動作する →

    VM が正しく動作するための特性 VMM の元で動作するプログラムは、 等価な実際 のマシン上で直接実行した場合と本質的に同じ振 る舞いを示さなければならない “ “
  7. 特性2: 資源の管理(Resource Control) VMM が、VM に提供する( 仮想) プロセッサや ( 仮想)

    メモリなどを全てコントロー ル可能である → VM が安全に動作するための特性 VMM は仮想化された資源を完全にその管理下に おかなければならない “ “
  8. 特性3: 効率性(Ef ciency) VM が( 仮想) プロセッサに発行する命令の多くを VMM の介入なく直接( 物理)

    プロセッサで実行できる → VM が効率的に動作するための特性 ※ 統計的に大部分: 命令セット中の割合ではなく、 実 行時の割合 統計的に大部分の機械の命令を VMM の介在なく 実行できなければならない “ “
  9. 仮想化可能なアー キテクチャ Popek とGoldberg は、 以上の3 特性を満たすもの だけが完全な仮想化機構であるとした では、 どんなアー

    キテクチャなら完全な仮想化機構を 構築できるVMM( 完全なVMM) を実現できるか? Popek とGoldberg は、 第三世代アー キテクチャの コンピュー タの計算モデルを形式的に定義し、 命令セットがある要件を満たせば完全なVMM を 実現できることを証明した
  10. 特権命令 トラップ: マシンの現在の状態を保存した上で マシンの制御をスー パバイザモー ドに移行すること = 実行のために 特権(privillage) が必要な命令

    その命令を実行しようとした時、 プロセッサがユ ー ザー モー ドにあれば、 トラップされる命令 “ “
  11. 定理: Popek とGoldberg の仮想化要件 システム資源の構成に影響を与えるor 受ける命令は 常にVMM に制御を渡して実行される → 直接的に資源の管理を保証

    ( 逆に) 非特権命令はシステム資源の構成に関係ない のでVMM の介入なしに直接実行できる → 間接的に効率性を保証 全てのセンシティブ命令が特権命令ならば 完全なVMM を構築することができる “ “
  12. 第三世代コンピュー タの計算モデル S = <E, M, P, R>: ( 状態機械における)

    状態 E: 主記憶 M: モー ド (supervisor/user) P: プログラムカウンタ R: 再配置レジスタ i: 命令 i(S1) = S2: 命令i によるS1 からS2 への状態遷移 ※I/O や割り込みは考慮しない
  13. 再配置レジスタ (Reallocation Register) 現在のメモリ空間のベー スアドレスとサイズを保持 R = (l, b) l:

    ベー スアドレス b: サイズ 物理アドレス = 論理アドレス + ベー スアドレス ベー スアドレスを変化させることで、 プログラムに 割り当てるメモリ空間を切り替えることが可能 = VM に割り当てるメモリ空間を隔離できる
  14. トラップ 命令 i が次の条件をみたすとき、i はトラップである E' (=i の実行後のメモリ) に E,

    M, P, R (=i の実行前の状態の全構成要素) が保存される M' = supervisor R' = (0, q - 1) ( 全メモリ空間) ※X' は命令実行後の各変数の値 ※q は最大メモリサイズ
  15. 特権命令・ センシティブ命令 特権命令 M = user ⇔ i: trap 制御センシティブ命令

    M ≠ M' ∨ R ≠ R' 動作センシティブ命令 ∃ R1, R2 s.t. R1 ≠ R2 → E'1 ≠ E'2 ∨ P'1 ≠ P'2 ※ 厳密には多少異なる
  16. 等価性とVM map C: 状態機械が取りうる状態の全集合 Cv: 状態機械上にVMM が存在して 状態機械の制御を掌握している状態の集合 Cr: C

    - Cv 等価性の保証 ⇔ Cr から Cv への単射かつ準同型な写像 f が存在 i.e. VMM が居る状況(Cv) で VMM が居ないように見える状況を作り出せる この写像 f をVM map と呼ぶ
  17. VM map の存在証明 論文ではVM map の存在性のみ証明 ※ 実際にはアー キテクチャ毎にいい感じのを作る 全ての命令の効果はM,

    P, R およびE のうちR で指定 された部分のみに依存 これらで表現できる状態数は高々 有限個 全ての特権命令と全ての状態について f の適用後の状態を定義したテー ブルを作ればよい
  18. 閑話休題: x86 仮想化 ('78) x86 アー キテクチャの登場 当初は仮想化要件を満たしていなかった ('99) VMware

    Virtual Platform の登場 一部の動的命令変換によるオー バー ヘッド ('05-'06) HAV (Hardware-Assisted Virtualization) の登場 Intel Virtualization Technology AMD Virtualization 仮想化要件を満たすようx86 を拡張